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双子の話  作者: ゆか
7/7

睦と皐の夏休み

「ねー、むつきー」

「……何、さつき

「機嫌悪いね」

「そうですね」

「何で?」

「今ね、僕はね、一生懸命に夏休みの宿題をやっているの。それなのに、話しかけられなきゃいけないなんて、耐えられません」

「耐えてー」

「嫌ですー」

「お、割とノリがいい」

「まあね。今日の分の数学が終わったから」

「睦、偉いね。一日にやる量、ちゃんと決めているんだね」

「まあ、計画的にやった方がいいと、僕の価値観からは判断されているから」

「私は九割くらい終わったー」

「今日やる分の?」

「うん、そう」

「やっぱり、皐も決めてやっているんじゃん」

「まあねー。私の思考回路は、ほとんどが睦と同じだから」

「そうだねー。でも、本当の理由は違うんでしょ?」

「いいえ、違いません」

「何で? だって、皐が今やっているところ、僕があさってやろうとしているところだよ?」

「一日にやる分量までお兄ちゃんと一緒にしてほしいの?」

「やめてください気持ち悪い」

「いいじゃん、別に。早く終わらせたいだけだよ。夏休みの最後一週間は遊びほうけるつもりなの。だから今頑張るの」

「だから、理由が違うでしょー」

「違いませんー。というか、何を根拠にそのようなことを言っているの」

「僕は、知っているのだ。あなたが、日向ひゅうが君に教えてあげるために、そして、教えた後は一緒に遊ぶために、早く宿題を終わらせようとしているのだと」

「今出てきた、私が勉強を教えようとしていると睦が妄想している相手ってさ、何者? 誰それ?」

「あなたの彼氏です」

「いつからそのようなものがこの世に存在するの?」

「ゴールデンウィーク明けに告白されたと、あなたの口から聞きました」

「それは、夢の中での話だと思う」

「うーん、そういうことにしようかな。皐のせいで、かなり面倒臭くなってきた」

「しておいてー」

「りょうかいー」

「……終わった」

「あ、やっと?」

「うん、やっと」

「よかったねー」

「よかったよー」

「これで、彼に教えてあげられるねー」

「うん。今日のお昼に会う予定なんだよ」

「あらー、ラブラブだねえ、お二人さん」

「そういうものとは全くもって違います」

「さいですか」

「さいです」


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