はんせいてんなの
昼食に回転寿司を食べてもらったセイギフトのみんなをにゃんこわーぷで送迎してから俺はロジャーさん逹を集めてミーティングを開いた。
この2日間で寄せられたご意見や感想をまとめ改善する為だ。
……ん!?会議にお茶じゃなくてスタッフさんが缶ジュースをみんなに配っている…………まあいいか…
「さきにひとことなの!みんなおつかれさまでしたの♪まごころをこめてのおもてなしにマリアちゃんたちはえがおでかえっていってくれたの♪これからもいそがしくなるけど、みんなのきょうりょくのもと、よりえがおがあつまるばしょにしたいの♪よろしくなの♪」
まずは主として労いの言葉を切り出してから会議を始めた。そう、ただふんぞり返るだけなら誰にだって出来るのだ。
「我ら一堂そのお言葉が何よりの褒美で御座います♪ではクウ様………セイギフトの方々より頂いたクレームを先にご報告致します。」(ロジャー)
キリッ♪とした顔に戻り場を締«し»めながらロジャーさんの報告に耳を傾ける。
「まず最初に報告するのはトイレの使い方が分からず、セイギフトの方々が難儀されたと多くご意見が寄せられました。その中でも自動で開く便座カバーを見て、裏に使用人が控えていていると勘違いした女性の方々が、用を足している音を聞かれるのが恥ずかしい等のクレームが御座いました。その他にもウォシュレット機能で悲鳴をあげた陛下の個室に騎士団が駆けつけて一悶着が………すぐにスタッフが駆けつけて説明し解決しましたが、我々が当然と思っている事もそうでないと感じさせられる一件でした。」(ロジャー)
異世界のトイレ事情って汚い話になるがあまり清潔ではない。
俺もセイギフトに来てからアイナママの自宅のトイレを見た時に水洗なのだが、いわゆる和式タイプのトイレで…用を足してから天井から釣り下げられているヒモを引っ張ると流れるのだが、流れる水の勢いがあまり良くない。
しかも完全に流れるまでずっと引っ張らないといけなく快適とはほど遠い。しかも、大の方ではゴワゴワした新聞紙のような紙で拭かなくてはいけなく、これが拭きすぎるとあそこが腫れてしまったりと一歳児には厳しかった。
だが、これでもアイナママの自宅のトイレはマシな方で酷い所ではただ穴を掘っただけのトイレ?に紙の代わりに大きな葉っぱが用意されている等…原始的すぎるのだった。
「あぅ!そうだったの……クウちゃんもここのおといれになれすぎていてしつねんしていたの………とびらのうらがわにだれでもわかるように……そう、えでわかりやすくしたせつめいがきをよういしてはってほしいの!」
ミイちゃんのような小さなお子さんもいるだろうし必要だ。
「はい!ただちに!……君と君。すぐに作成に入ってくれ。」(ロジャー)
「「畏まりました!」」(執事N・メイドN)
控えている二名のスタッフが即行動に移る。ここのトイレの数は多いから骨の折れる作業になるだろうが頑張ってほしい。ただし…
「たくさんあるからがんばりすぎないようになの♪むりなくまいぺーすでやってなの♪」
「「御意♪」」(執事N・メイドN)
この御意って言葉を聞くとどうしても医療系の権力を連想してしまう。
「クウ様、トイレに関連してなのですが、マリア女王陛下よりトイレに関する技術提供とトイレットペーパーの購入を打診されましたが如何なされましょうか?」(ロジャー)
