13話:畑の購入とアイテムボックス
ついにアイテムボックスの中身が...
「じゃあ早速どこらへんの畑を買うか決めましょうか」
「はい!…ん?何か忘れているような?んー、あっ!セレさん!ランクアップの申請するの忘れてます!」
「えっ?…ああっ!ごめんなさいすっかり忘れちゃってた。少しでも早く見てもらおうと焦り過ぎてたみたい」
「いえいえ、僕の方こそすぐ気付かずにすみません。じゃあ、よろしくお願いします」
お互いに恥ずかしさで気まずくなりながらも、ギルドカードを渡して無事にランクアップが完了した。
セレさんから返されたギルドカードを見て、思わず乾いた笑いが出てしまった。
ギルドカードに表示されていた僕のランクは6、前までランク2だったのに一気に飛んだなぁ。
まぁあの苦労も報われるというものだし、それに上がったおかげで畑も買えるようになったのだから素直に喜んでおこう。
「おめでとうございます。ここまでのスピードはなかなか凄いよ!これからもご活躍を期待しております。じゃあ今度こそ畑を選ぼっか!」
「ありがとうございます!セレさんのお陰ですよ!はい、良い場所を見つけます!」
それから、セレさんが持ってきてくれた資料を見て、畑の場所や周りに何があるかなどを確認していく。
畑一区画の大きさは決まっているので、そこを考えなくてもいいのは考える項目が増えなくて逆に助かったかもしれない。
今はまだ住人しか畑を利用していないが、これから利用者が増えれば値段も上がっていく可能性があるというので、最初にそれなりに買っておくべきだろう。
値段は全て等しく5000Gで、今のランクでは10区画まで買えるらしい。家も建てるつもりなのだから広めに買っておいた方が良いだろうしここは最大数買っておこう。
そして肝心の場所なのだが…はっきり言ってどこも大差は無さそうだった。
精々が、街の中心から離れるほどバレにくくはありそうで、その代わり移動が少し面倒というくらいで、実際遅かれ早かれ何かやっていることはバレるだろうし、移動も気にするほどでもない。
周りにあるのは同じくほぼ畑ばかりで、近所づきあいを気にしなくていいのは個人的に助かるなと思う。
ほとんど大差が無いだけに余計に迷ってしまい、ここはもう1人?の当事者の意見も聞くべきだろうとユキを召喚して説明する。
召喚した際にユキが抱きつき僕も抱きつき返してもふり合っていたらいつのまにかセレさんも混じっているなんてこともあったが割愛する。
「きゅ〜、きゅ!」
結局ユキがこれだっ!っと選んでくれたので、街の東門の近くの北側、メインストリートの丁度裏側の方に位置する畑を10区画買うことになった。
1区画自体がそれなりに広いので、かなりの土地持ちになれた。家は広めに作っても1区画分も使わないくらいなので作る時はめいいっぱい広く作ろうと思う。
「あと、農作業セットも種類が多いから5000Gと高めだけど売ってるから一緒に買うのがおススメね」
「ならそれも買います。あと、ギルドで野菜の種とか果物苗木って売ってたりしますか?」
「ええ、売ってるわよ。ただし、売れる種の品質はそれ程高くないから、自分で育てながら色々工夫をしてみてね」
なるほど、パッと思い付くのは土に栄養を与えるようにしたり、雑草をこまめに抜くくらいかな?他にも方法はたくさんあるのだろう。いつか最高に美味しい野菜や果物で料理を作りたいな。
「とびっきり美味しいのを作って、セレさんにご馳走しますね!」
「ふふふ、ご馳走ならもうたくさん頂いてるわよ」
「???」
「ゴホン、なんでもないの、期待して待ってるわね?」
なんだろう、よく分からなかったけど、取り敢えず期待に答えられるよう頑張っていこう。
まとめてお金を払うと、これで正式に畑のある土地が僕のものになったらしい。入れる人の設定などは現地に行って確認してと言われたので今はしない。
「あ、そうだ、種や苗木には街の外でしか手に入らないものもあるからね。ベル君ならもう手に入れてたりするのかしら?」
「えっ、どうでしょう。拾ってる時は詳細を見ないでボックスに放り込んで、それからちゃんとチェックする時間は無かったし…」
「確かにずっと忙しそうだったものね、せっかくだし今アイテムボックスに溜まってるものを確認してしまったら?使い道が分からないものに関してはそれなりにアドバイス出来ると思うわよ?」
