8 マジックポケット
マジックバックを作れないだろうか、ふと考えた。
キッチンのアイテムボックスをそのままバックに出来れば、
大抵の物が入れられ荷物を持たなくて済む。
これからの冒険を考えたら絶対に欲しいアイテムがマジックバックだ。
でもわざわざ背負ったり肩にかけたりって面倒くさいし、
戦闘の時はきっと邪魔だよね。
ウエストポーチみたいに腰のベルトに取り付けられればいいんだけど、
アイテムの出し入れがどうなんだろう
四〇元ポケットみたいに便利に作れれば最高なんだけれど。
「まぁ、やるだけやってみるか」
ウエストポーチと言うことで、
取り合えず皮を使って四角いバック型にするか
布を使って巾着型にするか悩んだが、
腰ベルトには二丁の拳銃がぶら下がっているので
これ以上何かを付けると動きづらくなりそうだ。
と言うことで、
ローブの裏に内ポケットのようにして作ることにした。
まずポケット型のマジックバックを作り、
その中に時空魔法で空間を作り広げていく。
とにかく広げられるだけ広げていく、
どんどんどんどん広げていく。
そう言えば、
この空間に入れた物ってちゃんと整理整頓出来るんだろうか?
中がぐちゃぐちゃになったら嫌だな。
同じものをまとめて管理して、
何が幾つ入ってるか分かる様になってくれないかな。
そんなことを考えながら空間を広げていたら管理画面が浮き出た。
やっぱりイメージが大事って事か。
それじゃ出し入れもこの管理画面を通す感じで出し入れ出来れば
出し入れ口の大きさは関係なくなるんじゃない?
そう考えながら時空をさらに広げていく、
するとディメンションMAXと頭に浮かんだ。
どうやら時空魔法のディメンションレベルがMAXになったようだ。
って事は、これってもしかして生き物でも入れられたりするのか?
次元を自在に操れるようになったって事か?
それってもしかしたら何でもありって事か?
そんな事を考えながらさらに空間を広げていたが
さすがにこれ位で良いだろう
って言うか、そんなに何を入れるんだ?
足りなかったらまた作ればいいし、
って事で出来上がったマジックポケットをローブの内側に取り付ける。
そしてマジックポケットの出来栄えを確かめるべく
以前作った薬の数々をマジックポケットへと入れていく。
マジックポケットの口を広げると管理画面が浮かぶので、
左手で管理画面に触れ右手でマジックポケットに入れる薬に触れていく。
そうすると薬は姿が消え管理画面にその内容が次々と表示される。
画面を確かめると薬の種類ごと品質ごとにきちんと整理されている。
「やっぱりこうでなくちゃダメだよね」
次は取り出しだ。
管理画面の傷薬の項目に数が表示されている欄の横の空欄が光る。
どうやら取り出す数も選択できるようだ。
取り合えずその空欄に1と入れてもう一度触れると
傷薬が一つ目の前に現れた。
何がどうなってそうなったのか分からないけれど、
思った以上の出来栄えって事だよね。
「便利すぎるんですけど~~~」
これはもう私に冒険に出ろって言ってるよね?
でも冒険に出るなら錬金術師もコンプさせてからにしたいし、
そんな事を考えていると何やらただならぬ気配を感じた。
それはこの世界に来て初めての身もすくむような殺気だった。