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ごめんなさいなの

「ネイ!喉が渇いてないかしら?魔法でおいしい水を入れるわよ!」


「ネイちゃん、肩揉んであげる♪凝ってるでしょ?」


「ネイお姉さま♪皆さんわざとじゃありませんし、いつもの明るいお姉さまの方がセーラは好きですわ♪」


「ネイおねえちゃん♪ペロのいろんなばーじょんをつくったの♪たべてなの♪ふふふ♪とってもおいしいの♪」


「クウ様!ネイが食べぬのなら私がぜひ!」


「………………………………………ふんっ!!」


ネイさんはそっぽを向いて部屋に籠ってしまった。そう、俺らはやってしまった。

無事、リディアちゃんを連れて町のみんなに報告し、歓喜する住民一堂。

そして、男泣きするクライムさんは俺を抱きしめ、アイナママにミーナちゃん、リディアちゃんに頭を下げて感謝を伝える。

感動が場を満たし俺達の心に温かい物が広がって行くのを感じる中、セーラちゃんの次の一言で俺達は凍る。


「ネイお姉さまは帰られてないのですか?」


「「「あ~~~~~~~~~~~~~!」」」


「そういえば…縛られていた犬人族がいましたね、クウ様。」


「樹に縛ったままだわ!助けに行かないと!」


「そういえば!喋れないようしてたんだ………」


「クウちゃんもネイおねえちゃんがしずかだからすっかりわすれてたの!!」


どうしよう!何で誰も気がつかなかったんだ!!一歳児なのにもうボケたか俺…


「クウ様の仲間であるネイをニーミナがそのままにしておくとは考えられん。日も落ちるから保護してるだろう。それにあの者なら明日になれば無事に帰ってくるだろ。幸いこの町まで近いしな。」


こうして、翌朝……無表情のネイさんを町の入り口で俺らは迎え入れ、クライムさんの家でひたすら謝り、冒頭のシーンに戻るのであった。







「マズイわ………あれは本気で怒ってるわね!」


長年の付き合いで分かるんだろうか…どうも今回はガチキレらしい…


「でも!あの時はああでもしないとまずかったし。そもそもネイちゃんの食い意地が悪いのが原因なのに………」


「でも、流石に忘れて置いて来ちゃうのは不味いかと…………」


うぐっ♪とセーラちゃんに正論で返され、言葉を失ってしまう。


「うぅ~クウちゃんのペロでもだめなの………」


「クウ様、元気を出して下さい。そんなお顔は似合いませんよ。ナデナデ♪」


「・・・・・・・・・」


あのペロリストのネイさんがペロで釣れないとは本気で怒っているのである。

俺は女性とのコミュ経験がゼロなので怒らせた時にどうしたらいいのか分からないのだ。

今の俺に出来る事ってなんだ………簡単に出せるペロを出してご機嫌取ろうというのがそもそもの間違いなのかもしれない。

そういった行動が誠意ある行為か………否!ネイちゃんは何より食べる事が大好きだ。

なら、俺は苦労して誠意を示さねば、いつも守ってくれた彼女に顔向け出来ない。

やるぞ!俺が前世で作っていたあの料理を!異世界で再現が出来るか挑戦だ!


「クライムさん………ごめんなさいなの。きょういちにちだけおやすみくださいなの。」


今は村の再建を優先させる時なのに私情で中断させる事を申し訳なく思う。


「なにを!?クウ様に協力してもらっているのは我々の方ですよ。それにそのお顔…やる男の顔になってますよ。私共に協力出来る事があればなんなりと。」


大きな手でぶこつな手だが、温かく頭を撫でてくれる。ありがとう♪


「クウちゃん何かするの?ママも気になるな、ふふ♪」


「なになに?私も手伝うわよ。ネイちゃんがあの調子だとこっちまで暗くなっちゃうし。」


「私も目が大分見えて来ましたから、簡単な事ならお手伝い出来ますわ♪」


「クウ様、私もぜひお手伝いを♪」


頼もしいみんな。後押しをしてくれる人がいることのありがたさ。だから、俺は進める。


「リディアちゃんのすきるをかりてじっけんなの。クライムさんのおくさん、こざらをかりたいの」


「クウ様、今度はどんな奇跡を?うふふ♪可愛いいわぁ~♪はい、小皿です♪」


「ありがとうなの!さっそくやってみるの…」


俺は鑑定で早速スキルを調べる。ネイさんの事があったので全然調べてなかったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【樹液精製LV4】


