第八話・パパの贈り物
前回と同じ日の設定です。眠たくて書いたので、文脈が整ってないかもしれません…御了承ください。
…仲野くん、怒ってるだろうなぁ…
マンションを見上げながら…私は少しだけ、憂鬱になっていた。
自分で決めたことなのに、今さら後悔し始めてる…でも、もう戻れない。
私は、仲野くんと玲奈のいる部屋へ向かった…
…全ては、朝から始まっていた。
玲奈に起こされて目覚めた私は、凄く機嫌が悪かった。
寝起きが悪いわけじゃない…昨日の夜【喫茶店の事】から、ものすご〜く機嫌が悪くなっている。
…それはもちろん、玲奈に対しても…
「ねぇ、沙織…まだ怒ってる?」
「…一つ、こっちから聞くわね。怒ってない…とでも思ってるの?」
「そうよね…あんな言われ方したら、誰だって怒るわよね…」
…明らかに…変だわ…
普段の玲奈なら、謝ったとしても…私に気を使ったりしない。
後悔はしても、反省はしない…それが玲奈だ。
…何かあったのかな?…それに朝からスーツ姿で、学校に行く様子を感じない…
怒ってるはずの私だが、いつの間にか玲奈のことを心配している。
…一応、聞かずにいられなかった。
「…実はね、沙織…」
「だ、誰を殺したの?」
「………は?」
「…だって…いつもは人を地獄に突き落としても、高らかに笑ってる玲奈が反省をしてるのよ?…ついに誰かを始末したとしか…」
「…アンタの中の私を…見てみたいわ…」
…玲奈は、深くため息をついた。
その姿は見慣れてるけど、肩を落としてる玲奈をこれ以上見たくない。
私をいじめたり、酷いことを言ったって…すべてを帳消しに出来る、親友だと思うから…
「…ちゃんと聞いてね、沙織…」
「うん。」
「実はね、御主人様からプレゼントがあるのよ。」
「! パパから!?」
「…そう。沙織の誕生日に、休みが取れないからって…」
…パパからプレゼント…やった〜!!!!!
さっきまでの気分が嘘のように、ベットで騒ぐ私は子供のようだ。
それを困った顔で見てる玲奈…
…私は玲奈の悩む理由が、さっぱりわからない。
「…パパからのプレゼントなのに、どうして悩んでるのよ?」
「…う〜ん…」
「玲奈?…黙ってたら、わかんない…」
「………よし!…一緒に連れてってあげる。」
…連れてく?…どこへ?
今日が平日で、学校だというのもわかってるはずなのに…玲奈は黙って、準備をするために部屋を出ていく。
私も仕方なく、制服じゃなくて私服を着る…地味だが動きやすいジーンズを選んだ。
手ぶらで部屋から出ると、玲奈が迎えに来ていた。
…玄関前には車が用意されていて、玲奈がドアを開けて私は中に入る。
反対側から、玲奈も乗って来た…いつもは助手席に座るはずなのに、今日は隣に座る。
車が走り出す…そして、玲奈は話し出した。
「これから行く場所で、御主人様のプレゼントの内容を説明します。」
「…内容?…物じゃないの?」
「いえ、一応は物です。」
「…一応?…確かに説明が必要かも…」
考えるのを諦めた私は、玲奈が説明するまで待つことにした。
…私の言葉に玲奈は、軽く微笑んでいる。
仕事モードの玲奈は、私にすら感情を見せない。
ただ微笑んで、伝えることを伝えるだけ。
…まるで機械のように…
玲奈を初めて見る人は、妙な違和感と怖さを感じるだろう…まぁ私はもう慣れたけどね。
…いろいろ考えてると、車はゆっくり停止する。
先に玲奈が降りると、すぐに私の側のドアを開けた。
10分も経ってないから、お家から意外に近いかも知れない…車を降りた目の前には、工事真っ最中のアパートがある。
…???…なんでここに連れてこられたんだろ?…私は余計にわからなくなった。
そこで初めて、玲奈がちゃんと説明を始める…
「ここは、仲野様の住んでいるアパートです。」
………仲野様…ってさ、私の知るかぎり仲野くんだよね?…
…死ぬほど驚きたかったけど、堪えて新たな疑問をぶつける。
「…こ、工事中のアパートに、ひ、人って住めるの?!」
まともに喋ったつもりが、結構焦ってたらしい…
しかし玲奈はそれを気にせずに、また説明を続ける。
…どうやら、質問の答えのようだ。
「今朝までは住んでましたが、今日で建物を解体するので…多分住めなくなるでしょう。」
…仲野くんが、住めなくなる?
