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ただいま~なの

目の前に世界一危険な場所と呼ばれる森がある。ここは世界の中心に存在し、その森を起点にして円を描くように底の見えない深い谷が森とその円の外にある外界との繋がりを断絶していた。

また、この森には瘴気と呼ばれる魔の毒が蔓延している為に魔物や魔獣といった類いの強力なモンスターが生み出され息を潜めていた。

そのランクも他の地に生息するモンスターを寄せ付けぬ程強くレベルが高い。その原因は森の主に邪龍皇と呼ばれる世界一凶悪な龍がこの地を治め、その身から溢れ出す瘴気がこの外界と隔絶された世界で溜まり続ける為と言われているのだが………事実はそうではなかった。そして、その事実を裏付けるが如く一人の猫神が元気に声を出す。


「ただいま~なの~♪」


父は元の龍の姿に戻っている。そう、死の森に入る際にタマちゃんを担いでもらったのだ。おかげで苦労をせずに俺と父が長年過ごした中心地の自宅に到着した。

まあ、自宅と言っても森の中にぽつんとある平野と小さな池だけしかないんだけどね。俺が12年間ここで父に守られ育った場所だ。


「結界もしっかりと働いていたから逃げ出したモンスターはいなかったみたいだな………それと次元の穴が塞がれておるな………ん!?この石碑と板は…………………………………………ぬぅ……………」(アストラ)


自宅の池の側に何やら幾何学模様が描かれている大きな石碑と二枚のまな板が置かれていた。父はそれらを眺めると何か喉に詰まらせたような仕草で思案している。

俺の居ない間に父が造られた物かと最初は思ったがまな板の方はどう見てもミーちゃんの手紙に見えた。一抹の不安を抱えながらも鑑定してみると……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【神からの手紙】

【作成者:創造神ミラ・ミケオロン】

【レアランク:SSS】


お義父様へ


永き間、天界での不祥事で起きた事並びに御子息に多大なご迷惑をおかけした事、大変申し訳御座いません。つきましてはお詫びを兼ねて天界に御招待させていただきたく願います。わたくしこと創造神の出来る範囲で誠意を持って謝礼を贈らせて頂きたいです。ぜひ、御子息と共に来られるのを首を長くしてお待ちしております。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【神からの手紙】

【作成者:創造神ミラ・ミケオロン】

【レアランク:SSS】


クウちゃん♪もし、このお手紙を読んでいたら協力して!お義父様に認めてもらう為に話し合いたいから必ず一緒に来てね!私本気だから!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


地面に大の字の形でうつ伏せに倒れた。いや、正確には倒されたが正解か……


「クウちゃんどうしたの?」(アイナ)


「故郷の土とはいえ、そんな所で寝てると風邪をひくぞクウ」(ネイ)


「大の字で倒れていない?」(ミーナ)


「このまな板どこかで……」(セーラ)


「………………………心中お察しします…」(リディア)


「あっ!謎の金属!!なんでこんな所に?」(アイシア)


「お兄さんちゃん?つんつん♪」(クリス)


父のあの態度に納得したよ。積年の怒りをぶつけようと思った矢先に俺との仲を認めてもらう娘に早変わりしたんだから…

父もやりにくいんだろうな……と言うかミーちゃん、俺をダシにして父を牽制する事も計算に入れているだろ……でも、ミーちゃん本気っぽいもんな……処であの石碑はなんだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【破邪の石碑】

【作成者:創造神ミラ・ミケオロン】

【レアランク:SSS】


未知の鉱石で作られた石碑。創造神ミラ・ミケオロンの力が込められ宿してあり周囲30キロ圏内の瘴気を吸引し浄化する。また、邪な存在は石碑に近寄る程に弱体化する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミーちゃんは俺との約束を出来る範囲で守ってくれたみたいだ。まず、そこは感謝しよう。この石碑のおかげでみんなは動き安くなるだろうし、モンスターの弱体化を計れるならそれを使わない手はない。

エーコちゃんやお姉さん達につんつん♪されながらも俺は立ち上がりざっとだがこの石碑を説明する。そして、これからの予定を話し合うのだった。

ミーちゃんの件はとりあえず父から言い出すまでは保留だ。今はミーちゃんには悪いがこの死の森のリフォームについて話し合う方が大事なのだ。


「第…………100回!猫ちゃまふぁみりー緊急会議~~♪」(アイナ)


