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神殺しの勇者  作者: volt
一章
6/9

閑話「とある歴史家の書籍の前文」

閑話なので読まなくても問題ありません


 この本を書くにあたって、まずは各所様々の人々に感謝を述べる事としよう。当初の予定より多くの資料を頂いた王立図書館の館長と、フランク朝クース王縁の貴重品を特別に閲覧させていただいた王室、そしてこの本を購入してくれたあなたに、感謝を。

 さて、事前知識の無い人のために、簡単ではあるが、暗黒時代となってしまった当時の大まかな状況について説明しよう。

 鬼化が進んだ生物が蔓延っていた未開の地を人の住めるようにした英雄、レイクアクト=フィリアスがこの国を建国してから、約五百年が経っていて、当時の衣食住などの基本的な面では現在と対して変わっていない。

 当時は、現在のように四界の出入りは頻繁に行われていなかったようだ。特に、神族は降りる事はなく、その存在自体が伝説となっていたようだ。

 現在となっては、人間界の生活に溶け込んでいる妖精も、当時ではあまりいない。軍部の内部調査書の数を見ても召喚士の数も百を切っている状況だったと推測されている。

 四界とは、術用語で魔界、神界、人間界、妖精界の四つの世界を指す訳だが、その当時はどれもが人間界からのドアを封鎖されている。しかし、人間界への道は封鎖されていないことも判明している。それらは、王家筆頭執事であるクライブ=チュニスの日記に、フィスフォーミアスと呼ばれる魔人降下が事件として報告されていることより判明している。現在も、人間界を征服することを謳う魔人が、数十年に一度この人間界に降りてくることはあるが、当時は現在よりも頻繁に降りてきていたようで、その度に多くの被害を出していたようだ。

 術式が現在のように発達していない技術力と少ない召喚士では、魔人を追い払うのは至極困難なものだろう。それでも、この地を守りきることができているということに、我らの先祖に尊敬と感謝を送りたい。

 現在のように、人が使える術式が確立していないようで、術を使うには妖精による支援が絶対的に必要だ。つまり、妖精を見つけ、交渉し、契約を交わし、その妖精に従って術を発動していた、と言うことになる。それらの資料に関しては、全くと言うほど残っていないので、どうやって妖精を見つけたのか、術式を使うための素質の見つけ方、など謎が多い。

 因みに、王立軍事学校は既に五十年前に開校しており、学校が無かったわけではないようだ。しかし、現在のように人材発掘よりも貴族専用のもので、市井のものでもごく限られた一部の者のみ通うことが許されてた。近年、ジョン=ヨーマン氏より発表された『教育論』を知っているのなら話は早いだろうが、当時はどの地域も理論より実践の力が重視され、座学が軽視されていた時代だったこともあり、造るのに莫大な費用の掛かった学校を造ることの出来た国は多くなかった。実際、世界に目を向けても学校と言うものが十数校しか造られなかった。その中では、唯一の軍事学校であり、クース王の先代であるグラス王は、当時の最先端を走っていた事になる。

 授業内容自体が分かる資料が見つかっていないのは非常に残念なことだ。当時の王立軍事学校について分かっていることは、男女が完全に別れて授業を受けいていたという事と、全寮制をとっていて、四年制の専門学校であったということだけである。

 そうそう、当時について密接にかかわっていた、聖リューク教会についても触れておこう。資料が残っていないので正確な事は判明していないが、聖教会は広い地域で伝わっていたようで、この大陸全土に聖教会の教えを広めるための教会があった。現存する中で、最も古いとされる教会のある聖都カイルヘルドにある聖カイリア堂はこの頃に立てられたようだ。

 既に神託といみなを貰っていたといわれる伝説の教祖、リューク=ヘルドが生きていたとされているが、実際のところは事実かどうかはわかっていない。聖教会が出来てから既に三百年ほど経っており、眉唾物という説が最も有力である。しかし、彼の伝承を聞く限り、妖精を行使せずに術式を使えたなど、が残っているため、当時ではありえない技術を手に入れていた可能性や二界の混血種である可能性があるため、完全に否定することは出来ない。

 このときの聖教会の役目は、教えを広めるよりも、民を加護する働きをメインにしていたようで、病気の治療や神の加護を精力的に行いっていたようだ。ラスク私立図書館に納められている『名の無い日記』にその記録に近いものが残っている。当時の神官のレベルは現在よりも高く、伝染病や難病をいくつも救っていたようだ。医術や法術が進歩していなかった当時、最高位の医療機関としても機能していたようだ。

 蛇足だが、教祖であるリューク=ヘルドは、祈祷術や神からの加護を貰う術を持っていなかったようだ。聖教会がそのような力を得たのは、三代目教王であるサガル=ヘルドの時代であり、未だに教祖の力は分かっていない。

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