第十四話「目標と冒険」
レイがあっさり眠りに落ち、そして迎えた朝。
『拝啓、次なる未来の冒険者様へ。あなた方に、折り入って頼みがあるのです。
私の願いはただ一つ……。そう、三大邪神の討伐です。世界を大きく揺るがす邪神の強大な力は、無論、三大女神と相反する存在……。邪神は数多のモンスターと騎士を引き連れ、この世界を破滅へと導くと言われています。
どうか、この世界が滅んでしまう前に……。世界を、安泰へと導いてくれる事を祈っています……。敬具』
「―――という事だから俺、邪神を全員ぶっ倒そうと思う」
「……どうしました? 頭おかしくなりましたか?」
イーリアがそう言ってくるが、もうそんな言葉ごときで一々怒ったりする俺じゃない。
俺が突然こんな事を言いだしたのにも、勿論理由がある。
「いや、な? これは大昔にこの世界に存在した女神様が書いた手紙らしいんだが、この紙の裏見てみろよ、裏」
「?」
手紙の裏にはこう書いてある。「無事三大邪神を全て討伐した暁には、どんな願いでも叶えて差し上げます」と。
「……もしかして蓮さん、邪神を倒して後は大金手に入れたりして退廃的な生活送ろうとか思ってます?」
「そうだけど?」
「…………」
イーリアがゴミを見るかの様な視線を送ってくるが、まあそれはさておき。
何故俺が、こんな手紙を持っているのかといえば―――。
「私だよ! 私が、拠点の廃墟の宝物庫から引っ張りだしてきたの!」
シャーラが、褒めて褒めてと言わんばかりに屈託ない笑顔を浮かべた。
ちなみにコイツは昨日冒険者になったばかりである。
職業はウォーロックというとんでもない魔力を持った者が就く職業……まあいわゆる魔法使い職に就いたらしい。
……なんかバランス悪いなあ、このパーティー。俺は剣なんて滅多に使わないし、剣士がレイしかいないじゃん。
まあそれもさておき。
「と、いうワケだから、今後俺達は三大邪神討伐を目標としていこうかと思う。……というかなんか異世界来たのにパッとしないなと思ったら、目標設定が無かったからだよ。てかイーリア、お前なんか心当たりあったりしないのか? この手紙の文中には三大女神って書いてるぞ」
「え? うーん……私女神のお勉強とかについてはホントに無頓着だったので、ちょっと心当たりないですね。三大女神っていうのはなんかどっかで聞いた事あるんですけど……」
「お前も三大女神の一人じゃないのか?」
「…………さあ? そうかもしれませんね」
「……」
さあ? じゃねえよ……コイツ使えねえ。
まあもうコイツ女神の威厳とか麗しさとか欠如してるし、あんまり気にしないでおこう。
「それで早速なんだが、三大邪神の居場所が全て記されているという地図がある遺跡があるらしい。その遺跡についての情報をシャーラが持ってるらしいから、今日からそこに冒険しにいこうと思う」
「ちょっと待て、レ……いえ、ごしゅじん様。その情報というのは確かなのですか? というか、三大邪神討伐とか……私達だけで済ませられる仕事じゃないですよ?」
「だからこそそれを目標とするんだ、目標はデカい方がいいだろ。……まあ、ベルゼルグの居場所はシャーラが知ってるらしいが、お前の言う通り、俺達の戦力じゃ今はどうにもならない。だからまあ冒険しながら強くなればいいんじゃね?」
それに、先日幹部やらモンスターやらを大量に倒してスキルポイントを貯め、新たなスキルをファラから習ったため、俺はそこそこ強くなった気がする。
こんな感じでモンスターを倒していけば、いずれ邪神と戦えるぐらいの力がつくんじゃね? っていう俺の安易な考えである。
そういえばファラから借りた魔法の詠唱書まだ返してないけど、もうめんどくさいしいいや。
「向かう先は『アースロック』……まあ、緑の多い街らしい。……あれ? でもこの街の名前ってブレイズだよな? でもその割には、赤髪美少女がクレイしかいなかったような……というかこのパーティーにもロリとりロリっぽい子が二人いるよな……あ、あれっ? これ、傍から見たら俺がロリコンって勘違いされるやつじゃね? あ、あれっ!?」
「ごちゃごちゃ言ってないで、行くよ、レン」
「ごしゅじん様。私の剣もブレイズです。ごしゅじん様を焼き尽くす事ぐらい容易に出来ますが」
アースロックにロリコン男が多いとも限らないし、何かしら対策を練っておいた方が良いかもしれない。