少し恥ずかしそうに顔を赤らめているアイナママを少し可愛いと思ったのは俺だけか?アイナママってポンコツになる時があるけど、基本はキリッ♪としたお姉さんなんだよな…


「姐さん何回目か忘れたな……」(ネイ)


「忘れたわね師匠………」(ミーナ)


「回数はこの際いいじゃないですか!」(セーラ)


「我は拍手しよう♪パチパチパチパチ♪」(リディア)


「時にはありますよね……」(アイシア)


「わ~♪パチパチパチパチ♪」(クリス)


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチ♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


アイナママに数名がツッコミを入れるが会議は進行する。シーンと静まり返った処で俺が前に出てきて進行を代わる。


「まずはじめにこんなじたいになったことにあやまるの。ごめんなさいなの……だけど!くよくよしないってきめたの。ここでみんなとたのしくすごすってきめたの。

だから…ここになにかつくりたいとおもうの♪みんなおもいついたことなんでもいいからいってなの♪」


「はい!寝る所とご飯はタマちゃんの中で済むのでモンスターの駆除が出来ればいいと思います!」(お姉さんA)


「それなら思いきってここに冒険者ギルドを建てればいいと思います!それでクウちゃんの魔術で他所からもここに来れれば!」(エーコ)


「でも、ここってモンスターのレベルが異常に高いって聞くから治療院を作った方がいいかも!」(アイシア)


「なら、そこで働く人達も募集していきませんか?私達のように新天地を求めてる人がいるかもしれないし…」(お姉さんQ)


「危険な場所だし、噂を信じて来たがる人がいるかしら?」(お姉さんF)


「あら♪クウ様の楽園での宿泊と食事付きならスラムにいる子とか沢山来ると思うけどな♪」(お姉さんR)


「犬人族なら確実に来ると思うぞ……あと、嗅覚の強い種族なんかもあたいは来ると思うぜ…」(ネイ)


「それプラス治療代から給料をある程度払えば完璧だと思う!」(リア)


「一つよろしいですか?他の国から人を呼ぶなら国境みたいにある程度検査をしないと変な事をする人が出てきますわ…」(セーラ)


「そうね。あと、貴族や王族が移民を黙って見過ごさないでしょうからクウちゃんと繋がりの強いセイギフトから初めてみたらどうかしら?」(アイナ)


マリアちゃん達なら話だけでも聞いてくれるかも…


「確かにセイギフトもそうですけど、東の大陸の人ならクウ様の事を支持してくれる人が多いですし他国よりはいいと思いますわ♪」(お姉さんY)


「クウちゃんは王族にもでっかい貸しがあるし、マリア女王陛下なら話が早いんじゃないかしら…」(ミーナ)


「ミーナちゃん?それどういう事?」(アイシア)


「クウちゃんドラゴンプラチナコインとドラゴンゴールドコインが入った袋を2袋をミイちゃんに渡してたでしょ♪あれでかなり財政の苦しかったセイギフトは北と南の賠償問題をクリアー出来たと思うのよね。」(ミーナ)


「桁の凄い話ですね………クウ様♪貴方と言う方は♪」(お姉さんV)


俺の側にいたお姉さんが俺を優しく撫でる。その照れるからほどほどにね♪


「特使としてアイナが出れば向こうもテーブルに着くだろう。」(リディア)


「王都なら一時間もあれば余裕で着く。アイナさんだけでも十分だろうが我もその時はついて行こう。何♪我は後ろで黙っているだけでも交渉は違う筈だ♪」(アストラ)


イタズラっ子の顔になってますよ父!


「おとうさん…もりにかえってきて、またしょうきをたくわえちゃめっ!なの!」


チョイ悪親父になってませんか?ぽこぽこと父の鱗を叩く俺を見てニコニコしてるし、もう!