マナを樹液に変化させる。樹液の味・香り・栄養価・色・粘度は能力者のイメージと魔力値と消費MP量によって変化する。レベルが高いほど高品質な物に出来上がる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おおよそ、予想通りのスキルで助かった。究極のマナ味とコンボすればなおいいのだが…

俺はみんなが見下ろす中、小皿に両手をかざし、ゆっくりとスキルを発動させる。

すると、俺の手のひらから透明な黄金色の樹液が小皿に滴り落ちる。まるでハチミツみたいだ。

香りは俺が好きだったレモンの香りがする。イメージ通りだ、それにしても綺麗だ。


「できたの♪みんなあじみして、かんそうをきかせてほしいの。」


俺は手のひらについてる樹液をペロリ………………………うまぁぁぁぁぁぁぁ♪…なんじゃこりゃ!?俺の想像を遥かに越えた高品質の物が出来てしまった。

消費MP10でこのレベルなのか。味はもちろんの事、鼻に抜ける爽やかなレモンの香りに舌の上でサラリと溶ける舌触りん見事な品質だ。

俺は味わう事が出来ないが、究極のマナ味とコンボした場合はこれ以上なんだから恐れ入る。みんなは……………ですよね~♪

桃源郷に行ってらっしゃる。うむ、俺から取れたこの樹液を命名【クウ蜜】と今日から呼ぼう。


「おいしいの♪タレのざいりょうのひとつげっとなの♪」


「はぁ~クウちゃんと一緒にいると舌のレベルが上がり過ぎて困るわママ。」


うっとりとしながら小皿に入ったクウ蜜をスプーンで口に運ぶアイナママ。女性は甘い物に弱いから尚更だよね。


「師匠分かります。私はもうあの頃の自分に帰れない。これ以上は止めないと………ペロ♪」


心と体は別なんだな♪


「流石、癒しの勇者様♪舌が癒されますわ♪」


おお~!セーラちゃんのバックにお花畑の幻視が見える。


「クウ様のペットになれて良かった♪こんな樹液を私は舐めた事がない♪至福だぁ~」


たんと召し上がれ♪


「ビンに詰めて少しいただけないでしょうか?近隣の街等で売れば相当の街の復興資金になるかと。」


それ位、お安い御用なのです!


「あなた!うちで食べる分もお願いして!本当に家の子にならない?クウちゃん♪」


クウ蜜の力は偉大だ。人妻が釣れた!


「おいしいものをたべるとみんないいえがおなの♪びんづめするからおくさんはびんもってきてなの。あと、アイナママがぼうそうするからごめんなさいなの。あっ!?もういっこ、よぶんにびんあったらおねがいしますなの!」