快適だったんだろうな……うん、分かるよ。トイレの技術に関してはもう出来た物だから詳しい構造が分からないけど、トイレットペーパーなら個人的におゆずりしてもいいんじゃないかな?それにミイちゃんやミズチちゃんがいるんだ。
「といれのぎじゅつていきょうはわかるはんいでならいいの。あと、といれっとぺーぱーはしきゅうこていかさせたものをいっかげつぶんおくってほしいの。それと…ミイちゃんようにかわいいえがらのついたといれっとぺーぱーにしてあげてなの!クウちゃんのせかいにそういったものがあったの♪」
アヒルさんやワンちゃん等の可愛いトイレットペーパーで子供の関心を促し、一人でトイレを出来るようになど色々考えられた物である。
「畏まりました♪固定化に掛かる費用はさほど掛かりません。一年分で消費MP120ですがよろしいですか?」(ロジャー)
もちろん、俺はロジャーさんの手を握り支払いを済ます。
「おねがいなの♪つぎのほうこくおねがいなの…」
目で後ろに控えているスタッフに合図を送ると早速作成に向かったようだ。
「はっ!次のご報告は大臣の皆様より寄せられたもので漫画喫茶にある漫画の貸出しを希望なされる声が多数ありました。」(ロジャー)
「それはいまのところきゃっかにしてなの。クウちゃんのこじんてきなおもいになるけど、あれらはまえのせかいのさっかさんが ち のにじむおもいでつくりあげたものなの…べつせかいだからちょさくけんもないけど…それでもそとにひろめてかってにこぴーされたくないからほりゅうなの。」
個人的な思いだが、ここだけでしか読めない物に敢えて俺はしたかった。
○塚先生、○子先生、○山先生、樫○拓○先生、大○藤○先生、赤○子先生の作品は俺の人生を潤してくれた偉大な方だ。
他の先生方もそうだ……それ故に俺は手前勝手な漫画喫茶で読んでしまってすいませんと心の中で謝る。
「ではその様に致します。次は自動販売機でミイ様が押しまくり遊ぶといった微笑ましい事件?が御座いました♪それと上段のボタンが届かないとミイ様以外の猫人族の方からも要望がありましたので台を設置いたしました。」
楽しかったんだろうな。スタッフのみんなも微笑んでいるし。あっ………会議に缶ジュースっておかしいなと思ったらそういうことか…美味しくいただきましょう♪
「ぴんぽんだっしゅみたいなの……」
「あっ!クウ様それに関しましても、お部屋に入る前にチャイムを鳴らした所、皆様大慌てで剣を抜かれまして……この件もお部屋の案内時に説明に入れる事にいたしました。次は【にゃん♪にゃん♪】に行かれた騎士団の方々とアスモデウスからのご報告を…」(ロジャー)
ふははは♪ちょっと見てみたかったと不謹慎ながらも思ってしまった。【にゃん♪にゃん♪】の事じゃないよ!チャイムの事だよ!
「お気に入りの娘を巡り団員同士がケンカを起こしたとアスモデウスから報告にありました。それとゼンガー氏とかなり熱をあげてしまったマーメイドが二体ほど……その…互いに相性が良すぎたのでしょうか……監視してたスタッフからの報告では傷心気味だったゼンガー氏に特に気の優しい二体がその………」(ロジャー)
………気まずい空気が場を支配する。どうしよう…事態は俺の予想の斜め上を行っている!
もう、お気に入りの娘を奪い合った?んな事はどうでもいい!
予約制にでもすれば今後はいい話だ……それよりも…ゼンガーさん!!!!!遊びに入れこんじゃダメでしょ!!!
