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すぴーどまるまるなの

ブクマ945件! 感謝です! そして、 閲覧して下さる皆様に感謝を!


 いつものように朝早くに目覚め、俺は伸びをする。ちなみに昨夜はらぶらぶをお預けにした。だって、みんな逃げたんだもん。


 着ぐるみは俺の相棒だよ? 引け目があるのか、一度おねだりを断ると、みんな諦めて、大人しく床に入ってくれた。


 ……で、俺はみんなとは反対の向きで今日もおはよー!である。


 ええ……みんなとは足の向き正反対の方へと向いていた。そしてお約束のみんなの手で拘束されている。


 またかと疼痛を頭に覚えながらも、スタッフさんに解放してもらうのであった。


 『またおねがいなの!』と目で合図を送り、『喜んで』と今度はメイドのスタッフさんが助けてくれる。


 そしてまた、レストランホールへと向かうまでの間は、温かい濡れタオルで手足を拭いてもらい、跳ねた寝癖に櫛を通してもらい、身だしなみを綺麗に整えてくれるのであった。


 なんだかこの僅かな時間がとても至福に感じる今日この頃である。()りとて起きていようと努力はしているのだが、ウトウトと二度寝をしてしまう。


 トントン……ナデナデ……スリスリ……ん~?


 レストランホールの前で優しく起こされた俺は、コシコシと目を越すって伸びをする。そしてまたしばらくぼーっとする。


 寝ぼけ(まなこ)なお目目がやがてパチクリとしてきてから、改めてバイバイをする。もちろんちゃんと感謝の言葉伝える。


 「クウちゃん、しゃーわせなの」、スタッフさんは天にも登るような笑顔で手を振ってくれるのであった。


 気持ちよく1日を迎え入れられることにホッコリとして足を踏み入れる。すると、レストランホールの一画に、

 アスカくん一家とアーちゃん達、邪神グループに……何故だかレイナちゃん達、天界グループの三人もいた。


 おうふ……邪神サイドと天界サイドで対立が起きてなければいいなと慌てた俺は、急いで近寄るが……あれ? なんか思っていた様子と違う。


 そう、朗らかな空気でみんな、マムを囲むように座っている。


 そして聞こえる可愛い声。


(?)「だぁ~きゃう~♪」


 えーと……誰ですか? この赤ちゃん。


(エリオット)「お~よしよし~。あっ! クウ様おはようございます」


 エ、エリオットさん? ゆるゆるな顔だな……


(ミカ)「おはようございます、クウ様。ほらっ、エリーゼちゃん、クウ様でしゅよ~♪」


 こっちも同じくゆるゆるな顔である。そんな超二コニコな二人から挨拶される。ご機嫌だな~。


(アスカ)「あうっ!!? くくくくくクウひゃん! おっ、おっ、おはぽー!!!」


 おはぽー!って、アスカくん? 昨日のテンパっていたアスカくんより、今のアスカくんはテンパっている。


 そしてさっきから気になるのが、エリオットさんとミカさんが可愛いがっている謎の赤ちゃん。エリーゼちゃんって呼んでいたけど、この子は一体……


 アスカくんの妹? あれ、アスカくんって兄妹いたっけ?


(マム)「ほらアスカ、クウちゃんにちゃんとエリーゼのこと紹介してあげて」


 マムさんが抱いているのがエリーゼちゃん。俺とエリーゼちゃんの顔を、何度も行ったり来たりと(せわ)しなく向けるアスカくん。


(イレーヌ)「なぁ、掛けようぜ。あたいはクウちゃんが腰を抜かすのに――」


(シア)「答えの分かりきっている事に賭けがなりたちませんわ」


(ショコラ)「しかし可愛いなぁ~♪ クウちゃんと並んでいるとこ見たいわ。ねね、クウちゃん、ほらっ、並んで並んで」


「な、なの? こうなの?」


 謎の赤ちゃんの側に寄ると、俺はいいこいいこしてあげる。途端に俺のもふもふな手触りがお気に召したのか、パッと華が咲くエンジェルスマイル。


 うわぁ~、こりわ可愛い過ぎるだろ。なんかみんながデレデレになるのが分かるわ。


(エルメダ)「きゃ~~~~♪」


(アー)「これは予想以上だな」


「しっぽなの~♪ ほれほれですの~♪」


 無垢な赤ちゃんってこっちまで幸せにしてくれる。それそれ~、にょろにょろだぞ~♪


(テーママ)「クウちゃんの尻尾に反応してるね」


(レイナ)「……アスカくん、ほらっ、いいの?」


(ユーミ)「複雑だなぁ~……でもエリーゼちゃんはエリーゼちゃんだし……可愛ゆす♪」


(カミラ)「あんまり細かいことを気にしたら負けよ」


 みんなはさっきから何の話をしているんだろ?


(アスカ)「あっ、あのね……クウちゃん」


「あむあむしてるの。でもしっぽはたべれないの。あぁ~ごめんなさいなの。アスカくんなんですの?」


(マム)「頑張って、アスカ」


(アスカ)「うん、マムさ……マム。んっんん……紹介するね、ボクの()のエリーゼ。マムとボクの血を()()()()()()だよ」


 ………………ハ?


(エリオット)「おじいちゃんになっちゃっいました」


 オジイチャン?


(ミカ)「おばあちゃんになっちゃいました」


 オバアチャン?