「あらら~アイナ様が相手じゃ勝てないわ、残念、ふふふ♪。今、ビンを持ってくるわね。」


奥さん、正しい判断です。アイナママはキレると…………


俺がアイナママをじーーーー♪と半目で見つめる。


「クウちゃん!?ママは誰彼構わず暴れたりしないわよ。もう!」


「じーーーーーーー♪」


愛弟子は俺と同じ気持ちのようだ…


「ミーナお姉さま………」


「ミーナ、後で特訓しましょうか。」


「やっぱり誰彼構わずじゃないですか!?」


美しい師弟愛を愛でていると、奥さんがビンを持ってきたのでクウ蜜をたっぷりと入れてあげた。ルンルン♪で喜んで思いっきりハグをされた。

さて、次の材料の再現が難しい。前世でも毎日味わっていたし、作り方も大雑把ではあるが知っている。だが、一度も作った事がない…

それは醤油である。ほとんどの人がそうなんではないだろうか。

そして、俺がこれからする試みは人によっては受け入れられないだろう。

醤油は確かタンパク質があるものなら、何でも醤油に出来ると聞いた事があったのだ。

つまり、タンパク質を豊富に含み…資源が枯渇している町に腐るほどある物と言えば…


「つぎはばったさんでそーすつくるの。」


「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」


時が止まったが如く静寂が訪れる。そりゃ~耳を疑うよね。一堂、無言で目を合わせ、自然とアイナママが代表になり、俺に聞いてきた。


「クウちゃん?ママの聞き間違いじゃなければバッタでソースを作るって言った?」


「ばったさんなの。」


「あのピョンピョン跳ねる?」


「ぴょんぴょんなの。」


「緑色の……この前リュックに入れた、あのバッタ?」


「そのばったさんなの。」


「………………大変だわ!?クウちゃん、きっと熱があるんだわ!?治療魔法やる前に調べないと!!!」


みんな大パニックを起こしアワアワと狼狽える。


「クウちゃんごめんね~~ミーナちゃんこれからはもっと優しくしてあげるから!!!」


可哀想な者を見る目で見ないで……


「治療はしばらく中止です!!!クウちゃんにもしもの事があれば私!!」


気持ちは嬉しいけど…


「クウ様ぁぁぁぁ!?まだ契約結んで二日しか経ってないのに先に逝かれる(ボケ)とか嫌ですよ!!!」


後でお説教決定!


「おい!ゲインのじいさんのとこに行ってくるから、お前はここで皆さんとクウ様を見てろ!」


「あなた!いいからはやく行って!!」


段々イラッとしてきたな…全く大の大人が揃いも揃って…


「みんなおちつくのぉぉぉぉ!!!!!!クウちゃんはしょうきなの!!まったくもうなの!これからじっけんするからじゃましちゃめっ!なの。」


みんなはそう言うととりあえず落ち着いてくれたが、目がありありとコイツマジか!?と訴えていた。

そんなみんなをスルーをして、俺は鑑定を開く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー【細菌想造LV4】


マナを消費し、細菌を想造し産み出す。造り出す細菌は能力者のイメージと魔力値とMP出力量によって変化する。レベルが高いほど、高純度な細菌が産み出される。


【細菌操作LV4】


マナを消費し、細菌を操作しあやつる。操る細菌は能力者のイメージと魔力値とMP出力量によって変化する。レベルが高いほど、より複雑な操作が出来る。


【細菌成長促進LV4】 


マナを消費し、細菌の成長を促進させる。成長を促進させる細菌は能力者のイメージと魔力値とMP出力量によって変化する。レベルが高いほど、より早く成長を促進させる事が出来る。


【細菌強化LV4】


マナを消費し、細菌の強化を行いより強い菌に変化させる。強化させる細菌は能力者のイメージと魔力値とMP出力量によって変化する。レベルが高いほど、より強く強化を行い変化させる事が出来る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんとかいけそうだ!俺はリディアちゃんの前に移動し、笑顔で頭をナデナデをしてからビンの前に戻った。


「クウ様???なんでか分かりませんが嬉しいです♪」


リディアちゃんのスキルは優秀だ。もし成功すれば相当の事に応用が出来、俺の食生活の環境が激変するかもしれない。

ネイさんの為に始めた事だが、彼女も美味しい物が沢山あれば喜ぶはずだ。ではさっそく開始だ!!


まず、ビンの中にミリオンバッタと水を八割程入れる。そして、ビンの中に向けて細菌想造を発動させる。

ここはマナをけちらないで思いきって10万MPでいってみる。ビンの中にキラキラ光る粉みたいなものが注がれる。

俺の知ってる前世の麹菌じゃないだろうが、イメージはまさに昔から何百年と続く、大きな樽の中で息づいてるかもす菌だ!