「あの(マリア)以外は黙るので助かりますわ。ただ、マリアはお義父様でも物怖じしないので効果はありませんが……」(アイナ)


一国の王ともなると器もデカイよね。凄いと思う反面、あれで意地悪じゃなきゃ最高なのにと俺は思ってしまう。


「そこは出たとこ勝負って事で姐さん♪」(ネイ)


「別の話になるのですが!ここって今まで人の手が入った事のない土地ですから沢山の資源が眠っていると思うんです。このネックレスのダイヤとか…そういったのを探してみてはどうでしょうか?」(お姉さんN)


みんなの胸元で輝くレインボーダイヤは実は父が森の外周をえっちらこっちらと掘っている時にたまたま見つけた物らしく、この地面の下に眠っている可能性がありそうなのだ。


「その為にもモンスターを何とかしないとダメね。私達は腕を磨かないと!」(お姉さんJ)


その事で俺は考えていた事があった。タイミングを見て言うつもりだったが丁度いい。


「クウちゃんからもていあんなの♪」


「クウ様なんでしゅか♪」(お姉さんD)


お願いだから止めて!お姉さん達はたまに俺におっぱいを飲ませようとしたり、しーしーに連れて行こうとする。すると俺がむきになって反応するのが堪らないみたいなのだ……しくしくしく♪


「むぅ~だんだんおねえさんたちもクウちゃんのことをかみちゃまあつかいするの………ってとりあえずそれはこっちにおいておいてなの!……こほんなの♪ここのもんすたーさんはつよいのでクウちゃんからみんなにきぐるみをかしたいとおもいますの♪」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


…………………………ん?……あれ?……滑ったみたいになってません?………ちょっと!!!!!!


「ぷんすこなの!!!なんでみんなだまっちゃうの!!!!なぜおかおをそらすの!?おねえさんたちもアイナママにたすけをもとめないの!!ぶんすこなの!!!」


「そうよ!!!私とクウちゃんなんてずっと着てるのに失礼じゃない!!!!」(アイシア)


「さすがはアイシアちゃんなの!!!」


「私だって鏡を見て泣いちゃう時があるのに………しくしくしく♪」(アイシア)


「ぷんすこーーーーーー!!!!アイシアちゃんうらぎったの!!!ぷんぷんなの!!」


「そのね…クウちゃま……その魔装はクウ様やミーナちゃん位の年齢なら問題無く着られるのですよ…………」(お姉さんZ)


どさくさに紛れて神ちゃまとクウちゃんを合体させないで!


「そのですね………20歳を越えてきた辺りから厳しいのですよ………」(お姉さんS)


「うわぁ~~かなりぶっちゃっけた処までお姉さん踏み込んでる………でも言ってる事は正しいかも……」(ミーナ)


「そうですよクウ様…しくしくしく♪あのトラウマは消えないんですから……しくしくしく♪」(リディア)


「泣かないでお姉ちゃん………」(クリス)


従者先輩であるリディアちゃんをクリスちゃんはお姉ちゃんとしてあれから呼んでいた。


「同士よ……強く生きて行こうではないか……しくしくしくしく♪」(アストラ)


「凄い光景だわ……あのアトラス様を泣かせるなんて……クウちゃま恐ろしき御方……」(お姉さんM)


「ちゃまってクウちゃんおにいちゃんなの!!」


「クウちゃん♪紳士ならそんな事で怒ちゃっダメよ♪♪」(セーラ)


「が~んなの!まさかセーラちゃんにしかられるとはなの……しくしくしく♪」


「みんなさ……なんでそんなに嫌がるか分からないな?」(クリス)


ここに唯一の理解者がぁ~~~あ~~妹よ~~~♪だが……俺は冷静になるべきだった………この時のクリスちゃんの変化に気がついていれば…


「!!!!!!…クリスちゃんにごこう(後光)がみえるの♪わがいもうとよ~♪なの~♪」


「だって……私の食べた物の変身を見せてあげる♪これに比べたらお兄ちゃんの着ぐるみだっけ?可愛いものだよ?」(クリス)


不穏な空気が急に立ち込める。ちょっとクリスちゃん怒ってないか?あれ?妹よ……お兄ちゃん相談に乗るよ?


「ハッ!?この空気………デジャブーがするわ………待ってクリス!!!」(アイナ)


「なんだ!?悪寒が!?………ハッ!?おっさん!!!あの時と!!!」(ネイ)


「これってあれよね……セーラの街にいるガイアの時の………嫌ぁぁぁ!!!クリス!ストップ!!!」(ミーナ)


「今はこのハッキリと見える目が仇に……クリスさん待って!!」(セーラ)


「おい!!!クリス!!お前今まで何を食べて来たんだ………擬態変化で何をするつもりだ………」(リディア)


「第六感が逃げろって言ってるけど逃げる場所がない!!!」(アイシア)


丁度タマちゃんの前にクリスちゃん座っているからね。


「何するのクリスちゃん!?」(エーコ)


「怖いよ~エーコちゃん!!」(シエナ)


