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えぬてぃあーるなの?

 ペロ揚げ。味と言う一点のみにおいて、俺の作った料理の中でもこれに(まさ)る料理はないだろう。同じ物を作れば恐らくアーちゃんはミーちゃんと同じく進化するだろう。

 だけど……この進化のための料理はただ作ればいいと言う訳じゃない気がする。それは父の悲願を叶えるための料理にもなるからだ。


 ライネスさんとの勝負で俺は何を学んだ? 上を目指す姿勢も良いが、相手の目線に立って作ることが大事だと知った筈だ。アーちゃんはお姉さんであるミーちゃんを心底恨んでいる。それは瘴気しょうきといった最悪の毒を溢れ出すほどに……


 つまり、心が痛いんだ。相手を呪うと言うことは己をも蝕み傷つける。そして、俺はミロとエーコちゃん達の一件で決めた事がある。それは、癒されぬ思いは愛で包みこむ。悲しき想いも上から完全に覆うように包み癒して治す。

 そんな決意をした俺が作る料理はそれだ。妻となる人を愛で包み幸せにすること。そして、父の万感の想いも乗せて料理をすること。…………最後に俺の1つの願いも込めて……



 ………………

 …………

 ……

 …



 二人にはキッチンから出て行ってもらっている。匂いが漏れぬように結界をかけてもらいだ。ペロを調理か……ペロって言うのは俺を通して集まったマナちゃんの結晶体その物。言ってしまえばこの時点で完成されてしまっている。

 それに敢えて手を加えようとしている。つまり、やり過ぎるとマイナスにしかならない。だから、手を加えるとしたら一度のみ。焼く、煮る、蒸す、揚げる……(おも)にこの4つのどれだろう。


 今回はその中から焼くを選択する。作る料理はパン。それもライネスさんに教えてもらったねじりパンを作る。まずは生地となる濃縮されたペロを丼から取り出し、平たく長方形に伸ばして縦に半分子に整える。

 その2つのペロの上にそれぞれ鉱物創造で作った食用銀箔と金箔を均等に振りかける。そして、くるくると巻いて、しっかりと閉じる。


 次にそれを転がして適度な長さに伸ばしたら、2つをぐるぐるっと回してねじる。後はわっかにして両端を合わせてしっかりと閉じ、ハート型に整える。

 これをフライパンの上に乗せた虹色に輝く竹炭に、九重彩焔を吹き付け火を灯す。そこに俺は形を崩さないように特製ねじれパンを慎重に持って火の中にそっと手を入れる。


 (ほのお)に関しては着ぐるみを着ている限りダメージを受けることはない。だから、お構い無しに(ほのお)の中に手を入れても気にせず焼くことができる。

 焦がさないように、協力をしてくれているマナちゃん達を活かすために…………ん? マナちゃん? 気のせいだろうか……マナちゃんが哀しんでいる? 俺が見て来た中でもこれ以上ないってくらいに手伝ってくれている……お願いされている? 何故だかそう感じた。


「まかせてなの。おもいはとどくの。そして、いやしてあげるの……このあいじょう400%のねじりペロぱんで。だからマナちゃんもクウちゃんをしんじて、いつもみたいにクウちゃんのなかでぽかぽかしててなの。クウちゃんはさいきょうですの。はかいしんのあーちゃんをクウちゃんのぱんでいやしちゃうの」


 泣いてるの? ほっぺにスリスリして来たマナちゃんに哀愁を何故か感じた。だから、手が離せないけど頬を優しく動かして、俺はマナちゃんにいいこ~いいこ~してあげた。


 12分くらいで出来上がったねじりペロのパン、名付けて【らぶはーと】は完成した。それを俺はそのまま手に持ってアーちゃんのところへ向かう。今回はお皿に乗せたりはしない。

 俺の手から直接渡すことで伝わる想いもあると思ったからだ。そして、父の悲願を叶えるこの機会に感謝して、俺はマナちゃんを体内にしまってから向かった。



 ………………

 …………

 ……

 …



 クウちゃんの手にキラキラと煌めき、自我を失いそうになるほどの匂いを放つハート型のパンが握られている。その香り、溢れ出るヨダレ、お腹いっぱいだったのに胃が強引に隙間を作り受け入れ体勢を整えている。それはもう、先程の鍋の時の比ではなかった。

 並列思考をいくつも立ててなんとか平静を装っているが、これほどとは予想してなかった。アースが正しかったと言うことか……そこまでする必要もないと私は笑っていたが、笑えない……

 そう、アースは部屋の隅に移動し、多重結界を幾重にも張って耐えていた。流石はクウちゃんのお父さんと言うことか……


「クウちゃんとおとうさんのはーと(想い)をのせてつくりましたの。うけとってなの」


 私の鼻先にちっちゃなお顔が、おててが、あんよが、ふりふりのしっぽが、そして、まるで自分の(ハート)のようなパンを前に突き出しながら、顔を少し横に傾けて、なんて愛らしい微笑みをするんだろうか。

 そんな無防備な顔をしたらダメじゃない!!!! 私をこんなにも澄んだ目で見つめ、そして、恐れない者がいただろうか!? ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!! 全身に強烈で甘く(とろ)ける痺れが駆け巡る。

 今、この渡された彼のハート(パン)がなければ、力のかぎり抱きしめ、無理矢理にでもキスを重ねて塞いでしまっただろう。


 甘い痺れが続く中、手の中にあるパンを見る。虹色に彩られた透き通ったパン。そして、その中には金と銀がキラキラと輝き練り混まれている。…………ハートの形はアースの想い。虹色は彼自身を表しているのね。・・・・・・銀は私……金は奴か。奴と私が交互にねじれて1つに……なんとも我ら姉妹を()したパンなのクウちゃん……