そして、次は細菌強化だ。俺が産み出したかもす菌だから命名【クウ菌】を強化する。

より美味しい醤油になるようにイメージをしながら、同じく10万MPを送り、クウ菌を強化した………目で確認出来ないが、何となくそう思ったのだ。まだまだ工程は続く。


細菌操作だ!ビンの中には俺の知らない異世界の菌が多くいるはず。

だから醤油作りを手伝ってくれる菌達以外には出ていってもらうようイメージし、同じく10万MPを送り操作をする。

相変わらず目に見えないが、クウ菌は頑張ってくれる筈だ!俺はビンの蓋を閉じる。


最後の工程、細菌成長促進。ついに来た…ここまでくれば後一息。ビンの中のクウ菌とその他の仲間の菌よ!

醤油という文化を異世界に!ネイさんの胃袋を鷲掴みにするような素晴らしい醤油にしておくれ!!

万感の思いと至高のイメージと最後は倍の20万MPを送り完了した。ビンは透明で俺と同じ位の大きさだ。

後はバッタが溶けて無くなり、色が変わり甘い匂いがすればいけるはずなんだ…………素人の知識とスキルとマナのごり押しだが、この想いが届いてほしい。

俺が一連の作業を終えたのでリディアちゃんとお外で農作物をガンガン生やしまくった。

リディアちゃんの養分が枯渇しないようにペロを口の中に入れる度にドンドン増えるマジックハーブにピックルの豆とフラワーリング。

こうして、お昼になるのま二人で頑張り、太陽が真上に登って来たので昼食にする為にクライムさんの家へと向かう。

そして、クライムさんの家に着いた俺は一目散にビンを確認したくて足早に向かう。

周りのみんながヤレヤレみたいな反応を見せるが…





______俺はビンを見て固まった。





「うわぁ~~………真っ黒ね………クウちゃん、ママが慰めてあげる♪ホラッ、いらっしゃい♪」


「……………ドンマイ、クウちゃん。流石のクウちゃんもたまには失敗することもあるわ。ミーナちゃんも慰めてあげる♪」


「残念ですわ…………クウちゃんならば、ひょっとしてと思ったのですが、今度はもっとちゃんとした材料で挑戦しましょ♪」


「クウ様………私はクウ様の作られた物ならどんなものでも食べます!」


「クウ様、流石にこれは無茶ですよ。でも、その姿勢をセージにも見習わせたいです。」


「あらら~~流石にクウ様でもバッタじゃ奇跡が起きなかったですか。」


みんな、俺に励ましの声をかけてくれるが、全く耳に入らなかった。俺は固唾を飲み、ゆっくりとビンの蓋を開ける。


「クウちゃん?………………何?…この甘い香りわ…」


最後に発酵を止める為、細菌操作で醤油の味を損なわない全ての菌以外よ!出ていけと念じ10万MPを使った。

少し間を置いてから一旦蓋を閉め、深呼吸をする。みんなが俺を静かに見てる。

そして、蓋を再度開け、指先に醤油を少し付け舐める。


「できた………あぁ~~~~おいしい……………」


呟いた。凄く小さな俺の凄く小さな呟き。みんなに聞こえてしまったのか、無言で驚いている。

異世界に来て12年………誇れる父に拾われ、今もこうして多くの人に出会い、見つめられ囲まれている。

幸せだ。だけど、前世の世界に残してきた、今だからこそ感じるありがたさ、当たり前過ぎて感じる事もなかった物が胸にひしひしと広がり涙が溢れる。

あぁ~~美味しい。こんなにも一舐めで気持ちが涙となって溢れるとは思わなかった。

言葉が出ない………溢れ出る感情が止まらない!帰りたい!心の底からこの時だけはそう思った。

そして、そのまま誰かに抱かれた俺は、そのままとめどなく押し寄せる想いをどうすればいいか分からず泣き疲れて眠るのであった。






「私達はみんな、初めから無理だ、無駄って決めつけていたけど………250年生きて来て、様々な修練、濃密な経験をして来たつもりだったけど、まだまだ私は甘いって思い知らされたわ。」


