第十八話・その気になったのは…
更新が遅れてスイマセン…内容も、特に重要ではありませんが…どうぞ…
「…ねぇ沙織…僕たち、このままでいいの?」
「良いに決まってるじゃない。」
「だってせっかくの日曜で、バイトも休みなんだよ?…ずっとソファーに座ってるだけなんてさ…」
…私と猛は、相変わらず出無精だった。
二人とも、基本的に私服はジーンズとTシャツで…わざわざ相手に、気を使うことなんてなくなっている。
…気は使わなくても、お互いが相手を思っている…理想のカップルとは、まさに私たちのことなのかもしれないわね。
…朝からダラダラと、夜になるまで猛に寄り添うのが…今のお気に入り!…
「私はこれでいいの!…猛と二人で、ゆっくりと過ごす夏休みが幸せなのよ…」
「でも、明日からがっこ…」
「あー!あー!あー!!!」
…あーあー…何も聞こえな〜い…
耳に手をあてて、大声をだしながら…猛の声を遮った。
今の私には、その情報は受け入れられない…
しかし猛は、私の両手を掴むと無理やり下げた。
そして、アハハ!…と笑いながら、禁句を平然と語りだす…
「現実を受け入れなきゃダメだよ!?…今日で、夏休みはおしまいなんだから!」
「やめて…私は違うの! 私はあと一ヶ月、休みなんだから!」
「いい?…沙織は、明日から…」
「いや…イヤー!!!!!」
「…学校なんだよ。」
………もうダメ…生きていけない…
私は全身の力が抜けて、猛の膝に倒れ込む…
猛は、私の悲しみを無視して…爆笑していた。
…夏休みが終わるのに、猛はなんで嬉しそうなんだろ?…
私は仰向けになり、ひざ枕の形で猛を見上げる…
猛はすぐに私の髪を撫でて、笑顔のまま私と見つめ合った…
「…猛、逆よ。」
「へ?…なにが逆なの?」
「普通は、女の子がひざ枕してあげるのに…猛がしてどうするのよ?」
「そうかなぁ…別にいいと思うけど…」
「ダ〜メ!…うりゃ!」
猛の首に両手をまわして、一気に起き上がる。
その反動で、猛は私の方へ倒れてきた…
…作戦通り、見事に入れ代わる…けど、猛は首が痛そうだ。
「…うふふ…ありがたく思いなさいよ? 世界でただ一人、私のひざ枕を体験できるんだから。」
「く、首が痛いよ…強引だなぁ…」
「嫌なの?」
「………ちょっと…」
…む〜! この、この!
痛めた首を狙い、私は猛にチョップした。
…私の愛を嫌がるなら…地獄に堕ちればいいのよ…
痛がる猛を見つめながら、私は命令口調で囁く…
「…私に、愛してるって言いなさい。」
「そ、それは強制されて言うことじゃ…」
「私に逆らうっていうの!?」
「グガッ!…く、首は…締めな…いで…」
「言え〜!…愛してると言うのよ〜!!!」
…猛を殺して私も死んでやる〜!…なんちゃて…
本当のところ、チョップの段階で…あまり力を入れていない。
…早く言わないと…本気でやっちゃうからね…
ややオーバーアクションで、猛の首に手を掛けている…するとついに、猛の心が折れた。
「…わかった、言うよ…言うから許して…」
「わかればよろしい。さっそく、言ってもらおうかしら?」
「………沙織、愛してる…」
………あ、ズルイ…何でそんな…真剣に…
私は半分悪ふざけだったのに、猛は急にひざから起き上がり…真面目に私を見つめる。
…ここで何か言われたら絶対、抱きついちゃう…
猛の…『愛してる』…の一言で、麻薬の禁断症状のように体が震えだした…ある意味、【猛中毒】ではあるけど…
…お願い、猛…今日だけは何も言わないで…私、少しは大人にな………
「………おいでよ、沙織…」
「やっぱりダメ!…私も愛してる〜!!!!!」
「…よしよし…このほうが、僕たちらしいよね。」
「ね〜キスしてよ!…私をその気にする猛がいけないんだから、ちゃんとチュッチュして!」
「…相変わらずわがままで、甘えん坊だなぁ…」
…そんなこと言って、猛も乗り気なくせに…
猛のほうから私の唇に、軽くキスをしてきた。
…一度したら、私たちの愛は…もう止まらない…
舌を絡めては、短いキスを何度かして…見つめ合いお互いの名前を呼ぶと、また舌を絡めあう…
…少し前の私たちなら、これで満足していたはずである。
………体を重ねる前の私なら…
「…猛…もう、我慢できないの…」
「松永さんに止められてるから、やめとこうよ…」
「…私たちのセックスを、玲奈に止める権利なんてないわよ。」
「そうだけど…コンドームも持ってないし…」
「…そんなの、必要ないでしょ?…」
ソファーに猛を押し倒し、その上に私が乗る。
…私の誘惑に、勝てるのかしら?…
私はTシャツを脱いで、白いブラを露出させた。
急な私の行動に、猛は目を閉じて横を向く…
「ダ、ダメだって沙織!」
「…そのまま目を閉じてれば、私の勝手な行動…ってことで解決するわよ?」
「そんなこと出来ない!…早く服を来て、そこをどいてよ…」
「仕方ないわね…じゃあブラをはずして。」
「!…そ、そんなの意味ないじゃないか!?」
「…はずしたら、どいてあげる。そろとも…私とセックスしたい?」
私になにを言っても無駄…ということがよくわかっている猛は、こっちを見ずにブラに触れようとしていた。
フロントホックだから、当然のように…猛の手が胸に触れる。
…クックック…イジワルしちゃお!
