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ディザスト  作者: クソラノベ量産機
1/1

#1 廃屋敷の怪物

 自然豊かなアストレア王国の城下町にて二つの産声が上がる。


「ドマ様! 産まれましたよ、双子の男の子です!!」


「ほ、本当か!」


 ドマと呼ばれた立派な髭を蓄えた男性が椅子から腰を上げ足早に病室へと入り妻の居るベッドへと駆け寄る。


「貴方、元気な双子の男の子よ!」


「「オギャア! オギャア!!」」


「良くやったぞエマ! ん、どうした浮かない顔をして?」


「申し訳ありませんドマ様、片方のお子様は病気持ちで産まれてきまして……その……10歳までが限界かと。」


「な、なんだと! なんとか出来んのか!? アンタ医者だろ、治せんのか!!」


「そうしたいのは山々なのですが私にも治療方法が無いのです。」


「そんな……。」


「ですから、寿命が来るまでは愛情を絶やさず接してあげてください。」


「はい……分かりました……。」


 そして双子の一人は兄“リーマ”もう片方は弟“キーマ”と名付けられスクスクと育ち7年が過ぎた頃、自身が短命だと聞かされていた兄は剣と魔法の才能に優れ努力を怠らず賢明に自分の生きた証拠を残そうと頑張っていたが、弟の方は何の才能も見い出せずに町の公園のブランコに揺られていた。


「キーマこんな所に居たのか、もう暗くなるし帰らないと父上が心配するぞ?」


「母さんは心配してくれているのは分かるけど父さんが心配してるのは兄さんだけだろ?」


 そう兄さんに言うと隣のブランコに座り漕ぎ始める。


「なぁキーマ、何で父上をそんなに嫌うんだ?」


「兄さんが短命なのは知ってるよ、それに母さんが亡くなってから俺に当たりが強くなった。 どうせ俺は落ちこぼれだし何やってもうまくいかないのは知ってるだろ?」


「そんなに自分を攻めるなよ、父上はキーマの事だって愛してるに決まってるさ。 親が自分の子を裏切る訳無いだろ?」


 “親が自分の子を裏切る訳が無い”その言葉に何時も勇気を貰っていた。

 だから少しでも自分に出来る事が無いか探して努力をして来た、あの運命の日が来るまでは……。


「何処へ行っていた?」


「父上、キーマを攻めないで下さい! 僕も遅くまで帰らなかったので罰は受けます!」


「ふんっ、まあいい……出来損ないの分際で私に苦労をかけるんじゃあない! リーマを見習ったらどうだ、毎回テストで百点を取っているが貴様はどうだ? たかだか60、70の点数で満足しおって遊んでいる暇があるなら勉強したらどうだ親不孝者が!!」


「父上! 幾ら何でも言い過ぎです!!」


 俺は理不尽にも実の父親から怒鳴られ兄と比較される事が悲しくなりポロポロと大粒の涙を流すも更に罵倒される。


「リーマお前は優しいな……だが見てみろ、この親不孝者は泣けば解決出来ると思い込んでおる!」


「あっ、キーマ!」


「ふんっ、放っておけ何の道飯抜きなのだからな!」


 場の雰囲気に耐えられなくなり俺は自室へと逃げる様に駆け出し床に敷かれている布切れの上で寝る事にした。


(何で俺ばっかり悪者扱いすんだよ、巫山戯んなよ! あんな奴、家族じゃねえ!! 父親なんかじゃねえ!! ぐすっ……うぅ……。)


 理不尽にも父親から攻められる毎日を過ごし、身体には見えない箇所にはドマからの虐待による暴力で出来た痣が無数に存在している事を兄は知らない。


 翌日、俺は父親を無視し足早に学校へと向かい自分の席に座る。

 朝早いせいか生徒は誰もまだ登校しておらず一人の空間が広がる、俺の腹の虫が鳴り静かな空間に響く。


「そういや昨日、何も食べてないや……。」


 空腹を紛らわす為、俺は机に突っ伏し睡眠を摂る事にしたが時間が過ぎるのは早いものであっという間に他の生徒が登校して来た。


「キーマ君、起きなさい授業始まってるわよ!」


「ん、あ……先生……おはよう御座います。」


「おはよう御座いますじゃないでしょ、お兄さんを見習ってちゃんと授業受けなさい。」


 どっと教室中に笑いが湧き上がる、別に俺は勉強が嫌いな訳じゃないが兄と比べられるのにはウンザリしていた。

 そして昼休みになった頃、クラスの小太りな男の子“ラモン”が俺に話しかけてきた。


「ようキーマ、最近噂になってる“廃屋敷の怪物”の話知ってるか?」


「知ってるけど、それが何だよ。」


「オレらで正体を突き止めようと思ってね。」


 ラモンに続き少し痩せ気味の男の子“レイザ”が話しかけてきた。


「ま、良いけど……暇だし。」

(帰っても地獄が待ってるだけだしな。)


「おっし決まりだな!」


「放課後に直行するぞ!」


 放課後、俺達は蔦が全体を覆い黴臭い刺激臭を放つ廃屋敷へと侵入していた。


「所々ヒビ入ってるし、物が壊れてるな。」


「何だよビビってんのか?」


「取り敢えずは、怪物の正体が何なのかを確かめないとな!」


「で、その怪物ってのは何なんだ?」


「聴いた話だと黒い靄みたいな奴だと。」


「何だよそれ、煤か何かと見間違えただけじゃないのか?」


 俺達三人は怪物について話し合いながら、古びた暖炉の近くまで来ると何かしらの異様な気配に立ち止まる。


「お、おい……なんか急に寒くなったな……。」


「さ、流石にヤバい雰囲気がジワジワ伝わって来るな……特に暖炉の方からか……これ? おいキーマどうした、おいってば!!」


 異様な気配のする暖炉の方へと不思議と俺の脚は自然と誘われ暖炉の暗闇から眼が離せなくなっていると黒い煤の様な物が徐々に人の形を成していき一気に巨大化すると俺の全身を包んでいく。


「「う、うわあああああ!!」」


 二人は突然の事に驚き俺を置いて逃げ出し、その間俺は誰かの苦しむ生前の姿を頭の中に流し込まれていたが何者かに背中を突き飛ばされ気絶してしまう。


「うっ……、ん……ここは……そうだ、屋敷の怪物の正体をあばこうとしてたんだ。」


 俺は憂鬱な気持ちで帰りたくもない道を歩み帰宅し、家の中から異様な気配を感じつつも玄関のドアを開くと、そこには黒い靄に覆われた兄が父親をナイフで刺していた。

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