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ヴァレリアン公爵夫人の緩やかな告白  作者: 丹空 舞


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22/28

逢瀬と歓談

レベッカはその日、非常に爽やかに目が覚めた。

ぱちり、と、まぶたが開いて、色素の薄い目が豪奢な造りの天井を見あげる。

人形のように整っている風貌は、美人ではあるのだが、どこか温かさを感じさせる。

端正過ぎるほど端正な顔だちだが、ぼんやりとリラックスしているからかもしれない。


(朝だわ……それで、今日だわ。朝が来ちゃった)


と、レベッカがふわふわのシーツを足ですりすりと所在なくこすっていると、見計らったかのようにメイドのローラが部屋に滑り込んできた。


「おはようございます、レベッカ様」

「……おはよう」


レベッカはしぶしぶ起き上がった。


「今日の予定は夕方からシャルル様との外出です」


レベッカは憂鬱だった。

あのシャルルと外出。

そう思っただけでお腹の中がモヤモヤする。


「風邪をひいたかもしれません」

レベッカが言うと、ローラが体温計をもって飛んできた。


「平熱ですね」

しれっとローラが言い、急き立てられるようにベッドから出される。

冬のひんやりした空気にレベッカは肩をすくめて言った。


「でもローラ。シャルル様と出かけると思うと手の先が冷たくなってくるわ。それに気持ちが悪くなったかと思えば、頬が火照ってくるの」

「それは緊張なさってるのです」

「緊張」


確かにそうかもしれない。

シャルルとはあの日以来、久しぶりにゆっくりと会う。

何だかんだと仕事が忙しかったシャルルとは、邸宅内で食事をするときこそ何度か顔をあわせた。が、面と向かって話をしたり、一緒に出かけるのは久しぶりだ。


(どうしよう……いえ、どうもしないのだけれど、なんとなく気まずいわ)


レベッカはぼんやりしたまま、顔を洗い、肌を磨かれ、髪を結われた。

逃げるように庭仕事へ向かったレベッカは剪定作業にせいをだし、簡単な昼食をとると、屋敷の細々とした書類をクロエと片付けた。


夕方になろうかという頃、自室に戻ったレベッカのところに、いつになく気合いの入ったエレーヌが、腕に一抱えほどの服と宝飾品をもってやってきた。


そして、頭の天辺から爪先までつやつやに磨きあげられたレベッカは、馬車に揺られて待ち合わせ場所の劇場に向かったのだった。


そこには、仕立ての良いジャケットに身を包んだ完璧な紳士が待っていた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] レベッカは一応シャルルのことを自覚的に意識し始めていますね♪ でもまだ『恋愛』という概念に疎すぎてデート大作戦が早くも先行き不安です(^▽^;) [気になる点] 恋愛方面の精神年齢はシャル…
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