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続:乙女 転生の加護を受けただけです!  作者: 浦 かすみ
スパイシー編

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私が召喚するの?

乙女の召喚に巻き込まれただけです!の続編です


本作の主人公はヒルデ=ナンシレータ(恩田香澄)です。

よろしくお願いいたします。


皆様こんにちは


生前日本人、職業:教師の恩田 香澄(おんだかすみ)と申します。今はヒルデ=ナンシレータと申します。


何と私、異世界転生という状態でこの世界に生まれまして、前世の記憶を持ったまま18才になりました。


この世界の生活で色々と紆余曲折ありましたが、今はナジャガル皇国の軍に籍を置きまして両親共々、日々元気に過ごしています。


そして今


ナジャガル皇国の皇宮内の私室で私と同じ日本人の異世界転移者の鷹宮 葵(たかみやあおい)さん、現ナジャガル皇国皇太子妃と、ナジャガル皇国皇太子殿下、ナッシュルアン=ゾーデ=ナジャガル殿下が睨み合っている最中です。


「いい加減にしてよ」


「あぅ~」


「どうしてナッシュ様までついて来るんですか?」


「ばあぅ~う…」


ナッシュルアン皇太子殿下の御子のヴィヴィアンナ皇女殿下が絶妙の合いの手を入れて葵さんと旦那様のナッシュ殿下の会話を遮る。


葵さんがサッと表情を変えてヴィヴィアンナ様を抱き抱えられた。


「ヴィヴィ~どうしたの?ぐずってるのかな~」


葵さんの腕の中で綺麗な菫色の瞳の黒髪の皇女殿下は楽しそうに笑い声をあげている。


「なんだよ~私だって付いて行きたい」


ナッシュ殿下がヴィヴィアンナ皇女の方を向いている葵さんの正面に回り込んだ。葵さんは目を鋭くしてナッシュ殿下を見た。


「ガレッシュ様は道案内で絶対必要ですが、ナッシュ様は別にお留守番でも問題ないでしょう!ねえ?カスミン」


葵さん?!どうして私にふるのぉ…答えにくい。


ナッシュ殿下から、自分に味方しろよ~みたいな懇願?のような魔質が迫ってくるし…。困ってしまって横に立つルル様、ルル=クラウティカ大尉を仰ぎ見た。


私の視線に気が付いたルル様は私を見てほんの少し眉を動かすと、一歩前へ出た。


今の表情は「任せとけ」だね。最近ルル様の表情を読み取ることが出来るようになってきたなっ、うん。


「ガレッシュ殿下は道案内…ナッシュ殿下はヴィヴィ様の子守…必要です」


なああ?!そっちかいっ!葵さんが殺し屋みたいな目でルル様を見ている。大丈夫かなルル様…。


「確かに…レミオリーダ王太子殿下とアルクリーダ第二王子殿下…更に何故だがフィリペラント第二王子殿下やダヴ様やおまけにヴェルヘイム=デッケルハイン大将閣下までついて来るのに、ナジャガル皇国(うち)だけガレッシュ様だけでは確かに外聞がよろしくないわね…。仕方ない、ナッシュ様にも同行を許可しましょう」


すごい…皇太子殿下を完全に部下扱いだわ。さすが元、奏雅(そうが)の取締役副社長。私でも知っている有名アパレルメーカーで実は私の常備化粧品は葵さんの会社のメーカーのモノだった。


教師の私にはライン使いするには金額的にきつい価格の化粧品だったけど、メガネデブの私でもあの化粧品を使っているだけでいい女になれた気分だった。


「カスミン」


「はい」


葵さんが(本当は不敬だけど、妃呼びは本人が嫌がるので)私を呼んだので少しお傍に近づいた。


「カスミンも一緒に来てくれるのよね?」


「え…?……はい」


視線を泳がせているとナッシュ殿下と目が合ってまた懇願の魔力を向けられた。機嫌を損ねるな!かな?


了承すると葵さんは満面の笑顔になった。


「良かったわ~。女子は私とカデちゃんだけなんだもの。おっさん共に囲まれてキツイったらないわ~!」


おっさん共……ナッシュ殿下も入っている…のだろうね、多分。


おっさんどころかナッシュルアン皇太子殿下は、ブルーブラック色のサラサラ髪に菫色の瞳を持つ、びっくりするほどの美形殿下だ。弟のガレッシュルアン皇子殿下もほぼ同じ顔なのでこれもまたすごい美形だ。


