聖女(かのじょ)の性癖(ひみつ)ー2020年12月→帝国歴517年
「なろうラジオ大賞2」参加作品になります
あっ・・ダメっ、いやっ、そんなっ・・こんなところで・・み、みんな見てるのに
ああ、イヤ・・ダメっ・・堪えられない・・
◇
わたくし、篠原美由紀はある日の夜、『小説家になろう』のサイトで異世界転生の物語を読んでいたのです。
その時、突然画面が暗転し美しい女性が
「どうか聖女としてわたしの世界を大魔王の魔の手から勇者と共にお救いください」
と言うのです。
困っている人(この場合は女神さま?)を放って置くことなど、お祖母様に厳しく躾けられたわたくしには出来るはずもないのです。
即座にそのお話しをお受けし、転移することになりました。
◇
勇者召喚の魔法陣の中、勇者様や仲間の方々がひと塊になっているのが見えます。
わたくしは別の魔法陣の中に召喚されていました。魔法が違うのでしょうね。
わたくしには女神さまが鑑定の能力を授けて下さいまして、一際大きい方が勇者さまだと解ります。
わたくしは、なろうあるあるの少年勇者だと思い込んでいましてひどくガッカリしました。
あの喉仏の出ていないつるっとした首。
髭の無い顎。すべすべの頬。
曇りのない綺麗な眼。
わたくしには兄が二人いまして、一番下なので弟が欲しくて堪りませんでした。
今、目の前におられる勇者様御一行は、皆さんわたくしと同じ16歳なのにとても大人に見えます。
背も高く身体も大きく厚く、髭の剃り跡も青々としておりますので、わたくしの好みより遥かにかけ離れてございます。
少々、不安になっているところへ神官様らしいおじい様が勇者様と聖女であるわたくしの歓迎会を行うとのことで会場へ案内されるとのことです。
◇
歓迎の会場は100人が一度にダンスが出来るくらいの広さがあり、奥の方に一段高くなっているのです。
その中央によくアニメや中世時代の映画に出てくる玉座?のような椅子があります。
そこでわたくしたちは貴族や有力者の方々に紹介されていったのです。
その時、あろうことか冒頭のような声に出来ない喘ぎを口の中でするのでした。
ああっ、だめっ・・で、出ちゃう・・いやぁぁぁぁぁ!!
「くしゅん・・はくちっ・・ふしゅん・・」
「ははは、聖女さまは愛らしい容姿ばかりでなくくしゃみも可愛らしい」
「これが先代勇者様が言われた『萌え』ですか」
・・ショタ聖女・・
1000文字でオチまでつらいっすねw