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RINGING ONLINE  作者: rin_k
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21話:納品と図書館

へいへいほーです。

 ログインすると、ちゃんとログアウト前と同じ場所に出て、心配していた訳ではないけどなんとなくホッと息を吐く。


「ただいま、隠してくれててありがとね」

「あらおかえりなさい、どういたしまして、これくらいなら楽勝よ!」「きゅきゅ〜!」


 待っていてくれていたユキとツキに声をかけ、少し遊びながら周りを見ていると見覚えのある草を見つけた。採取して見てみると、以前少しだけアイテムボックスに入っていた魔力草だった。


「急にどうしたの…ってあぁ、魔力草ね、多分ベルを隠すのに使ってた魔力で変化したんでしょうね」

「魔力で変化?どういうことなの?」

「あら?知らなかったの?魔力草ってのは、薬草に一定以上の魔力が与えられることで変化して出来るものなのよ、だから空気中の魔力が多いところだったり、誰かが長時間魔法を使っているところの近くだったりで見つかるのよ。」


 ほえー、そんな秘密があったとは、変化はゆっくり時間をかけてするものらしいので、薬草に魔力だけを大量に与えて魔力草にーって訳にはいかないらしい。


 そして月見花はそのさらに上で、同じようにして出来るのだが、相当な量の魔力が無いといけないらしく、女神様が泉に来る影響で空気中の魔力がかなり濃くなっていたのが、発生の原因らしい。


 魔石も同じく女神様の影響らしい、こっちは上位版とかではないんだね?と聞くと、そもそも魔石ってのは魔力がぎゅーぎゅーっと固められて出来たもので、自然界ではほぼ発生することは無く、それこそ女神様レベルの存在が現れる時くらいにしか出ないらしい。


 これはセレさんに報告とかした方が良い話なのかな?まぁ緊急で言わなきゃって話でも無いし、何かあった時にでも覚えてたら伝えるくらいでいいのかな。


 ツキによる説明も終わったので、伐採を再開する。


 最初の内は、木を一本切り倒すのにも、数十回斧を振るわなければいけなかったが、途中からは伐採のレベルが上がっていったのもあって、少ない回数で切り倒せるようになっていった。


 こういう時スキルってほんと便利だよなぁなんて考えながら休憩をはさみつつ伐採を続けて、数時間後には十分な量の木材を確保できた。


 最後の方は10回以下で切り倒せるようになっていたし、スキルレベルを上げていけば2、3回で切り倒せるようになるのかもしれない。


 木の実なんかを集めてくれてたユキとツキを撫でながらお礼を言って、帰り用にスキルを伐採から採掘に入れ替えた。これで普通に採取しながら帰れば、必要な素材は集まるだろう。


 石を拾いながら西門側に向かう様に森の中を歩いていると、ツキが思い出した様に注意してきた。


「そうだベル!今回はベルのスキルと加護による底上げに、モンスターの数も少ない泉の近くってこともあったから大丈夫だったけど、本当なら森の中であれだけ大きな音を出せば全方位から魔物に囲まれたりして大変なんだからね」

「そっか…僕らじゃ倒すことが出来ないから囲まれたら絶体絶命だもんね…ありがとうツキ、今度からはもう少し用心するようにするよ」


 改めて見つからないようにしなきゃと気合を入れて、スキルを鍛えるように、わざと少しモンスターの近いところなんかを通って帰った。

 これで少しはスキルレベルの成長にも違いがあればいいのだけど。


 スキルレベルと言えば、まだ使ってないスキルが何個かあるし、りんごの木も見つけられてないなぁ、ユキの好物かもしれないし早く見つけたいのだけど…もしかして二つ目の街の周囲にしか無いとかはないよね?