本気になっちゃっダメだって!!どないしよ………もし、これでゼンガーさんの家庭が崩壊したら俺!責任取れないよ………
「かいけつさくとしてよやくせいにするの…………………ゼンガーさんは…………………………………………………………………………………………………………クウちゃんがちょくせつはなすの……ロジャーさん……マリアちゃんにおてがみをかくからどとけてなの…」
相思相愛でも家庭を壊しちゃあかん……俺の責任だ。俺が直接話をつけるのが筋だ。その為に今、この場でマリアちゃんにゼンガーさんと話をしたいから呼び出して欲しい旨を宛てて、ロジャーさんに手紙を渡す。
「…………畏まりました。今後もこの用なケースが出るやも知れぬのでご利用前に責任を問わぬ書状に一筆書いて貰い、会員制にするのがよろしいかと♪」(ロジャー)
「なの!つぎからはてっていさせてなの!!」
第二のゼンガーさんを作ってはならない………
「大まかな報告は以上で御座います。クウ様、お話が変わるのですが、オーク500体分の解体が終わりまして保存してありますが如何なさいましょうか?」(ロジャー)
終わりしだい報告してもらうよう頼んでいたが遂に終わったか……お姉さん逹を苦しめたオーク共。その素材をどうしようか俺は悩んでいた。
出来るだけお姉さんから遠ざけたがったが冒険者の道を選んだ以上またオークとも再開し、戦う事もあるだろう。
「…………ませきいがいのつかえるものはほぞんなの。ませきはきぐるみにしてせんようのおへやをつくってそこにまとめるの。」
どこかの村や町等で大規模のモンスター襲来があった時はこれで対応しよう。
「至急御用致します。私共からは以上で御座います♪」(ロジャー)
「りょうかいなの♪そのつどなにかあったらほうこくよろしくなの♪では!かいさんなの♪」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ぞろぞろと各々の仕事に戻って行く。その最中、俺は労いの言葉を掛けていない人がいるので【にゃん♪にゃん♪】へと足を運ぶ。
そう、新たに生み出した彼女逹とまだ一言も主なのに声すら掛けてないのだ。これはいかんと思い重厚な扉を開き中に入る。
散々と照らしつける太陽に心地よい潮風。そんな海に囲まれた無人島の沖に彼女逹はいた。
波に乗りスーっと移動し遊んでいるマーメイドにビーチボールで遊んでいる娘もいる…綺麗だ…いかんいかん!
俺はリュックを砂浜に置き、沖で遊んでいるマーメイドに近づき手を振る。
「こんにちわなの~♪」
「あっ!クウ様♪みんな!!!クウ様が来られたわよ!!!整列して!!」(マーメイドA)
続々と海面に集まるマーメイドのお姉さん。その数は100体。ゼンガーさんが夢中になってる娘がこの中に……
「みなさん!けんげんしてもらったのにごあいさつがおくれてごめんなさいなの。きのうはごくろうさまでしたの♪」
俺がペコリと頭を下げると笑顔で返事を返すマーメイド達。
「勿体なきお言葉ですクウ様♪我らは貴方様により生み出された者♪左様な些細な事はお気になさらずに♪」(マーメイドB)
「そんなわけにはいかないの!いきなりうみだしといて……その………とのがたのあいてをしなさいだなんて……」
冷静に考えれば外道である………生みの親だからって何をしてもいいわけないのである。だが、彼女逹は…
「嫌ですわクウ様♪私達そう言うのが好きで生まれたんですよ♪それに昨晩は燃えましたの♪あぁ~ゼンガーさんってもう可愛くて♪」(マーメイドC)
えっ?………悲壮感なんて欠片もなく昨晩の事を思い出したのか、ウットリと夢想するマーメイド逹。
「あんなに逞しい体にアレも凄くて♪しかも、何か凄く傷ついておられてて、皆キュン♪と♪そう言えばネクターとライチが本気になってましたわ♪」(マーメイドD)
呼ばれた2体のマーメイドは俺に報告する為に前に来る。
「ゼンガーさんは優しい紳士な御方です♪………私の初めてがあの御方で…………ポッ♪」(ネクター)
ちょ!……
「ネクターと同じ人を好きになるなんて………でもゼンガーさんにまた御会いしたいですクウ様!」(ライチ)
良く見るとこのネクターとライチは双子の姉妹か?
「すとっぷなの!ゼンガーさんはかていをもっているの!!いれこみすぎてちゃっめっ!なの。」
だよね~♪と二人を除いたマーメイド逹は同意してくれるがネクターとライチの双子は死の宣告を受けたかのような顔をし、涙を貯め始める。
「あわわわなの!?なっなかないでなの………こまったの………」
「申し訳御座いません…クウ様を困らせるとは…この命をどうぞ刈り取って下さいませ…」(ネクター)
「クウ様!この子はちょっと頭が可笑しいんです!私が全て責任を取って自害するのでお許しを!」(ライチ)
「クウ様………」(マーメイドG)
あれ?……俺って今……端から見たら最悪じゃね?相思相愛の人魚を引き裂く悪い男?………何故こうなった………冷静になろう……事実を違った視点でも見て解決させよう……俺なりのやり方で!