 ……貴方が願うのはそういうことなのね……やはり伝えなくて良かった……奴の罪は重すぎるのよクウちゃん……だから貴方は今のままでいてちょうだい……似合わないもの……人を恨みさげすむ貴方なんて、もうそれはクウちゃんじゃない……この(やしろ)からずっと覗いてた……貴方がアースの元に落とされた日から、いえ……アースがあの地を守り続けた日からずっと覗いて来たわ。


 そんなある日、私の狙い通りに貴方とアースとの生活が始まったわ。最初はアースの寂しさをまぎらわせる者になればいいなと、その程度の考えだった。可哀想な事をしている自覚も、もちろんあった。でも、奴の輪廻の中ではいずれその創魂は壊される。

 

 だから、一時(いっとき)、苦しい日々を過ごすであろうが、その分の見返りと謝罪はいずれ時が来たら保護してするつもりだった。そう……本当に彼という存在はその程度だったのだ。


 ——それが——


 覗いていているうちにアースとクウちゃんの仲睦(なかむつ)まじい親子関係に、何度も羨ましくのめりこんで行く自分がいた。

 慈愛を持って無償の愛を振り注ぐアース。そして、それに応えようと本当の自分に葛藤しながらも、育ててくれた恩を健気に返そうと、一生懸命に素でいい子を演じるピュアな彼。

 そう、彼がいい子を演じる度にアースはますます魅力されていき、更に惜しみない愛情を降り注ぐ。そして、彼もますますそれに恩義を感じていい子に磨きがかかる。

 この愛のスパイラルがずっと見ていて飽きない。時にはずっとにやけっぱなしの私がいた。

 

 この奇妙で面白く、微笑ましい親子は常に何かしらの面白いリアクションをするので、時を忘れて見ていた私の心のオアシスへと、そう、癒しライブへとなっていた。

 それがただ覗いて楽しむどころか、いつしか夢にまで見るようになってしまい……そう、幻影を投影するようになってしまったのだ……いわゆる、もしもごっこだ……破壊神ともあろう者が何をと言われるだろうが、それほどに眩しかったのよ……


 二人の間にお母さん役として紛れ込ませた妄想を何度もしたし、私の中にいるテイレイアの想いから離れて、アースから貴方だけを見る頻度が増えていった。

 あのエヴァと言う娘と同じように、貴方に恋こがれるようになるのにさほど時間が掛からなかった。


 そんな貴方が天界の奴等に壊されそうになった時には、ここから飛び出して、双子が言う通り、狂った天界を一掃(いっそう)するために戦争を仕掛けようかギリギリまで悩んだ。

 でもそれは出来なかった。

 もし、この(やしろ)から出てしまえば瘴気しょうきの毒は途端(とたん)に世界に溢れ、アースのところにその大部分を流す結果になったであろう……だがそれは、テイレイアの想いが決して許してくれなかった。


 そして、その期に奴がクウちゃんに近づき……彼の優しさに触れ、癒され、甘え、そして、悲願の対象となる彼を見初(みそ)めた…………


 ……私は荒れた! 


 許せなかった……お前が!!! 一番彼に近づく事が許されないのに! しかもお前は彼に懺悔すらしていない!! 

 彼が真実を知った時にお前をどういう顔で見るだろう……それを彼に伝えてお前を地獄のそこへ突き落としたい。

 だが、クウちゃんはそれを望まないし……それを伝えるのは(こく)だ……だから私はそれを確かめるべく彼に問いた。

 そして、その答えは予想した通りのものだった……悔しかった……彼に想われる奴が心底憎い……私の方が彼に積み重ねてきた想いは遥かに重い……決して奴に、彼の魂は渡さない。


 そのためにも私は強くならねばならない。クウちゃんを守るためにも。天界の輪廻システムは奴の罪を誤魔化すための飾りでしかない。奴がクウちゃんを私の時ように捨てる時が訪れるかもしれない! 


 だから、決して輪廻の輪の中に入れるものか! あのシステムがある限り、いずれクウちゃんは逃れようのない定めの元に転生し……破壊される……真の破壊神は奴なのだ。輪廻とはいずれミロのように逃れようのない定めに組み込まれれば、(ごう)によってその身と心(魂)を砕き散る事があるのだ……それは永遠の死……破壊のレールに組み込まれた彼らを守るのが、私の存在する理由と罪滅ぼし。


「アーちゃん。さめないうちにたべてなの。なんでしたらクウちゃんがあーんしましょうかなの?」


 いけない、つい、奴のことで……どんなに暗く濁ったこの身でも、貴方の笑顔の光は私に届く。温かい。ありがとうクウちゃん。


(アー)「その方が美味しく食べれるわね。お願いするわ」


 ささくれ立った心が穏やかになっていく……やっぱり私、好き、ううん。愛してる。この目の前にいる小さいけど器の大きな奇跡の子を。


「あっ! こういうときにいうじゅもんがあったの。えっと……おいしくな~れ、おいしくな~れ、もえもえどきゅん♡ ……なんかちがってるきがするけど、おいしくなったはずなの。あーんなの」


 ちっちゃな手、ぴこぴこと動く耳、愛らしい円らな瞳、そして、どこまでも眩しく汚れのない優しい笑顔、あぁ~、どの仕草を取っても本能を掻き立てられる。堪らないほどの愛くるしさ。自然と口を開くと彼とアースの想いが口の中に広がった



 ………………

 …………

 ……

 …



 妹が進化した。その力は恐らく、私よりやや下だが、ほぼ同程度に・・・・・・由々しき事態に神々の一部で抗議が起きている……だけどクウを責めるのはお角違いだ。

 そもそもクウに関しては、こちらの不手際でずっと放置してきたくらいだ。その過程でたまたま神となり、カテゴリーとして我等の同士となったというだけだ。


 そんなクウに今更こちらの義務だの、責任だと問うこと自体、おかしなことなのに。しかも……妹に関しては私の……あぁーごちゃごちゃうるさい、……やめろ……だまれ……クウのせいじゃない……ダメだ……抑えられん!!!!!!