話の内容が見えなくて、私の脳はフル活用されている。
…玲奈は説明を続ける。
「御主人様は、お嬢様が仲野様を好きなことをご存知で…」
「な、何で知ってるのよ!?」
「…すいません。」
「玲奈!!! アンタね、よりによってパパに言うなんて…」
「お嬢様にとって、何が一番大切かを考えた結果…御主人様に報告しました。」
…うぅ…目が嘘をついていない…本当に私のために話したんだ…
…玲奈が面白半分でパパに話したわけじゃないと知って、私は許してあげた。
それから、玲奈の話は…とんでもない方向に傾きだした。
「お嬢様は、仲野様とどうなりたいですか?」
「…ふぇ?」
「仲野様と、どういった関係になりたいのですか?」
「…ど、どうって聞かれたって…ねぇ…」
表情を変えずに聞く玲奈に対して、私は道の真ん中で…顔を紅色に染めた。
具体的な話になると、私の口からはあまり言いたくない。
…私の気持ちを察したのか、玲奈は気持ちを代弁してくれる。
「…デートしたり、手を繋いだり…」
「…うん…そんな感じ。」
「…キスしたり、さらにその先も…」
「!!!…ま、まだ早いわよ!」
「…まだ…ということは、したいと考えているんですね。」
「!!!!!」
…はうぅ…恥ずかしくて死にそうよ…
一瞬、玲奈の顔が小悪魔になったが…私は気付かなかった。
…そして玲奈は、まとめに入る。
「つまりお嬢様としては、仲野様と一緒にいたい…そう受け取ってよろしいですね?」
「………願いが…叶うのなら…」
「叶いますよ。」
「………本当に?」
「というより、御主人様のプレゼントです。」
…いちいち驚くのが疲れたから、私は驚かない。
わかることだけ、受け入れる。
…パパの誕生日プレゼントが、仲野くんと一緒にいられること…
…あ、いま気が付いた…
…すべてわからないから、受け入れられない…
…やっぱり、玲奈の説明を聞こう。
「この解体中のアパートが無くなれば、仲野様は住む場所を失われます。」
「…そりゃそうよ…」
「そこで御主人様は、隣のマンションを買い取りました。」
「え? パパが、そこを買い取ったの?」
…そこには、普通のマンションがある。
まぁ、良くも悪くもない…普通のマンションを、あのパパが買い取るなんて…信じられない。
…でも、ここに仲野くんが住むなら…何階なのかは聞いとかなきゃ…
「…パパは、何号室を買ったの?」
「いえ、ですから…ここのマンションを買い取られました。」
「………全部?」
「はい、全部です。」
…一体、いくら使ったのよ…2〜3億じゃおさまらないじゃないの…
…私のプレゼントのためだけに、パパったら…
私は感謝をしながらも、親としてどうかと疑ってしまっ………ん?
「…ねぇ、私へのプレゼントってさ…マンションなの?」
「はい。」
「でも…仲野くんが住むのに、どうして私のプレ…」
私が疑問をぶつけるより前に、玲奈の切り返しが早かった。
「ですから、お嬢様には………」
「…仲野様と、同棲してもらいます。」
…いちいち驚くのって、めんどくさいんだけど…
…仕方なかったから、私は叫んであげた。
「えええぇぇぇーーー!!!」
…あー…喉が痛いよぅ…
はい、作者です。やはり強引な展開ですね…反省してます。あと、私は書くことばかりに集中しすぎて、あまり人の作品を読んでませんでしたので…読みました。素晴らしかったです。特に女の子の可愛さが、文だけなのによく伝わってきました。ぜひ参考にして、沙織を【カワイイ女の子】にしていきたいと思います。では、次回も楽しみにしててください。