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RINGING ONLINE  作者: rin_k
26/37

26話:販売

売ります。

 ログアウトしていつも通り晩御飯を用意する。今日もなんとか帰ってこれたらしく、疲れてる両親には座って待っててもらう。


 しっかり味を染み込ませた鶏肉に衣をまぶして揚げた熱々の唐揚げさんは外はカリッと中はジューシーで手が止まらなかった。

 レタスで挟むようにして食べるのもまた美味しくて、これはツキたちにも食べさせてあげなければと思う。


 お風呂に入ってから、明日の学校の準備と寝る準備を済ませてからまたログインする。あんまりやり過ぎて寝不足にならないように注意しとかなきゃだ。


 ログインすると自宅のベッドの上だった。どうやらマイホームを持つとログイン地点が変わるみたい?


 前回ログアウトの時に送還はしてなかったので、僕がログインしたことに気が付いたみたいでユキとツキが寝室に飛び込んできた。


 満足するまでもふり合いじゃれ合ってから、家を出た。まず向かうのはギルドかな、無人販売とか出来ないのか聞いてみよう。


 相変わらず冒険者ギルドに比べて人の少ない商業ギルドに到着したのでさっそくセレさんに話しかける。


「セレさん、こんばんわ。またちょっと相談したいことがあるんだけど時間は大丈夫ですか?」

「はい、ベルさんこんばんわ。ええ、こっちのギルドはそんなに忙しくなりませんしね」


 笑いながらそう言うセレさんと一緒に相談室へと向かう。向かい合って座ったところで相談の内容を話し始めた。


「実は、今度はポーションを作ったので、それを売ろうかなって思ったんですけど、市販のより効果が高くて、あとこれからも生産を続けていくならクレームみたいなのとか面倒なこともありそうだなって思いまして、なんかこう、無人販売所みたいなのって出来ませんか?」

「あぁ、ベル君は別の件で既に被害も出てるしね。どうしてもレシピを教えろとか買い占めさせろって言ってくる輩はいるだろうし…コホン、無人販売自体は出来ますよ、屋台の改造の一種として販売だけなら2000Gで、ただし補充を遠隔で出来るようにする方は少々お高めで10000Gかかります。」


 所持金全部かぁ…高い気もするけど、快適なプレイには変えられないかな?でもまだお金が足りないから1万G貯まるまでは補充をどうするのか考えなきゃだね。


「それと、この機能で屋台をずっと建てられ続けるというのも困るので、対策として補充が無い状態で24時間経過した場合には屋台ごと強制的にアイテムボックスに送られ、また無人販売時には場所代として売り上げの10%をギルドで回収することになっているのですが宜しいでしょうか?」


 ふむむ、まぁ商品が無い人もいない屋台がずっと残ってても困るだろうし、便利過ぎてお店を持って貰えないというのも町の発展的には困るのかな?それに自分の土地じゃないところに自販機置くなら場所代は必要だよね。


 そもそも人がいないのにどういう形で売られるんだろうと思って聞いてみたら、どうやら屋台には自動的に登録した商品が並べられ、お客さんが近付くと、ウインドウが出てきて、そこで買う物や量を選べるらしい。


 なんともゲーム的で便利だなぁと感じたけど、そりゃゲームなんだから不便にはしないか。


 生産職で頑張ってる人達が売ってくれ売ってくれと付きまとわれて結果ゲームが嫌になるってこともあるかもだし、その防止のためにも無人販売とかを用意して、バレずに楽しめる様になっているのかもしれない。


 話を戻して、アイテムボックスに送られる方はむしろ便利な機能と呼べるかもしれないし、10%取られるのも、どうやら自動で引かれるようなので手間が無いのでそれくらいならと了承した。


 2000G払って所持金がすっからかんだけど、これからポーションを売っていくから大丈夫だろう。

 セレさんに聞いた話だと、まだまだポーションの需要は尽きておらずそれも店売りのものよりも性能が良いものはほとんど出回らないので、少し高めでも大丈夫だと言われた。


 作ったポーションとMPポーションをセレさんに見せてどれくらいが適正価格か聞いたら、ポーションは200G MPポーションは2000Gでも安いかもしれないと言われた。ちなみにそれぞれの店売りの値段が100Gと1000Gである。


 2倍にもなった理由を聞くと、やはりランクが高く回復量が多いことと苦味が抑えられていて飲みやすいことで、通常の品よりはるかに需要があるかららしい。

 戦闘中ににっがいのを何本もは飲みたくないってことだろう。


 もっと高くしても売れるだろうと言われたけど、何か言われるのも怖いので適正価格にしておいた。そうするとセレさんは少し不満気にしながらもにっこり笑って、せめて転売禁止の設定にはしておきなさいとアドバイスをくれた。


 リアルでもゲームでも転売する人はどこにでも居るんだなぁと思いつつ素直にアドバイスには従っておいた。


 セレさんにしっかりお礼を言ってからギルドを後にして、少し人通りが少なめなところで屋台を出し、作ったポーションと MPポーションを全部登録していった。


 出来るだけ急いで作業したから、多分誰にもバレてない…と思いたい。まぁバレて追いかけたりしてきたら前の人達と同じことになるだけだから良いかと思いながら家へと向かった。


 夜なのもあって畑は真っ暗で、これでは耕すのも大変そうだなと思ったので、余ってる薬草を次々とポーションにしていった。


 森の中でも平原でも採取はずっとしてたので、薬草の余りは大量にある。具体的に言うとまだ3桁以上はある。


 時々ユキやツキとも遊びながら作り続ける。明日は図書館で状態異常回復系のレシピも写してこよう。

 でも、日中なら畑いじりもそろそろしたいしと考えたところで、裁縫に触れてないことに気がついたので、明日の夜は布を買ってきて雑巾作りでもしようかな?


 拠点を手に入れてやりたい事が増え過ぎて時間が全然足りないなぁ、まぁ今は少しずつやれることをやっていこう!


 明日の予定なんかを考えつつポーション作りに励んでいたら、なんだか部屋が静かな気がして振り向くと、寝ているユキを枕にしてツキも寝ていた。


 時間を確認したらもう11時は過ぎていたので、2,3時間作りっぱなしだったのかもしれない。

 途中からお湯の量を増やして薬草も増やすことで効率を上げたりもしてたから、300個ほど新たにポーションが出来上がっていた。


 ツキ達を起こさないように優しく抱き上げて、寝室まで運びベッドに寝かしておいた。

 僕は最後に屋台の様子を見て、人が少なければ作った分を補充して来よう。


 見に行くとそこには人が居た。うん居たんだよ。ただ…


「くそっ!もう売り切れてるっ!」

「くぅ〜、遅かったか!次の販売はいつなんだ?」

「分かんねぇよ、せっかく高性能のポーションが適正価格で売ってるって聞いてきたのに、集まるの早過ぎだろ!」

「無人販売だから店員に聞くことも出来んしな、また開くのを待つしかないだろ。」


 天ぷらの時を彷彿とさせる人垣があった。どうやら既に売り切れてるようでみんな残念そうに帰って行くのだけど…うん、速やかに遠隔からの補充機能を付けよう。これはバレたらまずいヤツだ!


 肩を落として帰っていく人達に紛れて、明日やるべきことの最優先事項を思いながらログアウトした。




ベル《新月の加護》

所持金:未確認

絆:ユキ ツキ

回復量が少ないと消費量も増えちゃって大変ですよね。

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