(ミー)「——黙れ!!!!!!!!」


 素で天界中に全力の威圧(プレッシャー)を放ってしまった……何億年振りだろう。テレパシーでゴチャゴチャ言っていた一級神から下級神に至るまで怯えさせてしまった。あー……しまった……これでまた同じ年月、私を恐れて下々(しもじも)の神は萎縮(いしゅく)してしまうだろう……はぁ~・・これをやると誰も意見をしなくなり、いい結果を得ないことがわかっているのに……


(カリウス)「八つ当たりは良くありませんよ、創造神様。私の仕事をまた増やす気ですか……ため息をつきたいのはこちらですよ。また残業が……しくしくしく……」


 カリウスが優秀なのはもちろんだが、コイツはホントに変わらない。私の力をわかった上で恐れず、常にこうなんだからな。

 しかも、今一番近くで威圧を受けたのにも関わらず、仕事の事(残業・休日返上)を心配する辺り、ある意味、誰よりもぶっ飛んでいる存在だ。だからこそ、遠慮なく私に意見を言うカリウスを私の一番の直属の部下にしたんだが……


(ミー)「す、済まん……その——」


 バツが悪い。この痛い空気の中、どんどん凹んでいく……


(カリウス)「らしくありませんよ。貴方は世界の頂点。それにクウちゃんもいずれ分かってくれますよ、創造神様」


(ミー)「おまえ……」


 私の方に背を向け仕事を続けるカリウス。奴の声はいつもと変わらぬトーンで私に語りかけてくる。


(カリウス)「奴の言う事が正しければ私達はなんだと言うのですか? それを決めるのは私達であり、奴一人の意見が全てを代表してるわけではありません。確かに奴の保護下に居て、幸せに日々を送る者もいるでしょう……でも、それすらも元を辿れば貴女のおかげなのです。創造神様、一面だけを見て勝手に凹まないで下さい。私の仕事が増えますので」


 ——済まんなカリウス。


(ミー)「カリウス……クウが猫庭に帰って来たら私は下界に行って来る。そして、……覗くなよ! 覗いた奴はタダじゃおかないと伝えておけよ。と言うわけで分身体を急いで作ってくる。下界用のな。……しかし、テイレイアが奴だったとはな……クウのお義父様を完全に手中に納めた今、奴の手は見えている」


(カリウス)「クウちゃんとの切り離しですか?」


(ミー)「ああ、自分の妻と母親に父親まで私との拒絶を望むんだ。絶対に私との間を認めんだろ?」


(カリウス)「で、既成事実ですか……」


 残念な者を見る目で私を見るカリウスに、私は少し(ひる)む。


(ミー)「そんな顔をするな!! 私は今追い込まれているんだよ! しかもこの後に妹とクウが! クウが! う、う、うぇーーーん!!! カリウス~~~~~今だけお前の胸で泣かじぇてくれぇ~~~」


 妹の奴、絶対に勝ち誇った顔をするに違いない。あぁ~、チャンスはいくらでも合った筈なのに私は期を逃してしまった。

 こうなれば私も送るしかない。クウの元に分身体を! そして、本体と分身体の両方にクウの子を授けてもらう。今度は誰にも邪魔をさせない!


(カリウス)「あ~~~~……こんな貴女様を見る日が来ようとは・・・・双子よ。聞こえているな? お前らに特務を与える。……ああ、そうだ。拒否は許さん。……昇進のチャンスが消えるが済まんな。……お前達ならそう言うと思ったよ。ああ、そうだな。私が行きたいくらいだ。ああ、そうだ、お前らもすぐに取り掛かれ」


 カリウス、お前が私の部下で良かったよ……何日か休暇をやろうと、私はこっそりと決めるのであった。


 

 ………………

 …………

 ……

 …



 うわぁ~・・・・これは見事にアイシアちゃんにそっくりと言うか、アイシアちゃんがテイレイア………


(テーママ)「お母さんって呼んで、クウちゃん。」


「テイレイアおかあさん。ってはずかしいの!」


 両親がいなかった俺にはかなり照れてしまうコミニュケーションだった。父にだってお父さんと呼ぶまでは時間が掛かったのに……


(テーママ)「きゃ~~~~~~! たまんないわ! クウちゃんも好き好き大好き」


 爆誕したテイレイア様もとい、テイレイアのお母さん……略して【テーママ】はずっとこの調子なのだ。


(アー)「ちょっとテイレイア! これじゃあ、アンタを分離させた意味がないでしょ! ほらっ、アースが隅でいじけているじゃない」


(アトラス)「我は……我は……」


 部屋の隅で体育座りをして背を向ける父。あー……あれは完全にいじけてしまっている……そりゃ~無理もないよな……一万年も待ち焦がれた再開が放置って……俺なら折れる。


「おとうさん!? テーママめっ!なの。ママはクウちゃんにおいたをしちゃめっ!ですの」


 俺を抱っこしてる手がお尻をさすりさすりしている。しかも蕩けた顔をして……


(テーママ)「え~~~~、オリジナルだけなんてズルいわ! それともお母さんのこと嫌い? ほらっ、アイシア二号だと思ってらぶらぶしちゃえばいいじゃない? あの娘には10%だったけど、お母さんなら200%でも耐えられるわよ! ばっちこーい、クウちゃん!」


 聞いちゃくれないし……しかも完全にする気である……いや、親子になるんだからダメでしょ!


