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十一話 神速一刀

 沢山の人に読んで頂けますように!!


 評価して頂けると励みになります!!


 率直な感想もお待ちしております!

 今、佐藤さんは防具を身につけていない。街中で着るカジュアルな男性者の服だ。元の世界のような繊細で細かい網目ではない、少し凹凸がある質感である。



 これは、あのままでは恥ずかしいからとペトラにもらった物であるが、今の今まで防具の事をすっかり忘れていた。今着ている物の着心地が良いせいかも知れない。



「リーシャ、忘れてたんだけど、防具……買いたいなっ」

 佐藤は少し可愛いこぶっておねだりをする。





「…………そうね。私も忘れてたわ。買いに行こ?」

 何かを言いたげな顔をしたが、どうやら我慢を覚えたらしい。


「確か街の中心部に露店が並んでるってペトラが言ってたからそこに行ってみようよ。」

 リーシャは続けて喋る。

 街の中心部は、剣術場から更に奥に行ったところである。門からだと徒歩で約三十分と言ったところか。





「サトーは、どんな防具を身に付けようと思ってるの?」


「うーん、それなっ!」

 ……ウィンクしてみせた。



「なんかムカつくわね。」

 おそらく、ほとんどの者が同じ事を思うだろう。






「うーん、そもそも俺剣士なのか?正直何買ったらいいのか分かんないんだー。」

 佐藤さんは、別に気にしてない様子で説明した。慣れとは怖いものだ。



「確かに現時点では何とも言えないかも、とりあえず軽装でいいんじゃないかな?重装はいい値段するし。」


「あんまり高いのはダメだけど、武器も新調してもいいよ?流石にその短剣では心細いでしょ?」



 なんだか、リーシャがやけに優しいような……いや、非常に喜ばしい事だが、何か裏があったりしないだろうな……佐藤さんは、変な勘ぐりをいれる。


「リーシャ、今日やけに優しいね?なんかいい事あった?」




「え?別に何も。だって武器と防具あのままは無理でしょ?今時、あんな装備で外に出る人いないわよ。」


 あぁ、そんなにですか……ペトラにも恥ずかしいからまずは着替えてって言われてたもんな……




 気づけば二人は、露店の通りに出ていた。

「おー、何だか祭りみたいで楽しそうだな!」

 装備品だけでなく、食材を売っている露店や、屋台のようなものも見える。




「ほんとね!私も何か良いものが見つけられると良いんだけど!」

 やはり、何だか機嫌が良さそうに見える。当たり前と言えば当たり前なんだが、機嫌が良い時はすごく可愛いのだ。




「ねぇ、あれ占いじゃないかしら?水晶玉を持ってるおばあさん!」

 この世界でも、女子は占いが好きなようだ。


 佐藤さんは、あまり興味がない様子で答えた。


「あー、占い?そうかもね?」

 とりあえず防具を売っている場所がないか周りを見ていたら、リーシャに腕を引っ張られ無理矢理占い師のとこに連れてこられた。




「おばあさん!占って欲しいの!いくら!?」


 あー、どうせ適当な事言ってぼられるだけなのになー ――佐藤さんは心の中で思った。


「銅貨五枚!」

 ん?銅貨五枚って安いの?なんか高い気がするんだけど……



「んー、いいわ!」

 リーシャは、あっさり払った。


 んー、そんなもんなのか?未だにこの世界の金銭感覚に馴染めないな。


 でも、ちょっとリーシャ悩んだよな、ほんの少し間あったもんな、やっぱ高いんじゃないかこれ。てか、ばあさん。すごいダミ声でなんか胡散臭いんだよなー……




 一人で自問自答してるうちに占いが始まっているようだ。



「うぅぅぅーん」

 おばあさんは、水晶玉を目を細めて睨んでいるように見える。



「――ふむ、近い将来探し人に出会えるのぉ!」


「近い将来っていつくらいなの?」

 佐藤さんは食い気味で質問した。



「そうじゃのぉ、一年後か二年後か、はたまた五年後かそれは分からんのぉ。」



 めちゃくちゃアバウトじゃねぇか。リーシャさん騙されてますって、これ、絶対。


「ふーん、数年の内にって事ねっ!」

「そんな感じじゃっ!」



 えぇ、なんかすごい都合のいい解釈しちゃったよリーシャさん!俺が言ったら絶対信じないのに、なんでこんな胡散臭いばあさん信じるんだ!