エーコちゃんとシエナちゃんは震えながら互いを抱きしめている。


「「「クウ様止めてぇぇ~!!」」」(リア・ニア・レア)


「・・・・・・・・・・・・・・・・・!」(ルカ)


「クリスちゃんまつの!!!」


「いっくよ~!!!!!!!!!!!」(クリス)


ここからは先は第101回猫ちゃまふぁみりー緊急会議にて今後一切この時に起きたことに触れない事及びクリスちゃんにゲテモノの類いを食べさせない事に決定した。

そして、この事により猫ちゃまふぁみりーでは俺の判断で着ぐるみの着用義務を決める権限が俺に与えられた。これはクリスちゃんが…


「お兄ちゃんをこれ以上困らせるなら…………『あの姿でコッソリとベットに潜り込むから』………」(クリス)


と瞳孔を拡げた目でキレ気味に呟いた事から賛成多数で可決になった。流石にこれは不味いと思い叱ろうと俺はクリスちゃんに詰め寄ったのだが、皆から「これ以上刺激しないで!」と止められ…止むを得ず認める事になった。

クリスちゃんのパンドラの箱は底が深そうだ…どうやらまだまだ何かありそうな予感だ…………










みんなが気分を変えたいと言うのでお夕飯までお開きとなった。恐るべしクリスちゃん!タマちゃんの中に入り各々自由に過ごす。

あるお姉さんは200階の闘技エリアに足を運び低レベルモンスターを相手に初級コースで指導員のスタッフさんとマンツーマンの元、精を出していたり。

装備品を揃える為100階のギャンブルエリアでパチンコやパチスロにゲームセンターに足を運ぶ人もいた。そう言われてみれば俺、パチンコの交換券で何も交換していなかった。

交換玉数もみんなより早く打っていた分ダントツの3万玉を出していた。ルカちゃんと手を繋いで俺は100階のパチンコホールへと足を運んだ。ホール内にはお姉さんとネイちゃんとリディアちゃんの計3人がいた。


「おっ!クウも打ちに来たのか?ここ空いてるぞ♪」(ネイ)


「いや!リディアの横の台の方が昨日は余り出てない分、今日は期待できますよ♪」(リディア)


「クウ様♪ここお奨めですよ♪私スロットが不調だったのでこの台に移動しようと思ってましたから♪」(お姉さんR)


はは~ん……♪この光景を見た俺の頭上の上に幻視の電球がピカッ♪と現れた。


「きょうはけいひんこうかんしにきただけだからうたないの♪………それよりもおねえさんはどうしてここになの?」


二人の目的は分かるけどお姉さんは何故?お姉さん達は一致団結して冒険者への道を切り開こうと頑張っているのを知っている。なので理由があると思い尋ねたかった。お姉さんは遊んでいると少し思われたんだろうか?もじもじしている。


「その………欲しい武器がありまして………ここのパチンコの景品でしか取れない物なんです。あと二万玉も必要で……少しずつ増えてはいるのですが難しいですね。」(お姉さんR)


なるほど……それで……それじゃあ二人は…


「あたいらもそれ聞いてリンの玉集めを手伝っていたんだよ!」(ネイ)


「3万玉の武器ですから……一人では厳しいと思い!……良し!!アイナ揃え!!」(リディア)


熱いリーチが掛かったのかリディアちゃんは画面に食いつく。


「なるほどなの………ペロめあてにいりびたっていたのならでいりきんしにしていたの♪あはははは♪クウちゃんはやとちりではんせいなの。ふたりともいいこ~いいこ~なの♪」


「あはははははははは♪当たり前だろ♪なあ?リディア。」(ネイ)


「あはははははははは♪当然ですよ♪ああ!もちろんだともネイ。」(リディア)


二人の頭を優しく撫でるとうっすらと額に汗を滲ませ笑って誤魔化す二人。今日の処はお姉さんの為に助けてあげてるみたいなので見逃してあげますか♪だけど今回だけだよ!


