35話:イベント2日目〜午前の部〜
半日ペースで進んでいきそう?かな?
数時間寝ただけで頭がすっきりしてきたので、すこし早いけど活動を再開しようかと起き上がった時に気配察知にプレイヤーの反応が現れた。
どうやらこの小部屋に向かっているようで、6人組がゆっくりと近付いてきている。
別に見つかってもいいのだが、変に絡まれても嫌なのでユキ達も起こして隠伏スキルを意識するのと同時に影魔法の重ねがけで隠れて様子見をすることにした。
隅っこでじっとプレイヤー達が来るのを待っていると、この部屋に辿り着いたみたいで警戒しながら入ってきた。
しばらく警戒を続けていたが、安全だと分かったのかランタンを囲んで座り、話をしながら食事を取るみたいだった。
男性が2人で女性が4人と、女の人の比率が高いからかちゃんと料理スキル持ちがいるみたいで動物の肉をフライパンで焼き始めた。
見た感じはそんなに悪い人達でも無さそうだけど、話しかけるのもハードルが高いので話を盗み聞きする。
…なんかリアルでもゲームでも盗み聞きが多くなってしまってダメかもしれない。ま、まぁ気軽に話せる知り合いを作れるようになるまでだしね、うん。
そこからしばらく話を聞いていた。
彼らの話をまとめると、地形に関しては僕が想像していたのでほとんど正解だったみたいで、ぐるりと山に囲まれている中に森と草原、川や湖なんかがあるらしい。
プレイヤー達はいくつかの小さい集落みたいなのを作って、そこでアイテムの交換とか取引やパーティの募集なんかもしてて、木工スキルを持ってる人は小屋の建設で大忙しらしい。
そしてフィールドには何箇所か小さなダンジョンみたいになっている場所があり、奥に進むと宝箱が置いてあってアイテムやイベントのポイントが貰えるらしい。
宝箱の前にボスがいるわけじゃないが、道中の難易度が高めのところが多く、また、宝箱はプレイヤー1人につき1度ずつ開けられるらしい。
ただ、まだ確定ではないが、最初に開けた時の中身にはボーナスとして良いものが入ってるのでは無いかとの話だ。
ちなみにここもその小さなダンジョンの1つで、この部屋は予想通り休憩部屋だったみたい。
このパーティも右の道を先に進んだようだけど、暗い中で大量に襲いかかって来る敵に、あえなく撤退してきたらしい。
天井に居て、飛んでたらしいから多分コウモリのモンスターなんだと思う、だとしたらあのスキルを使えば突破出来るかも…後で試してみよう。
食事が終わって出ていくのかと思ったらこの部屋で寝ていくみたいで、距離をあけて寝そべったり壁にもたれたりしている。
寝なくても大丈夫なはずという言葉を受けて、イベント開始からずっと戦闘を続けてる人もいるらしいけど、精神的な疲れが出てミスが多くなるって話だから軽く休憩していくのだろう。
他にも色々な話が聞けて参考になったので、お礼代わりに山菜とフルーツ盛り合わせを入り口に置いて、気付かれないようにひっそりと小部屋を後にする。
別に何もしなくても良いだろうけど、なんとなくお礼をしたい気分だったのだ。
とにかく分かれ道まで戻ってきたので再度右の道を進んでいく。
コウモリと言えば超音波の反射で障害物との距離を測ったりとかするイメージがあるので、隠蔽術スキルで入手したアーツの遮音を使えば見つからずに通れるんじゃないかという考えだ。
気配察知にはかなり多くのコウモリの反応があるので、1番手前にいるやつの近くで遮音を発動させてみる。
…特に反応が無いってことは問題無しかな?一応ユキ達を待たせておいて、自分の周りに遮音を貼ってから近付いてみるけど、真下に行っても気付かれて無さそうだった。
隠密術スキルのアーツである消音は自分の周りから出た音を消せるだけなので、多分音波の反響に対しては使えなかったと思う。
イベント前に隠蔽術スキルを取っておいて本当に良かったと思った。
安全も分かったので、ユキ達のところに戻ってから、なんとなく一応コソコソしながら道を進む。
思っていたよりも道は長くコウモリの数も多かったので、正攻法ではかなりきつそうに感じた。
しばらくコソコソと進んでいくと、休憩部屋よりもさらに小さい部屋に辿り着いた。壁には松明が置いてあって結構明るく、真ん中に宝箱が置いてあったので早速開けてみる。
中に入っていたのは、ポーションらしきものが6本×2種類と腕輪と靴、さらに調味料セットだった。
鑑定を持っていないから効果は分からなかったけど、宝箱に入ってたくらいだし大丈夫だろうと腕輪と靴は早速装備してみた。
特に何かが変わったって感じはしないけど、まぁ何かしら効果はあるだろう!
ポーションは良く分からなかったからアイテムボックスに入れた。
名前が分からないからポーション?と表示されていたけど、もしかしたら上位のポーションだったりするのかな?
調味料セットは料理のさしすせそセットだった。流石に無限に使えるってものでは無かったけど、醤油をすこしなめてみたら店売りのものよりも美味しかった。
全部取り出したのを確認して、そういえばポイントはどこに?と考えながら蓋を閉めると目の前にウインドウが出てきた。
攻略ポイント+300P
初攻略ボーナス+300P
ソロ攻略ボーナス+300P
無血攻略ボーナス+500P
おおっ!なんか沢山貰えた!
初攻略は僕が最初の1人だったってことか、初日だし普通に攻略は難しそうだったからかな?
ソロなのはプレイヤーが1人ってことみたいだからユキ達がいる分ちょっと得した気分になる。
無血攻略はそのままで戦闘を行わずってことかな?だったら逆に殲滅ボーナスとかもありそうだね。
ユキ達もお祝いしてくれたので3人でわちゃわちゃしてから部屋を出ると、コウモリ達に会うことなく分かれ道まで戻ってきてしまった。
びっくりしたけど、運営の気遣いなのかな?と思って納得しておいた。まぁ楽な方が嬉しいしねっ!
小部屋の方はまださっきのパーティが休んでそうだし、そこまで疲れたわけでもないので洞窟から出て活動を再開しよう。
腕輪と靴の効果も気になるし、他にもダンジョンがあるならそれを探しながら散策するのも良いかもだし!
ユキ達に怪しそうなところがあったら教えるように言ってから、そういえば顔も洗ってないことに気が付いたので川の水で気分をシャキッとさせてから採取を始める。
早めに寝てそんなに長い間寝ていた訳じゃないので、辺りはまだ暗かったけど、暗視で十分視界は確保出来ているので問題は無いのだ。
そのまま散策を続け、結構な量の食べ物や素材が確保出来た。ツキに言われて気が付いたのだけど、どうやら靴の効果は素早さアップだったみたい。
腕輪の効果はまだ分かってないけど、まぁ困ったことがある訳じゃないしいいかと放っておいた。
そしてお日様も高く登った今、僕は我先にと集まってくる羊たちに餌をあげながら必死でその毛をカットしていた。
…あれぇ?なんでこうなったんだっけ?
ベル《新月の加護》
所持金:190000G
絆:ユキ ツキ
羊さんもふもふしたい、ベル君でも可。
あ、ちなみにダンジョンはパーティごとのダンジョンになっていて、今回の場合分かれ道から先では他のプレイヤーは存在しないのです!