りょうりはあいじょうなの
フッフッフッ~~、目の前に四つん這いになり、旨さに耐えきれずに地に伏し悶える妖狐が二匹いた。そう、完全勝利だった。タレを塗ったお肉はマジカルボア。ここ東の大陸でその昔、兵器用に改造したマジカルボアが逃げ出し繁殖してしまい、野性化したのだがこれが美味しいのだ。俺はこのお肉を振る舞う事に決めた!小銀貨30枚分カーラさんに渡し、お願いしてお肉をリュックに詰めるとカーラさんに抱きつかれた。
「あのタレ売って!!」
「ヒナも!!アレならクズ肉もご馳走になる。」
ニヤリ、計画通り。
「まっくろなの~~~~。だから、カーラちゃんにはあわないとおもうの。それにくさってるかもなの~~~~。ヒナちゃんはおなかこわしたらいけないの。」
ニッコリとこれ以上ない微笑みを見せる俺。
「うそうそ!!お願いよ!あんな味を知ってこれから御預けなんて死んじゃうわよ!」
オーバーな・・・・でもないのか?
「ヒナちゃんくれないとクウちゃんをアイナ様に売るかも・・・・」
「ちょ!?いらいしゃをうるしょくいんとかいちゃめっ!なの・・・しょうがないの。ふたりのねついにクウちゃんがとくべつにつくってあげるの。だけど、ざいりょうがあるかわからないのがもんだいなの。」
「え~~!!作ってあるのってそれだけなの?」
「そんな~~クウちゃんなら魔術でパパッと♪」
「むちゃいわないでなの!ざいりょうがなければむりなの。・・・たんぱくしつってふたりともしってるの?」
「?」
「?」
「う~ん。じゃあ、クウちゃんのおめめくらいのおおきさのまめはないの?」
「イドラスの豆が近いかな?黄緑色の豆だけど肥料にとか使ったりして安いよ。」
「あれ嫌い・・・何しても美味しくならないの。」
「「・・・・・・・・」」
「お願いだから憐れんだ目で見ないで・・しくしくしく・・」
「じゃあ、ヒナちゃんさっそくむかうの。できたらまたくるからびんをよういしといてなの。」
「わかったわ!ちゃんと用意しておくから絶対よ!あぁ~今からたのしみだわ~。今度、父さんと母さん居るときにおいで!肉に関しては誰にも負けない位凄いんだから!」
「わかったの。またなの。はいよ~ひなちゃ~~ん。」
「ひひ~~んて鳴いてやる、ちくしよーーーーーーーーーーー!!!」
店から勢い良く飛び出す幼馴染みを見て、時の残酷さを感じるカーラであった。
「かつては学園一の美女が・・・・・・・・・馬だなんて・・・残酷だわ。」
「みたことないおやさいがいっぱいなの。」
「ここに無いものはないからね。探せば何だってあるんだから!ほらっ早速あった。」
そこにはカーラさんが言ってた黄緑色の豆がテントに樽ごと置いてあった。とりあえず安いらしいし、醤油に出来なかったらリディアちゃんにあげよう。
「こんにちわなの!」
「いらっしゃっい。おや!?お母さんと買い物か。いいねぇ~~~~で、なんにします?」
「おかねをわたすから、あるだけかうの。」
親子じゃないと説明するのが面倒なのでコッソリ耳打ちしてお金を渡す。
「ここにあるだけのイドラスの豆をください。量はあるだけ全部ね。」
「いやいやいや!!持ち帰れないよ!?」
「大丈夫だからはい!お金。」
「そうですかい?じゃあ、あっしはお釣りが崩さないと渡せないんで少し待っててくだせえ。ちなみにこれ私の商人ギルドのカードね。ここの店主でトンズラしないから安心してね。」
そういうと何軒か先の店に両替に行った。今のうちにテントにある豆にその裏にあった豆もリュックに入れた。5分後やっと戻って来た店主に挨拶して店を出た。目を丸くしてたが無理もない。こうして、ほかにも色々試したい豆類と野菜を大量に買い、次は魚を求め魚市場にヒナちゃんを向かわせる為、髪から出てる耳をロボットの操作の如く両手で掴み操る。
「ヒナちゃんはおさかなさんはすきなの?」
「肉ほどじゃないけど好きだよ。でも、高くて少ないし私のお給料じゃ厳しいかな。」
「なんでそんなにおかねないの?むだつかいはめっ!なの。」