国王陛下やご親戚をグルリと見てみると皆様美形だから遺伝だよね、いいな~美形遺伝子。


「カ~うぅ~!~うぅ~!」


葵さんの腕の中からヴィヴィアンナ様が私に向かって手を伸ばした。


「あ、カスミンの所に行く?はい、カスミンしばらくヴィヴィの事お願い~」


「え?あっはい」


やっと首が座ったヴィヴィアンナ様を私に渡すと、葵さんは小走りに部屋を出て行った。元気だな…。


「ヴィヴィ~父様の所へおいで~」


ナッシュ殿下が私の腕の中に居るヴィヴィアンナ様に手を差し出したけど、ヴィヴィアンナ様は


「やぁ~うぅぅ!」


と激しく手を出して拒絶をしていた。辛いな~どんな美形でも子供に拒否られるって…切ないわ。


ナッシュ殿下は娘さんに拒絶されてどよ~んと暗い魔質になった。


どうしよう…とオロオロしていると、ルル様がヴィヴィアンナ様のお顔を覗き込んだ。


「ヒルデは昼から警邏で忙しい…。御父上とお待ち願えますか?」


表情筋の死んでいるルル様のドアップにヴィヴィアンナ様はフェ…と言って泣き出した。


そして…泣きだしながら…ああ!ナッシュ殿下に助けを求めて手を差し出した。ナッシュ殿下これは嬉しそうだ。


「おお…だ、大丈夫か?ヴィヴィ~父様がいるよ、よしよし」


偶然かたまたまか、ルル様の無表情フェイスが役に立った瞬間だった。いや…ルル様の魔質にやったぜ!みたいな感じが滲み出ているので、わざと怖がらせ作戦だったのかな?


ナッシュ殿下にヴィヴィアンナ様をお願いして皇太子夫妻の私室を出る。


ルル様と2人廊下を歩く。フト横を見ると私の魔力がスルスル~とルル様に吸収されているのが診える。


不思議だな…。ルル様とは魔力相性は良いと言われているけど、ルル様との心の距離は歩み寄りがイマイチ出来ていない気がしている。


「ヒルデ…」


「はい」


「急にアオイ様の護衛に任命されてしまったが…問題ないか?」


そう…ルル様は表情筋は死んでいるけれど、仕事の事とか必要なことは言葉を選びつつ…的確に話してくれる。こういう所は私的には好感度が高い。


のらりくらり話して要点をきちんと言えない人は話していて疲れてしまうもの。


まあ私なんかの好感度が高くてもルル様には関係ないか…。


「はい、母が抜ける穴を埋めるのは身内である私の責務でもありますので」


私はそう答えて私より頭一つ高いルル様を見上げた。


そう、本来は葵さんの護衛は父のクリオと母のミチランデの2人があたっていた。ところが母の妊娠が発覚したのだ。


以前の逃亡生活では腰を据えて落ち着いた生活は出来なかった。今は、ナジャガル皇国の恩情により衣食住を保証され…私達は終の棲家を手に入れることも出来た。


両親共々、そういう心と体の余裕が生まれたのだろう。


葵さんとナッシュ殿下は母の妊娠を大喜びしてくれた。母の妊娠を期に父は護衛職から、軍の新人教育係の教官の仕事に移動することになった。


と言う訳で私は葵さんの新たな護衛に任命されて、第一部隊所属で軍属から近衛部隊所属になって来月から正式に護衛をすることになった。


「事務仕事は引き継ぐと聞いたが…」


「はい、第三部隊の詰所で全部隊の事務仕事の補佐をすることになりました。ゼベロッパ―元帥閣下から随分ごねられましたが、第一部隊の事務仕事も一緒に処理することも許可頂きました。」


ルル様は何度か頷きながら黙って聞いてくれている。相変わらず顔の表情は変わらないけれどね。それにしても本当に綺麗な顔だな…。これで柔らかく微笑んだりしないのかな~。


例えば


「無理はするなよ、辛いことがあったら俺を頼れよ」


とか、微笑みながら頭ポンとかしてくれたら、女子的には悶絶もんだろうな~。


「…聞いているのかヒルデ?」


「っはい?すみません!」


ルル様は小さく息を吐くと規則正しく歩く足を止めて私を見下ろした。


「手伝って欲しいことがあれば遠慮せずに、何でも言え」


こ、ここ…これはぁ!?若干素っ気無さ過ぎるが『アタマポン』が100%の破壊力があるとするならば、20%ぐらいの威力ある言葉じゃないか?!


ひゃあ~ここにICレコーダーが無い事が悔やまれる。いや、待てよ?投影魔法の応用で…。声だけ録音出来ないか?


とか術式の組み立てをブツブツと呟いていると、フッとルル様が息を吐かれたので顔を上げるといつもの鉄仮面フェイスで私を見ているだけだった。


今、笑った…とか思ったけど気のせいかな?


