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短編

勇者の素質があると異世界へ勧誘されたが拒否した僕の話

作者: 蘭薇

ふわふわとした感覚。

真っ白な世界にポツンと寝巻きの僕が立つ。


「勇 大和。目覚めたか、勇 大和よ。」


どこから声が聞こえてきているのか分からないが、威厳のある爺さんの声がした。


「あの、なんで僕の名前知っているんですか?ってか、ここどこ?今日大事な会議があるんですけど。」

「いいか、勇 大和よ。落ち着いて聞いてほしい。そなたには勇者の素質がある。」

「あの、質問ガン無視ですか?」

「そして、今、そなたの力を必要としている者たちがいる。そなたの生きる世界とは違う世界となるが、どうか力になってほしい。」


夢だとは思うが、普通こんなに意識がはっきりしているものだろうか。


「そなたの新たに向かう世界では、あらゆる名誉、地位、力が手に入るであろう。ワシからも少しばかし・・・」

「おい、ちょっと待て爺さん。僕が行く体で話なんか進めてるけど、行かないよ。」


夢だとはいえ、なんかよく友人が読む小説みたいな展開に進みそうだったので、僕は爺さんの言葉を遮り、否定した。


「はて、勇 大和よ。ワシはどうして、そなたがそんなことを言い出すのかよくわからないのだが。」

「いやいやいやいや、爺さん、まず、僕の最初に聞いた質問に答えてくれない?なんで僕の名前知っている?ってか、ここどこ?」


爺さんからの返事はない。


「おい、爺さん!また無視かよ!!」


すると、何もないところから、筋肉質の爺が現れた。


「爺さんではない!ワシは神じゃぞ。」

「知るか!まずはこの状況を説明しろ!夢にしては意識がはっきりしすぎてる。」


爺さんは少し血筋を浮かび上がらせながらも、簡単な説明をしてくれた。

まず、ここは意識の世界というらしい。よく分からないけど、身体は今普通に寝室で寝ていて、意識のみここにつれてきたそうだ。ほとんど夢の世界じゃないか。

そして、僕に勇者の素質があり、異世界であるロー・・・何とかっていう国を魔王から救ってほしいといわれた。向こうに行けば、異世界から国を救う勇者として召喚されるため、待遇はいいとのこと。また、神から餞別として、向こうの言語が分かるようになるとか魔法が全属性つけるとかとにかくチート人間にしてあげるとのこと。


「あー、まぁ、ふーん。」

「そなたの話をしておるんじゃが、なんでそんなに興味がなさそうなんじゃ。地位や名誉じゃぞ。魔法が使える世界じゃぞ。勇者じゃぞ、勇者。」

「いや、そんなこと言われてもさっきも言ったとおり行かないから。」

「なぜじゃ!!」


この爺、声が無駄にでかい。鼓膜破れそうだ・・・。

ただ、一応説明してくれたわけだし、こちらもちゃんと理由言わないと・・・か。


「まず、なんか、都合の悪いこと話さないようにしているのがみえみえ。それなのに行けるかっていうんだよ。あと、さっき言ったけど、明日大事な会議なの。分かる?うちの社運がかかってるの。これで僕起きれなかったらあんた恨むからな。」

「ワシは神じゃぞ!」

「知るか、爺。僕が血反吐を出そうとも諦めなかった仕事なんだ。そっちの都合ばかり押し付けようとしやがって、そっちはそっちでなんとかしろよ。僕は自分のことで精一杯なの!」


すると、爺さんは反論できなかったのか、下を向いて黙った。


「分かった。そなたの言いたいことはよく分かった。勇 大和、今このタイミングが悪かったようじゃな。また機会を改める。それまでは何とかワシの力でローライドミラコスカイパークセルレイドに迫る危機を食い止めよう。」

「え?」




リリリリリリリリリリリ

アラーム音が頭に響く。

「あの爺さん、また来るって言ったよな。」

僕は頭を抱えながらも大事な会議へ向かうため、支度を始めた。






























「勇 大和。目覚めたか、勇 大和よ。」

「なぁ、爺さん、しんどい。」


今日で五度目の勧誘。いい加減諦めてほしい。ってか、お前の力で何とかしてほしい。


「ワシは向こうの世界の人間とコンタクトできるものがおらん。それにワシはそなたを向こうに送ることが使命みたいなものじゃ。他の事に関しては補助は出来るが・・・、なぁ。」

「ってか、勇者の素質とか、他にもいんだろ。」

「あの世界を救えるのはそなたのみ。」


正直、本当に他の世界とかどうでもいい。というか、


「僕さ、明日結婚式なんだけど。自分の!!何でこんなタイミング悪いん?これさ、僕が学生時代だったらホイホイ行ってたかもしれないけどさ、もう、すっかり38歳のおじさん。老眼も始まった。それに体育4の運動できるとは言いがたい成績で部活は文芸部だった僕に勇者の素質があるから、魔王をやっつけてくださいとかホントマジで無理ゲーだから。」

「じゃから、餞別とし・・・。」

「いかねーよ。ってか、勝手になんで向こう送ったりしないんだよ!」

「それするとわし法犯して、裁判にかけられちゃうから出来ないんじゃよ。」

「なに、その理由。法とかあるの?神様なのに。」

「分かった。勇 大和、また、タイミングが悪かったようじゃな。また機会を改める。それまでは何とかワシの力でローライドミラコスカイパークセルレイドの魔王の動きを封じ込めていよう。」

「もうてめーで何とかしろよ!!爺。」











まさかこのやり取りが僕が死ぬ87歳まで続くとは思わなかった。








ものすごい思いつきで書きました。


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