「・・・・・・・・・・」


(アー)「・・・・おーい、クウちゃ~ん」


(エリーゼ)「あぅ~♪」


(テーママ)「やっぱりこうなるわよね」


(イレーヌ)「ぐはははは。早くアイナさん達も起きて来ないかな」


(シア)「クウちゃん? 飛んでますね・・」


(エルメダ)「返事がない。ただの赤ちゃんのようだ」


 ・・・・・・あ・・あ・・赤ちゃん? え? ど、どういうこと?


「わ、わんもあぷりーずなの」


(マム)「まいどーたーいず、えりーぜ」


(アスカ)「ボクとマムの娘です。き、昨日マムさんに()()()いただきました」


 オーケーオーケ……落ち着け俺……あはははは、アスカくんとマムのあああ間に娘が出来ちゃったよってぇ!!!!!!!


「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 何が一体どうしてこうなったの!? よくよく見れば、に、似ている。アスカくんとマムさんに似ている……エリーゼちゃんがアスカくんの娘で、マムさんの娘で……1日で赤ちゃんが何故ぇええええええ!?


(アスカ)「クウちゃん、いいこいいこだよ~」


 パニクッた俺を優しく抱いてくれる彼の顔は、苦笑いが3、残る7割は気恥ずかしさであった。


 

 ………………

 …………

 ……

 …



 話は昨夜まで(さかのぼ)る。お仕事を終え、猫庭の楽園へ泊まりに来たエリオット夫妻を迎え入れたのは、マム達6人とアスカくんであった。


 そしてロビーで各人簡単な挨拶と自己紹介をし、本題へと入る。それはエリオット一家にとって、衝撃的な話であった。


(マム)「私達は破壊神様の使徒と言っても、その主な活動内容は、人々に畏怖されるような事を目指してはしていません。

 むしろアスカくんのような、非業な運命に(とら)われた者達を救済する事を主として掲げ、日夜活動に(いそ)しんでおります。

 ……既にお分かりの事と存じあげますが、創造神がアスカくんの救済を行わない以上、別の形で彼の救いの道を提示するのが、私達の勤めであると考えいます」


 まっすぐに顔を合わせて話す両者。言葉以上に目でも会話をしていた。


(エリオット)「お話の前にお(うかが)いしたいことがいくつかございます。よろしいでしょうか?」


(マム)「もちろんです。時間はあまりないとは言え、それくらいの事なら問題ありません。むしろ当然のことです」


(アスカ)「お父さん……」


 彼はお父さんの身を案じていた。万が一のことが起きればタダじゃ済まないと言うことを。この6人の力の一端をアスカくんは身を持って知っている。


(ミカ)「貴方……」


 知識はなくとも何かを察する彼女。夫を気遣う妻は自然と夫に体を寄せる。


(エリオット)「二人とも心配するな。この方達がその気になれば、私達などとうに消えている。それに目を見れば分かる。

 アスカ、よく覚えおきなさい。相手の目を見て話し、その内に宿る光を覗けば、その人が積んできた徳というのが分かるようになる。

 それにこの方達は、クウ様の奥方の臣下である事を名乗り告げている。

 その名を出している以上、(あるじ)(おと)しいれるようなことは絶対にしないよ」


 互いに信頼してもらうところから話は進む。


(マム)「御懸命な判断、痛み入ります。では質問をどうぞ」


(エリオット)「ではまず、クウ様はそのアスカの救済、いや、別の道への提案の事については、知っておられるのでしょうか?」


(マム)「いえ、クウ様からはアスカくんのモニターの件での延長で、我らは此処(ここ)に来たとしか思っておりません。

 なので、私個人が提案する道は、そのついで(・・・)に行うか、アスカくんとご両親のお二人に判断してもらいたいと思っています」


 エリオットさんは息子をチラリと見ては、また顔を前に向ける。『そのついで』……つまり、その意味することを察すると、息子に堪えられるのだろうかと心配になる。


(エリオット)「大恩あるクウ様にご迷惑をおかけしないことならと思いお聞きしました。申し訳ありません。しかし……」


(マム)「いえいえ。他にも質問があればどうぞ」


(エリオット)「その道はアスカに苦行を()いるものですか?」


 至極当然の質問である。それ故に予想していたマムは即答する。


(マム)「苦行と言えるかわかりませんが、強いて言うなら……私の持てる全てを駆使した快楽を味わってもらうことでしょうか?

