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五話 佐藤さんの、戦闘訓練-初級講座

今回はかなり、ヒロインとの会話多めです!

「リーシャ。ここら辺に魔物はいるのか?」

 俺は念のため確認した。今魔物に勝てる自信はない。



「いないと思うわ。魔物の特徴は、獣より凶暴って事と、1匹でもいれば、周辺に複数いると思った方がいい。」リーシャは感知スキルで、周辺を確認しながら説明した。



「つまり、ここに来るまで獣に一回しか遭遇しなかったから魔物がいる可能性は低いって事か。」


「そうゆう事!よくできましたーっ!」

 リーシャは何故か、急にお姉さんぶり始めた――俺、おっさんだからなほんとは……



「子供扱いするなよ。次はうまくやってやるさ!」

 にしても、こんなに獣とか魔物に遭遇しないものなのか。地域性なのかな。


「まだ獣は見つからないのか?」

 佐藤さんは、段々焦れてきた。良いとこを見せたくてしょうがないらしい。



「焦ったって、出てこないわよ。でも、確かにこんなに少ないのは妙ね。2日歩き回って遭遇したのが一回だけってゆうのはちょっと異常かな。」


 リーシャは、先程からずっと地面に手を当てている。感知スキルは、地面に触れていると精度が増すようだ。



 ん?よく考えたら、今1番試したい事はリーシャのフレアバーストを無効化したように、魔法を無効化できるかだ。なら、リーシャに魔法を打ってもらえばいいじゃないかっ!


 なんで今まで気付かなかったのか、こんな単純な事に……



「リーシャ、俺に魔法を打ってくれ!――あ、弱めの……」

 強く言い放ったのに、その後モジモジしながら言葉を付け足した――



「いいの!??ほんと!?」

 リーシャの目がうるうると輝いている……これはいかん!急にサディスティックになるのはやめてくれ――



「いや、弱いやつな?弱いやつやからな?なんか、ペシッくらいのやつがいいです、はい。」

 分かりやすく、身振り手振りを添えた。


「なんだまたフレアバースト打たせてくれるのかと思っちゃった……」

 リーシャさん、本気でがっかりしてるから、怖い。



「あんなん打ったら森吹き飛ぶわ!」

 って言いそうになったが、じゃあ荒野でとか言いそうだからやめとこう……


「リーシャさんなんか弱めの魔法お願いしますー……」

佐藤さんは、胡散臭い商人のように、手をすりすり擦りながらお願いした。




「しょうがないなー。アイススタックとブリザードだったらどっちがいい?」

リーシャは、満面の笑みで返す。



「え?どっち??って、あの質問の意味が……あの弱いやつ……あのリーシャ様本当に防げるか分からないから勘弁して下さい。」

 佐藤さんは、最悪土下座しようなどと考えていた。なかなかに情けないのである。



「はあ、じゃあ、アイスジャベリン、これ一番弱いから。」


 え?なんかテンション下がりすぎなんですけど、めっちゃ真顔怖いんですけどー!!


 しかもさっきの二択に一番弱いやつ入ってないじゃん!前話の終わりで、殺る気満々だったのってこっち!?俺、殺ろうとしてるよね、これ!


「はい、アイスジャベリンいきまーす。」

 リーシャは即魔法を発動させた……


「え、心の準備が――」

 槍の様に尖った氷が、太ももをかすめた。


「ゔっ!」

 太ももから、鮮血が飛び散った。すると、リーシャがすぐにキュアを唱えた。あっとゆう間に傷が消えた。


 回復魔法まで使えるのか!?これじゃ、チートじゃねぇかっ――



「ごめん、私もてっきり効かないもんだと思ってたから、テヘッ」

 リーシャは、悪びれる様子もなく中身のない謝罪をした。


(全く謝られてる気がしないぞ、おかしいな、俺ほんとは年上だからな!俺リーシャのめちゃくちゃ先輩だからな!)