「クウちゃんのこうかんけんにさんまんたまあるからわけてあげるの♪」


「!!!…よろしいのですか?」(リン)


一気に目標達成のお姉さん……いや、リンさんは瞳を大きく見開き驚いている。


「えっと……おねえさんのおなまえはリンおねえちゃんだったのね。ごめんなさい。クウちゃんまだみんなのおなまえおぼえきれなくて……」


人の名前を覚えてないなんて失礼な事だ。素直に頭を下げる俺。


「いえいえ!!気にしてませんよクウ様♪急に人が増えましたし、クウ様もこの楽園の主で多忙なのですから♪こうして新たな道を模索出来て今は幸せです♪」(リン)


目の前のリンお姉さんは珍しい狸人族だ。ぶんぶく茶釜のたぬきさんとはほど遠いキュートなお姉さん。今はこうして笑顔でいられるのが不思議な位過酷な環境に置かれていた事を俺は知っている。そんな彼女はネックレスを受け取ってくれた時にポロポロ泣いていたのを覚えている。そして、胸元に見える輝きが今も肌身離さず着けている事を教えてくれた。


「じゃあ♪もっともっとしあわせにならないとめっ!なの♪まずはおめあてのものをげっとしてしあわせになっちゃおうなの♪」


ニコッ♪と笑顔を作り俺はリンさんとルカちゃんの手を引いて景品コーナーへと足を運ぶ。


「・・・・・・♪」(ルカ)


「クウ様♪景品は逃げませんよ♪」(リン)


「きゃ~~~~ぜんはいそげなの~♪う~~~ん♪どれなの~♪」


キョロキョロと見回す。両刃の大剣からマリエお姉さんが使っていた円月輪までもここには景品として置いてある。このどれかかな?


「あれです♪あれ♪」(リン)


リンさんが指し示す先には赤色の丸い玉がはめ込まれた1メートル位の緑の棒………あれは(こん)と言う奴か?微妙に短いし、あれが三万玉もする理由が俺には分からなかった。


「これなの?…………」


「私もネイさんとリディアさんに聞くまで知らなかったんですがこれ……実はクウ様がクリスさんと契約した事で入荷された景品なんですよ♪」(リン)


どういう事なの?……


「くわしくおしえてなのりんおねえさん。」


「はい♪店員さんから聞いた話だとここにある物はクウ様の知識とそのお力の一部を使って出来た物らしいんですけど、クウ様が分からないのですか?」(リン)


そりゃそう思いますよね。ここを作った創造主なのに把握してません。


「こまったことにクウちゃんはいわばおかねをだしたひとみたいなそんざいでかんりとうんえいはロジャーさんにまるなげなの♪」


「それはそれで凄い事ですけど……んっんん♪それでですね♪クウ様の力となったクリスさんの変化の力の一部を借りて景品も作られていますからクウ様が成長すればするほどここの品数も増えるんです。そうして出来たこの千変自在棍は叩いたモンスターを1000体まで記憶させて変化が出来るようにする狸人族専用の武器なんです♪」(リン)


うっはーーーーーー!これは凄い!リンさんが訓練をひとまず置いてもこちらを優先する理由に俺は納得した。


「まさか!!!!おとうさんもこぴーできるの!?」


「それが出来たら最強なんですが制約がありまして、使用者のレベル以上のモンスターには変化出来ないんですよ。でも、人とモンスターとでは同じレベルでもステータスや能力の差が圧倒的に違います!それにこの千変自在棍があれば状況に合わせた幅の広い戦い方が出来ると思うのです!」(リン)


リンさんは良く考えている。人とモンスターでは武器そのものを備えているモンスターとは比べ物にならない。しかもこれならメンテナンスも変化した自分の手足にオーラやマナと言った物も組み合わせれば掛かる経費も少なくなるだろう。デメリットとして選択するモンスターを間違えると痛い目に合いそうだし、冒険者に間違われて襲われる可能性もありそうだ。


「ざんねんなの。おとうさんにばけてもらえたらふたりでおそらのさんぽにつれてってほしかったの♪」


「多分……全大陸で大混乱が起きるので止めた方がよろしいかと………」(リン)


「う~~ん。そのうちおとうさんのいめーじあっぷさくせんにきぐるみきてもらってみんなにこわくないあぴーるをするの♪」


その頃、謎の悪寒に襲われた父が寒気が取れずお風呂に入りに行った事を俺は知らなかった。


「(クウ様って大物ですわ…………だけどお止めせねば!!)一度、会議でみんなと相談致しましょう♪(皆さんお願いしますよ!!私に出来るのはここまでです!)」(リン)


