表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/98

いぎあり!! なの

「ミーナちゃんうわっ! ・・・ばらんすちゃんととるの。クウちゃんうぅ~・・おちたくないの・・・」


「今、話しかけないで!! ・・くっ! ・・・はっ! ・・ぬぬぬ!」


「マナを雑に扱わない! ミーナ、クウちゃんいなければとっくに墜落よ! 魔力操作の基本は自然に! 無駄にマナを込めては駄目よ!」


「ミーナがんばれ! いざとなったらあたいが受け止めてやるからな!」


「お姉さま! 頑張ってくださ~い!」


「あぁ~クウ様! ご安心を! お怪我させませんよ! 絶対に!」


俺達一行は東の街道を王都に向けて進んでいる。だが、移動する足に問題が生じた。馬は全部で四頭。

俺らは全員で六人、俺は飛べるし軽いので、数には入らないが一頭分足りないのだ。

そこで俺のフェアリーリングをミーナちゃんに貸し、俺が肩車する事で修行も兼ねた移動となったのだ。


「クウちゃん、何でこれをいつも楽に操れるの・・・キャッ!! ・・どうやって自然ってのを学べば・・・こんなの・・いや、クウちゃんに出来るならわたしぃぃぃ・・だって!」


「ミーナちゃんわわ! ふぁいとなの!! あきらめちゃめっ! なの・・・・そう、とっと・・そうなの! ぎゃくてんのののの! はっそうをすればいいの!」


「どういうこと!? ・・・ググ!」


「マナをこめすぎるなら、はぅ! ・・こめちゃえばいいの! あぅあぅ!! ・・ただし、どこかいってんぬぬぬ・・・だけなの!しかも、いっしゅんだけ!」


「そんなの無・・・理ってっキャ!! ・・いわないって決めたんだから!! ・・・わっ!? ・・・」


「じゃあ、くうちゅうをっとと! じゃんぷするの!」


「ジャンプ!?」


「おちそうに・・・ぬぅ~なったらかたあしにににに・・・まなをこめててて・・じゃんぷなの !これならららら・・かんがえるのはわわ! そのときだけなののの!」


「わかったわ!!」


「ん!?ミーナ何を・・・・・・」


「そぉぉぉぉりやぁぁぁぁぁぁ!!! ていっ!!もういっちょっ!!! たあっ!! ほっ!! クウちゃん出来た!!!」


「あはははははは!! 空中駆けてら!」


「あの子ったら発想を逆転させたわね。ミーナは細かい制御が苦手だから、一瞬だけ貯めたマナを一点に集中し、一気に解放する事でカバーしたのね。そうすると効果と消費は変わらないか・・・多分クウちゃんのアドバイスね。」


「ミーナお姉さま~~素敵ですわ~~~!!」


余裕が出来たのか、セーラちゃんに手を振り返すミーナちゃん。

この子はボクサーで言えば手数を増やし巧みなテクニックで相手を翻弄するより、ずっとガードを堅め、ここぞと言う時に一気に溜め込んだ力でカウンターを狙い相手を倒す、そんなタイプなのかもしれない。