 そんな感じとか、更に曖昧な返事してる事に気づいてっ!!





「――お主も占ってやろうか?」

「いえ、結構です。」


「なんじゃぁ!結構当たるってここらじゃ有名なんじゃよ?あたしわ!」



「あ、いや、ですから、結構です。」

 更に食い気味で答える。




「いいじゃない?占って貰えば?それとも悪い結果を言われるのが怖いのかしら?」


「そうじゃのぉ!きっとそうじゃ!顔に書いてあるわいっ!」



 なんだこのばばあ――くっそリーシャさえいなけりゃこんなインチキ占い師相手にしないのにっ……本当にビビってるとか思われるのも釈だしな……




「はぁ……分かったよ。いつでもどうぞ。」

 佐藤さんは、足掻くのをやめた。




「ふぅぅぅーーんんんっ!んんっ!」

 チラッとリーシャを見ると、すごく楽しそうな表情で婆さんを見守っている。まぁ、リーシャが楽しいならいいか――この銅貨五枚でリーシャの笑顔買った事にしとこう。



「ぬぁぁぁぁぁぁーーーー!!んんっ!」

 この気合いをこめるみたいなやつ……先程より長い。




「…………」

 婆さんは、片眉だけつり上げて水晶玉を無言で見つめている。



 え、演技くせぇな……さっきよりも明らかにオーバーな振る舞いが演技くせぇ……





「お主の未来は、歪んでおってよく見えんっ!!」

 婆さんは、開き直ってるのか分からんが、清々しいくらい堂々と言い切った。




「顔かしら?」

 リーシャが佐藤さんの顔を下から覗き込んできた。



「いや、リーシャさん。聞いてた?未来って言ってたよね?え?何?俺の顔が歪んでるって言いたいの?ねぇ?」



 佐藤さんは、笑顔を引きつらせながらツッコミを入れる。いや、本当に歪んでるのかと不安そうな雰囲気も伺える。


 ちなみに、歪むとゆう言葉だが、これを顔に当てはめると「不細工」を言い換えた言葉として受けとれる。敢えて説明しておく。


 流石にこれは酷い、佐藤からすれば最早、いじめの領域である。




「冗談に決まってるでしょ?割と好きよ?サトーの顔。」

 サトーの耳が急に赤くなった。


 佐藤さんは、さっきの不安は一瞬で吹き飛んだように見えるが、飴と鞭を器用に使い分ける者ほど恐ろしいという事に気付いているのだろうか。




「おばあさん、ありがとう!またねっ!」

 そう言いながら、また銅貨五枚を支払った。


 合わせて銀貨一枚じゃないか、とんでもない無駄遣いじゃんっ!

