第十七話・夜が明けて
…更新が遅くなってますね。では、どうぞ…
………空が結構…明るくなってきたな…
僕は窓を見つめて、朝が訪れたことを感じる。
ベットに横になりながら、僕が考えてることは…一つだった…
…早く…眠りたいよぉ…
…エッチをしたら、沙織はすぐに眠ってしまった。
…エッチの痛みや緊張のせいか、それともいつものことか…揺すろうとも、起きる気配がしない。
無理やり起こしたらかわいそうなので…朝まで、僕のベットで寝かしてあげることにした。
そこまでは…良かった…
…僕は着替えてソファーで寝ていたのに、沙織がいきなり夜中泣き出して…『猛が隣にいなきゃ、不安で死んじゃう』…ということなので、朝まで手を繋いであげることに…
………そのせいで、僕は一睡もできませんでした。
手を繋いでることが原因ではなく、沙織の隣で寝ていること自体が…僕の睡眠妨害になっている。
…セキュリティゼロ状態で、隣には裸の沙織が寝ている…このシチュエーションで僕の心臓の音は、バイクエンジンのように高鳴ってるのに…熟睡できると思いますか?
………まぁ、この裸を…きのう美味しく頂いたのも事実なんですが…
とりあえず沙織に背中を向けて、カーテンのしわをひたすら数えながら暇を潰す…そして今まさに、日が昇り始めている。
…カーテンって、意外に汚れてるな…
…ってそんなことはどうでもいいから、早く眠りたいんですよね…
「………ん…ん〜ふぁ〜…朝〜?…」
「あ、沙織…やっと起きたぁあ!?………んだね…」
「…あ、猛の手…エヘヘ…握っててくれたんだ…やっぱり猛って…優しいのね…」
「う、うん…まぁ…」
「…うふふ、おやすみ…タケ…ル………」
「………はい…おやすみ…」
…あぁ…寝ちゃった…
沙織は起きてすぐ僕の手を確認して、安心すると…ふたたび眠る。
起こしても良かったけど、もう少し寝かしててもいいかな?…と思えた僕は、沙織の額に軽くキスをすると…ふたたび後ろを向いた。
………毛布の間から沙織の胸が見えて、しばらく裸を観察したい…というわけではありません。
決してありません。
…そうじゃなくて。
………違うんだよ?
僕はそんな男じゃない…けれど、チラッと見えたような………
「…あらら…寝ている女の子を襲うのは、さすがに卑怯じゃない?」
「あ! ち、違うよ!…毛布が少し乱れてたから…」
「…どうだかねぇ…仲野くんって、隠れエロ親父だからねぇ…」
「親父じゃないし!…というより松永さんこそ、勝手に入ってこないでよ!」
沙織の体を毛布で隠してあげようとしただけなのに、こんな時に限って…松永さんが部屋に来る。
…盗撮されてる可能性…考えねば…
………ちなみに、本当に【毛布を整えるため】が目的だったことを…理解してほしい。
「…私は、あなたたちの監視役だからね…それはそうとして、仲野くん…昨日はどうでしたか? 良い、普通、悪いのうちから選んで答えて。」
「…なんで松永さんに、街頭アンケートのような感覚で…」
「裸を覗いてたことを…沙織にチクるわよ?」
「………良かったです…」
「なるほど。では初めて仲野くんの、【竹の子】を見たときの沙織の表情をですね………」
…これ、凄く恥ずかしいんだけど…
松永さんが事細かに聞いてくる…それこそ、具体的にだ。
…うわ、メモ取りだした…僕はこれからどうなるんだ?…
沙織の手を握りながら、ベットに座った僕は…紙に書き記す意味を聞いた…
「…これ?…単なる脅迫材料よ。」
「人のプライベートで、脅迫なんてしないでよ!!!」
「仲野くんには関係ないの。これは沙織に対する…最後の切り札ってだけで…」
「…切り札…ですか…」
…いつも沙織のわがままに、振り回されてるんだろうなぁ…
沙織を見ながら、ため息をつく松永さんの顔は…苦労がにじみ出ていた。