(アー)「ダメって言ってるでしょテイレイア! 何でクウちゃんに(こだわ)るのよ! 貴女の心の大部分はアースが占めてる筈でしょう!?」


 俺をテーママから奪うと、背を向けて俺を守るアーちゃん。よちよちと胸からアーちゃんの肩まで上がると、テーママが頬を膨らませて腕を組んでいた。


(テーママ)「それをオリジナルが言う? 分離する時にクウちゃんへの溢れんばかりの想いが、私にも移っていたのに気がつかなかったの?」


(アー)「なっ!? この私が制御に失敗したって言うの?……あっ……」


(テーママ)「そうよ。進化の段階を飛ばしすぎたせいでしょうね。流石のオリジナルでも失敗(ファンブル)してしまったのよ。で、私に文句を言うってことは自分に言うのも同じなんですけど?」


 アーちゃんはミーちゃんと瓜二(うりふた)つの姿へと成長した。本当に違う点は髪の色くらい。その力は前とは比較にならないと豪語していた。


(アー)「ぐ、……でも、アースの事はどうするつもりなのよ?」


(テーママ)「だから、これからそれを決めるためにもらぶらぶを、親子共々すればいいでしょ? それで私の連れ添う人を決める。私の流儀は常にたった一人の強者と共に。そんな私だから好きになったのよね? そうでしょ、アース」


 笑顔の脅迫だ・・・・父が絶句している。


「さすかにおかあさんとらぶらぶはまずいの!」


(テーママ)「あら? 血は繋がってないんだし平気よ。それにクウちゃんが相手をしてくれないんならアースはいらないわ」


 ダーーーーー! 父の髪の毛が徐々に白くなってきてないか!? そんな現象初めて見たよ!? 

(アトラス)「グハッ!」


 わーーーー! とうとうダメージが肉体にまで!! 多分、父の中では「アースはいらないわ」のシーンを何度も脳内再生されてるに違いない……


「おとうさん!!!! もうやめてなのママ! おとうさんがはい(灰)になってるの!」


 燃え尽きたように体育座りから大の字に移行した父は、霊体になって小さな天使二体に連れ去られようとしている、そんな幻視を俺は見て慌てて蹴散(けち)らす。


(テーママ)「ね~~お母さんもクウちゃんのことを好きなの。もう、アースと同じ……いや、それ以上ね。てへ」


 ムクリと起き上がった父は無表情で(やしろ)の出口に体を向ける。


(アトラス)「……クウヤよ……しばらく我は長旅に出ようかと思う……」


 かすれた声で父がとんでもない事をいい始める。


(アー)「テイレイア! アンタを更に分裂させるわ。こっちにいらっしゃっい!」


(テーママ)「冗談言わないでよね! そんな事をしたら分裂した後も本気でアースの事を捨てるからね! 自分の分身体だからやれるかどうかは分かるわよね? 私の意思の強さはいくら別れても変わらないわよ!」


 父に捨てられる? 親子の縁を切られる? 想像した途端、俺はまた一人になってしまう恐怖が……父とのほのぼのとした12年の日々が走馬灯のようによぎり、気がついたら俺の中身もクウちゃんになって……


「おとうさんいっちゃっやなの! うえぇーーーーん……クウちゃんいいこにするからすてないでなの~~~!」


 流石にガチ泣きする俺に歩みを止めた父はアーちゃんとテーママを恨みがましい目で睨む。


(アトラス)「ぬぅ、テイレイア様にオリジナルの破壊神様・・・・貴女達を我らは恨みますぞ……しくしくしく……すまん! クウヤよ! よしよし……」


(アー・テーママ)「「ごめんなさい」」


 ピッタリとハモリ、重なるように全く同じ動きで土下座した二人を見て、俺は少しイラッとした。


(テーママ)「だいたいね! オリジナルがいけないのよ! 下界に私を作る時もこんなにリソースを()くから勇者のパーティーになるような私が生まれたんじゃない!」


(アー)「ちょっと待ってよ! 私は貴女が下界に降りても苦しまずに楽しめるよう考えて降ろしたのよ? だから色々と無茶が出来たんじゃない!」


 おうふ……テイレイア様の無茶苦茶な設定の理由が明らかになったよ……そりゃ~アーちゃんの分身体ならヘタな神より強いんじゃないか?