俺にばれないように必死に笑顔を作り心の中でレギュラーメンバーに託すリンさんであった。


「なの♪」


ほら♪ここにも賛同してくれる人がいると俺は盛大に勘違いをし、リンさんの胸中を知る良しも無かった。

そんなリンさんのお目当ての武器を交換した後、彼女は俺とルカちゃんと三人で手を繋ぎクルクルと輪になって喜びはしゃいだ。

それを遠くで見てたネイちゃんとリディアちゃんが参加してクルクルと回る。そこに店員さんまで何故か加わりもう笑うしかなかった。

そんな一幕が終わりリンさんを見送った俺は何気なくゲームセンターへと足を運ぶのであった。











ルカちゃんの手を引いてやって来た懐かしのゲームセンター♪懐かしの筐体ゲーム機から最新のヘッドギア搭載の格闘対戦ゲームまである。向こうにはメダルゲームがたくさんあり、こちらにはカードゲームまで…そしてあっちにはUFOキャッチャーが………………ん!?その中にある景品に俺の興味に引かれるのだった。


「ねこかんなの……………いやいや♪いくらなんでもこれはクウちゃんたべ……たべ……あぅ~~…………」


なんでこんなにも気になるんだ!?猫缶だよ?いくら猫神になったとは言え、ペットじゃないんだから…なのに俺はこのUFOキャッチャーの前から移動出来ずにいた。まるで頭では無視してるのに体が頑として動かないみたいな。


「ば……ばかな……なの……クウちゃんはほんとうに【にゃんこ】になったんじゃないの!………うごいてなの!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごけ!うごいてなの!!!いまうごかなきゃ!だいじなものをうしなっちゃっうの!!だから!!うごいてなの!!」


ドクン♪……………ポチッ♪……………ちょっと!!!俺は何をしてるんだ!クレーンの横移動ボタンを押していた。


「ウイーーーーーン♪」(UFOキャッチャー)


あぁ~~俺の尊厳は既に死んだ……ならば突き進もう…猫黒面(にゃんこくめん)の道を………横移動ボタンを離し縦移動ボタンを続いて押す。


「ウイーーーーーーーーーーーーン♪」(UFOキャッチャー)


ターゲット上空まであと……3…2…1…0!………縦移動ボタンを離すとクレーンアームが目下の猫缶目指して伸び下がる。


「ウイーーン♪カチャ♪ウイーーン♪」(UFOキャッチャー)


やった!アームが猫缶を上手い事挟みそのまま持ち上げて穴まで移動を開始をする。


「クウちゃ~~ん♪な~~にやってるの?ドン♪」(ミーナ)


ミーナちゃんがこちらに駆けて来て勢いが少し余ったのかUFOキャッチャーの正面ケースに軽く手を突き止まる。その勢いで振動が伝わり…


「ガタッ♪コロン♪…あっ!……………なの…………………」


穴の一歩手前で猫缶が落ちてしまった……ガーン♪………俺は……何の為に……尊厳を……グハッ!


「……クウちゃん?なっ!?どうしたの!!!何で泣いてるの!!!!」(ミーナ)


「€○▼仝♂⇒%◇♀▼▽△☆○▼〃ゝ°□%○▼!!!!!!」


もう訳が分からなくなってミーナちゃんの頭をぽかぽか♪と叩いてしまった。俺が尊敬を捨てて、猫黒面(にゃんこくめん)の道を進み……あと一歩……そう…手に入れる寸前だったのに!!!!うわ~~~ん!!!!


「クウちゃん止めて!!!何々?何なの~!?」(ミーナ)


「うわ~~~~~~ん!ミーナちゃんのばか~~~~」


「ひょっとしとこれが欲しかったの?ならあげるわよ?ほら♪ミーナちゃんこのゲーム得意で今ね♪色々取っているんだよ♪」(ミーナ)


ミーナちゃんは手に大きな袋を下げており、その中から猫缶を取り出す。それを俺の前に差し出す。


「!!!!!!!!!!………いいの?ほんとうにもらってもいいの?」


「うん♪クウちゃん、処でそれって何に使う物なの?」(ミーナ)


ペットの猫が食べる缶詰めです。言えない…困った…


「ひ…ひみつ……なの………もし…ミーナちゃんが………このことをみんなにばらしたら………クウちゃんにどとみんなのまえにあらわれないの………………」


顔を反らし俺はブツブツと呟くように喋る。あぁ~最低だ俺……ミーナちゃんに脅迫紛いのことまで……


「ちょ!!!クウちゃん!?何か凄い事になってるけど…なんか様子が変だよ………」(ミーナ)