 だが、今ダメージ受けた事によって魔力防御が高い線は、儚く消え去った。なんであの時フレアバーストを防げたんだ……たまたま運が良かったとでも言うのか……



「一つだけ思い当たらなくもないよ?私も詳しくはないんだけど――」

 リーシャは、顔を動かさずに空を見ながら、記憶を精一杯思い返している。


「古代精霊魔法って文献で見たことがあるんだけど、精霊を呼び出して攻撃、精霊を体に纏って肉体を強化、武器に精霊を付与させたりするんだって。」



 リーシャは、髪を指でくるくる回している。考えてる時のクセだろうか……



「でも、もう四百年以上、使える人が現れてないって、その文献も古そうだったからもっとかも。」



「そこで!私のこれかもって思ったポイント!」

 ついに、リーシャは両手でクルクルし出した、腕疲れないのかな……



「一、神様に貰った力。」



「二、土の中に丸々体が埋まっていたために大地の加護を受けれたのではないか。」



「三、状況とさっきの魔法の実験を考慮するとそれくらいしか私は知らない。」



「四、素質があっても簡単に使いこなせるものではないから、一度しか発動しなくても当然と言える!」



「どーうよっ!私の観察眼と知識!崇めたまへー!」

 ドヤ顔、仁王立ちである。


 なんだこいつ、可愛い……それに確かに辻褄が合うし、可能性もなくはなさそうだ。もっさんもそんな弱いものではない的な事言ってたしな。


「リーシャさん、お主もなかなかやるのぉー!」

 佐藤さんは、ちょっと乗っかってみた。


「えへへっ」

 リーシャは、頬を赤くして笑った。


 なんなんだ、可愛すぎるぞ、デレか?デレなのか?これ。デレきてるん?これ。


リーシャは、佐藤がいい気分になっている所を打ち落とすべく、非常に難解な問題点を挙げた。


「でも、仮に、サトーがその素質があったとして。仮に能力の使い方を知ったとしても、そう簡単に扱える代物ではないみたいよ。」

 口角が上がっているが、目が笑っていない。


「さっき言った四百年の間に素質のある者は何人かいたみたいだけど、みんなほとんど使う事ができなかったって。こんなところかなー。文献に載ってたのは。」



 リーシャの狙い通り、佐藤さんは若干テンションが下がっております。

「なるほど……やっぱり、俺つぇぇできないんだ。」



「おれつえ?」リーシャはクエスチョンマークを頭の上に浮かべている。ところどころ、通じない言葉があるようだ。



「あ、気にしないで、何でもない。」

 佐藤さんは、ややこしいのでサラッと流した。


「うん、こればっかりは、旅しながら聞いて回るしかないかもねー?もっと詳しい文献があればいいのだけれど。」

 リーシャは、また髪を指でクルクルしている。間違いないこれは考える時のクセだな。



とゆうか、本当にモンスターがいないなこの辺りは……ここに来てから2時間くらいは経ってそうだが。



「リーシャ、もう一度感知スキル頼んでもいいか?」

 すると、リーシャはしゃがんで地面に手を当てた。




 それから、二十秒ほど沈黙が続き――

「なんかいる、けどなんだろこれ。私が知らない獣かも。1匹だけみたいだけど。やけに動きが遅いし、でかいサイズではなさそうかな。」


 リーシャは、立ち上がり茂みをかき分けながら森の奥に進む。佐藤さんもそれに続いた。


「しっ!葉の音がする。」

 リーシャが腰を落としたのでそれに倣った。約十五メートル先に何かいる……なんだあれ、カニ……超巨大蟹ってとこか?膝くらいの高さがある――



「なぁ、リーシャ。ここら辺の獣が全然いないのってあいつのせいじゃないか?ハサミの付近だけ妙に赤黒い。」



「え?ハサミって何?あの腕?」

 リーシャはハサミを知らない。

 佐藤さんは、不便に感じ、ちょっとだけ面倒な顔をした。

 