そう、いくらヒナちゃんが天然さんでもそこまで減給されるのだろうか。カーラさんのお店に行ったときもクズ肉しか食べた事がなかったみたいだし。あまりに酷いならアイナママに言わねば。
「あれ!?妖狐族って見るのは私が初めて?」
「クウちゃんまだ人に初めて会ってから一ヶ月もたってないの。それまではおとうさんとふたりっきりだったの。」
「結構、クウちゃんもヘビーな人生送ってるのね。一歳で旅に出すのもそうだし。でも、うちと比べたらどうだろうな。うちの40家族とどっちが凄いかな。」
「はっ!?・・・・・・クウちゃんのおみみがおかしくなったの。」
えーーーーーーーーーーと。四人だよね。
「だから、うちは40家族だから凄いんだって!私の上に後二人いるけど、なんとか協力してやりくりしてるの。だから、減給が厳しいのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
絶句である!親は何を考えているんた?家族計画しろよ!そりゃいくらなんでもヒナちゃんの給料だけじゃ食っていける訳がない!後八人入ればユニットつくれちゃうよ。
「お~~い!もしも~~~し!ツンツン♪クウちゃんやっぱり妖狐族の事しらないのね。妖狐族の妊娠ってね、一度孕むと50年間は毎年一人は産むのよ。だから、あと十人は家族が増える予定なの。」
・・・・・・・・・・・・・
「な・・」
な・・
「な?」
「なん・・・・」
なん・・・・
「なん?」
「なんじゃそらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
なんじゃそらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
「あっ!?珍しい!語尾になのをつけてない。レアなクウちゃん見れた。」
「それほんとなのってほんとだからたいへんなんだなの。むぅ~~アホかみはなにかんがえてるの」
邪神か!?ここにもほのかに奴等が好き好んでいじりそうな設定だ。こうなるともう俺はヒナちゃんをいじれないじゃないか!!
「神様に文句言っても仕方ないよ。それで産まれてくる子だって幸せになれるんだから。」
「もし、ぎるどくびになったらクウちゃんがずっとごはんたべさしてめんどうみてあげるの♪だからヒナちゃんはあんしんするの♪」
「ちょ!?・・・・・・・いきなり不意打ちは・・・・クウちゃん意味わかって・・・・・・・まあいいか。ありがとう♪」
急に耳をピーンって伸ばすからビックリした。ちょっと強くひっぱっちゃったかな?
「お魚市場到着。猫人族の聖地だね。クウちゃん暴れちゃダメだよ。」
そういや俺って猫だもんな。
「ふふふふふ♪クウちゃんのりせいははがねなの!これくらい・・・・で・・・・・・はっ!?」
「ミーコと同じだ。お魚は猫人族の人にはまるでクウちゃんの作ったパンの反応と同じような感じじゃないかな!」
お・・おかしい!?お魚は好きか嫌いかで言えば好きだ。だが、例えるなら梅干しを口の中に十個位入れてヨダレが出る。あれを何十倍にもした条件反射みたいな感じだ。
「そういえばクウちゃん。うまれてまだいっかいしかおさかなをたべたことがないの。バンダムさんのおさかながものすごくおいしかったのはそのせいなの?」
「それはあるんじゃないかな?種族によってあらがえない好物ってあるから。ちなみに妖狐族は脂身よ。もう駄目ね。火をよく通して少し焦げる位は抵抗出来ない。」
いい話が出来た。これは重要な事だ。言ってしまえば弱点であり、理性を失うって事は冒険者にとって致命的だ。それに異世界だ。陸を歩く魚モンスターがいないとは言い切れない。ここで聞けてよかった。
「アイナママにさかなでつられないようにきをつけるの・・・」
「アイナ様は・・・・そんなこと・・・しないよ!」
「こっちをみていうの。」
「そろそろ進むわよ!クウちゃんきつくなったら目を塞ぎなさい!次に鼻。これで少しマシになるわ。」
「わかったの。」
こうして中を進む・・・あぁ~あの赤いお魚がぁ~あっちのさんまっぽいお魚も~~こっちはウナギか?・・・・・・しっかりしろ!む!?ウナギだと!!!