「アン!…猛の触りかた、ヤらしいわね…ンアァ!」
「そ、そんな声出されたら…はずせないよ!」
「猛の手が、感じちゃうの…ハゥンン!」
「ダメだ、こうなったら…た…」
「………た?」
「助けて!…松永さ〜ん!!!!!」
私が甘美な声を出すと、猛はソファーに寝たまま…大きな声で無敵のサイボーグを呼び出した。
…うふふ、バカね…玲奈は今日、大事な用事で下の部屋にもいな…
《ゴン!!!》
…鈍い音と共に、私の頭にスゴイ痛みが走った。
一瞬、意識が飛びかけたけど…すぐに猛が支えてくれる。
…猛が私に、こんなことするはずない…
…奴ね…この部屋に奴がいるんだわ…
場所がわからず、私は首をキョロキョロさせて…敵の居所を探す…
「真後ろだっつーの!!!」
「アイタ!?…ちょっと玲奈! なんで叩くの………よ?」
「コラ!!! 前から、バカだバカだと思ってたけど…今日という今日は本気で怒ったわ!」
「う…そんな怒らなくても…」
「服を着て、そこに座りなさい!!!!!」
…マ、マジギレしてる…おとなしく従ったほうが身のためだわね…
向かいのソファーに腰掛けた玲奈は…鬼の形相をしている。
急いでTシャツを着ると、猛と並ぶように座った。
…玲奈の説教が始まる…長くなりそうな雰囲気ね…
………30分経過…
…そろそろ1時間ぐらいだわ…
…もう嫌、聞きたくないわよ…誰か止めて…
お説教は最初の10分間だけで、その後は………
「…それにより、生理と呼ばれる現象が女の子に起きるのです。」
「なるほど…排卵されて、血が出ると…」
「セックスを行う際は…この排卵日を目安に妊娠しやすい、しにくい日を計算しましょう。」
「…だから、安全日とか危険日ってわかるんだ…」
…なんで、こうなったのかしら…
玲奈が猛に、『女性の体の神秘』…という講義をしている。
始めは、妊娠したら周りに迷惑を掛ける…みたいな話をしてたのに、話がそれた結果がこれだ…
…もちろん、そらしたのは私だけど…
『何で妊娠するの?』…とか聞いちゃったから、玲奈先生の保健の授業が行われている。
基本的に真面目な猛は、授業となると…一切妥協を許さない。
…こんな時にまで、質問するってどうなの?
早く終わってほしい私を無視して、延々と授業は続いていく…
「………あ、こんな時間だわ。実はまだ、用事が終わってないのよ。もうおしまいね…」
「…本当?…やっと解放された…」
「そうですか。じゃあ、最後に一つだけ…」
「いいわよ、仲野くん…何が聞きたいの?」
「…ちゃんと、避妊するから…沙織とエッチしてもいいかな?」
………もう、バカ!…私の前でそんなこと…
立ち上がった玲奈に、面と向かって頼んだ猛の肩を…2〜3回、照れ隠しで叩いた。
…バカバカバカ…もっと早く言ってよ…
嬉しくて仕方なかった私が…その状況に耐えれるわけがない。
抱きついて…溢れる思いをキスで伝えた…
「…まぁ、一回してるし…仲野くんなら、ちゃんと避妊もするだろうし…第一、こんなラブラブな二人を抑えるのは難しいからね…」
「………」
「…聞いてる?…お〜い、バカップル〜…」
「愛してる、愛してるの…猛…」
「…僕もだよ…もう沙織以外は愛せない…」
「………はいはい…勝手にしてちょうだい。」
…学校…行きたくない…
…一日中、猛と過ごしていたいなぁ……
はい、作者です。本当はしばらく小説が書けない状況なんですが…感想が嬉しくて、ほとんど寝ずに頑張りました。小説の内容は短いんですけど、何せ仕事が…って愚痴をこぼしても無駄ですね。 いよいよ二学期ですけど、二人は相変わらず…というわけにはいきません。楽しみにしてて下さい… …では、また次回…