 私とそこにいる愛弟子のミレーヌは、破壊神様のお膝元で【黄金の蝶】と言う高級娼婦館を(いとな)んでおります。

 こちらの世界で言うところの、一晩で最低白金貨5枚は掛かる高級宿です」


 やはりとエリオットさんは目の前の六人の女性を一瞥(いちべつ)する。(いち)男性として、その魅力はどの娘も格別だと言わざるを()ない。


 そして息子にはこれは無理だなとも思い、なんと言ってお断りをしようかと彼は思案していた。


(アスカ)「ぷしゅ~」


 アスカくんはスチームフェイスを発動しながら肩を(すぼ)める。すると残りの五人が席を立って、彼の後ろから首に優しく抱きついて頬をスリスリしたり、

 左右に座って身を寄せては豊満な胸を押し付けたり、彼の膝の上……端的に言えばアソコの上に顔を乗せてスリスリと愛でていた。


 端から見ればハーレム以外の何者でもない。歳上のお姉さん方が少年を可愛がっているその光景。


 エルメダさんなど、彼の頬から顎へかけて指先を滑らせてはなぞり、アスカくんの首元に自分の頭と体を預けて、悪戯っぽく微笑む。


 刺激が強すぎる大人の誘惑。だが息子は落ちない!? 何故だ? いや、クウ様が彼女達を呼んだ理由……それは彼女達の力を当てにしたと言うことか。そう彼は解釈した。


(エリオット)「う……うら……」


(ミカ)「貴方……」


 夫の横に近づいて、相手には見えないようにお尻をつねる妻であった。妻がなんとも言えない顔で怒っている。


 やはり息子が女に取られると言うのは、男親にはわからない感覚なんだろうなと彼は思い、居住(いず)まいを(ただ)す。


(エリオット)「んっんん、では最後に……貴女達は何故そこまで親身になってくれるのですか? それとその提示された道への具体的な内容をお聞かせ下さい」


(マム)「幾つかございますが、簡単に述べさせて頂きます。他の五名については単純にアスカ様をお抱きしたい、はっきりと申し上げればそれだけです」


(ミレーヌ・シア・ショコラ・エメルダ・イレーヌ)「「「「「あははははは」」」」」」


 ストレートな言葉に裏表のない顔で息子を愛でる5名の女性達。そしてエリオットさんはありのままの感想を述べる。


(エリオット)「モテモテだなアスカ」


(アスカ)「お父さん!」


(ミカ)「貴方!」


 父は羨望の眼差しを息子に向け。息子は人の気も知らないで!と憤慨(ふんがい)する。妻は不謹慎な夫に怒りの瞳を向け……端から見ているとクスリと微笑ましい一家であった。


(マム)「まぁまぁ……それだけアスカくんにの魅力があるんですから……んっんん……異世界から貴方達下界の人間を我ら神々は常に覗いています。

 その中でもクウ様は少し特別でして……生き神でもあり、下界の者でもあり、多くの神々の監視の対象となる経緯を持った御方でもあり……

 つまり、アスカくんやお二人も、そうなると必然的に多くの神々や使徒に見られる訳なのですよ。そう、たった今、この瞬間にも」


(イレーヌ)「クウ様は特に面白いからな、たくさんの神々が常に覗いてるんだ。あ、もちろんお二人のことを見ている神も今じゃ凄いよ」


 事の発端はやはりクウ様によるもの。端的に言えば、クウ様の側にいるだけで幸せになれると言われているも同義である。


(エリオット)「それはまたなんとも……」


(ミカ)「くすくすくす、クウ様らしいわ」


(アスカ)「クウちゃんも確かにそんなことを言ってたね……」


 凄く納得する三人。クウ様を持ち出すと、無用な説明も(はぶ)けるから楽である。『彼だから!』、この一言で十分なのだから。


(マム)「ちなみにクウ様の依り代三体に降臨していた女神達も同じ理由です。そういった意味でアスカくんは、非常に幸運でした。

 ……そしてここからが重要な事なんですが、私の理由は(あるじ)を守ること。それに関連して君の死後……クウ様は病まれる」


 先程まであった空気が一気に無散する。


(アスカ)「・・・・うん、ボクもそう思う。クウちゃんは・・そういう人だもん」


 皆同様に想いを()せる。


(マム)「ですから、彼の妻である破壊神様も同様に病まれる。そして……あの御方が病まれると、世界は滅びます」


(エリオット)「!? それはどういった意味で」


 のっぴきならない話になり、席を立ち上がるエリオットさん。それをマムは座ってと手で促す。そして彼女は座り直したエリオットさんを確認してから、話をまた続けるのであった。


(マム)「そのままの意味です。あの方に傷を付ける。それは即ち世界に瘴気(しょうき)を降り注ぐと言うことになります。

 破壊神様は言わばモンスターの祖にして母。亜人の祖でもあり、人と神と言う枠外の種族にとって、負の面を持つ生命の祖でもあるのです」


(エリオット)「……スケールが大きすぎて……」


 息子がそんな規模の大事に関わってしまっている。そして自分等(じぶんら)では到底手に負える話ではない。息子も妻も動揺していた。


(マム)「難しく考えないで下さい。力ある御方が影響を及ぼすと言うのは、下界でも同じこと。たった一人の王が、勇者が、英雄が、商人が、貴族が、

 それら数多(あまた)傑物(けつぶつ)が、世界の歴史を作る事と同じだと思っていただければ良いかと」


 そうしなければ話は進まないと言う空気で、話は続く。


(エリオット)「分かりました……」


(マム)「話を戻します。そういった訳でアスカくん、君は今、とても重要な立ち位置にいる人物でもあるのよ。だから、みんなが幸せになる為に、私と君との間に子供を産みましょう」


(アスカ)「え?」


(エリオット)「は?」


(ミカ)「・・・・・・!?」


 突然の子作り発言に面を喰らう三人。そして三人とは対称的に激昂する者が一人立ち上がる。


(エメルダ)「貴女まさか本気なの!? いくら破壊神様の為、クウ様の為とは言え! 貴女がされてきたことは決して!」


 詰め寄ろうとする彼女を、深淵の三人が取り押さえる。


(シア)「落ち着いてエメルダ」


(イレーヌ)「黙って最後まで聞こうぜ」


(ショコラ)「エメルダ……座って。貴女の直属の子だから、(いき)()つのは分かるけど、今は最後まで話を聞きましょ」


 我が子のように接して来たエルメダ。それに対して目で訴えるマム。無言の攻防……退かぬ瞳に折れたのは、エルメダの方であった。


 渋々座ると言った(てい)で腰を降ろすと、マムは話を続けた。


(マム)「……続けます。その昔……とは言っても、産まれた瞬間からずっとそうでした。私は蝶人族の変異種、こことは違う世界の人種。それも特種な性質を持って生まれた蝶人族の【1つ】でした」