「ヒナちゃんストップなの!!」
「何か発見したね!任せて!あそこね。」
指差す方にヒナちゃんと向かうとそこに大きなタライのような桶にウナギが!どっからみてもウナギにしか見えなかった。
「ちかくでみたいの!おじさん良かったらかうからゆるしてほしいの。」
「おお~いいぞ。落ちないよう気を付けるんだぞ。坊やはヌルヌルに興味あるのか?こいつはぬるぬるしてるからその名の通りなんだがヌメリを取って酒と一緒に煮ると旨いぞ。」
「かったの!!あるだけぜんぶ!!おけごとなんならかうの!」
田舎のじいちゃんの家で何度か捌いた事があるからまちがいない。血に毒があるから絶対ゴーグルさせられたし。ウナギ、醤油、俺のスキル!!!!決まった!俺の次の目標。
「うわぁ~~一歳児が大人買いしてるよ・・・」
「坊や・・・お金がないとな」
「ぜんぶでいくらなの?小銀貨9000枚までならいちじかんいないによういできるの。いまはてもち55まいあるの!」
「まじですかい!?坊や・・・いや、ぼっちゃん!」
「この子の保護者のギルド職員ですがギルドマスターのアイナ様の名に誓ってもいいですよ。」
「こどもだからだめなの?・・・・・・」
これは諦めきれないレベルだ。ざわつく周囲。魚屋のオヤジさんは俺の顔を見てキリッと笑う。
「うれしいねぇ~♪うちの息子達をそんなに惚れてくれるなんて。いいぜ!売った!!ただし!売り値はちゃんと相場でまけねぇが、ちゃんとしたものを仕入れる!俺の名はガイだ!坊っちゃんの名は?」
「クウちゃんなの!ガイさんとはながいおつきあいになるとおもうの!よろしくなの♪」
「じゃあ、クウ坊って呼ばせてもらうぜ!とりあえずここにあるのだと、一匹大銅貨五枚で200匹だから小銀貨100枚だな。」
「わかったのてもちはないからこれをわたしておくの。はぁい♪」
俺はリュックからプラチナオールナイン硬貨を一枚取りだしガイさんに渡した。
「なんだこれ!?白金貨!!凄い輝きだなこれ・・本物だよな・・・」
「落ち着いて聞いて下さいね。それ、オールナイン硬貨です。通常の白金貨の五倍以上の価値がしますからなくさないでくださいね。」
「いや~~いいかいものできたの♪ヒナちゃんぎるどによっておかねをおろしにいくからいどうなの♪」
「オヤジさんが・・・・・あなたも仲間入りね。」
「ちょ!?クウ坊!!こんなもの持って待つって気が気じゃねぇよ!!」
「じゃあ。これからのだいきんはそれでいっかつなの。5おくロン分うなぎたのむの。とちゅうでやめたくなったらのこりをかえしてくれればいいの♪じゃあ、うなぎはしめてもってかえるの。にーどるがこういうときべんりなの。えい♪」
「いらっしゃい~これからの非現実♪さようなら~あなたの元の日常♪」
「ちょ!?なにいって・・・・硬貨これ!!おま!?どうすんだこんなの」
「商人ギルドに加盟してるなら大丈夫ですよ。そちらで換金出来ますし。クウちゃんの事に関してはマリア女王から直々に協力するよう各関係機関お達しが来てるから問題ないです。断れば・・・・・・・わかりますよね♪」
「・・・・・・・・・・・・・」
パクパク口をあけしめしてるガイさんを余所に俺はうなぎをしめ桶ごとリュックにいれるのであった。
ハッ!?俺はとんでもない見落としをしてた。ウナギに醤油と言えばもうお分かりであろう。そう!ウナギの蒲焼きだ!・・・だが!だが!米がなーーーーーーーーーーーーーい!!米のないウナギなんてシャリのない鮨みたいなものだ!こうなったらスキルで米を作る!その為には土地が必要だ。
「おしえてほしいことがあるの!」
「スリーサイズなら別料金よクウちゃん♪」
「きょうみないの。それより、とちをかうにはどこいけばいいの?」
「酷い!ヒナちゃんこう見えて学園にいた頃は美少女で凄かったんだから。」
「もとなの。クウちゃんはいまをいきるの。」
「一歳だから当たり前よね。・・・・商人ギルドよ。でも、土地なんて買ってどうするの?」
「ふふふ♪それはまだないしょなの♪」
「まさか!?ヒナちゃんとの愛の巣を!駄目よ!そんなことされたら!」
「それいじょうぼうそうしたらアイナママにいいつけるの。」
「さあ!商人ギルドへレッツゴー!」
「うむ。それでよろしいの。」
「しかし、クウちゃんってさ、欲しいものには金に糸目をつけないタイプなのね。」
「むむ!ヒナちゃんからそうみえるということはクウちゃんすこしおかねもってきがつよくなってるみたいなの。じちょうしなくてはめっ!なの。」
「お金の力は人を狂わせちゃうからね。」
「たしかにヒナちゃんもそのせいでクウちゃんののりものになっているしなの。」
「フッ!プライドのせいで食べて生けないのなら売るわ!」
「いざとなったらクウちゃんがずっとめんどうみてごはんあげるからほこりはすてちゃめっ!なの。」