(テーママ)「じゃあ、あの料理スキルは一体なんなのよ!」


(アー)「瘴気しょうきの毒のせいで何を作ってもああなるのよ! 仕方がないじゃない!」


 後日聞いて判明したのだが、アーちゃんとテーママは分身体と言えども別のラインで繋がっているそうなんだとか。

 流石に分身体に何かが起こって回収が出来なくなるのはマズイので、そういった保険的な処置がなされているのだとか。

 そして、その影響でテーママの作る料理にはもれなく瘴気しょうきという悪魔のスパイスがトッピングされてしまい。それが料理を通して父に……


(アトラス)「我はあの頃から犯されていたのか……」


「わーーーーー! おとうさんがまっしろに! たましいがまた!? こらっ!! つれていかせないの!!」


 結局話し合いの結果。頑として引かないテーママは、俺と父の両方とらぶらぶをして判断するということになった。親子共々、破壊神とテイレイア様の二人に人生を翻弄される、俺と父の似た者親子であった。



 ………………

 …………

 ……

 …



 凄い状況になっている……二組の置かれた布団。そして、アーちゃんとテーママはそれぞれのお布団に入っている。俺と父は顔を合わせて諦めた顔をする。


(テーママ)「ちょっと! 二人ともなんて顔をしてるのよ! こんな美女とらぶらぶするって言うのにそんな顔をしないの!」


(アトラス)「何故、布団が一緒に敷かれているのですか……」


「テーママ! はっちゃっけすぎなの!」


 せめて個室で別々にしようよ……俺と父は四つん這いになって崩れ落ちた。


(アー)「聞かないのよ……テイレイアが……」


(テーママ)「だってさ、オリジナルの方が先にクウちゃんとらぶらぶするって言うんだもん。私はアースともするんだし、その分クウちゃんを独占できるんだから、せめて近くで見ててもいいじゃない。それにアースが私を満足させたのって数えるくらいしかないし……」


 今日一番の爆弾をぶっこんできたテーママに、俺はもうなりふり構っていられなかった。


「あーあークウちゃんはなんにもきこえませんなの! にゃんにゃかにゃんにゃんにゃ~~~~んなの!」


(アトラス)「……お願いです……せめて息子の前では言わないで……」


 父の周りには涙で水貯まりが出来ていた……(むご)い……


(アー)「アンタは本当にもう一人の私なの?」


 流石のアーちゃんも胡乱(うろん)げな目付きでもう一人の自分を見る。


(テーママ)「でなければこの場所に数分も持たずに死滅してるでょ?」


 確かに……これ以上ない証明である。


「おとうさん! クウちゃんかんがえごとしてたし、おうたをうたってたからなにもきいてないの! おとうさんだいすきなの。いいこ~いいこ~なの」


(アトラス)「……ありがとうクウヤ(グハッ! 今はその優しさが痛いぞ……テイレイア様は生前よりパワーアップしておられる。この傍若無人(ぼうぎゃくぶじん)なのに何故が周りをまとめて仕切るとこなど……)」


(テーママ)「じゃあ、アースいらっしゃっい。成長した貴方の全てを見せてご覧なさい。……もし、ヘタレるようならクウちゃんのお布団に行くから気合いを入れなさいよ」


(アトラス)「……どっちにしろ行く気でしょうが……」


(テーママ)「それでもよ。私は強い者に恋こがれ、真の強者にしか身も体は許す気はないわ。そして、強さとは何も武力的な力だけとは限らないわよアース」


 あれはテーママ……アイシアちゃんじゃない……あれはテーママ……エーコちゃん達のばかぁ~! あんな事を言うからテーママとアイシアちゃんが重なって見えちゃうじゃないか……しくしくしく……


(アー)「それはそうね。確かに純粋な戦闘力で言ったらアースはクウちゃんより遥かに上だけど、女を喜ばせ、幸せにする力はクウちゃんと立場が逆転するし……その力もねぇ? (そう遠くないうちに追い越されるかもよ)」


 ここまで言われた父は本気を出すに違いない! 頑張って父! 明るい家庭を築くためにも!


(アトラス)「我の龍の力をお見せしますぞ、テイレイア様!」


(テーママ)「カモ~~ン♪」


(アー)「ふふふ、この時をずっと待っていたわクウちゃん。……もう我慢出来ない!!!」


 父と母が隣で初めてしまった。そして、俺も大人へと変身し、アーちゃんに押し倒されてキスの嵐を喰らっている。

 心の中でミーちゃんに謝った後、俺は腹をくくった! 今はアーちゃんを愛することだけを考えるんだ! 俺はミーちゃんを忘れて一人の女性としてアーちゃんの事だけを今は見つめて愛した。



 ………………

 …………

 ……

 …



 凄い! バラバラになっちゃっう。そんな陳腐なセリフが当たり前の湧き出てくる。クウネルを見ている女なら一度は絶対に思った筈だ。クウちゃんに抱かれたいと! 

 それは男が極上な女を抱きたいと言うのと変わらない本音だ。女だって、ましてや神にだって性欲はある。


 この私だってもちろんある。無論、この人なら抱かれてもいいな? なんて思える者は、永遠とも呼べる時を過ごしても二人しかいなかった。そう、だから、テイレイアのように下界に分身体を落とし、幾度も仮の人生を回収しては熱い恋愛をさせて楽しんだ。


 だけど、ここから眺めることしか出来ないオリジナルの私がここまで想った存在はクウちゃんが初めてだった。そして皮肉なことに、奴と想い人まで被るとは……ははは、今頃悔しがっているだろう。


(アー)「クウ、もっと飛ばしても平気よ。私ならクウのッ……全力を受け止めてあげられるわ。それと、ん~~~~~ッッ! キズ口をそんなになめちゃらめぇ~!」


 クウちゃんが奴によって切り裂かれた腹のキズ後を美味しそうに、優しくペロペロと舐めてくれるのだ。まるでそれは母猫が私のために毛繕いをしてくれるような……母なんている筈もない私がこんな事を感じるなんて……あ、あ、あ、凄い! ~~~~~~~~ッッ!!