凄い怪訝な顔でこちらを心配するミーナちゃん。


「うへへへなの…………もうひきかえせないの………このことはクウちゃんとミーナちゃんの………ふたりだけの………そう♪ふたりだけのひみつなの………ふひひなの…………」


「うぅ………こんな病んだクウちゃん嫌よ………………クウちゃん疲れているのね。おいで~いいこいいこ♪よしよし♪」(ミーナ)


何故かミーナちゃんは俺を掴むと優しく抱っこをして優しく撫で回す。俺を本気で心配してくれてこの日は妙に優しかった。












あ…危なかった………ミーナちゃんが「やっぱりこれはクウちゃんに良くないから没収!」と言い猫缶を取り上げ、更に景品の猫缶をスタッフさんに言って撤去させたおかげで俺は猫黒面(にゃんこくめん)から脱する事が出来た…

俺からもロジャーさんに頼んであのUFOキャッチャーの景品を変えてもらおう。そんな俺は気分を変える為にも一階のロビーにあるソファーの上でルカちゃんのお膝の上でお茶をすすりまったりとしていた。ふと、アスモデウスの面々の教育はどうなっているか気になり近くにいるメイドさんを呼ぶ。


「お呼びで御座いましょうか♪」(メイドA)


「あすもでうすのきょういくがどこまですすんでるかきになったの。おねえさんはしっているの?」


「それでしたら私が夜伽専属の講師を勤めさせて頂いております♪今も教育中ですがご覧になられますか?」(メイドA)


「クウちゃんがみてもいいの?じゃまにならないの?」


「問題なんて御座いましょうか♪むしろクウ様に拝見される喜びに勝るものが御座いましょうか♪」(メイドA)


正直言うと…今は自分より不幸な人を見たかった…はい…病んでますよ…ええ…少しだけね…


「やつらのところにあんないたのむの♪あっ!ルカちゃんにはよろしくないからおへやまであんないしてさしあけてなの。」


「畏まりました♪あちらのスタッフがルカ樣を送りお世話をさせていただきますのでクウ樣はこちらへ♪ではでは♪クウ様失礼致します♪二階の専用ルーム、パンデモニュウムへとご案内致します♪」(メイドA)


ルカちゃんに手を振り別れた後、案内されて辿り着いた部屋の扉にはピンクのウサギさんが描かれていた。間違ってみんなが入らないようにした配慮なのだろう。それにスタッフ二名が常駐して扉の前に立っていた。

メイドさんが重厚な扉を開くとアスモデウスの面々があらゆる種族の男達に犯されていた。その混沌とした中にいる一人の男に俺は思わず素の声を上げてしまった。


「模手内先輩!!!」


「ぬぬぬ!我が真名を呼ぶその声は…………おお~~九条たんじゃないか♪」(模手内)


なんで先輩がここにいるんだ!!!!まさか異世界に転生したの!?しかも、前世の記憶にある模手内先輩のまんまだ。


「せんぱい!いまはくじょうじゃなくてクウちゃんなの。せんぱいはまさか…」


「クウ様、この男はクウ様の情報から再現したアスモデウス調教のブサメン教官なんです。」(メイドA)


「そうなのら~♪拙者は九条たんの記憶から再現されたぽくたんなのれす♪」(偽模手内)


ああ~~あの人なら確かにこう言いそうだ……この模手内先輩は俺の前世の中で群を抜いて………その所謂ブサメンと言われる人種ではあったが中身は正反対の人だった。

異性には嫌悪感の対象になるけど同性の友達はたくさんいたのだ。そもそも先輩は中学までは普通だったのだ………処が高校に入ってバイク事故を起こした先輩はその事故によって負った怪我の手術を無免許医師の手によって改造されると言う前代未門の人体錬成をなされ…しかも、そんな未知な試練を乗り越え地獄から帰って来たのだった。

だが、その代償はでかく…美形だった顔は人類には早すぎる顔になり…ブヨブヨに肥った肉体は一件メタボに見えるが脂肪と筋肉が合わさった全身ハイブリットボディと言う10億人に一人と言う特殊体質だった。そこで済めばまだ良かったのだが事故のせいで頭のネジがぶっとんでしまった先輩はもう目を当てられない程の代わりっぷりだった。

もちろん凄い騒ぎになった……みんな最初は別人が入れ替わったとスパイ陰謀論まで持ち出した位だ。だけど、本人だけしか知らない事をベラベラと喋りだすがその内容がヤバかった。