 佐藤さんは、ちょっと不満そうな表情だ。





「なんか、占い当たってる気がするなー?」

 リーシャは、露店をチラチラと見ながら人混みの中を進んでいく。




「いや、分からんに当たるも何もないだろっ。」

 佐藤さんは、インチキであると信じて疑わない。断固たる意志を感じる。普段から抜けた雰囲気を漂わせているが、頑固な一面もあるようだ。



「だって、サトー普通じゃないし、逆に信用できるみたいな?まぁ、分かんないけどさ。」





 防具屋を見つけた。露店ではなく、お店だ。

 露店の隙間を縫って、お店に入っていく。



 スタムの村で見た防具屋とはまるで違う。部屋の壁は、ムラがあるものの白く塗装され、飾られた防具が綺麗に見える。種類も量もそれなりにありそうだ。



 飾られている物は高そうな雰囲気がするが、木箱に無造作に入れられている防具がある。ここから探してみるか。


 リーシャと佐藤さんは、それぞれに物色を始める。


 リーシャが、すぐに防具一式を抱えて、サトーの横にしゃがみ込んだ。



「こんなのどう?」

 リーシャが見えやすい様に持ってきた防具を広げて見せた。



 結構いいかも……見た目はかっこいいし、動きにくくならない様に関節付近には、金属製の物が使われておらず、重ね合ってカチャカチャ音が鳴ることも無さそうだ。


 ベースの生地は深茶色の皮だ。皮だが分厚くてしっかりしてる感じがする。繋ぎもしっかりしている。




「気に入ったっ!いくらだろうこれっ」

 ちなみに、この中に頭装備は入ってない。頭は好みでかなり分かれるので省いたようだ。




 ふくよかな体型の女性が、首を伸ばすようにしてカウンターから声を掛けてきた。

「それだったら全部で、銀貨九枚だねっ!」

 やはり防具はそれなりの値段がするようだ。リーシャの事だからこれでも安めのを選んだのだろうが。



「もう少しだけ!少しだけ安くならないかしらっ?」

 リーシャは、顔をくしゃっとさせて体の前で両手を合わせた。




「んー、しょうがないねぇ!銀貨八枚と銅貨六枚!」

 しょうがないと言いながらも、かなり刻んでる気がするのは俺だけだろうか……




「もう一声っ!」

 今度は、満面の笑みだ。くっ!俺が店主ならタダにしてやるのにっ!


 佐藤は自分の防具の値切りだとゆう事を忘れ、リーシャの顔ばかり見ていた。





 頬がぷっくらと膨らんだ優しそうな風貌の女性も笑顔になった。

「銀貨八枚!これ以上は無理だよっ!これで決めてくんなお嬢ちゃん!」




「おばさん、ありがとうっ!」

「ありがとうございます!」

 佐藤さんも、感謝を伝えた。


 その場ですぐに着て寸法が合っているか動かしにくいとこがないか確認し、お金を払った。




「可愛い子だねぇー!あんた大事にしてあげなさいよっ!こんな子そうそういないわよっ!」



 おばさんは、大きな勘違いをしているが、佐藤さんは、それに気づいていないのか、気付いていないフリをしているのか分からないが、啖呵をきった。

「必ず守って見せますよっ!」




「ほら!さっさと武器も見にいくわよっ!」

 リーシャは、顔隠す様に俯きながら早足で外に出る。



 外に出てすぐ、道の反対側に武器屋がある事に気づき真っ直ぐ横断した。




 武器屋は、壁に塗装などはされていないが材木がいい味を出していてシックな雰囲気を漂わせている。飾られている武器からは、重厚感が感じられる。



 佐藤さんは何を使うか考えたが、やはり剣がまだマシな気がする。他の武器ではまともに扱える気がしない。




 佐藤は日本人であるから、やっぱり刀がいいと考えたがぱっと見、そのような物は一本も見当たらない。存在しないのだろうか。少し、寂しげな表情になった。




 劇的に身体能力が向上したため、短剣では些か軽すぎるが、両手持ちの大剣はなんか違う気がする。やはり、刀の形状に一番近いロングソードにしよう――と言っても、細くはない、十センチくらいの幅はある。


