プロローグ 雨の日の猫
初めての投稿です(;・∀・)
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猫を拾った。真夏の雨の日に。
どういうわけか、そいつはまるで床拭きした後の雑巾のように濡れ汚れ、ところどころ擦り切れていた。ただ雑巾と違ったのは、切れた布から鉄くさい赤がにじみでてきていたってこと。
私はそれを見て、かわいそうと思う前にどうでもいいことを疑問に思った。
猫は、死に際を人には見せないんじゃなかったっけ……?
昔、どこで聞いたのか覚えていないけれど、そんなことを耳にした気がした。
どうでもいい、本当かどうかもわからないこと。でも、その時私の頭をよぎった疑問が、無性に興味をかきたてた。
「ねえ、どうして君はここで死ぬの?」
問いかける。もちろん答えは返ってこない。
死に際を人には見せない猫が、今まさに私の目の前で息絶えようとしている。
まるで、自分を否定されているようだった。お前などここにはいないのだと…。
「君にも私が……人じゃないように見える?」
君には私がどう映っているのだろう?
意識が朦朧として、答えも出せそうにない? だったら、私が助けてあげようか? 私が介抱してよくなったら、どうしてここで死のうとしていたのか教えてよ。
いや、違う……せめて、私を見て認めてほしい。私は、普通なんだって。
真夏の雨は、思ったよりも冷たかった。そっと自分の傘をズタボロの雑巾にさして、私はハッとした。
ずぶぬれの雑巾に、誰かのものだと証明する首輪がつけられていたからだ。
君は、どこかで飼われているの? ううん、違うよね、だって……死にかけてるじゃん。誰かのモノだったら、こんなになるまでほっとかれないよ。だったら……
「ねえ……」
もしかしてさ……
「君も、誰かに捨てられた?」
真夏の雨は、思ったよりも冷たい。