 なんて考えているうちに西門も近くなってきたので、ユキとツキを送還しようかとも考えたのだが、もう3日目になることだし、2つ目の街も解放されたのだ。そろそろ普通に街中を連れていても問題ないだろう。酷い絡まれ方とかしたら運営に報告してしまえばいいのだ。


 そう決めたので、念のためユキは胸に抱えて、ツキには出来るだけ近くを飛ぶようにしてもらって街に入る。やはり結構な人に見られるが、隠密スキルを意識すると、かなり視線も減った気がする。


 声をかけてきそうな気配もあったが、無視してわざと人混みの方に突っ込んだり、スピードを生かして早歩きなんかをして巻いていき、無事大工さんの所までたどり着いた。


 急いだ甲斐もあってぼくが一番だったらしく、素材を倉庫に出して確認すると、10万Gで建ててくれることになったので、事前に伝えてあった間取りに加えて、月の女神様の祭壇をお願いし、追加の木材を少しだけ出して、依頼が完了した。


 ファンタジーな世界なだけあって、明日の午後には完成するらしい。

 学校から帰ったらすぐにログインしないとだ。


 家の件は一旦落ち着いたので、次にやることを決めよう。

 と言っても、夕飯の時間まで後1時間くらいで微妙なので、ユキ達に見せるためにも、街の中をぶらぶら見て回る事にする。


 ユキもツキも初めて見る人間の街並みに興味深そうに観察したり楽しそうに鳴いている。


 メインストリート以外は僕もあんまり見てなかったなと少しわくわくしながら、周りの目から逃げるように探索していく。


 声をかけられたこともあったが、急いでいるのでと言って隠れながら走ると、途中までは追いかけようとしたみたいだけど、こちらを見失ったのか追ってくる気配も無くなった。


 なんか街の外にいる時よりも走ったり隠れたりしてるような?と疑問を覚えつつもお店や建物を回っていく。


 武器屋や防具屋も、お店によって置いてるものの値段が違ったり素材が違ったりで見てるだけでも楽しかった。そういえば僕もいい加減初心者装備からは卒業した方がいいだろうか?


 裁縫もあることだし、どっちみち鉄装備なんか重い上うるさそうだから布で自分で作るのも良いなぁ…でも服の作り方は流石に分からないから聞くか調べるかしないとだよね。


 なんて考えながら歩いていると、街の中心部から外れた人通りも少ない場所で、大きな建物を見つけた。


 中をこっそり覗くと、どうやらここは図書館のようなのだが、全然人が見えない。あまり人気が無いんだろうか?


 とりあえず入ってみようと開いていた扉から入り、受付らしき場所に向かうと1人の眼鏡をかけた女性が本を読んでいた。声をかけて説明を頼むと事務的な口調で教えてくれた。


 ここは街唯一の図書館で、本を読むのに特別なスキルなんかは要らないらしい。利用料は最初に支払う登録料のみで、以後はメンバーカードを見せれば払わなくても良いらしいがその分少し高めの1万Gだった。


 家の代金も含めて今日だけで11万Gの出費だが、面白い本なんかも見つかるかもしれない。


 そして、当たり前だが、本は大事に扱うこと、貸し出しは一回に2冊まで可能で、延長しない限り3日で自動的に返却されることを教えてもらった。


 図書館の中にユキとツキを入れていいか聞いたところ、騒がしくしないのであれば構わないと言ってもらえたので、ここでは静かにするようにしっかりと伝えておいた。


 説明が終わったので登録料を払ってメンバーカードを受け取った。そのまま利用するか聞かれたけれど、晩御飯の時間だからまた後で来ますと伝えて図書館を出た。


 それにしてもあの受付のお姉さん、最後まで事務的な態度だったし、クール系な美人さんで少し怖いというか苦手かもしれない。ま、まぁ問題行動を起こさなければ、怒られることもないだろう。


 ユキとツキに、またログインしたらすぐに呼ぶ事を伝えてから送還しそのままログアウトした。




ベル《新月の加護》

所持金:12440G

絆:ユキ ツキ


図書館いいですよね、雰囲気とか大好きです。


あ、一応以前に魔力草を見つけていたことが、ツキの存在の伏線になってたりなってなかったりです。

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