 鉄の鈍い光がなんとも良い。


 佐藤さんは、武器を手に持ちリーシャに目で確認をとった。問題なさそうだ。筋肉質な若いにいちゃんがいるカウンターに近づく。


 と、目の前の顔立ちのいいにいちゃんと視線を合わせたまま足が止まる。


 刀……作ってもらう事はできないんだろうか……当然、お金も時間も相当かかるだろうから、すぐには無理だろうが作れるんじゃないか?……




「これを買う前に一つ聞きたいんだが、オーダーメイドで剣を作る事は出来るのかな?ちょっと変わった形状かもしれないんだけど。」


「ごめんよ、うちは買いつけてるだけで作ってないんだ。鍛冶屋を紹介しようか?その剣がそこで作れるかは分からないけど。」


「おー、助かるよ!この剣はいくらかな?」




「金貨一枚と銀貨二枚だね!」



「少しやす…」

「ごめん!うち買い付け専門だから利益が少なくてね、これでも目一杯値下げしてるんだ!勘弁してくれ!」



 目の前の男は、日常的にその言葉を言っているのだろうが、余りに食い気味で断られたため、佐藤さんの心に何かがグサリと刺さった。



「あ、あぁ、そうか、それで大丈夫。頼むよ。」

 得をするのは、いつの世も可愛い女性だけか。と、拗ね……いや、落ち込んでいる。



 リーシャもハッキリと理由を言われた後では、流石に値下げ交渉には踏み切れないのか、動こうとしない。


 定価通りの代金を払い、鍛冶屋の場所を聞いてそそくさと店を出た。




 鍛冶屋は、門前の広場から東に進むとあるらしい。どのくらいかは聞かなかったが、そう遠くない距離だろうと、佐藤さんは勝手に解釈する。




「何か作りたい剣があるの?でも、オーダーメイドって多分すっごく高いわよ?今は流石にそんなに余裕ないよ。」



「ああ、そうだよな、今度聞くだけ聞きに行ってみるよ。作れるかも分かんないし。」




「そんなに難しい形状?」

 リーシャは、「サトーがこの世界にはない」みたいな言い方をした様に感じて興味を示したようだ。



「形はそんなでもないかもだけど、作り方が違うかも知れない。俺もそこまでの知識はないんだけど。後で地面に絵を描いてやるよ。」




 二人は、露店で日持ちのする野菜などを買い足しながら家の方向に向かう。


 今日はリーシャが何か作ってくれるのだろうかと、胸をときめかせた。家で買った食料を置いてすぐ、門に向かった。





 門に辿り着き、外に出たいと頼んだのだが……



「今、ここから西側を巡回している隊が戻ってきてな、魔物の群れがこちらの方角に進行してきているらしい。」



「何体くらいの群れでしょうか?」

 リーシャが言った。




「約五十と聞いたが、君たちは二人で外に出る気なら控えた方が良いのではないか?」




 流石に五十の数に二人は、自殺志願者としか言いようがない。




 だが、リーシャは頭の中で、サトーなら何とかなるのではないか?むしろそれぐらいでなければ歯応えがないかも知れない。などと、無責任な事を考えていた。




 少し、兵士から離れてサトーに小声で話す。



「やってみたら?今のあなたなら割と簡単かも?」


「ご、五十だぞっ、無理だろっ」

 普通の神経ならそうだ、これでやる気になる奴は薬物中毒に違いない。



 しかし、立った一回の踏み込みしか見てないとはいえ、それが常人のものではない事は、その場にいた者はハッキリと

理解できたであろう。


 本人は、まだ自分が強くなった実感が湧かないようだが、リーシャは実戦をさせるのが一番手っ取り早いと考えた。




「大丈夫よ、いざとなったら私も援護するし、回復もする、距離はあけさせてもらうけど。今のあなたなら、私が何もしなくても終わるわよ。」

 リーシャからは、ふざけている様子は感じとれない、本気で言っているように見えた。




「五十はいきなり過ぎない?」

 佐藤さんは、獣三体相手に大怪我をさせられた事を思い出すと、どうしても戦える気がしない。自信がない。



 要するに、完全にビビっているのだ。自分があり得ないほど強くなったと頭のすみでは理解しながらも。



 トラウマに近いものを感じている相手より、数も桁違いに多く、強いのであるから当然の反応だが、リーシャはだからこそと考える。ショック療法のような考え方だ。




「いきなりじゃない、ちょうどいいわよ。そんなに私が信じられないかしら?もし危険だと思ったら、必ずあなたを助けてにげるわ。」


 これ以上ごねたらリーシャが怒り出しそうな気がして、覚悟は決まっていないが、「分かった。」と一言返事をした。





 兵士になるべく危険な事は避けると説明して門を開けてもらった。サトーが今感じているのは、緊張ではない。恐怖だ。



