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発火
あ、なんか書こう。
とりたてて訴えたいことはない(たぶん)。改まって叫びたいこともない(たぶん)。
じゃあどうして書くのか。
知りません、とすっとぼけたとしても、誰も咎めません。
なぜならば、どうせ誰も、わたしのことなど眼中にないからである。
でも、ここにいるんです。彼らがスタスタと歩き去る背後で、ひっそり立ちすくむわたしがいるんです。
ということを、こっそり表明したい。
わたしの存在表明である。
どうしてわざわざ存在表明するのだろう。
本当は知っている。彼らが踏みつけていったそこに秘められた光を知っている。
わたしはこの光を表明したい。
たとえば闇が覆い被さり、わたしたちの眼が曇り、操り人形と化すよう誘導されていたならば、どうでしょうか。それで何が困るのか。証拠を見せてみろと言われても困る。それでいいのなら、それでいい。
追いやられた光を汲み上げ、錬成し、天に捧げれば、隠された扉があらわれ、いまだ見ぬ次元が開かれる。
秘密を解き明かすために、書く。