衝撃的だった。何を見ていたんだろうと…壁を自分で作ることの愚かさ。それを越える為にこの身を磨いて来たのではなかったか。この子の側にいたいのなら今日の日を忘れるな!そう自分に言い聞かせる。


「師匠、私もこれを舐めて世界が変わりましたよ………だって!元が毒を持ったバッタですよ!……………誰も信じませんよ…でも、私はこの目で、この舌で体験した!だから、いつか師匠を越える魔術師になるって宣言します。無理、無駄なんて私は言わない。」


限界を作るのは私だ。常識を周りに合わせては夢に届かない。あの小さな体にどれだけのことを教わったか。

私は変われる。これは人生を変える転機だと感じた。


「私はこれで二度目です。一度目はこの目………諦めたら駄目って事を改めて思い知らされました。ねっ♪勇者様♪」


この目は本当の意味で雲っている。私の目は物事の本質を見抜いていなかった。なら、私の目はこれから変わる。

今日と言う日を境にまた、甦る筈だ。


「私はやはりとんでもない方のサーバントになったんですね。この身が果てるまでクウ様と一緒です。」


あの世界を苦しめる毒を消し去る。それだけでも偉業なのに、神の力?違う……我のスキルだ。

それをこんな形で奇跡を起こすとは…私の全てを献上する御方がこの方で良かった。

私は全てのドリアードの歴史の中で一番奇跡を見る者になるだろう。

主の器の大きさに改めて誓う。この身が滅ぶまで永久«とわ»に忠誠を捧げることを。


「頭を思いっきり殴られたような衝撃ですよクウ様。俺の方こそセージに姿勢うんぬんじゃないですね。」


穴があったら入りたいとは、まさにこの事だ。上から物を見て言っていた自分が恥ずかしい。

この歳になってもガキなのは俺だと思い知らされた。


「奇跡は起きてたんですね。家の子にと思ってましたが、アイナママさんじゃないとクウ様は抱えきれませんね。」


大きすぎる。私程度ではこの子の成長を平凡な者に変えてしまう。人生でそう思える人物がまさか、こんなに可愛い赤ちゃんとは、残念でならない。私には荷が重すぎる。


セーラちゃんに抱っこされて寝ている俺の姿を見て、それぞれ思いの内を吐く。何かが変わるかもしれない、そんな時間だった。






俺はあの後、二時間位して起き、リディアちゃんと今度は町の外の田畑に作物をガンガン生やしてた。

この分だと明日には俺達の出来る事は終わりそうだ。ちょっと名残惜しいが、この数日にやった事を俺は大事な思い出として宝物に出来る。


「クウ様、今日はこの辺りで。リディアはまだまだ大丈夫ですがクウ様は今日、大量のMPを使用しているので、もう止めておきましょう。」


「ちょっとかっこわるいとこみせちゃったの……………もう、なかないの!!」


中身の精神年齢を考えると恥ずかしい。夕日で顔が赤くなっているのが、ばれないといいな…


「我のクウ様はかっこ悪くないですよ♪さて、あの奇跡のソースでネイを倒しますか♪」


「クウちゃんがペロいがいでもやれるおとこだってしょうめいするの!」


こうして、ネイさんの天岩戸(クライム宅2F客室)から誘い出す為のミッションが開始された。


「たんじゅんなあじつけこそ!りそうのあじつけになるの!」


醤油とクウ蜜を合わせると、それをバンパイアニードルで完全に地抜きしたウルフ肉にペロ刷毛(はけ)バージョンMP1で塗る。

じっくり焚き火の上で豚の丸焼きのように炙るのは土魔法で作った台座である。

ウルフを丸ごとの串刺しにして、クルクルと回しながら焼いて~塗って~油が滴って燻製して~焼いて~塗って~油が滴って燻製しての繰り返しをしなから香ばしい匂いを撒き散らす。

準備は整った。ミッション、スタートだ!


