表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

キャンセル勇者

作者: 北の山さん

「!!、」


ある日のこと、突然 足元が輝きだした。


歩道を歩いている人たちが驚いて騒ぎ出す・・なんて事は無い。


他の人には見えないのだ。



おっと、周りを気にしている場合ではない。


俺は持ち前の高いステータスの高さを生かし


一瞬でその理不尽な魔法陣を飛び越えた。


そして


誰一人、その異常なオレの動作に気付く者はいない。



ピコーン


『勇者召喚ヲキャンセル。経験値ヲ獲得。


敵対者陣営ノ魔導士一名ノ死亡ヲ確認』



機械的なアナウンスが耳元で響く。


これは魔法による陰謀を仕掛けられた時、状況確認と共に瞬時に魔法経路をたどって情報収集することが出来る魔法だ。



そう、魔法だ。


厨二病をこじらせた訳では無い。


陰謀渦巻く宮廷闘争にウンザリした事で作り上げた魔法である。



ここまで聞いた優秀なる善男善女ならすでに察していよう。


今の足元の光は オレを勇者召喚という名目で誘拐しようとした魔法陣であり、


それを察知したオレが回避しただけの事。


そう・・よくある光景だ。



なんせ、過去二回も勇者として誘拐されてたからな。警戒もするさ。


見えない落とし穴である魔法陣がオレにだけ光って見えるのは その為のスキルが働いたにすぎない。


本来は必要の無い能力だし、多少は疲れるのだ。


回避出来るとは言え 迷惑極まりない話だよ。



ともあれ、召喚には何人もの魔導士が命がけで魔力を使い果たす。


今回は一人の魔導士が死んだらしい。


これで暫くは平和に暮らせるだろう。




それから三か月くらい経っただろうか、性懲りもなく足元が輝きだした。


当然また回避する。



ピコーン


『勇者召喚ヲキャンセル。経験値ヲ獲得。


三名ノ犠牲者ヲ確認。過剰召喚ヲ確認。


敵陣営ノ魔導士ニ対スル負荷ノ増大ヲ確認。


魔導士20名ノ死亡ヲ確認』



・・誰かが災害に巻き込まれたようだ。


後ろを歩いていた男子高校生だろう。



えっ。おまえのせいだって??。それは違うぞ。


車が自分の方に突っ込んできた時、可能なら回避するだろう。


後ろに居た運の悪い人がその車に跳ねられたとしても回避した人が悪い訳ではない。


自分も被害者だからだ。


ほら、オレは悪くない。ないったらない。



しかし・・


三人召喚しただけで20名の魔導士が死んだのか?


修業が足りんな。レベルが低すぎる。



召喚したのはどこぞの異世界の国家だろうが、勇者という戦力が必要ということは戦争でもしてるんだろう。それが魔族か人間かは知らないが、一度にそんな数の魔導士を失ったらヤバイだろう。



誘拐された三人を救助しないとな・・。


だが、今はダメだ。


きっと勇者召喚された事に浮かれて舞い上がっているだろう。


うん・・経験者は語るだ。


彼らが現実を知って目が覚めるのを待たないとならない。



オレが召喚された時、敵は魔族や魔王などではなく・・人間だった。


二回ともだ。



最強で無双? 無い無い。


それどころか適当に魔物と戦わされ、少しのレベル上げしただけで戦場に駆り出された。


意図的に(物語りの勇者のように)強くはさせない、というべきだろう。


最強になって反逆されたら困るからね。


適度に強くなって敵に打撃を与えたら死んでほしいのだ。


ヨウスルニ、


オレは侵略戦争の捨て駒として呼び出されたのだ。


勇者?何それ、である。


ふざけるな、と言いたい。




分かるだろうか?・・剣と魔法で血吹雪と臓物が飛び交う戦乱の恐ろしさが。


ロマンなんて一欠けらも無い生きるか死ぬかの世界である。



幸いにも覚醒したスキルが転移だったおかげで戦いの混乱に紛れて逃げ出すことに成功。


その後は死なない為にひたすら魔獣を狩ってレベルを上げ強くなった。


ラノベで学習してたからね。



やがて、苦労の果てに転移スキルが進化し地球に帰還することができた。



何はともあれ・・


三人を誘拐した下衆な国の場所はハッキリした。


彼らを救助するついでに また、その国の召喚するための設備を破壊し、関係する文献を燃やし尽くし、魔導士達から記憶を消し去ってやらないとな。



こうしてオレは自分をエサにして誘拐犯を誘い出し、一つ一つ叩き潰していく。



やれやれ・・・(溜息)





ペンネームを変えたので初投稿に見えますが以前なろうに別の名前で投稿していました。

長い間投稿してなかったのでリハビリをかねてカクヨムに今の名前で作品発表していましたが

長くブランクが有ったため作品の文体が変わってしまった気がして今もリハビリ中です。

今回の短編はカクヨムで発表した中で気に入ってるものです。

なろうでも投稿させていただきました。

自分の楽しみで書いている小説?なので読んで下さった方には感謝です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