#4 身勝手な奴が今更助けてと言われても誰も助けないよね
あらやっとといい加減な名前、はい、そうです。アラヤットですセンスねぇええ!!!次回は17時。
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「きゃぁああああああああ・・・・・誰かー!!・・・あ!!レージ様!!!」
アラヤットの街で農具の納めに来た俺の元に、長爪猿から助けた母親が俺に駆け寄る。
「大変です!!そのあの・・・商家の一団が野盗に襲われて・・その・・」
言葉は上手くしゃべれない様だった、しかし何となく察した。魔力感知を使い場所を特定する。指笛を鳴らす、角戦馬のフォルを呼びつけ咄嗟に飛び乗る。そのまま、霊峰を背に駆けつけていく。
そして村の出入り口で娘が俺に声を掛ける。
「レージさんあそこです!!!助けてあげて下さい!!」
「おうっ!!任せろ!!」
商家と言えばオマリーしか想像しなかったが、彼はスレイヤー村に前日から居る。なら、余所者か?フード数名と若い剣士らしい戦士二人が商家の台車を護衛していた。野党と言うのはどうやら、マント姿の面々だ、不気味な印象、そして妙に小奇麗だ。
連中に軽く牽制のマジックブラスターこちらに注意をひかせる。
・・・・・のつもりが顔面に鋭く激突。9歳の時よりより密度と練度を高め、基盤をさらに高めたその光弾は見事に貫通しラリアットを喰らったレスラーの如くひっくり返った。一人は思いっきり後頭部をぶつけ気絶し、マント姿の面々は呆気と狼狽。共々商家の連中もビビりまくっている。どうもフォルのデカさでビックリしたんだろう。
「なんだ!?あれは????」
「ひえっ・・・」
「ぎゃぁああああ!!!!」
ヒドイ・・・そう思った。商家の連中は突っ伏し、マント姿の連中は一目散に逃走する。一人、マントの後ろに妙な紋章が描いてある。何だアレ?と感じながらも、荷台を守った剣士二人に声を掛ける。二人の装備は軽鎧というには随分贅沢な代物を使っている。馬もフォルより一回り小さくほっそりとしている、本当の馬って言うのはこう言う生き物なんだと改めて再確認する。
「ご無事で?」
「貴方様は・・・まさかレージ様で?」
「はい・・自分がレージです。えぇっと・・・」
馬と共に荒く息しており二人は会話が出来ない様子。そんな中、商家の親父はどうやら剣士二人の仲介に立って受け答えをしてくれた。自分が野盗に追われていた所を、この流浪の剣士二人が守ってくれたと話してくれた。
そして、商家の親父はオマリーの仲介人だとルイーンだと自己紹介する。痩せのっぽの顎無しでビール腹はオマリーに似ていた。やや甲高い声が印象深い。
「アラヤットまで殿の護衛に付きます、剣士さん達も荷台に乗ってお休みください。」
初めてだった、外の人間と話すのは。しかし二人は余裕が無く。息を荒げた駿馬の二頭はトボトボついて歩き、剣士は荷台に乗っていた、他の使用人から労いを受けていた。
そんな彼らを余所目にルイーンが最後尾の荷台に乗って俺と話をしてくれた。
ルイーンはオマリーとは公私共々古い付き合いで、元は王都で指折りの商人ギルドで名を連ねた商売人だった。しかし15年前にある事が切っ掛けで干されてしまったらしい。
「え?」
思わず驚いた、オマリーの過去を知って声を上げ。ルイーンも「え?」と驚いている、その直後に「あっ」っていう顔になって。口をふさいだ、だが俺はそれ以上は追及する気はなかった。薄々感づいていた、皆なんか引き摺った過去が有るのだろう。
ふとそんな憂いに思い込んでいる内にアラヤットの街までたどり着く。
ふと思った、今日の午後は母の魔法の鍛錬の日だった。ルイーンに別れの挨拶をし、俺はフォルを走らせた。
ただ誰かに声を掛けられたようだが、厳しい母の顔を思い出すとおっかなくてどうしようもなかった。
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午後の鍛錬前に、母に話した。俺がルイーンっていう人と話をした事、そしてオマリーの過去を知ってしまった事。だがオマリーが干された理由は知らなかった事を。それらを母に話した。
「そう・・・よく話してくれたわ・・・」
そう言って抱きしめてくれた。嘘は言えなかった、知らない振りも出来なかったし、してもサークにバレる。サークのそれは心理学のそれだ。
スレイヤー村にはガラム・アージュ・サークの住居兼作業場の家が並んでおり、ラグナとエルフィそして俺の家。オマリー兼集会用の一軒の計五軒によって成立している寒村である。
その日はいつもと空気が重かった。午後の鍛錬の後、夕暮れ時に皆集まった、オマリーをはじめとし、顔つきがいつも以上に強張っていた。きっと切っ掛けは俺がルイーンと話した事だろう。
「どこから話せばいいものか・・・」
「ったくルイーンのおしゃべりが・・・」
父さんとガラムが皺を増やして毒突いた。母が沈痛な顔つき、サークは優しく俺に目配せした。よく話したと。
「私もルイーンと似て嘘はつけない所があるし・・・」
「ルイーンは悪気があっていったわけでは無いんですが・・・・申し訳ない。」
俺は一同の沈痛な顔つきに思わず、「話せる気になったら話してね?」なーんて軽く言える陽キャでいればいいんだが・・・が・・・ダメ!!無理!?そんなアホみたいなノリを出来るか!!
そうだ・・・要は切っ掛けだ!!!切っ掛けがあれば・・・ん?
父を始めオマリー以外の一同(俺を含む)面々は扉を睨む。
そこには胡乱な客人が訪れた。夜が来るというこの時期に?
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客人は丁重にノックするその後、名乗る。
「もし、家人の方いらっしゃいませんか・・・・?明かりのある家は此処しか無く・・・。」
若い女性だ。そんな声に一同お互いの顔を見る、首を傾げ、アージュと俺、母の魔力感知で扉の向こうには間違いなく女性二人だった。鎧の音は一人分・・・妙だな?
「どちら様?旅の方ならアラヤットの方まで行った方がよろしいですよ?下の街の方が・・・」
アージュがそう答える中、彼女が絶句する言葉を放った。
「私、ローレライ王の孫娘、ネイア・ローレライと申します。私目の目的はかつてこの世界を救い姿を消した勇者一行様にご嘆願の為、此処まで参りました・・・」
は?・・・・え・・・・?
「勇者一行」という言葉に俺は目が点になった、驚いたのは俺だけではない。
我が父ラグナも我が母エルフィも鉄仮面のサークも、皺顔のガラムは皺が桁一つ増やし、オマリーは顎を外していた、アーシュは完全に固まっている。
俺は皆の顔を見た、皆が皆お互いの顔を見ている光景が広がっている・・・何この空気。そして俺はビックリする、皆の怒号に新霊峰フューザーにこだまする。
「ローレライ王のまごむすめだあぁああああああああああ????????」
俺のビックリしたのは皆が世界を救った勇者一行っていう事だが、彼らにとってはどうでも良かったらしい。アーシュは殺気だった顔で扉開く。
「孫娘?あのド根暗面のクシャ牛豚オーガ面孫娘???はっ拝んでやろうじゃねーか!!」
ちょっと・・・アーシュさん?冷静になりましょう。って言っても無理そう・・・あ・・・ヤバイ・・・これガチでブレーキがぶっ壊れた、プ〇ウスだわ・・・。
次回は無理のありすぎな展開、強引だったかもしれない。でも後悔はしない!
次回は17時。ヨローシーク。