「ふっふっふ~なの♪さくせんかいしなの!すてーじわん!Iー7すたーと!かぜまほうでふういんされしとびらにせいなるいぶきをおくるの!」


「了解♪清浄なる風よ~変にいじけてる~わんちゃんの~胃袋を刺激して~たもれ~♪」


アイナママは無詠唱が出来るから、適当な呪文を並べて唱えている。そして、香ばしいタレの焦げる匂いがネイさんの部屋へと運ばれる。


「こちらコールサインM-7より!目標に動きあり!どうやらドアの内側を爪で引っ掻いて我慢してる模様!ナイン!オーバー!」


「Mー7りょうかいなの!すてーじつー!まちのみなさんすたーとなの!」


煽り要員は必須だよね。


「うめーーーーーーーーーーーーーーー!!」


「今日の飯はいつもと違う飯だ!こりゃ~最高だ!!」


「お母さん美味しいね!!僕もっと食べたいやーーー!」


「かーーーーーーたまんねぇなぁ!」


みんなノリノリで演じてくれる。俺がみんなにサムズアップをすると、みんなもサムズアップで返してくれる。


「こちらコールサインS-Rより!目標に動きあり!ドアの隙間からヨダレが溢れております!うわっひどっ……後少しです!ナイン!オーバー!」


「客室を掃除するの俺だぞ………トホホ………」


頑張れセージ。まあ、これも人生だ。


「SーRりょうかいなの。とどめなの!らすと!RーA!すたーとなの!」


「ナイン様♪やります!最後のおかわりもーーーーーーーらーーーーぃ…」


バカン♪と爆ぜる音と共にネイさんがドアを蹴り破り俺達の前に姿を見せる。


「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!あたいの分も取っとけやぁぁぁぁぁぁ!!」


勝った♪


「みっしょんこんぷりーとなの!しょくんらのおかげなの♪わっはっはっ~♪ほかくかいしなの!!」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「わーーーーーーーーーーーーー!!!捕獲完了!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


「汚いぞーーーーークウ!!」


住人総出でネイちゃんにしがみつき取り押さえる。


「かてばいいの!たーげっとNー1………ないんのかいしんのぺきんうるふてりやきばーじょんをまえにしても、いまのままでいられるかなの!Iー7とどめなの!」


「はい♪あ~~~~~~ん!」


アイナママ楽しんでるよね?顔が凄く笑っているよ…香ばしいウルフの照り焼きがネイさんの口へと近づく。


「や……止めろ……あたいは……あたいは……絶対……おまえ達を許さ………んぐ!?むーーーーーー!?」


素早い動きで口の中に放り込むが噛まないで抵抗するネイさん。だがしかし。


「ほ~ら♪よく噛んでお食べ♪」


アイナママが両手で頭と顎を動かし、そしゃくさせるとネイさんが次の瞬間!


「うまいぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!溢れ出す肉汁!ハッ!?完璧に血抜きされ臭みがなく!!この未知の香ばしいタレが絶品!!こ~これは食のビッグバンやーーーーーー!!!お願いだ~~~何でもするからもっとおくれ~~~~!!!!!」


言質を取る機会がやっと来た!


「じゃあ!もう~もりにおいていったけんはなしなの♪おこっちゃめっ!なの♪」


「ああ~~構わないからもっと食わせてくれ~~~!!」


「みっしょんこんぷりーとなの♪ねいおねえちゃんごめんなさいなの。あ~~~ん♪」


こうして、天岩戸作戦は犠牲者一名(セージ)を残して、俺の北京ウルフ照り焼きバージョンをみんなで美味しく頂き、俺の苦労も報われたのであった。


「ところでクウ。このタレって何で出来てるんだ?あたいこんなの初めてだよ!」


「う~ん………いってもしんじないとおもうの。だから、ひみつなの♪」


「ん!?気になるけど、まあ、いっか!」


「「「「「(知らない方が幸せだ。)」」」」」


村の人達にも伝えるのを忘れていた………ごめんなさい…





夜が明け、次の朝、俺とリディアちゃんはバッタにやられた植物を全てを補い、町の住人に感謝され旅立つ。

えっ!?早すぎるって!?特に面白くもオチもないので省略だ。

あっ!?一つだけあった。残りのバッタをビンに詰められるだけ醤油にしたのをネイさんが見て、やさぐれていたが…北京ウルフ照り焼きバージョンの魅力には勝てなく、結局は開き直っていた。