「クウちゃんてさ・・・ソースの時もそうだったけど・・こう、発想というか視る視点が違うよね? やっぱりお父さんに色々教わってたの?」


「いろいろおしえてもらったけど、クウちゃんまりょくそうさしかおぼえられなかったの。おとうさんいつもクウちゃんがおぼえられないからおろおろしてたの。」


「あはははは♪ クウちゃんのお父さんの気持ち分かるな~。凄いお父さんもクウちゃんにはかなわなかったのね。」


「おとうさんはたぶんせかいいちかもしれないけど、やさしすぎるの。だから、クウちゃんがスリスリしないといじけちゃうの。」


「ミーナちゃんも会ってみたいな! クウちゃん里帰りする時は連れてってよ。」


多分、父に会ったらミーナちゃん卒倒すると思うな。しかし、父に紹介か………今の五人には父の事をいつか話せるといいな。

本当は俺の中身の歳も伝えられたらいいだが、正直怖くて言えないと思う……。

人との関係なんて何とも感じなかったのに……前世と今生じゃ違い過ぎて戸惑う位だ。


「クウちゃん? 聞いてる? ひょっとして……ミーナちゃんがついて行ったらまずかったりする?」


「ちがうの……おとうさんのことをすこしおもいだしたら、ちょっとあいたいなっておもっただけの。いまごろどうしてるかな~なの。」


ちょっとだけ切なくて遠くを眺めた。


「クウちゃん……そうだ!? ……うふふふ♪ね~~~クウちゃん♪」


うっ!?俺を後頭部から胸元に移動させ、抱き寄せるミーナちゃんは小悪魔フェイスをしてる。

嫌な予感がする。

ニンマリとした悪戯が大好きな……そう、わる~い顔をしたミーナちゃんは甘い声を出してる。何か良からぬ事を企んでるに違いない。


「そろそろおりようなの! ミーナちゃんつかれてるだろうからきゅうけいがひつようなの!!」


「うふふふ♪だ~~~め♪」


全身に悪寒が走った!? ヤバイ、何かが起こる危険を本能が告げてる。

だが、ここは空中でどこにもいけないし、リングは手元にない…………逃げられない!!!


「なっ……なんなの? ミーナちゃん、いつもとようすがちがってへんなの……」


生まれたての小鹿の如く震える俺。


「前に練習に付き合ってくれたらお礼してをしてあげるって言ったのを覚えてる?」


ゴブリンとの初戦闘の後に確か約束したよな。


「ぽーしょんがきついのはなしなの?」


「そうそう♪ ちゃんと覚えててくれてたんだ。これからも沢山お願いするだろうから、むふ♪ だから前払いのお礼ね♪ ん~~~~~~~~~~キュポン♪ プハァ~~~♪ ミーナちゃんもファーストキス卒業よ♪ クウちゃんのくちびるってやっぱりもふもふで最高だったわ~♪」


あぁ~~~前世に今生も含めてのファーストキスが奪われたぁぁぁ!!! こっ……この小悪魔が! 夜に脳内再生されて俺寝むれなくなるじゃないか! それにこれから顔を見る度に変に意識しちゃうじゃないか!! ぬぅ~~~……でも、凄いやわら……ハッ!? 違うんだぁぁぁ!! 俺の中の紳士諸君よ! あーーーーもうダメだ…………………………


「「「「ミーーーーーーナ&お姉さま!!!!!!!!」」」」


「降りてきなさいっ!!!! あんた、何やってんの!!」


「おま!? クウのびてんじゃね~か!!」


「お姉さまずるいですわ!!同盟違反です!!」


「クウ様!!!!!オイコラ!!ミーナ降りてこい!!」


みんな激怒である。ぴょんぴょん跳びながら降りて来たミーナちゃんは頭を掻き悪びれる。


「クウちゃんの切なそうな顔を見たらつい、母性本能を刺激されちゃって♪たはは、ごめんなさい。」


ミーナちゃん少しうっとり顔である。ここ数日の俺のしてきた事を見てミーナちゃんの中で色々変化があったのかもしれない。

そこに母性本能も刺激され、清みきった空の中を一歳児とはいえ、二人っきりで駆け抜けるシチュエーションに思春期のミーナちゃんは我慢メーターが限界を突破したと言う。

つまり、俺のガードが甘すぎただけということであった。


「これより! クウちゃんファーストキス強奪裁判を開廷する!! 一堂静粛に…………」


アイナママが裁判長らしい……というかこの異世界にも裁判制度があるのね。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ♪ そんな擬音が聞こえ、狼狽えるミーナちゃん以外、みな沈黙である。


「意義あり!! ミーナちゃんは……」


「被告人は発言を控えなさい! リディアやって!」


「ああ~わかった!」


どこから出したのか蔦がミーナちゃんの口と胴体を拘束する。


「むーーーーーーー!!!」


「本件、ファーストキス強奪は前回、クウちゃんを怒らせた一件により、我ら猫ちゃま同盟によりクウちゃんにスキンシップ以上の行為を働いた物には協定違反よる罰則を与える物とする。

