うらかたはいそがしいの
「エリシャおねえさんこれ、たのまれてたしょるいなの♪」
「アイナママがこのいらいをゆうせんしてやってとしじされたからよろしくなの。キャロットおねえさん♪」
「おちゃですのボビーおにいさん。あついからきをつけてなの♪」
「いやん♪むぅ~~!ぼうけんしゃのおねえさんクウちゃんはおしごとちゅうなの!おさわりはめっ!なの。」
「アイナママ!おきゃくさまがこられたなの。」
「ちゃんといちれつにならぶの!でないとアイナママにめっ!されるの。」
「クウちゃん・・ちょっとおつかれ・・・おひるねなの。・・・・・・・・・・・・・・すぅ~♪すぅ~♪すぅ~♪」
俺はアイナママからの依頼で早速ギルド内でお仕事を開始させた。腕には臨時職員の腕章を付けている。アイナママに何か考えが合っての依頼だが思った以上に仕事量が多く、まさに猫の手も借りたいとは言葉通りであった。ピークが過ぎて暇になってきた頃、俺の活動限界も来てお昼寝と合わせ休憩時間だった。今はキャロットお姉さんのひざの上で丸くなりナデナデされていた。
「ヤバイわ!クウちゃん可愛すぎ♪最初、アイナ様がとちくるったか、どっかから誘拐してきたかと思ったけどまさかね。」
キャロットお姉さん。年齢は20代前半で肩に掛かる位まで伸ばしたウェーブのかかった金髪に二本の長いお耳が生えた兎人族のお姉さん。身長は175位で結構大柄に見える。ネイさんをほんの一回り小さくした感じだ。服装は職員共通の青を基調としたレディスーツのようなものだ。俺が来る度にハグかおさわりをしてくる人だった。
「西の大陸からここまでくるとは・・・アイナ様に拾われて幸運だよ。いくらこんな世の中でもな。しっかし、可愛いな~♪それにこの手触りは尋常じゃ無さすぎる位気持ちいい・・・なんなんだ?」
ボビーお兄さん。年齢は20後半で短く刈り上げた茶色の髪の鳥人族のお兄さん。身長は170位で意外と細身。空を飛ぶ為に種族全体が細身のようだ。俺の頭をよく撫でてはキリッと笑うナイスガイ?な人だ。
「うぅ~~~・・・・ひどい目にあった。こんな子が居るなら事前に言ってよね。分かるわけないじゃない。痛い目にあった分、私にも抱かせろ!」
ヒナお姉さん。年齢は20前後で肩よりやや下位まで伸ばした栗色の髪のおさげに短く尖ったお耳。身長は155位で細身でお胸もあまりない。俺のせいで犠牲になった妖狐族と言う珍しい複数の尾を持つお姉さんだ。ちょっと申し訳ないと思う俺であった。先程復帰してきたので謝ったら、向こうも謝ってくれて余計に申し訳なく感じた。
「また、アイナ様に殺られても知らないよ!だから、私がもふろう。ウリウリ♪」
エリシャお姉さん。年齢は20代後半で肩よりやや上位まで伸ばした青色のボブヘアー。身長は165位で一般的な女性らしい体型の狼人族である。犬人族とは違い、特徴として満月には狼に変身する事が出来るらしい。セーラちゃんの冒険者登録を無事終えて難を逃れた人だった。俺が書類を持っていくとニコニコしながら長い尻尾で俺を包みナデナデしてから必ず解放してくれるのであった。