「だから!!突然そういう事を!・・・クウちゃんいずれ後悔するよ。アイナ様が心配するのわかってきたかも・・・」
「しんぱいしなくてもいいの!ヒナちゃんはげんきにもりもりたべてればいいの♪」
「・・・・・・・・はあ。わかってないし。一歳だもんね。」
「さっきからなんのことなの?」
「なんでもないよ♪それより到着~商人ギルド!」
「いいばしょあればいいななの♪」
結果から先に言おう。土地は買えなかった。王都内はすでにあちこちが予約済みか個人資産として保有されていてとても俺の希望する面積の田畑を作るだけの土地は無理と言うことだった。なら、外に出て作るのもありだが刈り入れしてる間、モンスターからの攻撃に身を守れるか不安だ。冒険者をじゃあ雇おうにもすでに依頼の為にほぼ全ての人が出払っている。奥の手で一ヶ所出来そうな場所はある。城の中庭だ。だが、許可が降りたとしても自分の為に勝手に使ってはいずれ反感をかってしまうだろう。さて、困った。
「残念だったね。気を落とさず頑張ろ♪冒険者ギルドでも調べておくから。」
「ありがとうなの♪いそがばまわれなの。ちかみちはそうかんたんにないの。きょうはここまでにしてあした、また、さいかいするの。おつかれさまなの。これはべっとのせいこうほうしゅうなの。おくちあ~~んなの。」
「ん?なんだかわからないけどあ~~ん!?」
「できたてほやほやなの♪おつかれさまでしたの♪」
「こっ!?こりわ!!!!ううますぎる!ハッ!?・・・・・・・・・・・クウちゃんが本気で怖いと思った。そんな反則技を使って!ヒナちゃん孕ましたら一生恨んでやる!!」
「ネイおねえちゃんとおなじことをヒナちゃんまでなの。だが!ふふふ♪ペロのまりょくにはかてないの♪さあ!ぎるどにきかんなのヒナちゃん♪」
「胃袋まで支配されたよ~~」
こうして、ヒナちゃんと仲が深まり実りのある収穫も出来て俺は満足だった。
「ただいまなの♪」
「ただいま戻りました。依頼完了です。じゃあ、クウちゃん受付で依頼料払って・・・・・・みんな、なんでそんなにボロボロなの?」
カウンターや机にうつ伏してみんなボロボロだ。・・・・・なんとなく想像出来た。
「アイナ様が荒れてさ、もう、大変だったんだから・・・・アイナ様やって来た。」
「お帰りなさい!クウちゃん!ヒナに変なことされなかった?」
「うわ~~信頼されてね~~ねえ?泣いていい?泣いて・・・うぅ~」
「アイナママめっ!なの。これからいらいでおそとにいくこともあるの。だからってあばれちゃめっ!なの!とりあえず、おしごとおわったらアイナママとよるのでーとなの。それまでうけつけにいるの♪」
「!?分かったわ!!急いで仕事を片付けてくるわ♪らんらんる~♪」
奥のギルマスルームに入ったのを見届けながら一歳児は小さいが響く一言を・・・・
「ぎるどにかしひとつなの♪」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うっ!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「鬼だ!クウちゃんのせいなのに!」
ニンマリ笑う俺
「じゃあ、かえるの。あとよろしくなの♪」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「わ~~!待った!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「クウちゃんのしょうりなの♪きのう、みんなたすけてくれなかったからばつなの。それにクウちゃんだってこのあとぶじかわからないの・・・・・・・・それかんがえればやすいの・・・・」
仕事の時間も終わりおめかしして気合いの入ったアイナママとギルドを出たところでレギュラーメンバーにつかまり、結局、みんなでバンダムのオヤジさんの店に行くことになった。ただし、俺の奢りで。
ふつおたコーナー(MC:たまご丼)
ペンネーム「我が家のエンゲル係数高すぎ」さんより頂きました
Q:太っ腹なお客様から小銀貨五枚分のお肉を頂いてしまいました。家族に教えたら泣いて喜ばれました。お客様にどうお礼を返せばいいでしょうか?
A:お客様の心意気を忘れちゃダメダメ!ひょっとしたらその人はあなたに気があるのかも!ここはあなたのお家で一緒にご飯に誘っちゃえ!我が家のエンゲル係数高すぎさんならさそえるさそえる!というわけでシーユー♪
ヒ:家族に話したら泣かれて喜ばれたの。クズ肉以外で焼肉なんて、うちじゃあ初だからクウちゃんも是非来て。お陰でお母さん、今月は内職しなくて済むからゆっくり寝れるし、ヒナもお手伝いしなくていいからクウちゃんのお陰でだよ。
ク:うわぁぁぁぁぁぁん!!たれももっていくからおかあさんいたわってなの!!!!!!!!!