(エリオット)「・・・・()()ではなく、ですか?」


(マム)「えぇ、1つ。物でしたから……多種族と交わると一晩で子を宿す……子はあらゆる労働力として、使い捨ての兵として……物として扱われました。そんな日が生涯を閉じるまでずっと……」


(アスカ)「(酷い)……」


 彼は明るく振る舞い、自身の心があれほど高鳴った女性にまさか、そんな過去があった事を聞いて言葉を失う。


 自身の非業なんて比べ物にならないほどの過酷な運命……救いはなく生を閉じた一生。そんな彼女に何故あんな素敵な顔が出来たのかと……


(ミカ)「アスカ……」


 気づけば彼はそっと泣いていた。母は近寄って、ハンカチで()く。息子の横顔を見て彼女は理解する。


 息子だけは彼女の痛みを理解し、共有できるのだと、母はマムと言う女性を見る目がこの瞬間変わった。


 そう、悔しいが、自分より息子の苦悩を理解してあげられる……またそれ故に、この場の中の誰よりも息子を癒してあげられる者だとも理解する。


 母親として世界の誰よりも息子を愛するが……それだけでは救えぬ想いがあり、彼女に託す。


 嫉妬……誰にも言えない想いが生まれ……奥底にしまうミカさんであった。


(マム)「ですが、破壊神様に救われました。そしてクウ様にも私は救われました」


(シア・ショコラ・エメルダ・イレーヌ)「「「「(!?)」」」」


 エリオット一家にはわからないよう、平静を装っている四人だが、聞き捨てならない言葉に意識をマムに向ける四人。その気配は言外に説明を求めたいと訴えていた。


(マム)「詳細は話せませんが、その恩を返す為……いやそれだけじゃないんでしょうね。私はただ、クウ様にも破壊神様にも幸せになって頂きたい、その一心(いっしん)で動いているのかも。……アスカくん、君の気持ちも分かるわ」