 考えるのも一苦労だわ。しかしクウちゃんは凄い。私の体から、それも瘴気しょうき(かたまり)を舐めても平気な存在なんて、彼と彼に加護を与えたあの双子神の女神くらいだろう。


 彼が愛しく優しく舐める度に私の体は弓なりに折れていき、彼の優しい責めにもうなされるがままである。

耐えられるが余裕な訳ではない。むしろ耐えれる分、頭に駆け巡る膨大な量とケタの違う快感の波にチカチカと頭と目の奥が霞んで何も考えられなくなる時がある。この私がだ!


 これを下界の者が挑んだと思うとクウちゃんに抱かれた女性、それもアイナやセーラの二人には特に見方が変わってくる。凄い娘達だ。そうこうしているうちにクウの頭が私のアソコに顔を埋めペロペロをしてくる! 


(アー)「●◆◆◎〒▲△☆○■□♂♂〒▼◎」


 嘘だ!? と思わずにはいられない! 分身体から得た経験は一体何だったのだ? この段階で既に私の追体験で知った愛し合ったの最高頂時よりも三段階は上の次元の快感なのではないか?

 いや、驚くのはそこだけじゃない、クウちゃんは恐らく恐ろしいほどのスピードで成長を遂げている。あっち方面でだ。だからそれを受け止められる私とのらぶらぶで更に加速度的に力をつけてしまっているんだ。無意識にリミッターを外してしまったクウちゃんは手加減を知らなかった。


 もう全身がどうなっているのか分からない。この微かに聞こえる声は私の喘ぐ声? それとも隣のテイレイアの声? 並列思考をいくつも立てないと考えられないようになるくらい!? って、こっちにまで快感が押し寄せて来る!?


 嘘!? いけない! 更に増やさなッッ~~◆〒▽△★●〒♂♂°°°♀〒▼◎●▼


 ギリギリ間に合った……危なかった。念のためために後5つ立てよう。もう30もの並列思考の私が飲み込まれてしまったわ。恐ろしい子よクウちゃん。あっ、アースが果てて……ヘタレ決定ね。

 息子の方が無双してるって言うのに。あぁ……テイレイアがこちらを見て物欲しそうにヨダレを垂らしている。そんなに羨ましそうに見ないでよ! 私、オリジナルでは初体験なんだから!! 分身体のばかぁー!


 流石にオリジナルの私の初めてだから手を出しては来ないけど、二回戦目は確実に乱入してくるわね……もう、アースのばかぁ! っていけない!? ここもダメな◎○▽▲△○▼♀♀°□□°♂◎◎●▼★


 緊急会議するよ私! ってごめ♂〒●○▲▲♀°◆★☆


 ここままだと全員呑み込まれない? って健闘を☆▽°■◆♀♀▼▲△★●〒〒◎◎


 いやいや、だって並列思考50体分よ? キターー○◇◆°♂▼▽△☆○〒〒♀◇◆♂


 あっ、44体目が呑まれた……速すぎ◇●▼▲☆○▽〒♀◆□□°▼○◇


 ねえ、まだ1つにもなってないのにどうするの……★△▼〒♀◇◆♂♀◎◎●●▼▼♀


 オチが見えるのは私だけかしら? あ、あ、あ、●☆☆◎◆□°〒▽▲●◎♀◆◆


 全員で言うの? まさかこんな日が来ようとは……○▲☆◎◆□♂▽△●♂〒▼▼


 あぁ~余波だけで何度も往っていまうのに……◎〒〒▽△★△▽◎◆°°▼▲△▲


 あっ、残りは私一人なのね……いいわクウ。貴方に鳴かせてもらうわ。 んッ!!!◇●●▼▲★△▼◇♂♀〒◎〒▼▽▽


『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『らめぇぇぇぇ!!!!!!!!!!◇●▼▽★★◇□°♂〒☆△▲▽◎♀』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』


 クウと1つに繋がった瞬間、50人の私達は同時に心の中で叫ん●★△©〒〒♀□◆°♂〒▽○▲®♀


 

 ………………

 …………

 ……

 …



 オリジナルのバカバカバカ!! 何で私にクウちゃんへの想いを残したのよ! アース、ごめんなさい……クウちゃんのアレを見てしまった私は、貴方への想いを残せるか自信が無くなったわ……綺麗事を言うつもりはないわ。それくらいにクウちゃんのアレから目が離せない。


 ダメよテイレイア! 本気になってはダメっ……あぁ、クウちゃんのホッペとお口は何でこんなにもふもふしてるの? 20歳の男の娘だからかよりもふもふしてるように感じる。

 そう、見た目は女の子なのに触れると男の子で、でも、たくましい肉体なのにもふもふしてるから女の子を抱いているようにも……あぁ~、私は何を言っているのか支離滅裂だ……。

 そして、身長があまりないクウちゃんは少年? 少女? 子供とも大人ともまた違った中性的な位置に全ての要素をまとめている。それに何、この感じ!? 未知の愛に包まれているような……!? 穏やかになっていく温かさは!? ……マ……いやいやいや、何を言ってるの、私わ!? んッッ! あぁ~体に甘い痺れが広がって往く……


 クウちゃんからも優しくキスをしてくれる、あ゛あ゛あ゛あ゛~~アース、ごめんなさい! この時点で既に貴方より何十倍もいい。もっとキスをしていたいのに体中がこれだけで往ってしまい痺れて動けない。