…仕方ないか…これぐらい我慢して、松永さんに協力しよう…
少しだけ、いじめられる沙織を見てみたい気持ちもあり…かなりの情報を与えた。
それからしばらくして………わがまま姫が目覚める…
「…あぅ?…なんで玲奈…部屋にいるの?…」
「あら、沙織…私がいたらダメなの?」
「…私と猛の甘〜い朝が…なくなっちゃう…」
「ま、そんな裸じゃ…男はデレデレよね。」
「え?……………………キャ〜!!! 二人とも早く出てって!」
僕と松永さんを、鋭い目で睨みつけている…沙織は脚と肩を毛布に隠し、座っている僕の体を手で押している。
…僕、一言も喋ってないのに…
沙織に叩き出された僕と松永さんは、リビングのソファーに向かい合わせで座る。
…そういえば昨日、給料を貰ったんだっけ…
松永さんの白いスーツ姿で思いだした僕は、すぐに立ち上がって引き出しを開けた。
財布を取り出して、松永さんに確認する…
「…沙織がうるさいから、今のうちに渡していいかな?」
「そうね、その方が話は早いし…」
「………はい、三万円。相変わらず少ないけど…」
「いち、に…確かに三万、ちゃんと預かったわ。」
本当は沙織に渡すはずの部屋の家賃を、松永さんに預けるのには…理由がある。
沙織に最初のお金を渡した時、怒りだしたからだ…
…沙織が言うには、僕のお金を受け取ると…恋人じゃなくなるらしい。
そのままお金を払わずに住むなんて出来ないので、松永さんを窓口として…内緒で払っている。
…こっちのわがままも、たまには聞いてほしい…なんて、絶対に言えない僕は何なんですかね?
「…沙織を包み込める、唯一の存在…って感じだわね。」
「僕以外で沙織を好きになるなんて、無理なんですか?」
「無理ムリ! 私もたまに、これは酷い…と思う時があるもの。」
「………浮気の心配は、しなくてすみそうだ…」
松永さんが、クスクスと笑った。
つられて僕も、アハハと笑いだす…
《バン!!!!!》
…急に大きな音がして、体がビクッ!…となる。
寝室のドアを、沙織が蹴って閉めたようだ。
………どうやら、お姫様はご立腹らしい。
「………なんで楽しそうに、二人だけで喋ってるのよ…」
「え!?…松永さんと、普通に話を…」
「…浮気がどうのこうの言ってたでしょ…聞いてたんだから…」
「アンタ、まさか…仲野くんと私がどうにかなるとでも?…それはないわ、ありえない。」
「…完全否定されると、僕の立場が…」
…松永さんと二人して、声をあげて笑いあった。
その様子を見て、沙織は床を…ドンッドンッ!…と踏み鳴らす。
そして僕の隣に座ると、腕を組んで…松永さんを睨んだ。
「…私の彼に、手を出さないでよね!」
「沙織…松永さんと僕は、そんな関係にならないよ?」
「…猛も猛よ…私以外の女と、あんな楽しそうに話しちゃって…」
「だから、松永さんとは…」
僕と松永さんから、沙織は顔を反らした…当然、腕は組んだまま。
…沙織の嫉妬なんて、僕にはもったいないよ…
沙織を抱き寄せて、松永さんに聞こえないように…耳元で囁いてあげる。
「…昨日あんなに…沙織を愛してるって言ったろ?…」
「でも…玲奈はカワイイし、何でも出来るから…それに私なんて…」
「…そんなことないよ。料理が上手で、スタイルも沙織の方が…」
「…本当?」
「沙織に嘘をついたこと…あったっけ?」
…沙織は首を横に振る。
僕は沙織の顔を覗きこんで、自然に…微笑んだ。
みるみる…真っ赤になる…顔は…僕の大好きな…沙織に…間違い…ない…
…沙織…あ…いし…てる…よ………
………あ…れ?…急に…い…しき………が…
「…猛?………あ…」
「………」
「沙織? 仲野くんが、どうかした?」
「…寝ちゃったの。」
はい、作者です。基本的に沙織の嫉妬が、増してますね。猛は苦労しますよ…玲奈のメモは、少しずつ出てきますから、お楽しみに。 では、また次回…