「きもちはわかったの……だけど、ふたりをしょぶんしてもじたいはかわらないの。もんだいはゼンガーさんのおくさんとむすめさんをふこうにするということはゼンガーさんもくるしめることになるの。」
「…………」(ネクター)
「…………」(ライチ)
「みんなはなんのためにうまれたかといえば、ここにくるひとたちをいやしおあいてしてさしあげることなの。そのかていであいをはぐくむこともあるけど、それもときとばあいによってはクウちゃんはゆるしませんなの。もし、どうしてもおもいをけせないときはおもいびとさんのじょうほうをこぴーしたそっくりさんをけんげんするか。あいてのおくさんがなくなるかりこんするまでまつの。……………こんなあるじでごめんなさいなの……いくらうらまれてもかまわないの…」
ここの主は俺だ。責任を取らずに何が主なものか…心を思う通りに出来るのなら苦労はしない。記憶を消す等も本当は考えたがそれは最終手段だ。
「出過ぎた事を願い申し訳ありませんでした!………ですが!そのたまにでいいのでお会いすることをお許しになられないでしょうか!」(ネクター)
「私からもお願いします!会いたいんですクウ様!」(ライチ)
俺の言うことを理解した上であれば後は…
「ゼンガーさんがあいにくればかまわないの……ただし!さっきクウちゃんがいったことをよくかんがえてなの……じたいをおさめるのにせきにんをとるとしたらそれはクウちゃんなの…」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
つまり首を差し出さなきゃいけないのは俺である。そうならないように覚悟をもってみんなに伝えた。
主の首が掛かると成れば多少は自重してくれる事を祈って……ゼンガーさん……もうこれは貸しだな…
「このはなしはこれでおわりなの♪クウちゃんもあそぶ(水遊び)の♪うみはひさしぶりなの~♪」
ネクターちゃんとライチちゃんには悪いがこの話はここまでだ。気分を変える為にも俺はマーメイドのみんなと親睦を深めよう!
俺は笑顔を作りネクターさんのお胸に飛び込む…無論そのままの服装なので濡れるが気にしない。ふわふわでむにゅむにゅな感触と温かい温もりが俺を包む。
てっきり冷たいと思っていたが人のそれと変わらなかった。
「きゃ♪クウ様♪……うわぁ~♪クウ様って情報通りにもふもふだよ~♪気持ちいい♪いゃん♪」(ネクター)
谷間で体を預けている俺の頭を片手で撫でながら、もう片手は沈まぬようお尻に手を当ててくれてた。
「あっ!私も抱きたい!」(ライチ)
「こら!クウ様が誰と遊ばれる(ハッスルする)か待ちなさい!」(マーメイドA)
ネクターちゃんの胸の中でもふられているとマーメイドのお姉さんが変な事を言う。俺とマーメイド達は言葉の意味を互いに取り違えていた。
「えらぶってへんなの?みんなとクウちゃんはあそびたいの(水遊びを)♪」
「クウ様全員と遊びたい(ハッスルしたい)のですか!?我らは構いませんがクウ様そんなに貯まっておられるのですね!」(マーメイドB)
ん?ストレスなら確かに少し貯まってるかな?
「う~~ん♪ここさいきんたのしいまいにちでいそがしかったし……すこし(ストレスが)たまっていたかもなの♪」
「ネクター!ライチ!汚名返上の機会よ!私達もしっかりサポートするから御奉仕なさるのよ!」(マーメイドC)
「なんかみんなおーばーなの♪ごほうしってかるくみんなとおよいだり、ぼーるあそびするだけなの♪」
急にみんな黙りこみ、波音と潮風の音が場を包む……………あれ!?
