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どうすれば裁かれるか

 いつの間に寝ていたのか、目を覚ますとベッドで寝ていた。

 上半身を起こして、周辺を見渡すと見覚えない部屋だった。最近も似たような状況に経験したと思いながら、自分の身体を確認すると手当がされていた。怪我の具合からして、まだグリオットの体だ。



「ここは……」


「街外れにあるフォレノワール家の屋敷でございます」



 声のした方を見ると仮面を外したアントルが控えていた。



「街外れ……ケスター家の別荘に行く前、準備をしていた屋敷か」


「そうです。ラティウス殿達をお送りした後、戻ってきますと寝ておられましたので、こちらへとお連れしました。簡単にではありますが、手当いたしました」


「寝ていたのか。疲れていたとはいえ、あんな場所で寝るとは危なかったな」



 近くには追い剥ぎ達も寝ていた。拘束はしていたが、奴らが先に目を覚ましていたら、なんらか手を使って拘束を解いていたかもしれないし、追い剥ぎ達の他の仲間が来ていた可能性もあった。



「どのくらい寝ていた?」


「三時間ほどでございます」


「ということはまだ夜は明けてないか。追い剥ぎ達は?」


「街の警備隊へ連絡をしましたので、捕まっているはずです」


「……」



 クローセさん達を助け出し、フレス達が行っていた犯罪の証拠も掴むことが出来た。

 やらなければいけないことを全て成し遂げたと言えるだろう。

 これでクローセさんは命を落とすことなく、今後も生き続ける。彼女が生き続けることで未来にどのような影響が出てくるのか、分からないが悪い結果にはならないだろう。少なくともクローセさんの家族達にとっては良い未来が待っているはずだ。


 仮にクローセさんが生きていることで、俺が知っている未来とは異なる未来に進んだとしても、悲しい未来が訪れたとしても、後悔はしない。大事な人を助けたことを後悔するなんてことだけは絶対にしない。



「アントル、今回は色々と世話になった」


「お世話をするのが役目ですので。それに全て終わったわけではありません。持ち出した証拠を然るべき場所へ届けて、罪を暴かなくてはいけません」


「だな。下手な場所に届けても、伯爵家の力で握り潰されるだけだ。支局ではなくて司法本局が良いと思うが、どうだ?」


「よろしいかと思います。ただし、届ける方法についても考えなくてはいけません。郵送する場合は、フォレノワール家として郵送するわけにはいきませんので、偽名を使うことになります。

 その場合、情報の信頼性が著しく低くなり、イタズラやケスター伯爵家を落としいれるための捏造情報と思われ、真面目に受け取ってもらえない可能性もあります。事実かどうかを捜査する段階でケスター伯爵家に気付かれて、手を打たれる可能性が高いでしょう」


「フォレノワール家として届けられれば、真面目に受け取ってくれるとは思うが、それは出来ないからな……どうしたものか」


「フォレノワール家が届けなければ良いと思います」


「だから、そうなると……っ!? フォレノワール家以外の貴族が届ければいいのか」



 当たり前な話だが、貴族達は全員が全員、仲良しではない。仲の良い貴族同士もいれば、権力争いなどにより仲の悪い貴族同士もいる。



「ケスター伯爵家と敵対している貴族に資料を送って、告発するようにと促すのか」


「はい、その通りでございます。そのような方々ならば自分達の地位を少しでも高め、敵対しているケスター伯爵家を落とすために全力を尽くすでしょう。健全な行為とは言えませんが」


「健全だけでは生きていけないさ。実際、今回、私がやったことは決して健全ではない。理由はどうあれ、貴族の家に不法侵入だ」



 健全な手段ではクローセさんを助けられなかったし、ケスター伯爵家を訴える資料も入手は出来なかった。


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