「そう、あの腕。付いてるの血じゃないか?、あのハサ……腕はやばそう。物理攻撃はあんまり効かない気がするよ。殻が硬そう。」

 言うまでもなく、佐藤さんはかけらも勝てる気がしない。逃げ出したいくらいである。



「私がやってみていい?」

 リーシャが言った。



「やるなら一撃でやらないと危険だな。あいつたぶん動き速いよ。元の世界で似た生き物、見た事あるんだ。」



「動けなくしちゃえば関係ないよ。少し狙いやすい場所に移動するね。そこで待ってて。」

 リーシャは、足跡も立てずに姿を消した。

 佐藤さんは、リーシャが強すぎる事にちょっと切なさを覚えた。


 なんだか、急に寒くなった気が――あれ……目の前、巨大蟹の辺りが真っ白に包まれている。氷魔法か。と思ったら、今度は、無数の炎が地面に向かって突き刺さっている。どうやら仕留めたらしい、リーシャの呼ぶ声が聞こえる。



 体を凍らせられた巨大蟹は上から貫かれてドス黒い穴がいくつもできている。改めて、弓に魔法、回復までこなすリーシャが強すぎて複雑な気分の佐藤さんである。


 動き出さないか少し怖いが、運びやすい様に少しバラして袋に詰める作業を開始する。

 腕の根本めがけて全力で剣を振り下ろす!「サクッ」いい音がした。ちょっとこれは気持ちいいかも知れない。



 だが、これだけ獣がいないとなると、ここらにはまだこんなのが沢山いるのかもしれないな――



 時間もいい頃合いなので、二人は蟹っぽい何かを持って帰路についた。





 すぐに素材屋に持っていったのだが、しばらく待たされている。鑑定しているようだが。



 どのくらい待つのだろう。十分は待っている気がする――ようやく、お店の人が出てきた。リーシャはお金を確認して顔が緩んだり、周辺を警戒したりしている。



お店を少し離れたところで、リーシャが小声で俺の耳にコッソリ呟いた。


「金貨十五枚。こんなに持つの怖いよ、どうしよ。」




 佐藤さんには、その感覚がいまいち分からない。大金なのだろうが、金貨十五枚とは周りを警戒するほどの大金なのだろうか。




 海外旅行の事を思い出し、リーシャに提案する。

「二人で分けて持って更に、小分けにして持てば全部なくなるなんてことはないと思うよ。」



「たまには役にたつね!」

 


 にっかりと笑いながら「バシッ」と軽く肩を叩かれた。このままではどんどん肩身が狭くなっていく……な、なんとかしないと――



 二人は、質素な食事を済ませ宿に戻る。

 何故質素な食事かとゆうと、想像できるかとは思うが、この村にそんな豪勢なものはないようだ。



 あれだけの金貨を渡されたのも、びっくりするくらいだ。



 部屋に戻った二人は、思い思いにベッドに転がる。靴は履いたままだ。佐藤さんは、靴を脱ぎたくなったが、今はリーシャに倣っておこうと我慢した。






 少し沈黙が続いた後、目が合った。リーシャは目を逸らさない。佐藤さんは、耐えきれず先に逸らす。


 にしても、この宿屋は本当にベッドしかない。他に何もない……これで一人銅貨三枚……高いんじゃないのか、これ。

などと考えていたら、リーシャが口を開いた。




「サトーは、元の世界に家族はいた?」

 リーシャは、自分の腕を枕にしながらこっちを見ている。


「ああ、いたよ。」



「いいなー!私の思い出せる記憶では一人ぼっちだったから、家族の顔も知らないんだ。勿論、その後家族のように接してくれた人たちはいたんだけどね。」


 リーシャは、天井を見たり、横を向いたりゴロゴロと楽しそうだ。





「そうだな。まずは色んなとこに行ってみよう。きっかけがあれば記憶が戻るかも知れないしな!」


 決めた。どうせやる事もないんだ。まずはリーシャの記憶を取り戻す!助けてもらった恩返さねーとな。




ここまで読んで頂きありがとうございます。作法、誤字等ありましたら是非教えて下さい。読者を惹きつける作品にできるよう努力しますので、次もよろしくお願いします!

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