 糸の切れた人形のようにクウちゃんにのしかかる私を、クウちゃんは布団に優しく支えて倒してくれ………!?◎〒▽☆△●◎♀♀°□◆◇〒〒


 な、な、な、何今の!? お腹を少し舌が這っただけ◇〒●○▲▽▼◎◇♂♀▼▼●▽、だ、だ、ダメよこんなの! こんなの軽いジャブみたいなものなのに! あっ! 胸を●▽▽★▲〒♀◆°※■□◇♀▽▲▲★○▼〒〒◎◇♀♂◆♂°※■◎▼▽


 こ、こ、壊れ、壊れちゃ、う、ううーッッ!! し、し、死んじゃう……とんでもなく凄い!!!!!! もう、好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き◇◎●▲★●◇♂♀〒●○★▽◎◇□□°♀◎▼


 さ、最強よ。こんなのを例えば戦闘中に軽くやられたら、反撃どころか立つことだって出来ないし、避けたくないし、防御なんてもっと不可能よ!? ◆〒●○○▲▼♀♂♀▼▼あ゛あ゛●○▽°思考が◆〒▲▲上手くま〒◎▼▽□とまらい。


 ……あれから何時間経ったの? いや、クウちゃんが一度も変身を解いてないってことは……まだ数分の間の出来事なの!? う、嘘よ◇●▼○★▽●◎■あ゛♡あ゛♡~~~~こんなの耐えられる訳がないわ! ダメ!!! またくるくるくる! あ゛♡あ゛♡~~~~アースごめんなさい。無理よ!!


 恨むならオリジナルを恨んでってクウちゃん、あ゛♡あ゛♡~~~~懺悔をさせてくれない♡♡♡ もう私はくうちゃんのおんな♡ クウち□◆♀●ゃんクウちゃんクウちゃんクウ○▽〒◇ちゃんクウち〒▼〒ゃんクウちゃ♀●▽▽▲んクウちゃんクウち◎〒仝♂⇒ゃんクウちゃんクウちゃ●▼▼んクウちゃ♂◇〒んクウちゃんク◇◎●☆▲▽ウちゃんクウ♂♀▼ちゃんクウちゃん●▲▲〒◇クウちゃんクウ♂◇◇〒▼ちゃんクウち▼○▽〒◇♂ゃんクウちゃん


 ば、ばきゃになっらわたしゅをあ゛♡あ゛♡ あ゛ーしゅがが、が、が、ここここ、こっちをみ、みてりゅ◇〒▼▽▲★●〒♀♀◇◎む、むひ◆♀▼○ぼう踏む□●▽日世湯世土


(アトラス)「いかん、クウヤ!!!!! 止めよ!!!」


「・・ぬぁ!? わーーーーー! テーママごめんなさいなの!!! そのついアーちゃんの時の勢いが残っててつい!」


 やめらいれ……あーしゅのばかぁ~! ……………………………………壊して欲しかったのに!!!!! あの先の次元にあと少しで往けたのに……もう!!!!!! 

 私の事を気遣ってくれたアースには悪いけど、女として至高の悦びを邪魔された私は逆切れし、頭にあった枕を痺れる手でなんとか動かし、アースに投げつけては、私はまた途切れる事のない快感の余韻の中、溺れていた。


 オリジナルは凄いわ。何で最後までいけたのって……またくるくるくるくる来る!!!!!!!! も、もうク、クウちゃんは手を出してもいないのに!? そう、ただ寝ているだけなのに! 快感の余韻が全く消えない!!! 何で!?


(アトラス)「クウヤよ……父に教えてくれぬか……恥もなにもない……テイレイア様を我では……しくしくしくしく……」


「お父さん泣かないでなの。あううう! クウちゃんはどうすればいいのなの!?」


 途切れて行く意識の中で思った……次元が違うわアース……辿りつくのが無理とは言わないけど……クウちゃんに並ぶまで私は待てないわ……ごめんなさい……私の身も心もクウちゃんのものになった。

 いや、表現が違う。私自らの意識で全てをクウちゃんに捧げる事となった。まさか、たった一度の交わりで勇者カロン様を越える人が現れるとは……クウちゃん……私の勇者……さ……ま……



 ………………

 …………

 ……

 …



(テーママ)「……と言うわけでアース、残念ね。私はクウちゃんにもう鷲掴みにされたから、貴方の子を宿せないわ。でも、貴方を慕ってはいるから親子の関係ではいましょ。」


 テーママは清々しい笑顔で父の両肩に手を置いて、うんうんと唸っている。そして父は……


(アトラス)「・・・・・・・・」


 今の父ならスライムだって倒せる……こんな父を見たくて俺は……俺は……うぅ~、親不孝者だ……しくしくしく……


「お父さん!!!! 罰にクウ娘ちゃんを好きにしてなの……テーママのおばかぁ~! クウちゃんの恩返しが仇で返すことになっちゃたの! しくしくしく」


 父を揺さぶるも反応がない。し、死んでないかこれ!?


(アー)「クウちゃんに破壊神殺しの称号として、この栄誉に私が加護につけてあげる。………………ハッ!! これでクウちゃんが他人の女をいくら取っても相手の男に一切の負の感情が沸かないわ。ね、アース?」


 冗談を言うなら時と場合を考えてと言いかけたが、ガチだった……


(アトラス)「ぬぅ、我は一体……不思議だ……先程まで精神の狭間でさまよっていたのがまるで意味不明だったかのように感じるとは……むぅ、頭で整理すると物凄く複雑だが、まあ、あのままでいるよりかは遥かにこの方がマシだ」


「まるっと納めちゃダメでしょアーちゃん! ちょ!! 顔反らさないの!!!」


(アトラス)「いやクウヤよ。これで良い。敗者の我にこれ以上ない慈悲だ。破壊神様を責めるのは筋違いだぞ」


 じゃあ、俺はどうすれば父に恩返しを……


「うわぁ~~~~ん! お父さん、クウ娘ちゃんを好きにして下さいなの!」


 もう、父の子を孕むくらいしか思い付かん!!


