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 俺はクローセさん達が隠れている通路へと戻り、リヒテを再び背負い、クローセさんと共に儀式の本の保管されてあるという部屋へと向かった。



「早くここから逃げたいだろうが、我慢してくれ。君達を誘拐した犯人を捕まえるための証拠が必要なんだ」


「誰なんですか。私達を誘拐した人は?」


「ケスター伯爵家の息子だ。名前を聞いたことはあるか?」


「いえ、私達はあまり貴族の方々の話をしませんから。国で偉い貴族の方の名前くらいなら知っていますけど」


「だろうな。貴族として権威を無駄に強調する奴らほど、民達からの認知度は低いものだ」


「有名な方なのですか?」


「伯爵家だからな。貴族の界隈では名は通っているよ。君達には関係ない界隈の話だ。町中の食堂に来ることなんてありえないだろうしな」


「貴族の方なら確か……男爵家ですけど、よくお店には来てくれていますよ。二人は貴族として扱われるのが嫌みたいですけど」


「……」



 ラティウスとトルテのことだ。

 当時、クローセさん家族が営む食堂に通っていた理由は、学校の食堂に居にくいというものあったし、クローセさん目当てというのもあった。だけど、何よりの理由は俺達が普通に接してくれと頼んでも、貴族として扱おうとする店ばかりだった中で唯一、俺達のことをただの客として接客してくれたからだ。下手に気負うことなく、楽しく食事が出来る場だったからこそ、俺もトルテも学生時代、通い詰めたのだ。



「……物好きな奴らだ」


「そうですね、変わった人達です。少し困っていると、すぐに助けてくれて……いつも感謝しています」



 生前は聞くことが出来なかったクローセさんからの感謝の言葉に胸が熱くなる。



「そういう言葉は本人達に言ってやれ」


「そうします」



 地下の通路は入り組んではいたが、所々に通行者が迷わないようにと印が付けられていたため、すんなりと目的の部屋に辿り着くことが出来た。

 儀式の本が保管されている部屋は地下に用意されたエーブの私室だった。鍵は付いていなかったので簡単に入ることが出来た。部屋は質素でベッドとテーブル、小さな書棚が置かれているだけだった。エーブも寝る時以外は使用していなかったようで私物などは見つけられない。


 悪魔を呼び出す儀式の本なので魔法で封印がされているのかと思ったが、目的の儀式の本は部屋のテーブルの上に無造作に置かれているだけだった。表紙が革で出来ているようで妙に光沢がある以外は普通の本のように見える。

 俺がゆっくりと本に手を添えると表紙から人肌程度の熱を感じ、気味の悪さから慌てて、手を離す。



「っ!?」


「どうかしましたか?」


「……近づくな」



 今更だが、この本は本物の悪魔を呼び出すことが出来る儀式の本なのだと実感する。出来るならこの場で燃やすなりして、この世から消し去りたいが、この不気味さは証拠として十分すぎるものだった。

 俺は直接触ることはしたくないと部屋の中から適当な布を探し出して、本を布で包んだ。


 他に何か無いかと書棚を捜索するとエーブの日記を見つけた。読んでみると、エーブ自身がその日、どのようにして人を斬り殺したのか鮮明に記述されており、目を背けたくなる内容で溢れていた。正気を疑う日記の内容だが、これもフレスの罪を証明する証拠になると思い、儀式の本と一緒に持ち帰ることにした。



「用は済んだ。今度こそ帰るぞ」



 クローセさんは静かに頷くと、黙って俺の後をついてきてくれた。



この場面で悪魔を無理やり呼び出す誘惑に駆られた作者

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