さて午後から警邏の見回りの仕事があるので、手早く昼食を食べてしまおうと食堂にルル様と向かった。ルル様と一緒に食堂に入るのは嫌だと固辞したのだけど、物凄く睨まれたので怖くなって渋々従った。


若い男の子の不機嫌にどう対処していいのか未だに分かりません。まだ子供ぐらいの年の男の子だったら仲良くなる自信はあるんだけどな…。


「香澄ちゃん~こっち空いてるよ!」


食堂に入って空いている席を探していると、相模 那姫(さがみなつき)さんと、旦那様のジューイ=ゾアンガーデ中佐が私を手招きしていらっしゃった。


私の後をルル様が付いて来る。離れて下さい!…とは言えない。心の中でルル様とは何でも無いのです~。たまたま一緒ですが違います~~。と周りの女子達に念を送る。


しかし刺すような目線と魔力の威力はやまない。嫉妬とか憎悪に近い感情かな。


相模 那姫…なっちゃんの前に座るとなっちゃんの綺麗な顔が近付いて来た。


「香澄ちゃん聞いた?今度のカレー粉を探す旅の前に、勇者の剣の召喚を試みてみるんだって」


「カレー粉っていうと、ナッシュ殿下がガンデンタッテ王国に行く行かないで先ほども揉めていましたが…」


「そうなの?あそこの夫婦も相変わらずね。香澄ちゃんも乙女の資格有だと思うから今から剣のイメージ固めているといいわよ~」


「え?わ、私も…ですか?」


「そうだよ~。私とジューイは魔力値がそこまで無いから剣を召喚出来ないんだってぇ~。香澄ちゃんは魔力すごいじゃない?どうどう?出来そう?」


「剣の召喚…召喚魔法は不安定な魔法で…」


「そんなのは分かってるよ~。ヒルデが乙女なら不安定にはならないって、ポルンスタ爺が言ってたぜ」


ゾアンガーデ中佐はそう簡単言うけど…イメージか。


今、話の中に出てきたポルンスタ爺とは、SSSクラスの冒険者様だ。


この世界には冒険者という職業がある。冒険者という名称のせいで、秘境を探検したり、洞窟を探検したり…とかをする人達だと子供の頃の私は思っていたのだが、冒険者ギルドとは簡単に言うと『人材派遣会社』だったのだ。


その冒険者ギルドのSSS、トリプルスターと呼ばれる冒険者ランクの頂点に立たれる数名の中にポルンスタ爺がいる。


因みにナジャガル皇国の皇子殿下達は2人共SSSだ。真っ向勝負なら私でも手こずるくらいにお強い…。


あ、思い出しちゃった。ナッシュ殿下にヒルデも早くSSSになれ!とか急かされているんだった。


トリプルスターかぁ…。う~ん


取り敢えず、試験を受ければ合格する自信はあるんだけど…どうしても行きたくない理由がある。うん、いくら考えても絶対無理だ。


「ジューイ様…剣ってナッシュ殿下が持っているあの異界の剣ですか?」


すると今まで静かに私の隣で食事をしていたルル様が声を上げたので横に居るルル様を見てびっくりした。


あのルル様が頬を染めていらっしゃる?嘘でしょう?


「ん?おお、え~と何だっけな…なあナツキ?」


とゾアンガーデ中佐はなっちゃんに聞いた。聞かれたなっちゃんは、ニコニコしながらルル様に微笑みかけた。


「葵さんが呼び出したゲームの剣のことね?あれはね、葵さんがイメージした剣で…それぞれの乙女…未来さんの呼び出す剣とか香澄ちゃんが呼び出す剣とはデザインとかフォルムが違うものになるはずよ~って香澄ちゃんどうやって説明しよう?」


なっちゃんに聞かれて頬を染めるルル様に分かるように異世界語を翻訳する。


「術者の想像する剣の意匠の違いにより刃の形、魔剣の性能…造形などが違うそうです。殿下の剣とは形や性能が違ってくる可能性が高いと思われます」


私がそう説明すると、頬を染めていたルル様の表情が曇り…そしていつもの無表情に戻っていった。


何だか…ピンッと立っていた大きな耳が萎れて下がってしまったシェパードとかドーベルマンみたいな大型犬に見える…。


「す…すみません、ルル様」


「ヒルデが謝ることじゃない…」


ああっ…開きかけていたシャッターが目の前でガラガラ…ピシャン!と、音をたてて閉じられてしまった!


私がオロオロしていると、なっちゃんが私とルル様を交互に見て


「だったらルル君が欲しい剣のイメージ…え~と剣の形とか大きさとか~細かく香澄ちゃんに伝えて召喚してもらったら?」


と、とんでもない発言をしてきた?!


な、なな、なっちゃん!?それは私だって一瞬、しょげちゃったルル様が可哀相になって召喚が上手く出来たら召喚した剣をあげようかな~とか、チラッと本当にチラッと思ったけどぉぉ?


ルル様が私を無表情で見詰めてくる。だけどだけど~顔の表情とは裏腹に期待の籠った魔質をぶつけてくる。無口なんだけど、魔力だけは雄弁に私に語りかけてくる。


俺に剣を下さい!


ひぃぇぇぇ~どうしよう?!


ルル様が(心)シャッターの向こうからチラチラこちらを覗いている!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ルルって誰!? 読み飛ばしてたのか説明あったかな!?
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