小梅太夫2
アンドリウスは戦い続ける
「せんせいよんでくるけん!」
ドタドタ走って行った…
ここは一体どこなんだ、調べたいが体が動かない
焦点があってきた…胸はよれよれの包帯で何重にも固く結んであり左腕に点滴が刺さっている。首が痛い…枕が漫画を積んだ適当なものにされてるせいか。布団の黄ばみ方も凄い
なんだこの汚い空間は…いや俺はこの景色を知っているような…
シャーッ
眩しいっ!白熱灯が目に飛び込んできた。白衣を来た人…?サイズはあってそうなのにダボダボだ…近づけてきた顔は汚く生え散らかした髪に手垢だらけのサングラス
「おお起きたかね…うぅ」
「ダニロンゲ」
「汚言症も出てるし大丈夫そうかね…」
「ずいさんあ!ここはなんあ!に!なにがあったブチィ」
「おちついてね…ここは僕の住処だねうぅ君は倒れているところを僕の仲間に救われたわけだね」
「あのあとんあ!なにがあっんあ!」
「ryokiが能力粉塵爆発で大学ごと辺り一体を爆発して…もうあそこには何も残ってないってわけだねうぅ」
あの広大な土地を?一人の人間が?ありえない…そもそも能力はわからないはずじゃ?
「…障害者んあ!狩りですかブチィ」
「じゃっくくんから聞いたのかね?あきのりはライダーヘルメットを被ってゼロを名乗りテロリスト集団を率いている…」
ルルーシュに憧れてるって言ったって…
「こんなやりんあ!かた間違ってんあ!る!」
「ぼくもそう思うわなばっきし言って」
そうだ…障害者にだって人権は…
「でも世論はそうでもないみたいでね…」
「なんでですか!ブチィ」
「障害者は何をしでかすかわからないわけでね…税金も大量に使われていたし障害者なんかに脅えながら暮らす生活に耐えられなくなってたわけだ…」
「そこに英雄ゼロのテロ行為…声明に使ったニコ生のコミュフォロワーは世界から賞賛を得て君が寝てるたった3日の間に5億人に到達…テレビもトゥイッターも常にゼロの話題…街ではゼロコールの嵐ってわけだ…うぅ」
…何も言い返す言葉が見つからない…ryokiさん…こんな形で大手になって嬉しいのか…
「僕がryokiさんをんあ!止めなきゃんあ!」
「そんな体じゃどこにも行けないわな…また僕の仲間の世話になることになる…うぅ…どのみち外はryokiに感化された障害者狩りと国の機関で大荒れ…もう夜になるが夜間外出禁止令も出てるわけだね」
酷い…酷すぎる…夢も希望もないなんて前の世界で思ってしまったのが間違いだった…障害者でもただ生きていられるだけで幸せだったんだ…
「仲間…ってんあ?」
「僕がこの時を見越して集めていたメンバーだわな…100人いる。もちろん君の知り合いもいる」
「100人んあ!?そんなにどこにんあ!?」
「地球から人類が消えてしまった…残された人類は100人だけ」
こんな時に何を歌っているんだこのゴキブリじじいは…?いや歌っているのはさっきのナース服の女?