 過去を仰ぐように顔を上に向けて瞳を閉じるマム。グッと膝の上に乗せた拳に力が入る。……いや、入り過ぎて血が溢れる。


 皆、無言のまま待つ。続きの言葉を。


(マム)「世界は……運命は時に残酷だ。何をやっても時は戻らないし、失ってしまったものは決して戻って来ない。だから遺すのよ。自分の命を継ぐ者を」


 彼の両手を取る。血にまみれた手、それをアスカくんは(かば)うかのように包み込み、2つの手が厚く絡み合う。傷の痛みを知る者同士として、互いに惹かれあう。


(アスカ)「ボクの子、ですか……」


 生まれる希望。クウ様と言う存在が側にいたからこそ、彼の心の中にまだ見ぬ自分の子を想像して描こうとする。そしてその温もりを繋いだ手が教えてくれる。


(マム)「……お母様とお父様が貴方の死後、孫を育ててくれるわ、愛を持って必ず。クウ様を通して覗いていたから分かるわ。ですよね」


 託す瞳。二人だからこそ叶えることができると訴える。そして自身も(いと)わない。過去の傷を開く行為をしたとしても。


(エリオット)「おじいちゃんか……死んでも誓いを果たすぞ、アスカ」


 息子と義娘の握られた手の上に重ねる、優しく大きな父の手。


(ミカ)「ごめんなさいアスカ……ごめんなさい。お母さんこんなことしか出来なくて……でも、たくさん、たくさんの愛を注いで育ててみせるから! ごめんなさいアスカ!」


 更に重ねられる手、その上に溢れる涙。残りの五人はミカさんを支える為に寄る。エルメダはもう何も言わない。そして心の中で呟く。私も二人の子を見守ると。


(アスカ)「泣かないでお母さん。ボク、お母さんもお父さんも大好きだよ。だから泣かないで」


 答えは出された。そして彼女は確信する。間違ってなかったと。彼を救いに来たつもりであった……だけど今は違う。


(マム)「私のこの力、君のような子の為に授かったものだと私は気づいた。アスカくん、君との間に子供を作りたいわ。君は中身も見た目も綺麗だからね」


 彼女はこの時になって使命感からではなく、目の前の少年に対して愛情が生まれていた。そう、自身でも気づかぬ内に根を張り始めていた。


(アスカ)「(自分の死後にボクの意思を継ぐ子供が居れば、お母さんとお父さんは希望を持って生きていける。

 それにボクの子供……クウちゃんが泣いてしまった理由が分かったよ。うん、泣いちゃうね、とっても嬉しくて)」


 彼は誰もが幸せになれる未来をこの瞬間に見た。そしてみんなの手を離すと、彼は彼女の背に手を回し、大胆にも抱きつく。


(アスカ)「こんなボクの為に、マムさん、よろしくお願いします。それとボクが死んじゃった後、子供に何か困ったことが起こったら、お願いします」


(マム)「基本神の使徒である我等もそうそう下界に手を出せない決まりだけど、本当に困った時は手には迷わず手を差し伸べるわ。

 エリオットさん、ミカさん、私とアスカくん……ううん、アスカって呼ぶわね。私とアスカの子供をよろしくお願いします」


 息子と嫁となる女性が手を取り報告をしてくれる。いつか見る光景だったそれを今見れたこと。


(アスカ)「お父さん、お母さん、お願いします」


 息子が託してくれる姿なき孫の報告。これ以上の親孝行があるだろうか?とむせび泣く母。立っていられない彼女を五人は優しく介抱してあげるのであった。


(シア・ショコラ・エメルダ・イレーヌ・ミレーヌ)「「「「「ぐすっ」」」」」


 心の中で祝福を送り、見守る五人。


(エリオット)「アスカ! ずっとお前のことを父さんは愛しているぞ」


(ミカ)「アスカ! 私もずっとずっとず~~~っと愛しているわ。だからぜっ~~~たいに幸せに育ててみせるから安心して」


(アスカ)「うん、うん、うん」


 ロビーで事を見守っていたスタッフ一堂も、声を押し殺して泣いていた……だけどここは猫庭の楽園。そう……ここから先はまるで主に呼応するかのように、運命の歯車は動き出す。


 ミレーヌがそれはそれ、これはこれと言わんばかりに切り出した。


(ミレーヌ)「ぐすっ……ではアスカくん、マム様一人では今生(こんじょう)で味わう分の快楽を得るには足らないと思うので、これから明日までずっ~~~とらぶらぶしましょうね!

 私にかかればあっと言う間に回復できて、何度でも天国に行けますから♡。マム様の一番愛弟子の技術(テクニック)で、たぁ~~~っぷり御奉仕しちゃいます、チュッ♡」


 軽くキスをして、テヘッと舌を出しておどける彼女。


(アスカ)「はははははうっ!? あれ!? 堕ちない? なんでぇえええ?」


 パニクっているのに堕ちない。だが彼は思い出してエルメダへと顔を向ける。


(エルメダ)「私の感覚共有があればどんなウブな子でも堕ちない。ふふふ、さらにお互いに快楽も共有出来るから、普通じゃ味わえない未知への世界にも(いざな)える。

 お姉さん達全員でたぁ~~~っぷり、可愛がって・・あ・げ・る♡」


 そう言って彼の手を自分の胸へと当てて、上から逃がさないよう押さえる。ぷるるん♡と彼は幻聴を聞く。そしてクラクラとしながら面を喰らう……だが堕ちること決してない。


(イレーヌ)「あたいは年齢や身長や体型、さらに特定変異種や限定種じゃなければ変身出来るから、全ての種祖族の奥様から少女まで相手してあげるよ。なんなら男の娘や動物まで可能だぞ?」


 次々へと見知らぬ美女に変身するイレーヌ。その姿の最後には、彼の母親であるミカさんそっくりに変身する。

 

 これには永年彼女と連れ添ってきたエリオットでも、舌を巻くほどの事であった。


(シア)「イレーヌ……動物と男の娘はいらないでしょ。んっんん、私はアスカくんを強化出来るわ。その……強化部分は、今は内緒♡」


 だが彼女の視線は、彼の下半身のある一点を凝視していた。


(ショコラ)「私は植物を主に扱うんだが、このピー♪草の種でアスカくんの……まぁ、大事なあれを、一時的に増やすことが出来る。

 あ、ちゃんと時間が経てば元へと戻るし、人体には無害だから、そこは安心してね。

 むふふふ、これで一杯生やして、私ら全員を同時に愛してくれ。あと、私の植物の中に転換草って言うのもあるから、アスカくん、本物のおんにゃの()にもなれるよ。きゃ~~~~♪」


