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天寿全う
眠る前のように意識が朧気になっていく中で俺、ラティウス・パルシュネーの脳裏にこれまで歩んできた人生の断片が思い浮かんできた。
楽しい思い出もあれば、辛く悲しい思い出もある。
だが、うっすらと映る自分の視界の光景を見ると良い人生だったと満足することが出来る。
静かで清潔なベッドに寝ながら愛する妻達と子供達、そして孫に見守られながら天寿を全うするのは幸福だ。
後悔は無くはないが、それでもなんと恵まれた人生だったのだろうと思う。
元々は平民だった俺が沢山の苦難を乗り越えた先で国王になり、国を豊かにした。これで恵まれないなど思っては罰があたってしまう。
最後に集まってくれた家族にせめて一言、お礼を言おうとしたところで俺の意識は落ちた。