「あははははははは♪そうですよね♪さぁ~クウ様行きますよ♪そ~れ~♪」(マーメイドE)
ビーチボールが太陽に照らされながらも俺へと放物線を描いてこちらに来る中、皆の胸中は平静を装うことで必死なのを俺は知るよしもなかった。
「(あっ危なかった………主の言葉を履き違えて汚名返上どころか…汚名挽回するところだった……)」(ネクター)
「(二度も主に泥を塗るところだった……それにロジャーさんはクウ様にばれない形で我らを制裁したかもしれない………)」(ライチ)
二人はある意味首の皮一枚で生き残っていた。
「クウ様~♪お上手ですよ~♪(ネクター!ライチ!あんたたちポイント稼ぎなさいよ!)」(マーメイドJ)
密かに応援されてたかいもあり、俺はネクターちゃんとライチちゃんのどちらかに常に抱き締められて遊んでいた。
そのかいもあり仲良しさんになった。そして、ボールで遊んだり一緒に泳いでいて気づいたことがある。それは…
「ほかのいきものがいないの………」
沖の真ん中でライチさんに抱えられながら俺はボソリと呟く。何回か海中に潜るも岩やサンゴ等はあれど、魚の姿が一切ないのだ。
「ここは殿方の為の島と海ですからね。仕方が御座いません。」(ライチ)
必要がないから作っていないがやはり寂しい。
「あっ!そうだ!クウ様♪もし外界で海の稚魚等を手に入れられましたらここにお持ち下さい♪海の中なら我らにお任せ下されば増やしてみせます♪」(ネクター)
これだけの海だ。もし養殖したとしたら凄い事になりそうだな。魚か………ジュルリ♪決定!!!
「おねがいしますなの!!クウちゃんおさかなさんだいすきなの♪」
その言葉を聞いたライチちゃんの頭の上に豆電球の幻視が現れる。
「ふふふ♪じゃあ~クウ様♪行きましょうか♪」(ライチ)
俺を抱えたままライチちゃんは砂浜へと移動して陸に上がる。そして…
「ピチピチピチ♪ほ~らクウ様♪お魚ですよ~♪」(ライチ)
引き潮がやや来る砂浜に俺を置くとその下半身のお魚が一定のリズムを刻み俺を誘惑する。
「にゃ!!!………はっ!?……いまのは……」
「あははは♪クウ様ちょっとだけにゃんこの本能にひっぱられましたね?」(ネクター)
まさにその通りだった。目は既ににライチちゃんの下半身のお魚部分を捉えており、顔を背ける事が出来ないのだ。
「美味しいお魚ですよ~♪お召し上がれ~♪なんちゃって♪」(ライチ)
我慢我慢我慢我慢…………パクッ♪
「はむ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむちゅぱちゅぱ♪はむはむはむはむ…」
「£▽▽〒♀◆⇒¢○©△★◎♂♂□€▽▼♀◆$★◆♂〒」(ライチ)
ピクピク動けば動く程に俺の本能は抑えが効かず今やライチちゃんの下半身の尾の先の方に俺は大の字で張り付き甘噛みをしながらむしゃぶりついていた。
ただ調子に乗りすぎた俺は大きく跳ねる尾に投げ飛ばされて危うく海に落とされるところだった。マーメイドのみんながキャッチしてくれて俺はやっと我に返る。
「………なの!?クウちゃんはいったい……」
「ライチの馬鹿が失礼しました……クウ様はやはり偉大な御方で御座います!ゼンガー様でもあんな風にライチを……うん、出来ないわ!」(ネクター)
真っ赤になりながら嫌々と首を横に振りながら恥ずかしがっているが俺のここ数十秒の記憶は全くなかった。
その一部始終を見てたマーメイド逹は心に誓うのであった。我らの主はあっちの方面でも恐るべき力を宿し、開花させれば100人ぽっちで相手が勤まるか分からないと…
そう、ライチの今の姿はとてもではないが俺には見せられないほど教育上よろしくなかった。
俺はネクターさんに再び抱っこされマーメイドのみんなが取り囲んで壁となりライチさんを沖へと回収される間、みんなに抱かれてもふられていた。