ネイさんは花より北京ウルフ照り焼きバージョンじゃなければ俺らの調子が出ないのである。


「本当に行かれるのですね。あのバッタの襲来がなければクウ様に色々教わる事なく過ごしたと思うと今はバッタ様々ですよ。」


「クウ様、何でも帰郷の際には又寄ってくださるとか。首を長くして待ってますわ。」


「クウちゃんこそおせわになったの。おとうさんのとこにかえるときはまたくるの。あと、これを渡しておくの。クウちゃんのきてたあいすばーどのおようふく。もし、こまったことがあったらリディアちゃんのなかまがたすけてくれるの。だから、それをみせるかきればクウちゃんとのやくそくまもってくれるの。じゃあ、みんなまたあうひまでばいばいなの♪」


町のみんなが見送ってくれる。また、故郷が増えたなと微笑むのであった。王都まで馬で三日ほどらしい。やっとだ!王都に着いてもトラブルはあるんだろうけどとにかく楽しみだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前】クジョウ クウヤ

【年齢】12

【性別】男

【種族】猫神族

【クラス】着ぐるみ師


【レベル】8

【HP】14/14

【MP】1,210,001/1,210,001 +[245,000・20%UP]

【力】9

【技】23

【耐久】9

【敏捷】30

【魔力】10701 +[2140・20%UP]

【運】9

【魅力】10022

【もふもふ】∞


【スキル】

調理LV1  家事LV1 農業LV1 もふもふ魔法LV2 [魔力操作LV3] [MP回復速度上昇LV3] 双聖神魔法LV1 モンスターテイムLV5 主従契約LV5 [植物想造LV4] [植物成長促進LV4] [植物強化LV4] [植物操作LV4] [樹液精製LV4] [細菌想造LV4] [細菌操作LV4] [細菌成長促進LV4] [細菌強化LV4] [毒物創生LV4] [光属性魔法LV3] [光属性耐性LV3] [光属性魔法吸収LV3] [土属性魔法LV3] [土属性耐性LV3] [魔力強化LV3] [MP上限値上昇LV3] [鑑定LV5]


【アビリティ】

究極のマナ味 着ぐるみクリエイト 究極の抱き心地 育成速度遅延 言語翻訳・翻訳 神力 意思疎通 サーバント召喚 [聖魔樹の華香] [地脈吸引]


【加護】

サーヤ女神の加護

トーヤ男神の加護

聖龍皇アドアトラスの加護


【契約】

聖魔樹リディア【従】


【アイテム】

バンパイアニードル

フェアリーリング

聖龍皇皮のリュック

特別転生の番号札

絹の袋

ゴブリンの着ぐるみ

醤油


【着ぐるみ】

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後書き

ふつおたコーナー(MC:たまご丼)


ペンネーム「妻に頭が上がらない」さんより頂きました


Q:俺よりずっと年下の男の子が家を出てい行ってから妻のため息が増えました。俺はどうすれば良いでしょうか?


A:年下の男の子に嫉妬しちゃダメダメ!いくつになっても男は子供!その子の代わりに子供になっちゃえ!妻に頭が上がらないさんならいけるいける!というわけでシーユー♪


ク:これを着ればあいつもきっと!クライムなの♪・・・・こんな感じか?


奥:・・・あなた!?


セ:親父、お袋、話が・・・ごゆっくりどうぞ・・・弟かな妹かな・・・

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