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さつき と むつき
私たちは、十五年前に生まれた。
三月二十一日。まだ寒さの残る日だったらしい。
二卵性の双子。
名前が、音は似ているけれど全然違う双子だ。
兄は睦。だから一月。
私は皐。だから五月。
誕生日は三月なのに。
知りたくもないが、どういう由来なのか。
気になって親に聞いてみたことがある。
「女の子の名前は決めていたのよ。生まれるずっと前から。それで、男の子は何となく似ているしこれでいっか、ということで決めたのよ。あら、気に入らなかった?」
兄のほうが適当だったのか。かわいそうだな。
同情はしないけど。
してほしくもないのだろうけど。
「でも、一月と五月のちょうど中間が三月よ。生まれた月と一緒でしょ」
今、偶然にも思いついたから言ってみただけでしょ、それ。
それにしても、なんと適当な親。
だから私たちは面倒臭がりなんだよ。多分。
関係ないが、責任転嫁しておこう。今のうちだ。
その瞬間に決めたこと。
私たちが将来名前をつけるとき。
そのときは適当につけてやろう。