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1話:発掘者

 時は、西暦6980年。

皆は、何を想像するだろうか。超科学文明?宇宙開発?それとも、今の現実と変わりない世界だろうか。


一つの文明が2千年以上続く事は、奇跡だ。では、3千年、4千年先の未来は、誰が想像出来るだろうか。


そう、どんな世界が待っていてもおかしくはない。例え、それが想像を絶する世界であってもだ。


 人類の文明は、3度滅んでいた。


最初に機械科学文明。次に魔法文明。その次に魔法科学文明とシフトしていった。そして今、剣と魔法の世界がこの時代の文明として広がっていた。サザンシフトと言う大陸で、物語は、そんな場所の一角で始まるのだ。


雨が降っていた。


どしゃ降りの様な雨ではなく、小雨でさらさらと風に流される様に降っている。土が徐々に雨水を含んでいき、やがて地下へと行きつく。地下へ行きついた雨水は、一つの洞窟の壁に染み出していた。その天上から染み出した雨水がポタポタと水滴を垂らしている。


そんな洞窟の中で二人の親子がランプの明りを頼りに奥へ奥へと進んでいた。


その父親の名は、ガスタルディーと言う。


顎鬚をはやし、大柄で筋肉質の男である。いくつもの修羅場を潜り抜けてきた傷が身体中に付いていた。そして、その息子の名はサラ。まだ、11歳になったばかりの少年で、その小さな身体を父の大きな背によせるように後をついていくのだった。


彼ら親子は、世界中に遺跡を荒らしまわっているトレジャーハンターで遺跡の中でお宝や貴重な物を見つけては、お金に換えている者たちの仲間なのである。


サラの母親は、身体が弱くサラが幼い頃に死んでいた。今は、父ガスタルディーと二人で世界中を旅をしては、遺跡を荒らしまわっている。


今彼らは、「貴重な物は無いか?」とやっきになって洞窟内を探し回っていた。先の戦争で壊滅した街の中で見つけた洞窟に入って、すでに一週間が過ようとしている。持って入った食料は、二週間分である。あと、一週間しかもたない。地上に戻るには、洞窟に入った時間と同じぐらいかかるのだ。そう、考えるともうそろそろ引き返さないといけない時期なのである。彼らは、せめて今日中に何かを見つけ

ておきたかった。


「あれ!? 父さん、あそこ・・・光ったよ!」


サラは、先の見えぬ暗闇の向こう側を指差し父に顔を向けた。


「ん!? 行ってみるか・・・」


ガスタルディーは、そう言って息子のサラを脇に抱え光が見えた暗闇の向こう側へそそくさと走り出した。


そして、すぐに彼の目にランプの光を受けて鈍く光る金属の扉が飛び込んでくる。


「なっ何だ? 何かあるな! ここには、・・・・」


ガスタルディーが驚きの声を上げているとサラは、父に身体を抱えられたままじっと金属の扉を眺めるのだった。


そして、赤く光る部分を見つけると指で触れてみる。


ガッコン


何かが外れる金属音


「ん? 何をした!? サラ!!」


「触った。赤いやつ!」


サラがハッキリとそう言うとガスタルディーは、顔を引き攣らせて腕の力を抜きサラを下に落とした。


「うぎゃーっ!!」


サラは、小さな悲鳴を上げ、地面にしたたかに打ち付けた額をなでる。


「酷いよ! 父さん!」


「酷いんじゃない! あれほど言ったろ! 洞窟の中じゃかってに触るんじゃねえって!」


「わかっている! ちょっと気になっただけだよ!」


息子の涙目にガスタルディーは、顔を歪ませ、むりに作った笑顔をサラに向ける。


ふとガスタルディーが我に返り、まわりを見渡せはサラが居ないではないか。サラの姿が見当たらない。


目の前の鉄の扉が開かれているのを見て、ガスタルディーは、頭を抱え込んだ。サラは、父を見捨て一人で扉の奥へと進んで行ったのである。


「うおーっ!! サラ、またかーっ!!」


ガスタルディーは、苦悩の声を上げながらもドタドタと開かれた鉄の扉を抜けてサラの後を追いかけていくのだった。


「まったく! 父さんは、どうしてあんなにうるさいのだろう!? 身体中傷だらけだし。足臭いし。それから、それから、・・・・」


とっサラは、ブツブツと呟きながら洞窟の奥へと進んで行く。


いつのまにか地面や横の壁が平らでツルンとしたものになっていた。金属の壁のようでそうではなくて、なんとも不思議な通路をサラは、進んで行く。そして、すぐに先が開けた所に出てきたサラ。辺りを良く見渡したサラだったが何も見つける事ができず、更に奥へと足を運んだ。


そして、しばらく進んでいるとかなり広い部屋。部屋というよりも広場と言った方が似合うかもしれない。その中は、恐ろしいほど暗く冷たい感じがする。暗闇の中心あたりに何かの存在を感じとったサラだったが恐ろしさが心を包み込みサラの足をすくませた。


(父さんを待った方が良いのかもしれない。でも・・・・・・・何時までも父さんを頼りにしたくない!!!)


サラの心の奥底に巣くう恐怖よりもサラの好奇心の方が強かったのである。サラは、恐怖をおしころして力強く中心へと進み出た。


「セカンド・イントルーダー・・・・・・・セカンド・イントルーダー・・・・・・・・システム・オープン!!!」


とっ、突然サラの頭上から降ってくるような無機質な声にサラは、その身を震わせた。


そして、もっとサラを驚かせたのは、部屋に光りが満ちだして、中心にあるものがサラの目に飛び込んできたからだ。


「あっ!?・・・・・・ああっ・・・・・・あれ?・・・・・人・・・・・・・」


サラが見たものは、円柱のような水槽の中で沈んでいるサラと同じ歳ぐらいの少女の姿だった。その水槽の中に居る少女は、目をつむり裸で両膝を抱えこんでいる。眠っているのか、死んでいるのか分からない。サラが驚いて、じっと水槽の中に居る少女を見る。サラの手がその水槽に触れた時、少女の目がゆっくりと開かれた。


「・・・・・・生きて・・・・・いる・・・!?」




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