「見てるだけでも正直飽きないわ~♪職場の空気が癒されるのってこういう事なのね。同じ猫人族同士なかよくしようね。プニプニ♪うっは~♪このほっぺたがたまらん!!」
ミーコお姉さん。年齢は25前後で黒髪のツインテールを腰まで伸ばしてる。身長は140位で少しだけふよかな胸で華奢な体つき。猫人族は全体的に小柄な種族でミーコさんはこれでも大柄な方だと言うのを俺は都ですれちがう同族を見て感じてた。俺が近寄ると頬をスリスリして喉をならすので大きな猫みたいに見えた。
以上が俺が任された受付の五人のサポートと言うか簡単なお手伝いだった。依頼料は薬草採取の三回分位の大銅貨九枚、前世で言うところの9000円位だ。通貨の単位は前世の円で言うと大体こんな感じだ。
石貨 =1
小銅貨 =10
中銅貨 =100
大銅貨 =1,000
小銀貨 =10,000
中銀貨 =100,000
大銀貨 =1,000,000
金貨 =10,000,000
白金貨 =100,000,000
通貨単位は全体陸共通のロンと言う単位だ。ほとんど中銀貨以上はあまり使わないだろう。・・・・・そう言えば父が俺に持たせてくれたお金に白金貨を入れたとか言ってなかったか?・・・今は考えるのをよそう。
「クウちゃん冒険者やめて正式な職員になればいいのに。ギルド内の空気が全然違うし、いつも注意しても聞かない奴等がクウちゃんだと素直に聞くんだからやんなっちゃう。アイナ様がぞっこんなのも分かるわ。それに心配するのも・・・・結構辛いもんね。クウちゃんの依頼ってその為だよね?」
「まあ、そうだろうな。モンスターに襲われている最中とかじゃない内に経験しとくのがこの子の為だ。」
「あたしもそう思う。同族としてなおほっとけないし。」
「たしかにヒナが泣かせちゃった時にアイナ様がああなるのもしかたがない。母性本能に直接刺激されるようなとこがクウちゃんってあるのよね。」
「あんたね!他人事だと思って!アイナ様、結構マジで力入れてたんだからね。あんた達も他人事じゃないからね。」
「まあまあ。なんにせよ、2~3日で見るわよこの子も。その時はしっかり支えてあげましょ。それが大人の役割だから。」
「「「「ああ&ええ!」」」」
俺の睡眠中にそんなやり取りがあった事もつゆ知らずに俺は一時間ほどしてから起きるのであった。
「・・・・・・ふぁ~~♪・・・・おはようなの。キャロットおねえさん。」
「おはよう♪うはぁ~~うん!いい。子供っていいな~♪」
「モジモジ!?・・・クウちゃんおしっこにいきたいの。おといれどこなの?」
「あら、しーしーしに行きたいの?なら、お姉ちゃんが手伝ってあげる。一人じゃ大変だもんね♪」
少しまだ寝惚けているのだろうか、キャロットお姉さんに運ばれながら頭の中でゆっくり反芻させなからやっと理解したその時にはすでにトイレの中だった。
「・・・・・・・・はっ!?きゃーーーーーーーーー!!だっだいじょぶなの!!クウちゃんはもうおにいちゃんだから、ひとりでだいじょうぶなの!!」
お姉さんに膝を抱えられてオシッコしろなんて、そんなハイレベルなプレイ早すぎる!!いや!!遅くても無理だけど!