ふむ、チラッと確認したら結構色々な物が入ってたからセレさんが解説してくれるのは有難いけど…
「あの、本当にいいんですか?」
「良いのよ、私がしたくてするんだもの、その代わり、ベル君は私の膝の上ね?」
「それくらいなら全然良いですけど、むしろそれで良いんですか?」
「当たり前よ!むしろそれが良いの!」
勢いがちょっとだけ怖いけど、まぁキャラ設定の時にも同じことをしたし、それでセレさんが喜んでくれるなら良いのかな。
ユキを抱えたままセレさんの膝に座り、少し作業がしづらいけど机の上にアイテムを出していく。セレさんはその都度解説を入れてくれるみたい。
まず石系から
〈水切り石〉Fランク
よく水に跳ねる。
「川とかで遊ぶくらいしか使い道は思い浮かばないわね」
〈鉄鉱石〉Fランク
鉄を多く含む鉱石。
「その名の通り溶かしてインゴットにする事で鉄として使えるわ。主に鍛治や細工なんかに使うかな」
〈原石〉Fランク
宝石の原石、磨けば光る…かもしれない。
「これは細工スキルを上げると出る研磨っていうアーツで磨くと宝石になるわ。なんの宝石かは磨いてからのお楽しみね。宝石によって装備やアイテムに付けると性能がアップすることがあるって」
〈魔石〉Fランク
魔力が固まって出来た石。
「モンスターから取れることがあるもので、自然発生したのは結構珍しいわ、何か魔力を放つ存在でも居たのかしら?」
次は植物系
〈木の棒〉Fランク
木の一部が棒状となったもの。
「ひのきの棒だったら勇者になれたかもしれないね」
〈痺れ草〉Fランク
食べると身体が痺れる。調合することで…?
「そのまま食べると麻痺の状態異常になる草ね、まぁ色々試すと楽しいんじゃないかしら」
〈眠草〉Fランク
食べると眠くなる。調合することで…?
「同じくね」
〈魔力草〉Eランク
魔力を含んだ草。
「これもここら辺だと珍しいわね、魔力の多いところによく生えるらしいわ」
〈月見花〉Cランク
魔力を多く含んだ花。
「これ…本当に一体どこで取ってきたの?偶然で見つけるってパターンが多くて、なかなか市場にも出回らないものよ?」
〈首領グリ〉Eランク
木の実。
「また今度は普通というかなんというか。まぁ首領グリね、遊びに使ったり小物を作ったり、後はコーヒーみたいに出来るって聞いたこともあるわね」
〈古き月の桃〉Eランク
木の実。しわのある硬い殻が周りを覆っている。
「これは殻がとっても硬くて、この殻を割る人形なんかもあるのよ、中の種子はパンなんかに混ぜて焼いても美味しいって話ね」
〈松キノコ〉Cランク
松の根元にのみ生えるキノコ、香りが高く高級。
「ま、松キノコ様!高級食材よ高級食材!」
〈ハーブ〉Fランク
香り高い草。
「詳細ではひとまとめになってるかもだけど、種類によって香りなんかも全然違うのよ、ハーブティーやクッキーなんかにもいいわね」
取り敢えず、いつのまにか拾ってたものは確認し終わった。まだ木の上のものと地面の下のものがあるから今はこんなものだろうと、アイテムをしまていく。
解説をしてくれたセレさんにお礼を言って降りようとするのだが、セレさんの腕ががっちりと僕のお腹に回されていて動けない。
「セレさん...?」
「うふふ、ベルく〜ん、ちょっと何個かのアイテムの拾った状況なんかをお姉さんに教えようか〜」
「え、セレさん?教えてと言われても、適当に取ってただけだから覚えてなんて…」
「言わないとぎゅーっとしたまま離しませんよ!さぁ!松キノコ様のありかを言うんです!もふもふもふもふ」
「あっ、ちょっ、耳だけをそんなっ!!」
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答えを最初から知らない尋問は、僕がぐったりと、セレさんのお肌がツヤツヤになるまで続いた。
ベル
所持金
125240G
絆:ユキ 残り契約可能数:1
《メインスキル》
隠密Lv28
《サブスキル》
絆Lv13 採取Lv22 料理Lv18 暗視Lv11 隠蔽Lv18 気配察知Lv11 素早さ上昇Lv14 農業Lv3 調合Lv9
《控え》
錬金Lv1 裁縫Lv1 伐採Lv1 木登りLv1 採掘Lv3
SP:2
まぁ、アイテムは散々引っ張った割にはそこまでって感じでしたね。
あとアイテムの名前で変な名前になっているものは運営の趣味だったりです。詳しくは本編で語られる...こともあるかもしれないです。