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風紀の雰囲気  作者: mild@珈琲
●第ニ話
8/9

『たまには遊びも②』

 今だ! 作戦B!


 説明しよう。


 作戦A 鬼が来たら右に逃げる、あとは頑張る

 作戦B 鬼が来たら左に逃げる、あとは頑張る


 以上だ!


「あっ! 待て!」


 全力疾走で追いかけてくる美香。


 ふん、俺にはあらかじめ「距離」という保険がかけられているからな。


 お前から逃げるなんて容易いことよ!


 俺はすぐさま左側の角を曲がり、体育館の表側へと抜け出る。


 目の前には大きな白い校舎。とりあえず校舎沿いにひたすら逃げる!


 校舎沿いを無我夢中で走る俺だが、背後からはいつの間にか距離を詰めてきた美香の声が迫る。


「待てえ!」


 ちょ、ちょっとタンマ! 速い、速いって!


 そういえば忘れてた。こいつめちゃくちゃ足速いんだった。


 反則だろ、その速さは……。


 美香はへとへと走る俺の横に並ぶと、「はい、タッチ!」と言ってどや顔をする。


 呆気なく捕まる俺。実に不甲斐ない。


「次、先輩が鬼ぃ~! 私逃げますんで、百秒数えてくださいね!」


 そう言うと、美香は風のように去って行った。


「くっそぉ……しゃあない、百秒数えるか。いーち、にーい……」


 しかし、これじゃあ美香を捕まえることは無理なんじゃないか?


 それこそもう背後から無理やり襲うしか……。む、語弊のある言い方をしてしまった。


 風紀委員であるこの俺が、そんな不埒なまねをするわけがないだろう?


 そうなると標的は真夜だな。あいつならそんなに足速くなさそうだ。それに真夜が隠れている方向は


 だいたい検討ついてるし、やっぱあいつが狙い目だ。


 よし、絶対捕まえてやる!


 少々退屈な時が過ぎたものの、ようやく俺は数を数え終った。


「きゅうじゅく、ひゃーく! よおし、行ってみよう!」


 俺はぐわっと体を起こし、声を張り上げる。


 周囲を見回すと、たまたまその場を通りかかった女子生徒達が、何やら俺を見ながらひそひそ話をしている。



 「何あれ、キモ」「あれって風紀委員の委員長じゃない? いい年して何やってるのかしら?」「うわ、『行ってみよう』とか言っちゃって、マジ引くんだけど~」



 は、は、は、恥ずかし~~~~~~~い!


 やめて! そんな目で俺を見ないで! 俺を見下さないで!


 ダメだ、もうここには居れん! 今すぐ逃げる!


 というわけで、俺は女子生徒の冷ややかな視線を受けながらも逃走に成功した。


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