「そいつはんあ!?なんで歌ってブチィ」
「ああこいつは僕がモデルを書き作ったロボットアンチクロロベンゼンm子。水着着せ替えとジュポフェラ顔機能も付けてある」
もう障害者は滅んでも良いのかもしれない…
「100人…もしかしてブチィガイアの歌詞はんあ!」
「あぁ…あれはこの先を予言した歌詞でね…レンチンしたハムスターの遺言を纏めたものだね…うぅ」
「しりあんあ!いって?」
チック症のせいで1人も友達はいないはず…
「ああ君のよく知る人物もいるね…そして幹部だ…君の寝込みを襲われないよう別室で貼って貰ってたんだが…そろそろ入ってきてもらおうかね…」
ガチャ
足音が聞こえる…普通の家なのかこれ…確かに粘着リスナーの多い粉界隈に張り付かれながら未だに県さえ特定できない家…なにかあるのか…
「おおおつかれだわな」
腕がない顔のでかい男とデブのチビ…
「ア゛ン゛ド゛リ゛ウ゛ス゛く゛ん゛ひ゛さ゛し゛ぶ゛り゛」
「アン様!」
「ぽちぇんあ!ーなくんどりゃれんあ!いかくん!」
「ずいえき会議のメンバー揃い踏みだわな…」
懐かしい…あの時は一言も喋れず悔し思いをしたけど…今なら沢山話せる気がする
「2人は大丈夫だんあ!ったのブチィ」
「積もる話もあるだろうけどね…2人に入ってきてもらったのには理由がある。まずアンドリウスくんを動けるようにしなきゃね…」
言うとずいさんは押し入れから何かを引きずり出した。黒い板…鉄板か
「僕の能力の1つ鉄板料理だね…ここに盗んできた野菜がある…」
というと自然な手つきで料理を作り始めた…早い…これサラダか?汚い鉄板の上でやる意味あるのか?
「完成…べべこくんあーんしてあげてくれ…」
口に放り込まれる野菜の味…農家の顔が思い浮かぶ芳醇な大地の…いやこれ洗ってないだけだ…
「手が…動くんあ!」
「これが僕の能力だわな…鉄板で作った料理を食べさせることで新陳代謝を高めることが出来る…ただし一度死んだ人や器官は戻せない…ぽちぇーなくんの腕のようにね」
あるなら早く使えよ…いや気絶と死亡の判定は類似する?しかしすごい…執着するコンテンツの多いずいさんだ…まだ仲間になるとも言いきってない僕にあっさり晒してしまう余裕がある…一体あといくつ能力を持ってるんだ…
「動けるようになったところでね…君にはやってもらいたいことがある…」
サングラス越しにもわかる、ずいさんがマジだ
「あの日実はね…君以外にも回収したものがある。コロコロコロの死体」
電車でバラバラになったはずでは?そもそも全ての部位を回収されないと電車を動かすことが出来ないシステムのはず…
「んあ」
「言いたいことは分かる…だがあったんだわな…あの死は実はフェイク、全くの別人がたまたま同じ電車を止めてしまってたんだ…」
「でもありえなんあ!あの自己顕示欲の塊が配信外でブチィ」
「あの後精神病棟にぶち込まれた彼はネットを断たれたまま舌を切って死んでいる…」
それならそのまま葬儀されるはず…
「その後悲しいことに彼の家族が死体の引き取りを拒否してね…その死体はカマキリ爆弾が回収していたというわけだね…ちょうど彼が…脱粉した時だ。彼は知っていたんだよ、ryokiの本当の顔を。そして気づいたから…消されてしまったわけだね…うぅ」
僕が呑気にパチンコをうち格ゲーをしていた裏で何が起こっていたと言うんだ…いや世界線が変わった以上…こっちの僕も何もしてなさそうだ
「でもんあ!消されたということはんあ!ryokiの元にんあ!」
「まあそう思うわな、でも違った。カマキリ爆弾は最後に死体を隠すことに成功していた。」
かま様…健常者が故に…
「でもコロんあ!コロコロくんは手帳を持ってんあ!いなかったブチィ」
「大学で何を習っていたのかね…中卒の僕でも知ってるわな…障害と被差別要素で能力が変わってくる…中卒で精神3級クラスの鬱、デブだった彼には後天系とはいえ十分過ぎる素質があったわけだ…自死を選択し実行しようとした瞬間に…一級相当に跳ね上がった状態が残るって訳だばっきし言って」
「でも死体なんてあってんあ!もなにもでんあ!きない」
「能力による蘇生移植…いくらでも思いつくわな…うぅ…とにかく押し入れの上に放り込んであるから…」
ドーン
爆破音がした…天井に大きな穴が空いて…
「えー!見つからないって聞いてたんですケドー!何度転生してもすぐ見つけてくるキモ囲い使ったら一瞬で草!」
耳に粘りついてきて不快になる鼻声の黒人は…
「んあ!かれー。くん!もしかんあ!して君も」
「えー!僕こんな障害者しらなーい!96人処分してもう疲れてるから死体回収して早く帰りたーい!てかこの羽かっこいいでしょー?」
ずいさんの仲間はもう全員…?あまりにも早すぎる…
「僕ヴァンパイア!とりあえずーよいしょっと!」
華麗な着地だが、わざわざ両手を前傾に付き羽を交差させ見せつけている気持ち悪い
僕が理解出来ず呆気に取られている一瞬だった
着地の隙を狙いどりゃれいかとぽちぇーなが間合いを詰め…
「わ゛んつ゛ー」
不快なねっとり鼻声が聞こえた瞬間
バタバタ
「ぽちぇんあ!ーなくん!どりゃさまブチィ」
2人とも倒れている…明らかに息を…立ち上がらないと!寄って脈を!