【にゃん♪にゃん♪】から出てひとっ風呂浴びた俺はゲームセンターへと足を運ぶ。何故かと言われればミイちゃんにプリクラを撮って来てほしいとお願いされていた。
固定化にもMP1しか掛からないしお安い御用なのである。ちなみに家族で撮ったプリクラはミイちゃんの寝室にも貼ってあるが女王の間のマリアちゃんの机にも貼ってあり、仕事の合間にそれを見ては微笑むマリアちゃんがいたとか。
いろんなポーズを撮りなから何パターンか回収すると見慣れぬ一画に目が止まった。
一瞬、猫缶が頭をよぎったがあれはロジャーさんに報告して撤去させた。一歳児で猫暗面に堕ちるのはまだ早い……恐る恐る近づくとそこにはあれがあった。
「がちゃなの?……」
課金でよく見かけるまさにあれだ……真ん丸の巨大なボール状のケースの中に小さな羽の付いた色取り取りな巨大な玉子が見える。俺が余裕で入れる位の大きさである。
「にじいろに……きんぴか……このあたりがれあっぽいの…」
グルッと巨大なガチャ台を一周して見て回るとパウチされた説明書きが付いていた。それを手に取り景品の内容を確認する。次の項目がそれだ。
▽▼▽▼▽▼▽▼
UR:ドッペルクウちゃん
SR:等身大クウちゃん(99%プラチナ仕様)
R:等身大クウちゃん(99%純金仕様)
HN:等身大クウちゃん(もふもふ仕様)
△▲△▲△▲△▲
突っ込みどころが満載だけどまずは呼び出さねば…
「すたっふさん!!!!しゅうごうなの~~~~~~~~~~~!」
俺の多少怒気の含んだ声に慌てて集まるスタッフ達。ここにもいたか……暴走するスタッフが…
「……………お待たせ致しました!何かご不満の点が御座いましたでしょうか?」(スタッフM)
数名のスタッフさんが控えて恐縮してる。俺の顔を見て察して欲しいものだが…
「これはなんなん!?クウちゃんきいてないの!」
俺は思いっきりガチャ台を指差しながら問い詰める。
「あはははは♪流石にこれだけ大きいと見つかってしまいましたか。まだ、実装前でしてクウ様を驚かせようとサプライズを企画していなのですがお見事です。」(スタッフM)
またパチンコの時の二の舞は勘弁だ。みんな俺への愛情が高いのは嬉しいがたまに暴走しがちだ。
「おみごとじゃないの!このどっぺるクウちゃんってなんなんの!」
思い当たるのはマリック様のドッペルドールだ。まさか…
「あぁ~アトラス様のアイデアで私共と協力して作りあげた究極の癒し玩具!その名も………さん…はい♪」(スタッフM)
「「「「「「「ドッペルクウちゃん♪わ~~~~~~♪ドンドンドン♪ぱふぱふ♪ドンドンドン♪ぱふぱふ♪」」」」」」」
宙に浮いてた俺は真っ逆さまに床へ落ちた……スタッフさんは慌てて俺を拾いあげるが説明は止まらない。
「これぞ!まさに御身の神聖な愛らしさを再現し!我らがクウ様の情報より抽出した萌えパターンをスタッフ500人体制で昼夜問わず調べつくし!愛らしい仕草ベスト10を盛り込み!更にもふもふを再現!そして!細かなスリスリ感も忠実に再現した完成度に!アトラス様から技術提供された古の賢者様もビックリな等身大クウちゃんはなななんと!マスター認証されると○○○○○ちゃん♪クウちゃんはだいすきなの♪とこの様に所有者に至福の時をお送りすることの出来る逸品で御座います!キリッ!」(スタッフM)
いやーーーーーやめて!!!こんなのが世の中に出回ったら俺生きていけないよ!俺のハートは豆腐メンタルだって情報を読み取っているのなら分かって!
「めっ!なの!!!こんなのクウちゃんはずかしくてめっ!なの!!」
こんなので誰かがイチャコラされたら貯まらん!
「クウ様お願いです!!この開発に私はもう全てを掛けているんです!!」(スタッフZ)
ちょ!泣き落としに来た!?主が嫌がっているのになんでそんなに必死なの!?