ただし、この協定はクウちゃんの意思でスキンシップ以上の事が行われた場合は当てはまらない事を誓うものとします……

では陪審員の方々に答弁を願おう。」


猫ちゃま同盟とは猫人族と俺の見掛けのおこちゃまをかけてるらしい。

ほんとはもう、猫神族なんだけど、ほとんど変わらないから分からんよな。というか他にいないだろうし。


「審議するまでもなく有罪でず♪」


ニッコリと笑顔で答えるセーラちゃん。ちょっと口許がひくついてる。


「クウ! 起きろクウ! アチッ!? どんだけピュアなんだよ♪ もちろん有罪!!!」


「クウ様……しっかり敵をうちますからね! 有罪!」


俺を抱えてミーナちゃんから守るように背を向けるリディアちゃん。半泣きである。


「一応、被告人に弁論をさせます。リディア解いて。ミーナ、反論の余地がないと思うけど、一応聞いてあげる。」


こめかみに血管を浮かびあがらせたアイナママが冷たい目で見る。


「ミーナちゃんはクウちゃんに修行のお礼を以前からの約束……そう!! 約束だから正当報酬なのよ!! だから、協定違反じゃない! 私欲でキスしたのとは違うの!! 私は無罪よ! 皆さん一緒にむーざい! むーざい! むーざい! むーざい!」


「被告人の反論を聞きました。改めて陪審員の皆さんに判決していただきます。ではどうぞ!!」


「「「有罪!!!」」」


カンカンカン♪土魔法で作った裁判長が叩くハンマーでそこらの岩を叩いてた。


「全員一致ね! よってミーナは有罪! 罰はこの私自らが下します・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いい・・わよね?」


「ね……ね……姐さんのムーンフェイスが……はい! お好きにどうぞ!!!」


「アイナさま!? 何、この悪寒…………私もお任せします……」


「アイナ……貴様!? 本当にただのエルフか?…………さすが、クウ様の仲間だと言うことか……好きにしろ……」


裁判長を行い、一見冷静に見えたが、実は一番激怒なのはアイナママだった。


馬達もじっと身を寄せ合い静かにし、虫の鳴る音も鳴り止み、獣達も身を潜めて風のそよぐ音しかしない。


「・・・・・・・・・・・」


「師匠!? お願いですからせめて何かしゃべってください。」


ジリジリと迫るアイナママに後ろに後退りながら、距離を取ろうとするミーナちゃんは身が凍る思いであった。


「・・・・・コンビクトケージ・・・アースリストレイント・・・」


ウルフ戦でウルフ達を取り囲んだ檻だ。今、展開してるのは五メートル位の大きさだ。


ミーナちゃんの背に土山が盛り上がり、ミーナちゃんは土山に仰向けで寝そべる形で倒れ、そのまま手足は土の中に埋まって身動きがとれず拘束される。


「師匠許して!! お願いします!! みんな許るして!!」


もちろん、みんなガクブルである。そんな猛者はこの中にいなかった。


「あなたが・・・私のとこに来て・・三年・・・一度も・・そう・・・・修行の・・・お・・・れ・・・い♪ ・・・もらってないわね。」


ニタァァァァ♪ っと限界まで口が裂ける三日月の笑顔。ミーナちゃん顔面蒼白である。恐怖で声も掠れてうまく出ない。


「お・・ね・・たす・・て・むっ!? ムーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキュポン♪」


「キュポン♪ ぷはぁ~~~~~~~~~~みんなこれでいいかしら?」


無言で激しく上下に首を振る三人。真っ白になってピクピクと痙攣してるミーナちゃん。


南無~♪ ポクポク♪ チ~ン♪ 自業自得なのである。こうして犠牲者二名を出しながらも王都まで残り二日までの距離を進んだお俺達であった。

ふつおたコーナー(MC:たまご丼)


ペンネーム「至高の御身の下僕」さんより頂きました


Q:我の御主人様の唇が下等なる者に奪われてしまいました。このままでは忠実なる僕としてのプライドがありません。我はどうすれば良いか?


A:一回位奪われた位で嫉妬しちゃダメダメ!男は本音で美しい者に沢山されたいんだよ!だから、お友だち集めて親愛を深めちゃえ!至高の御身の下僕さんならいけるいける!というわけでシーユー♪


リ:クウ様!献上品がございます♪私も含め御正味ください♪


ド:「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「クウさまぁぁぁ♪いただきます♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


ク:らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