 勿論、リーシャを心から信用している。

 が、そこまで単純な思考の持ち主ではない、意外と繊細な方だ。




 動きを止めると膝が震える。リーシャに見られないように止まらずゆっくりと歩く。




 西から魔物の群れとは聞いたが、今、どこらへんなのか正確な場所も分からないので、リーシャは見逃さないように感知スキルに集中して、ゆっくりと歩を進める。





 ここから先は、草の短い草原が広がっていて見渡しがいい。ただ、平地とゆう訳でもないので、余り奥までは見えない。


 緩い登りになったり、下りになったりしている。






 十分程歩いたか――リーシャが発見したようなのだが、だいぶ南に逸れているらしい。




 二人は少し戻りつつ早足で南下し始めた。国境の門に向かうイメージで進む。




 日差しが暑く、少し汗ばむ。だが、少し動いたからか膝の震えが治まった気がする。動きを止めたくはないが。先程よりはリラックスできているとサトーは感じていた。





 すると、魔物の群れが視界に入った。まだかなり距離があるが、リーシャが弓を構えた。こちらにお引き寄せるつもりだろう。





 佐藤は、額の汗を手で拭いながら一人で進み続ける。放った弓は届きはしなかったが、数回打ち込むと群れがこっちに方向を変えた。




 この行為は、褒められた行為ではない。背には街があるからだ。魔物の数は五十――あの村の脅威になる数ではないが、これを見られれば、何かを企んでいるなどと思われても仕方がないだろう。


 たが、リーシャはそれ程の自信があった。サトーが、魔物を糸もたやすく屠る事ができると確信しているのだ。





 魔物の群れは、サトーに気付き、速度をグッと上げた。背中に嫌な汗を感じながら、それでも前に進む。




 リーシャは一定の距離を保ったまま全身している。百メートルは離れている。佐藤は思ったよりも遠く感じて少し不安が増した。




 魔物の姿は、色んな種が集まっているのかと思ったが、全て同一種の群れだ。顔は狼のようだが、かなりデカそうだ、腰の高さくらいはあるんじゃないか。




 サトーは、魔物に向かって走り出した。もう数秒と経たぬうちに群れに交わるだろう。



 魔物の目は充血して血走っている。目玉が少し突出してるようにも見える。やはり、かなり大きい、これ熊並だぞ……


 だが、今更後戻りはできない。走りながら歯を食いしばった。




 サトーは剣術場の事を思い出しながら、全力でつま先に力を込めて、溜めた力を爆発させるように飛び込んだ!




 余りのスピードに驚いたが、これは二度目である、動揺はない。



 五メートル以上あるのではないか――という距離を一瞬で詰め、そのままの勢いで剣をなぎ払った。





 すると、前方の群れが吹き飛び、群れの隊形がぐちゃぐちゃに崩れた。まるで衝撃波でも飛んでいるかのように。これは、ほんの一瞬の出来事である。




 サトーは、自分の力を実感したのか、表情に恐れは見えなくなっていた。





 魔物は少したじろいだが、サトーを囲むようにして再び襲いかかる。すると、サトーは何を思ったのか剣を鞘にしまい腰を低く下げ、構えた。




 居合いを試すつもりのようだ。今の身体能力ならできるだろうが、この剣は刀ではないため、居合い切りと呼べるようなものでは無いかもしれない。





 タイミングを計らい、サトーは、力ではなく、ただ速く、速く切り込む事だけをイメージして、剣を振るった。






 リーシャは、遠くからそれを眺めていた。少しも見逃さぬよう、瞬きをするまいと、目を凝らしていた。





 が、サトーに動く様子が無いうちに――




 襲い掛かった魔物が、まるで勝手に絶命するかのように、地べたに這いつくばった。






 リーシャには、そう見えたのだ。いや、見えなかったと言うべきか。




 リーシャも凡人ではない、戦闘能力、身体能力共に相当優れていると言える。


 距離のせいもあるかもしれないが、優れた動体視力を持ちながらも、「攻撃」の認識ではなく、「動作」それ自体の認識ができなかったのだ。






 佐藤は、後にこの居合い切りに名を付けた。


「神速一刀」と。


 

 ここまで読んで頂きありがとうございます!


 ここから、佐藤さんの俺つぇぇー!!が始まるのでしょうか......


 うまく行けばいいのですが......



 読者を惹きつけられる作品にできるよう努力していきますので、是非!次もよろしくお願いします!

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