「これはさすがにみすごせないの!!」
にゃんこタイフーンで破壊せねば!みんなごめん!俺の未来の為に諦めて!マナちゃんを俺は集め準備する。手加減はしない!
「わーーーーー!クウ様何を!!!そうだ!ミーナ様より伝言が御座います!」(スタッフK)
うるさい!今は知ったことか!破壊するんだ!
「クウちゃんなにもきこえないの!あーーーーーーーーーーーーー!!!!【にゃんこ】たい…」
自棄だ!こんなものを残しておけるか!だが、スタッフは最終手段に出る。
「読み上げます!…[ガチャのUR狙っているから中止にしたり壊したら……UFOキャチャッーの件ばらしちゃうかも♪ごめんね♪]…以上です!」(スタッフK)
…………………………泣いていい?いや、泣いちゃう…
「………うわぁ~ん!!!!!ミーナちゃんのばかぁぁぁぁ~~~~~~~~~~!」
巨大ガチャ台は守られた!だが、稼働日には俺は一番に並ぶだろう!一歳児の木霊が響きわたるゲームセンターであった。
「ピチピチ♪ピチピチ♪にゃ~♪ピチピチ♪ピチピチ♪にゃ~♪」(にゃんこ鯛)
そして……あぁ……もうどうしろと………中途半端に唱えてしまった影響で人面魚ならぬ猫面魚が生まれてしまった。
いじけた俺は回転寿司のレーンの皿の上に乗っかって丸まり黄昏ていた。スタッフさんにガチャの稼働日を聞いたけど、公平を期する為に俺にも教えてくれなかった。
俺ここの主なのに……グスッ♪回転寿司の旅は緩みなく進んで行く。どれ位そうしてたのか……気がつくとカウンターにガイさんが座っていて俺を皿ごと取る。
「なんでぇクウ!おまえさんいくらなんでも食べられる側にいっちっまったのかよ♪」(ガイ)
「ガイさんなの!!!!!!!」
「おう!久しぶりだな♪しっかし……言葉が見つからないほどすげぇ場所だな?」(ガイ)
チャキチャキの威勢のいいおじさんである。一瞬…楽園が生み出したコピーかと思ったがそうじゃ無さそうだ。
「ありがとうなの♪つくったもくてきがだいぶかわっちゃったけど、いこいのばにしちゃったの♪………それより、どうしてここにいるの?」
ガイさんは回転寿司を物珍しそうにキョロキョロと見回して俺に笑顔を見せる。
「そりゃ~たまたま商人ギルドに立ち寄ったらクウちゃんの王国が死の森に出来たって、そりゃ~偉い騒ぎでよ!特別にゼンガーの旦那から猫の扉から俺は通させてもらったと言うわけよ♪」(ガイ)
もうギルドに設置してくれたんだ。俺がマリアちゃんに渡したにゃんこゲートは3つ。王城用、冒険者ギルド用、商人ギルド用の計3つをセイギフトに送り届ける際に一緒に飛ばした。
「そうなの!ガイさんおすしたべていってなの♪ガイさんのおみせでしいれたむすこたちでつくったしんさくりょうりなの♪」
この人に食べてもらいたい。海と川の生き物を扱わせたら俺は異世界一の職人さんと惚れ込んでいる。
「おっ!ありかてぇ♪だがよっ!……いただく前によ、土産持って来たぜ!クウならこいつもどうにかしちゃうと思ってな♪」(ガイ)
ガイさんの座っている椅子の足下に小さな桶が置いてある。中に何か動いている……
「…………ふぐ?ふぐさんなの!?」
俺がかつて一度だけ食した事のある河豚の稚魚が数匹泳いでいた。
「クウはコイツをフグって呼ぶのか?………実はよ…相談もあってクウの所に来たんだよ……」(ガイ)
威勢の良さが売りのガイさんがしおしおに……あぁ~項垂れて縦線の幻視まで見える。
「いつものガイさんらしくないの………なにがあったの?」
カウンターに備えてある湯飲みにお茶粉を入れ、お湯口に押し当てて茶を入れる。それにギョッとしなからもお茶を物珍しそうに受け取り一口飲み、少し間を開けてからガイさんは説明してくれた。