「あははむだむだー!ほんとに人生グッバイしててウケるー!引きこもりにしか効かないからわんちゃんに賭けたけどさすがずいえきの友達!2人ともニートだったんだねぇw」
確かにぽちぇーなは通信高校卒…どりゃれいかも中学に途中から通わず引きこもってた…この世界の俺はまだ中退してないから…もししていたら…なぜずいさんが生きてる?もしかして働いていたのは本当?
「僕の能力は今まで歌った曲から力を引き出す!最初のはヴァンパイアで今のはグッバイ宣言!アンドリウスくんは取っておきの曲で葬ってあげるねーw」
ゆったりと近寄ってくる…左手に握っているスマホ…あれが愛着物か?あれを剥がせば…?
ガチャドタドタ
「あーしがずいえきに取り入って見つけたんよれんとくん!キモニートの相手疲れた!よしよししてー!」
しじみ目のチビブスが玄関から入ってきた…仲間か?挟まれた…
「だれだよこのブスー!ぼくおとこにしかきょうみないからー!」
一瞬で八つ裂きになった。肉片はしなりながらはち切れ血と臓物が飛び散って黄ばんだベットを赤く染める
「これは乙女解剖!1番再生されてるお気に入りの曲なんだよねー!」
「かれーくん…そのんあ!曲は僕のんあ!ものでもあるブチィ」
バラッ
汚い黒ずんだ体がバラバラになった…ホモであることで自分を強化していたようだが…それは乙女心だ。
「ぽちぇーなくんあ!どりんあ!れいかくん!」
2人とも息をしていない…脈を…ダメだ手が震えてまともに測れない…これは涙のせいなのか…運動チックなのか…
「うぅ…やっとでられたわな」
ずいえきが天井から落ちてきた瓦礫の下からゴキブリのように這い出てきた。巻き込まれていたのか
「仲間も全員いなくなってしまったわな…場所がバレてる以上ここももうダメだろうね…うぅ」
「ずいさんあ!これからどうすれブチィ」
「君を最後の力でryokiの元へ飛ばそうかね…僕の住所について色んな県で報告があったがあれは全部本当で家が動いてたんだわな…仲間を集めるために…うぅ」
「ずいんあ!さんもいっしょにんあ!」
「うぅ…僕は準備のために能力を使いすぎて体がボロボロで…」
白衣を脱ぎ黄ばんだシャツをたくしあげたずいさんの肉体は…もはや骨しかない…こんな体になるまで世界のために…
「もうさっき君の回復のために使っちゃったからね…僕の能力は一日1種類しか使えないわけだ…転移能力を無理に使ったら終わりだわなばっきし言って」
「ずいさん!ブチィ」
「粉アラートが聞こえるね…もう時間が無い…ryokiは東京電機大学の地下に根城を気付いている…僕の仲間が円をくぐり抜けマーカーを付けてくれてる…これがラストのチャンスだわな…世界は終わっちゃだべだ君が救ってくれ」
「んあ!」
「オワッティーボ」
一瞬だった様な無限だったような浮遊感から放たれて…目の前に…レッドカーペットを敷かれた階段と玉座。その上にマスクをした男が座っている
「お!アンドリウスくんじゃーん!モデレーター志望かな?そこ汚いからさ!座ってないでこっちにおいでよ!」
目の前の玉座から…声がした、この通りのいい高音は…
続く
バイク川崎バイク