「うふふ♪クウちゃんはお兄ちゃんならちゃんと言う事聞かないとメッ!じゃないの?」
「でもっでもっ、クウちゃんはずかしいの!」
中身が本物のお兄ちゃんどころか元独身52歳のサラリーマンだったんです!俺は真っ赤になって顔を手で覆い左右に振るとキャロットお姉さんの萌えスイッチが入ってしまった。
「カハッ♪・・・さあ~♪観念してオシッコしーしーしましょうね~~♪ムフッ♪」
心の中にで叫んだけど誰も助けに来なかった。
スッキリしました。俺は今日、枕を濡らして寝るだろう。うぅ~~恥ずかしかったよ~油断した。
「この職場に来て一番いい思い出になりそうだわ♪」
ツヤツヤした顔になったキャロットお姉さんを直視出来ないで俺は真っ赤になっていた。そこに通りかかったアイナママが近づいてきた。
「クウちゃん!?顔が真っ赤じゃない。どうしたの?」
「むぅ~~~~なんでもないの!うぅ~~~~」
俺から羞恥の湯気がたちのぼるのを見て怪訝な顔をするアイナママ。
「いや~~!クウちゃんをおトイレに連れてってオシッコしーしーしに行ったんてすよ♪もう可愛すぎてたまんなかったです。顔を真っ赤にしてプルプル震えちゃって、そっちの趣味の人ならもう・・・・あれ!?・・・・アイナ様?・・・・」
「なんですって・・・・・・」
このギルド本部で生きていく為には必須のスキルがあった。そう、危険察知だ。
「どうされました?・・あれ?何でみんな離れていくの?・・・私、いい事したよね?」
「う・・うらやましい・・じゃない・・・私ですらまだしたことのないしーしーを・・・あ~~この初しーしーを奪われた気持ちどうしてくれようかしら・・・・」
初しーしーって何!?しかも奪う気満々だったってこと?本音が駄々漏れなアイナママはわなわなと震える右手を胸の前で握りしめ、バキバキ♪と指を鳴らしてた。
「ちょ!?アイナ様!!こんな事で切れるのは無しですよ!!!そうだ!?クウちゃん、もう一回アイナ様としーしーを!!そうよ!!セカンドしーしーが待ってますよアイナ様!!!!」
「ぶはっ♪!!!キャロットおねえちゃん!?クウちゃんそのぱすにはほんきでおこるの!!むちゃぶりはほんとにめっなの!!なっ!?・・アイナママ?・・・・・・・・なんなのそのきたいするめは?クウちゃんもうでないの!!だ・・だれかたすけてなの!!・・・みんな!おめめをそらさないの!!そこのぼうけんしゃのおじさん!!クウちゃんがいらいだすからたすけてなの!!!」
「すまねえな坊主・・・・おりゃ~まだ生きてぇんだよ。達者でな・・・・」
おい!いかつい筋肉の戦士のおっさん!いまこそ、その腕を振るうときだろ!!!
「うふふ♪クウちゃんいらっしゃっい!いくわよ♪」
これ以上ない笑顔で迫り寄ってくるアイナママ。
「ぼうけんしゃならぼうけんしろなの!!へるぷみ~~~~なの!!」
アイナママの脇に抱え込まれ俺は連れ去られた。泣きっ面に蜂だ!
「た・・・たすかった・・・・」
ズルズルと壁にへたりこむキャロットお姉さんと一歳児の叫び声にしばらく職員が空気を察して、ギルドの出入り口を封鎖してするので色々憶測がたったのを後に聞くのであった。
「おとなはみんなきたないの!クウちゃんぐれちゃうの!ぷんすこなの!!」
激おこなのである。今日は枕どころではない!床下まで濡らす自信があった。
「クウちゃん機嫌なおして~♪アイナ様が相手じゃ無理よ、いくらなんでも。」
「むしろ羨ましく思うやつの方が多いと思うぞ。あはは。まあ、これでクウちゃんも男の大人だ。」
「クウちゃんごめんよ~。でもああしないとあの時殺られてたし。」
「それでいけにえにされたらそりゃ怒るよね~♪」
「みんな、クウちゃんをみすてたからどうざいなの!ぷんすこなの!」
俺が頬を膨らませて怒ってもみんなニコニコなのである。まったくなのである。怒ったらお腹が減ってきたのでオヤツの時間にした。部屋の隅に置いてある荷物入れからリュックを取りだし、ライオスさんとの合作のペロのねじれパンとペロを食べれない俺の為にフワフワのコッペパンが沢山入ったバスケットごと取りだした。いつまでも怒っててもしょうがないしどこか空いてる場所で・・・・・・・ん!?みんな見てる。ギルド内にいた冒険者の人達もだ。正確には俺がぶら下げているバスケットを。特に鼻が効く獣人系の方々はヨダレまで垂らしてる方もいた。ペロリストが発生してるよ。匂いが届いたのかアイナママまで出てきた。
「クウちゃん、これって例のペロなの?ここで食べるのは不味いわ!ママの部屋に」
アイナママが言い終わる前に自体は動いてしまった。
「クウちゃん!美味しそうなの持ってるわね・・・・くわせろぉぉぉぉぉ!!!!」
ヒナお姉さんがペロリストに・・・命名【ペロッター】になってしまった!