 アスカくんの目は既にグルグルお目目である。これからすることは彼には想像もつかないほどのエッチなことである。もう訳がわからなかった。


(マム)「私はこの世界の頂点にいる神……クウ様には敗北しましたが……」


(ミレーヌ)「クウ様は次元が違うので、気にするのは止しましょう……」


(シア)「マム……少しトラウマになっているのね……」


(イレーヌ)「ここにいる全員で掛かっても太刀打ち出来ないわな……」


(ショコラ)「一時期、無謀にも勝負しようと自惚(うぬぼ)れていた自分がいました……クウ様は最強……」


(エルメダ)「クウ様無双!」


 口々にクウ様の最強説を語る彼女達。だがエリオット一家には正直伝わっていなかった。


 彼のことはもふもふ、ふわふわ。そう、そう言った一面しか見ていなかったから無理ないのだ。


(マム)「んっんん。とにかく! この面子なら束になっても私には勝てません! この中なら最強です! アスカをらめぇぇえええって言わせます!」


 今の紹介のあった五人よりも最強?だと豪語するマム。アスカくんの純情は限界を越えていた。


(アスカ)「既にらめぇぇえええええ!って堕ちない!? あうぅぅぅぅ!!!」


 (たま)らず、顔を自分の膝の上に押し付けて嫌々とする彼。顔を隠して左右に振るその姿は、更に六人を煽る結果となり、ますます欲情を煽ることになっていた。


(エリオット)「(アスカ……正直羨ましいぞ!)」


(ミカ)「あ・な・た!」


 そしてこの後、アスカくんの紳士へと上がる舞台に女神三人娘が乱戦。アスカくんのチャンネル、略してアスネルでずっと覗いて泣いていたそうだ。


 アスカくんに対しては女神三柱も思うところがあり、ここは立場関係無く協力したいと申し出た。


 ぶっちゃけ、アスカくんに今生での未練が残らぬ程の快楽を与えるのも目的なので、これをあっさりと了承。


 アスカくんには内緒なのだが、このアスネル、実はミカさんだけは特別に覗いてもらうことが密約されていた。


 そこは万が一の為に、事の次第を見届ける母親としての処置であった。


 この突発的な申し出(参戦)に、ミカさんは了承を出す。そうして裏で執り行われたらぶらぶでマムは懐妊。そして明け方に出産。


 特種な出産で誕生した為、生後1ヶ月くらいの元気な姿で現れた女の子、そう、【エリーゼ】ちゃんがこうして産まれ、今朝への出来事に繋がったのである。


 ちなみにエリオットさん、アスネルを覗きたいと想いと父親の尊厳を(はかり)に掛けたところ、ギリギリのところで父親としての尊厳が(まさ)ったようだ。


 そしてその日の夜、ミカさんが真っ赤になる度に悶々とするのはご愛敬だった。



 ………………

 …………

 ……

 …



 説明を一通り聞き終わった俺は、この電撃出産をなんとか整理し、受け入れた。事実としてエリーゼちゃんがいるわけだし、アスカくんとマムさんを祝うべく祝辞を()べる。


 今日はお祝いだ。だけどその前に男同士で、いや、紳士同士で大人の会話がしたくて、レストランホールの片隅に移動してもらっていた。


(アスカ)「――と言うわけなんだ」


「ようこそ、しんしのせかいへなの」


 手を広げて待っていると、抱っこされてもふもふされる。


(アスカ)「クウちゃん、聞いてもいい? その、エッチな話になるけど、いいかな?」


 パァーっと明るい顔を見せる俺。あのアスカくんの口からエッチな話だと!? おー! これだよこれ! しかも全然テンパっていない。


「おぉ~、もしかして! これがおとこどうしでするわいだんってやつなの!? クウちゃん、ちょっとあこがれていたの。なになに? きいてきいてなの。アスカくんとはこれでますますおともだちなの」


 悪いことを共有してする。すると人と言うのはより身近に感じやすいと聞いたことがあった。酒を飲むなんて言うのもまさにそれだと思う。


(アスカ)「ありがとう。えぇっと……彼女から聞いたんだけど、マムに勝ったってホントなの? マムだよ? あのマムに?

 あの最強のマムにどうやったら勝てるの? クウちゃん先生! ボクにその秘訣を教えてください!」


 ガシッと俺の手を握って教えを乞うアスカくん。こんなセリフを彼から聞けるなんて。


「あはははは、アスカくんもまだまだなの。クウちゃんはせいたいマナちゃんというおうぎがあるの」


(アスカ)「あのマムを倒す奥義……それってどんな(テクニック)なの?」


「じっさいにじつえんしたほうがはやいけど……どうしようかなの。マムさんにはもうできないし……」


 彼女はもうアスカくんの奥さんと言っても過言じゃない人。紳士としては手を出すなんて許されることではない。


 が……


(アスカ)「なんで?」


「だってもう、アスカくんのおくさんなの。ひとづまにそんなことしちゃめっ!なの」


(アスカ)「大丈夫だよ。マムはそんなこと言わないよ。だって、あのマムだもん。うん、マムだから問題ないよ」


 何その絶対マム理論……ん、目が死んでないか? いや、これ死んでるだろ!? おい! 何があった? 何をされた? 大人になったとしてもこれじゃダメだろ!


「アスカくん、いったいなにがあったの……おくさんやゆかいななかまたちになにされたの……」


 恐る恐る聞く……聞かねばならない。こんなハイライトの輝きを失ったアスカくんを俺は見てられない。


(アスカ)「ふっ、それは全てだよ。ボクは全てを得て、全てを失ったから……クウちゃん……ボクがいかに(けが)れていなかったかわかったよ……しくしくしく」


 プツン……俺の何かがアッサリと切れた瞬間であった。恐らく自分に娘がいて、それを手籠め(てごめ)にされたら、こんな気分になるんだろうなと思った。


「ちょっ!? マムー! それとしんえんならびにめがみさんにんむすめ、こっちへこいなの!!! ミレーヌちゃんもなの! なににげようとしてるの! きりきりはしってくるの!」


 威圧が全開で展開しそうになるのを必死に堪える。エリーゼちゃんがいるから我慢だ、我慢だ。


(ミレーヌ)「はっ、はい!!!!」


「アスカくん、よくみてるの。ていっ!」


 こちらに向かって来る間にポイントを捉えていた俺は早速彼に実演で見せてあげる。


(ミレーヌ)「ぬ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


 ドスッと思いっきり突いたマナポイントに、ミレーヌちゃんは失禁して、糸の切れた人形のように崩れ堕ちる。白目を()いて痙攣を起こす彼女を見ても、俺の怒りは(おさ)まらない。


(アスカ)「え、えええええええ!? ミレぽんが偉いことに」


「そのよびかたなんなの!? そっちのほうがえらいことになってるの!? こらぁ~! きちゃまらアスカくんになにやらかしたの! ていっ! いわないとこうかいするの!」


(ミレーヌ)「あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


 パスッ! パスッ! パスッ!……マムポイントへ打つ音が鳴り響く。そして残り五人を見上げながら、ミレーヌちゃんの上に乗って俺は彼女達を睨んでいた。彼女がどうなってるかだって? んなこと知るか!!!


