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第三話「美少女剣士との邂逅」

 ―――ギルドに戻った俺達は、二人で真剣に話し合っていた。


「いや、だからさあ……。お前女神じゃないの? さっきまでの自信どこいったんだよマジで。いくら二次元美少女で見てくれが良いとはいえ、流石に外見だけじゃモンスターは倒せないぞ?」


 いやまあ、二次元美少女とこうやって話してる時点で、十分俺は恵まれてると思うのだが。

 ただ、さっきみたいにモンスターの交戦となるとマジメな方でヤバい。

 先程は俺がスカ―レッドドラゴンの気を引き寄せたため、イーリアは無事呼吸困難にはならずに済んだのだが……後一歩下手をすれば死んでいたかもしれない。

 

 流石に二度の死は迎えたくない。そう思った瞬間、俺はイーリアと共にその場から逃げ出していた。


「ううっ……うっ……私、モンスターのお腹に……無駄にぷよぷよしてて気持ち良かったのが、気持ち悪い……」


「いやどっちだよ」


 言いながら、俺はため息を一つ吐く。

 二次元世界にやって来たはいいが、まず始めに戦闘能力の確保が優先だ。

 この女神は魔法の詠唱を綺麗サッパリ忘れてしまっているせいで、全く役に立たない事が分かった。


 かといって俺が剣なんか振るったところで、モンスターにあっさりパクッと喰われて終わりだろう。

 二次オタの身体能力なんて高が知れてる。

 となれば、ここはイーリア以外の戦力になりそうな人を探すのが妥当だろう。


「お二人共、大分苦労してるみたいですね~? もし私でよければ、お力になりますよ~?」


「おっ、丁度いい所に来たな。クレイさん、他の冒険者を目指しているパーテイーってあります? そこに加入して、他の人達と一緒にクエストクリアしたいんですけど……」


 先程色々と確認したところ、討伐クエストならOKという事で、人数は特に制限されていないという事だった。

 ならば俺達は、他力本願に傍らで縮こまっていれば冒険者になれるワケだが……。


「すみません~。今現在、冒険者を目指しているパーティーはあなた方しかいないんですよ~。もしよければ、あなた方の方からパーティーメンバーを募集できますが……」


「……」


 ま、そりゃそうか。

 ギルド内にも外にも、やたら厳ついならず者とかクールなお姉さんばっかりだったもんね。

 そんな奴らが冒険者じゃないっていう方が驚きだろう。


「……よし、分かりました。おいイーリア、まずは他の協力してくれそうな人を探すぞ。冒険者を目指してる奴が俺達しかいないなら、既に冒険者になってる強そうな人を探すまでだ」


「ビックリするくらいの他力本願さですね。女神の私がいる以上、そんなもの必要ないと思いますけど」


「テレキャス女神はあんまり戦力にならない事が分かった。出来れば俺と合口の良さそうな男でも探すか。いきなり女の子っていうのも失敗しそうだし……」


「テレシャスです、テレシャス! 私ギターなんて弾きませんよ!?」


 ロックな二次元美少女もそれはそれでありだと思う。

 そんな益体ない事を考えながら、俺はクレイからパーティーメンバー募集用の紙を受け取った。


               ■


「おい、貴様ら……。貴様らが冒険者を希望する者達か?」


 その娘が話しかけてきたのは突然だった。

 募集の紙を出してから三十分後、俺達が暇を持て余していた時。


「貴様らに、私の烈火の如く力を授けよう。……見た感じ、装備も着ていない様だが……?」


 職業は剣士なのだろう、腰から鞘に包んだ長剣をぶら下げている。

 鎧などは着ていなく、その代わりにマントっぽい物を羽織っていた。

 何だろうこの娘。


 黒と紫が混じった長髪を靡かせながら、決めポーズをバッチリ取ってこちらを見下ろしている。

 ……見下ろしている、といっても荷台の上に載っているので、実際の身長は多分イーリアよりも低いんだと思うが。


 これは思わぬ邂逅だ。

 何だかクールで上から目線なロリだけど、美少女という事に変わりはない。

 先程女の子だと失敗しそうだとは言ったが、このチャンスを逃すワケにはいかないだろう。


「ああそうだよ。俺達は冒険者を希望している者だ。それで、何か用か?」


「ああ。私の力を貸してやる、と言ったんだ」


 少女は荷台から降りると、トコトコとテーブルに突っ伏している俺の元にやってきた。

 予想通り、その背丈は低い。というか、座っている俺よりちょっとだけ高いくらいのレベルだ。

 俺に幼女趣味はないが、折角力を貸してくれると言ってるんだから、それを無下にするワケにもいかないだろう。

 

『蓮さん蓮さん、この子、見た感じそこそこ強そうなオーラ放ってますよ。あの鞘に入ってる剣とか《炎剣》に指定されてるやつですし』


『へー……炎剣って事は火属性タイプの子か。見ただけで分かんのか、お前?』


『そりゃあ私だって、女神なりに色んな世界について勉強しましたもん。相手の戦闘能力くらいは……』


 と、俺達がコソコソと話し合っていると、少女がバンとテーブルを叩いてきた。

 俺達がその音にビクリと震えていると、少女はその青紫がかかった双眸をこちらに向けてくる。


「それで、どうだ? 私の大いなる力を、貴様らにも共有しようと思うのだが」


「……身長が態度のデカさに反比例してないか?」


「う、うるひゃい!」


 俺が自信満々の話しっぷりに水を差してやると、少女は頬を朱に染めつつ激昂してきた。

 その反応も二次元美少女らしくて可愛いのだが、これはどうしたものか。


「……うーん、じゃあ取りあえずその力をクエストで発揮してもらう、って事でいいですかね? 見ての通り俺は駆け出しの弱者だし、こっちの奴は女神がどうのとか言ってる割には魔法の詠唱も覚えていない俺のマスコット的なペットだから、あんたの力に頼るしかないんだが……」


「ちょっと待ってください。私ペット扱いですか!? ペットって事は、蓮さん以下って事……このおっ!」


 いつの間にか降格扱いされていたイーリアが掴み掛かってくるので、それを適当にあしらいながら、俺はその剣使いの少女の力に頼る事にした。



 

 

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