「コイツは俺達、漁業ではデンポポって呼ぶんだが……別名が浮気を許さぬ妻って言う魚なんだ…」(ガイ)
「なんでそんな…………あっ!なの……」
恐らくだが、怒った表情と膨らんだ河豚を掛けているのかな…
「見た目で付いた別名だけどな、本当の意味は手がつけられねえってとこだ…」(ガイ)
なんとなく話が見えてきたかも…
「つまり…クウちゃんにこのでんぽぽたんをちょうりしてほしいのね♪しゅるいによってたしか……どくのいちがちがうけど………どくはきもとかわにあるからさっそくさばいてみるの!」
だが、ガイさんは椅子から飛び上がり俺を腕ごと掴む。ビックリした顔で俺に問う。
「なんでそれがクウに分かるんだ!デンポポは未だに誰も無毒化に成功した事のない魚だぞ!」(ガイ)
あ~~~~~どうしよう……前世の記憶で知ってるからですとは言えないしな………ガイさんごめんね…
「それはクウちゃんはいやしのちからでどくをけすことができるからなの!おとうさんのしょうきもクウちゃんがけしたの♪えっへんなの♪だから、みただけでクウちゃんはわかるし、このでんぽぽたんはおとうさんにおねがいされて…たしかさばいたような…う~~ん…わすれちゃったの♪」
微妙に誤魔化しつつ父の名を出せば納得してくれる筈である。
「そうか…クウのお父さんはあの龍様なんだよな…ゼルの旦那からここに来る前に聞いてたが、改めて聞くと驚くぜ…しかし、それが本当ならクウに頼みがある!」(ガイ)
ここまで来ればみなまで言わなくとも分かるよ。
「まかせてなの!みんなつれてきてさばきかたをますたーするの!ライネスおじいちゃんもよろこぶの!それにたいりょうはっせいでこまっているのならなおさらなの♪」
新作料理をライネスさんと作るのが楽しみである。
「言わなくともお見通しか……礼にたくさんの魚を持って来るから頼む!」(ガイ)
「ふふふ♪おっけーなの♪ところでなの…このでんぽぽたんはもらっていいのなの?」
俺は桶の中でぷかぷかと泳いでいるデンポポの稚魚をツンツンしていた。あっ!すっごい膨らむ!?なんじゃこれ………
「いくらでも持っていってくれ……もう漁港はこいつだらけで商売上がったりよ………コイツって見た目は小さいけど大きくなるとクウ位まで大きくなるからな…」(ガイ)
マジでか……
「それってふくらんでないじょうたいでなの!?」
「あぁ~……膨らむと1メートルは越すわな……網にコイツらが大量に絡んでそりゃもう……今じゃ冒険者が海でデンポポ狩りの任務してるが、海だからな…焼け石に水だ…」(ガイ)
事態は思ったよりも思わしくないようだ…
「とりあえずこのこたちはありがたくちょうだいするの!では、おすしながすの♪」
俺の回転寿司を次から次へと食べなから感動して一口一口味わうこの人を見て、魚を愛してるなとしみじみ俺は感じた。
ふつおたコーナー(MC:たまご丼)
ペンネーム「小さなお姫様」さんより頂きました
Q:お友達からプレゼントしてもらった絵をあちこちにいっぱい貼ったらママに怒られたの…どうしてなのかな?
A:ママを怒らせちゃダメダメ!悪いことをしたのなら理由よりちゃんと謝ること!まずは絵を回収しちゃえ!小さなお姫様さんならいけるいける!というわけでシーユー♪
マ:こらっ!ミイちゃん!こんな所にクウちゃんの絵を貼っちゃダメでしょ!他には何処に貼ったの?
ミ:ゼンカーの大きくで固い剣にたくさん貼ったの……ごめんなさい…
セ:ゼンガァァァァァァ!!!あの野郎!!!ゆっ許さん!!!!
マ:男親ってホント………はぁ~…