(ショコラ)「クウちゃん、落ち着こう……ね?(やっぱ最()じゃないのクウちゃん! あわわわ、ミレーヌが大変なことに……)」


 落ち着けだと? これが落ち着いていられるか!!! パスッ! パスッ! パスッ!


(マム)「わ、私とアスカは優しく(・・・)愛し合っただけよ!? ね、アスカ!? お願いアスカ! お願いだからこっちを向いて! 

 それと泣き止んで! ク、クウ様? 何ですか、そ、その巨大なマナは!? ヒッ!? ま、待って下さい!

 (この威圧感は何!? 破壊神様の威圧と同等レベル!? 馬鹿なっ!? 貴方様は一体、この数日に何が起こったと言うのですか!? ミレーヌ? ひぃいいいい!!!)」


(アスカ)「マム……あれで優しくなら、世界は平和で戦争は起こらないよ……しくしくしく」


 そんな高次元な話なの!? あぁ~、アスカくん……なんか哀愁が漂って直視できないよ……あっ、エリーゼちゃんがお母さんを見てる。くっ……


「とりあえずマムはほりゅうなの。エリーゼちゃんがみているから、いまはてをだせないの。つぎにいくの。さぁ~きちゃまら、いいわけをきくからいまのうちにいいたいことがあればいっておくの」


 ミレーヌちゃんからヒョイと床に降りる。まずはエルメダさんのところへ向かう。


(エルメダ)「わ、私は少しだけ感度を上げる為に……え~っと……感覚を共有しただけです……」


 ほう。チラッとアスカくんを見上げる。


(アスカ)「10人全員を繋げての最高感度……あれが少し……女の人に騙されちゃダメだよ、クウちゃん……しくしくしく」


「ぎるてぃーなの! せいっ!」


(エルメダ)「ん゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


 パスッ! パスッ! パスッ!……彼女はミレーヌちゃんよりも強そうだから倍は打っておこう。パスッ! パスッ! パスッ!


「つ・ぎ・」


(イレーヌ)「クウちゃ……ガクガクガク……あたいはアスカくんの好みを色々と……」


(アスカ)「いくらなんでも今のクウ娘ちゃん一歳バージョンの姿に……その(奥さんのみんなまで)……クウちゃん、謝ろうとずっと思っていたんだ。

 その……ごめんね……ホント、ごめんね……しくしくしく……それとお母さんごめんなさい。ボク、お母さんで……しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく」


 ブチブチブチブチ!!! 俺の顔面は恐らく血管が浮いていたんではないか? 俺の姿でらぶらぶ? そんなのは些細なことだ。よりにもよってミカさんの姿で……


「しんわざくらうの! ぶー!」


(イレーヌ)「ぎ♡ゃ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


 マナブレスを叩き込む! 全力だ全力!!! 一発でぶっ倒れたか……チッ。


 アスカくんは言わなかったけど、俺の姿だけであんなに謝るとは思えない。……と言うことは、他のバージョンも全て試したんだろうな。それにアイナママ達の姿もやったと確定しとこう。起きたらもう一発。


「・・・・・・」


 もう聞くだけ無駄だと確信する。無言で俺は次の標的に向かう。


(シア)「何か喋ってクウちゃん! 黙っているのが一番堪えるわ! 私はみんなとは違うわよ……その……ちょっとだけ強化したの……そう、ちょっとだけ。私のことを信じてクウちゃん!」


「で、どうなのアスカくん?」


(アスカ)「それはもう……果てることなく……馬車馬の如く……今も少し影響が残ってい――」


 股間を押さえてモジモジする彼……


「・・・・・・」


 足首にぴったりとくっついて、息を大きく吸い込んだら……喰らえ、マナブレス!!!


(シア)「だから喋っ゛♡き゛♡ゃ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


「……もうきかなくてもいいきがするけど、いちおうきいておくの」


(ショコラ)「生やしました……ほんの……」


「ほんの?」


(ショコラ)「20本ぼど……」


「ほかは?」


(ショコラ)「せっ、折角だからアスカくんは女の子にメタモルフォーゼで……たくさん余ってたから、アスカくん自身でなんちゃって! あははははは!」


(アスカ)「しくしくしく……酷いよ、酷いよ。せめてクウちゃんに……しくしくしく……」


 とうとう四つん這いになって伏せちゃったよ……俺は何て事をしてしまったんだ……


「しんわざぷらす、ぶー! ぷはっ、ていていていっ!!!」


(ショコラ)「い゛♡や゛♡ぁ゛♡あ゛♡あ゛♡あ゛♡」


 強すぎる快感って使い方によっては毒になる。その最たる例を俺は実演した。


(レイナ)「ガクガクガク……ク、クウちゃん……私に何かあったらパパが……」


 この際俺もカリウスさんとはサシで話すか。


(ユーミ)「そうそう……カリウス様が黙っていないよ……」


 黙ってないのは俺の方だよ。


(カミラ)「ここは平和的に話合いましょ……」


 反省の色なしだな。とりあえず一人一発ずつマナブレスの刑!!!


(レイナ・ユーミ・カミラ)「「「ん゛♡ひ゛♡ぃ゛♡い゛♡い゛♡い゛♡」」」


「もうきかないの。アスカくん、なにされたの?」


(アスカ)「クウ娘ちゃんの口調でずっと……ごめんなさい……ごめんなさい……しくしくしく……」


「かくごするの。カリウスさんもこんどむすめのきょういくほうしんについてせっきょうなの。ミーちゃん、みてるでしょなの?