「がががががががまがまがまんんんんんん出来るかぁぁぁぁ~~ひとつ!ひとつでいいから!!」
エリシャお姉さんもペロッターに!受付前にいた数人、いや、数十人の獣人系冒険者が受付のカウンターを飛び越えて俺に向かってきた。
「それを食わせろぉぉぉぉぉぉ!!」
「理性なんてぇピー♪食らえぇ!よこせぇぇ!!」
このままではヤバイと思った瞬間、アイナママが俺からバスケットを奪いそれを宙に投げた。ああ~俺のコッペパンが!!何故だか分からないが宙に舞うコッペパンがゆっくり落ちていく様子がスロー再生されるが如く俺は目で追えた。そして、コッペパンが知らない冒険者によって食われたとき、イライラが貯まっていた俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・切れた!!!!!
「・・・・・・・・ク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ク・・・・・・・・・・・・・・・クウ・・・・・・・・・クウちゃんのコッペパンがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!ゆ・・・ゆるさんぞ!き・・き・・きちゃまらぜんいんにがさんなのぉぉぉぉぉぉ!!!!」
怒りによって溢れ出すマナ。ここに集まるは数々の冒険を潜り抜けてきた者達が大半だ。いくらペロッターになっていたといえ、数十人で群がればすぐに食べ終わる量のパンである。そして、食べ終わればすぐに素に戻る。目の前には切れた俺。青ざめていただきましょう・・・仇はうつよ!コッペパーーーーーーン!
「み・みん・みん・みんなふっとんじゃえなの!!!!」
「クウちゃん待って!ママの声を・・・マズイわ!!全員ふせてぇぇぇ!!!」
アイナママの普段聞かない尋常じゃない声に一部の人は間に合った。
「【にゃんこ】ハリケーン!!!」
大量の透き通った光輝くねこが現れ一斉に冒険者に襲いかかるとねこのにくきゅうに触れた冒険者はきりもみしながらギルドの出入り口に吹っ飛び、向かい側の建物に土煙をあげていた。
この後、冷静になった俺はアイナママから少し怒られたが冒険者達と一部の職員の暴走がそもそもの原因なので注意だけですんだ。だが、ギルドで乱闘や暴動は数あれど、語り継がれる類いの話になってしまった。暴走した冒険者の仲間達は謝罪に来て仲間の非礼を謝ってくれたが怯えていた。とんでもないルーキーが誕生したと噂され、後日ついた字を俺は知るよしもなかった。
ふつおたコーナー(MC:たまご丼)
ペンネーム「今月はふりかけご飯だけかも」さんより頂きました
Q:上司のお気に入りの子に対して二度も粗そうをしてしまいました。このままでは大幅な減給と左遷させられてしまいます。私ははどうすればいいでしょうか?
A:一度や二度の失敗でくよくよしてちゃダメダメ!失敗したなら取り返せばいいだけ!その子を利用して逆にポイントを稼いじゃえ!今月はふりかけご飯だけかもさんならいけるいける!というわけでシーユー♪
ヒ:クウちゃんお願い!私のお給料の為にアイナ様に「ヒナちゃんのきゅうりょうあげてくれたらなんでもするの♪」って言う依頼を受けて!!
ク:【にゃんこ】ハリケーン!・・・アイナママ・・・そんなめをしてもめっ!なの。




