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タトエバ  作者: 井上写楽
1/1

プロローグ

この世界に住んでいる人間なら。


一度は必ず《◯◯だったらいいのにな》と妄想する事があると思う。


「あー空からお金が降ってこないかなあ」とか

「あんなカッコいいor可愛い子が自分の彼氏or彼女だったらなあ」


まあ、、よくある妄想というか。


恐らくこう言ったものは現在の自分では到底叶う事がない絵空事をイメージするのが大半で、友人や家族にボソッと言った所で鼻で笑われて終わり。


そりゃそうだ。自分で動かなきゃあり得もしない出来事を動かず待機している時点でそれ掴む努力すらしていないのだから。


ましてやお金が降ってくるなんて事は現代に石川五右衛門の様な大泥棒が現れ

汚い事をして稼ぐずる賢い悪人から強奪、そしてそれを世間に撒き散らしてくれない限りはあり得ない。


そんな叶いやしない夢幻だからこそ、せめて頭の中くらいは無駄にまみれたフィクションを楽しみたいのだ。


今日もバイトをしながらくだらないバカな妄想をしている。


・・・


時計を確認するともう少しで退勤時間。

早く帰りたい気持ちを抑えていた時、後頭部から何かが破裂した様な感覚を覚えた。


・・そこから病院で目を覚ますまでの記憶は全くない。


どうやら、バイト先で倒れ救急車で運ばれて今に至るらしい。

医者曰く、幸い異常はなく明日には退院出来ますとの事だったので今日はもう休むことにした。


翌日。

バイト先から安静にしろと休みをもらったので今日は大人しく家に帰り、録り溜めてたDVDでも見ようとマンション前まで帰宅。

家の前付近まで来ると周りに何故か大勢の見物客?の様な人だかりが。


何があったんだろうと人を掻き分けるもなかなか前が見えない。

ふと横を向くと大家さんがいたので詳しく聞いてみる事にした。


大家さん「あなたの隣の丸山さん、何かテレビで取り上げられてるみたいよー!!凄いわね!!」


確かに、遠目からではあるがよく見ると隣に住んでる丸山さんがテレビカメラに囲まれて取材みたいなものを受けている様子が伺える。


恐らくこの時点で、接点のないただの隣人なら

「ああ、凄いなあ」と思うのだろう。

でも丸山さんをよく知ってる自分には違和感しかなかった。


丸山さんが

《女装をしてオネエ言葉で話している》のだ。


別に女装やオネエ言葉が悪い訳ではない。

世の中にはごまんとそういう方はいるし、近くにいても偏見など持ちはしないのだけど。


自分のよく知る丸山さんは強面で江戸っ子喋りの、いわゆる男らしい男。


口は悪いが面倒見が良く、美味い酒が手に入ったからと言って酒の席もご一緒した事があるが、、こんな姿みた事もない。

これが丸山さんの仕事なのか?いや違う、彼は20年以上建設現場の職人をしているはずだ。


まあ色々考えても仕方ないし、落ち着いたら本人に聞けばいいかと人混みをすり抜けて家に入る。


DVDを見ながらふと

「丸山さんがなあ、、、まさか事実だったなんて 笑」


と、ニヤニヤしながらDVDを消化していった。

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