 クウちゃんほんきでげきおこだから、ちゃ(茶)をよういしてまってろってつたえといてなの」


 するとやはり彼女は見ていてくれたのか、返事がすぐに返ってくる。


(ミー)『クウちゃん了解……カリウスの奴、今目の前で土下座してる。・・・・クウ聞いてる? あちゃ~……待ってるわ。それとお茶碗ありがとね』


「あ、あぁ、あのおちゃわんでいっしょにごはんたべましょうね~なの。ちょっときょういちにちはこいつらののためにじかんをとるの……ミーちゃんまだきいていますかなの?」


(ミー)『聞いてるよ~……何するのクウ』


「このさんにんにおしおきしていいですかなの?」


 問題になる前に言質を取る。これ大事。


(ミー)『好きにしていいわよ。創造神の名の元に許可するわ。ただしアスカくんも同席することが条件ね。ちょっ!? 

 くっつかないで! えっ、クウに直接言いなさいよ。火に油を注ぐ? わかってるじゃないの。そうやって甘やかすからって、クウ切るわね』


 ここで俺に直接文句を言う人なら見限っていたが、そこはやっぱりカリウスさん。やり場のない怒りは後に取っておこう。


「りょうかいなの。おしごとむりしないでがんばってなの~」


(ミー)『はいは~い。えぇ~い、鬱陶しい!』


(アスカ)「創造神様?」


「なの。アーちゃ……聞いてたのね」


 遠くから腕で丸を作ってくれた。問答無用でやっていいらしい。あのテーママまで額に手を置いて溜め息を吐いていた。


「ぶたいはととのったの。さぁアスカくん、いきましょうかなの。クウちゃんとおとこのおそろしさをみせつけましょうなの」


(アスカ)「クウちゃ~~~~~ん!」


 ……ごめんよアスカくん。俺は君をなんてメンツに託してしまったんだ。彼がちゃんとした大人になれなかったら俺のせいだ。しくしくしく……


 で、残るはあと一人……


(マム)「アスカッ! 私達もう夫婦よね? 愛する妻のピンチを守るのが夫の役割(つとめ)でしょ! ほらっ、エリーゼもって……ミカさん!? 仕返しに連れてっ……あっ!……」


 しまったと言う顔でこちらを見るマム。失言?……何故ミカさんの名前がそこで出る? ん……アスカくん?……めっちゃワナワナしてる……


(アスカ)「まっ、まっ、まさか!? 見ていたの?……ボクがお母さんの姿をしたイレぽんと……その……ぐしゅ……クウちゃ~~~~~~~~~ん、うわぁ~~~~~~~~ん」


 アスカくん、ガチ号泣である。ミカさんが仕返し……つまりアスカくんのされた事を知っていた? どうやって……前のモニターの時には確か側で……()()()としていた。


 おうふ……例のチャンネルか……ん? 確かイレーヌさんがミカさんの姿で……おうふ……しくしくしく……俺が彼の立場なら、同じく号泣するよ……確実に……


 ダーーーーーー!!!! きちゃまら全身死刑なの!!!


「くらうがいいの。まなぶれすのみだれうちなの!!!」


(マム)「の゛♡ほ゛♡ぉ゛♡ぉ゛♡ぉ゛♡ぉ゛♡お゛♡お゛♡お゛♡」


 ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……


「……クウちゃんとんでもないことをしてしまったの。あわわ、アスカくんごめんなさいなの……しくしくしく……スタッフ!!!

 このおばかどもをぜんいんかいてんずしのおへやにれんこうするの! ふーこもしきゅうくるように!

 ロジャーさんはクウちゃんがいくまえに……ごにょごにょごにょなの! このてはつかいたくなかったけどちゅうちょはしないの!

 きちゃまらぜんいんこうかいするの!!! ふー、ふー、ふー」


(アスカ)「うぇ~~~~ん」


 丁度レストランホールから出て行く時、アイナママ達が俺の怒髪天(どはつてん)(つらぬ)く姿と、アスカくんの号泣する姿に目を白黒させているであった。



ふつおたコーナー(MC:たまご丼)


ペンネーム「覗くお母さん」さんより頂きました


Q:息子がまさかあんな願望を持っていたとは知りませんでした! 私は愛する息子の為に、母親である事を捨てた方がいいのでしょうか? 


A:難しく考えちゃダメダメ! 愛は垣根すら越えるもの! 愛しく思う事は誰にもあるある! だから無理せず素直になっちゃえ! 【覗くお母さん】さんならいけるいける! というわけでシーユー♪


イレーヌ:アスカ、ママよ~。さぁ~♡ いらっしゃっい♡ くすっ。


アスカ:ら、らめぇえええ~♥ お母さんの姿でそんなことをしたら!? あぁあああ~♥……お母さん♥♥ ボ、ボク……もう我慢が――


 ………

 ……

 …


ミカ:(ア、アスカが……ま、まさか私にそんなことをししししたかっただなんて……えっ!?)アスカ、そんなことしゃちゃダメッ!! 


エリオット:どんなこと!?


ミカ:(あれは私じゃない……動揺しちゃダメよ私っ!? いやぁ~!!! そんな獣のように激しくするなんて!?)もう壊れちゃうわ!


エリオット:何が!?


ミカ:(あの可愛いいアスカが……私のアスカが……)もういやぁああああああ!!!


エリオット:だから何がぁああああ!


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