(アトラス)「バカな事を言うんじゃない。ありがとうクウヤよ。父は加護のおかげでもう平気だ。だから泣き止むがよい」


(テーママ)「一件落着ねクウちゃん」


 ブチブチブチと血管が切れる音が聞こえた! こらぁ!


「テーママ!!!!!!! そこに座るの! お説教なの。」


(テーママ)「言葉責めなの!? いいわ! 来てぇ~♪」


(アー)「テイレイア! 貴女は少し私に遠慮なさい!」


(アトラス)「ふははは、テイレイア様の孫が二人もか……ぬ、なんだ? 何故涙が出る? だが、哀しくはない……はて? なんとも妙な気分だ。」


 心の奥底では血の涙を流しているんですね……父よ……


「少しはお父さんの気持ちを考えるの! ぷんすこ! 聞いていますかなの!?」


(テーママ)「大好きよクウちゃん。ねぇ~、キスして」


 こうしてしまったのも俺の責任である。なら……


「ダーーーーー! もうお父さん、クウちゃんをひとおもいに殺ってなの!! クウちゃんの良心はこっぱミジンコなの……しくしくしく……」


(アー)「分身体作った意味がないわね……アースごめんね。」


 俺と一緒に土下座するアーちゃん。何故こうなったと思う一人でもある。


(アトラス)「それよりも加護は絶対に外さぬようお願いします。多分我は外した瞬間に心が押し潰されて……砕けてしまいそうな気がしますが(ゆえ)に。では、我は帰ります。皆に安心だと伝えておくぞクウヤよ。だから、テイレイア様としっかり孫を作るようにな。ではテイレイア様。猫庭にてお待ちしております。また後程お会いしましょう」


(テーママ)「は~~い。アースまたね~♪」


 父の背に向かって手を振るテーママ。俺の伸ばす手は届かず、虚しく写る。


「しくしくしくしくしくしく。お父さんにクウちゃんは……」


 俺の魂がもし砕ける瞬間があるとすれば今でしょ……だけど、俺の中のマナちゃんが必死に俺を元気づけているのと……何故が謝っているような気がした。


(アー)「クウちゃんいいこ~いいこ~。このお馬鹿テイレイア!」


 クウ娘ちゃんの状態でも軽々とお姫様抱っこしたアーちゃんは、俺を布団にそっと置くと添い寝をして頭を優しくナデナデしてくれる。


(テーママ)「だって、クウちゃんのエッチが凄過ぎるんですもの。アースには悪いけど、私は真の強者にしか惚れないのは変わらないわ。ね~クウちゃん♡ 私まだ最後までしてもらってないの。ね~ね~♡」


 アーちゃんの反対側に添い寝して、甘えてくるテーママ。


「今日はもうおしまいなの! お父さんに申し訳なさ過ぎてそんな気分にって!? 首をペロペロしないの!」


(アー)「……私もそのまた……ね~クウ~♡ いいでしょ?」


 そう言いながらアーちゃんの目は既に蕩けていて、頬に手を添えて俺の顔を自分の方に向けると……


「待つの二人とも!? む~~~~・・・・ぷはっ! ……もう自棄なの!!!! 特にテーママにはたっぷりとお仕置きなの!」


 本当に気絶しても続けてやるんだから!! 俺はずっと優しく相手に気遣いながらしてきたけど。テーママには俺の欲望のままにらぶらぶしてやる!


(テーママ)「きゃ~~~~来て来てぇ~♪」


(アー)「この娘を作るんじゃなかった。」


 後日ミーちゃんに会うのが凄く怖いと思いつつも俺は父の想い人を奪ってしまい。更にそんな事をしても相手の彼氏や旦那から恨まれぬと言う、とんでもない加護まで授かってしまった。


 俺は世界中の男からこう言われるであろう。






……………………()ぜろと!

ふつおたコーナー(MC:たまご丼)


ペンネーム「これってフラグかな……」さんより頂きました


Q:ずっと御恩返しをしたいと思っていた人のところに行けるようになったのですが、彼は肉食系男子になってしまいました。私はどうしたらいいでしょうか。


A:肉食だろうが草食だろうが変に意識しちゃダメダメ! 真心とは気づかれずにやるもの、たがら先手必勝! 彼の望むことをこちらから仕掛けちゃえ! これってフラグかな……さんならいけるいける! というわけでシーユー♪


サ:空夜さんはセーラさんくらいの年頃が好みなのよね……なら、初めて会った時の年齢に……って兄さん!? 何を作ってるのよ!!


ト:そりゃ~空夜さんの相手をするのに完全な男じゃ嫌だろ? だから俺も男の娘になろうと思ってパーフェクト・トー娘ちゃんを作ろうとな……ここをああして……でこれをこうして……


サ:や、止めてよね! 男の娘だなんて、兄さんの変態!


ト:……サーヤ……気持ちはわかるが……それ、絶対に空夜さんの前で言うなよ……俺だけに言うのならいいが、……言いたいことはわかるな?


サ:………………あ、ごめんなさい……(空夜さん、パーフェクト・クウ娘ちゃんだった……)


 ………………

 …………

 ……

 …


ク:はくちゅん!…………なの?


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