なんせ先輩は事故に会うまではチート級の勝ち組である。そうなれば多くの女性と関係を結び遊び放題であった。そして、その赤裸々な体験を暴露したから大変だ。

学校の7割の女子や友達の親や姉妹に教師の9割と致した事や教育委員会の理事長や校長の奥さんにまで手を出していた等、人間関係を一気に崩壊させる事を言うから…あら大変♪


「にせものとわかっていてもかんどうなの…………せんぱい………ぐすん♪」


「おやおや♪九条たんの記憶はぽくも知ってるのら♪苦労したんだけどこの業界ではご褒美なのですはぁはぁ♪」(偽模手内)


この人にとって不幸とはご褒美となってしまう猛者(もさ)である。かなわないよ♪


「あはははははは♪せんぱいのそういうとこまったくかわらないの♪」


「この男は見た目と違ってポテンシャルは素晴らしいものです………」(メイドA)


残念な者を見る目にぞくぞくしてる先輩。メイドのお姉さんは複雑な顔をしている。


「ふふふふ♪メイドさんに褒められたのら~~むほーーーーーーー♪」(偽模手内)


いや~~♪やっぱ先輩はコピーでも凄いや♪俺の中のもやもやが一瞬で晴れたよ♪


「ところでせんぱいはここでどんなきょういくをしてるの?」


「九条たん!!君は神でござるよ♪ミロたんバッチぽく好み♪悪いと思ったけどあらゆるプレイをとぅげざぁ~したでこざるよ♪」(偽模手内)


うわぁ…………絶対にミロに手を出すことはないな………違った意味の兄弟になりたくない……


「せんぱい…なにをミロにしたんですかなの………」


怖いもの見たさみたいな感覚で聞いてしまった…


「某のレロレロ攻撃にヌパヌパアタックをして不浄のバベルで12時間ハッスルした後に蘭姉ちゃんのトンガリのあれでオリーブオイルのぬっぱくぱぁとちゃんこしてシンクロ率400%でパシャ♪でござるよ!」(偽模手内)


「おねえさんほんやくしてなの…」


俺のアビリティーでも翻訳不能だったのでお願いをした。


「申し訳御座いません……人類にはまだ早すぎるようですクウ様…」(メイドA)


そのミロに顔を向けると死んだ方がマシと思われる程にあれな状態だった………


「(殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!殺してくれ!)」(ミロ)


奴の瞳が何を訴えていたのか分かったが知った事か!


「むふん♪九条たんもどうだい?あっちのピー♪そっくりの娘と一緒にハッスルドッキングしては?ぽっくん激熱なのら~」(偽模手内)


「えんりょしておきますなの。ここはせんぱいのちからでもっともっとえんじょいしてくださいなの♪」


他のアスモデウスナンバーズにも聞こえたんだろう。絶望の顔をするが知ったことか。


「まかせるのら~♪さ~て♪ミロたんは戦闘訓練が始まるまでぽくと………」


俺はそのまま部屋を出る………………………今日のご飯は何にしようかな♪


「ごはんつくるからロジャーさんのところにはこんでなの♪」


「了解致しました♪」(メイドA)


やっぱり今日一日は猫黒面(にゃんこくめん)から抜けれそうもない俺であった。


ふつおたコーナー(MC:たまご丼)


ペンネーム「ダメダメなしもべ」さんより頂きました


Q:私がしっかりとしてないせいで主の心を病ましてしまう処でした。こんな私はどうしたら良いだろうか。


A:失敗したからって自暴自棄になっちゃダメダメ!どんなに気をつけていても事故が起きるのと一緒!なら次を起こさないように対処しちゃえ!ダメダメなしもべさんならいけるいける!というわけでシーユー♪


ロ:これを全て廃棄するんだ!あぁ~クウ樣申し訳御座いません!罰として私はパンデモニュウムに身を堕としに行きます!……たのもー!俺を罰するんだ!さあ!存分に俺を汚せ!あの御方の為にも!


偽模:その忠心見事なり!だが!この業界すぐにご褒美を貰えると思ったら甘いでござる!


ロ:ご褒美だと!?………済まなかった模手内殿………ここは私の来る所ではなかったようだ……失礼する……


メA:(………この男…本当に未知数だわ…凄いんだか凄くないんだか……頭痛が…)


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