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風紀の雰囲気  作者: mild@珈琲
●第ニ話
6/9

『近況報告』

 四月中旬。


 放課後、俺、神前、真夜はいつものように活動部屋に集まっていた。


 あれ以降大した事件が起こる事はなく、俺達は通常の雑務を淡々とこなす日々を送っていた。


 学年進級に伴い行われたクラス替えで、俺達三人は別々のクラスになってしまった。


 俺は、まだ新しいクラスに馴染めず、緊迫した生活を送っているため、この風紀委員のメンバーとこうして仕事をしている時が一番落ち着く。


 最近では真夜も仕事を覚え、そろそろ付き添いもいらなくなるくらいに成長した。


 自由奔放なあいつの事だから、一人にしてもちゃんと仕事してるのか少々不安なところではあるが。


 神前はと言うと相変わらず。仕事の熱心さは俺に負けず劣らずである。やたらと俺の仕事に口出ししてくるのは困りものだが。


 近況報告はざっとこのくらいだ。


 因みに一年生が風紀委員として活動を始めるのは五月から。四月の終わりに行われる面接で三人が抜擢される。面接官は俺達。つまり、俺の権限で美香が風紀委員になる事は確定済み。風紀委員がそんな不正をやっていいのかって? まあ細かい事は気にするな。


 ところで俺は今何をしているかと言うと、さっきからノートパソコンでカタカタと忙しなく作業している神前を見ている。何をしているのか、ずっと気になっていたところだ。


「何やってるんだ? 神前」

「禁煙のポスターを作っているの」

「禁煙って……俺達未成年だぞ? タバコ吸ってるやつなんているわけ……」

「それがいるからこうして作っているのよ」

「マジで?」

「ええ、昨日トイレでタバコの吸い殻が発見されたわ」

「そ、そうなのか。喫煙、許すまじ。この学園の空気を汚染する野郎は俺が叩き潰してくれる!」


 興奮する俺を横目に神前はため息をつく。


「それが、犯人は野郎じゃないのよ」

「え? どういう事?」

「タバコの吸い殻は女子トイレで見つかったの。つまり犯人は女の子」


 ふうん、女子か。まさかこの学園にそんな不良女子がいるとはねえ。


「そういうわけだから、この件については私に任せて。あなたじゃ女子トイレの張り込みはできないから」

「はいよ、そういう事ならお前に任せる」


 俺が女子トイレ張り込んでたらそれこそ捕まっちまう。


「じゃあ俺は真夜と放課後の巡回行ってくるわ」


 俺はつかつかと寝ている真夜に近付き、体を揺すって起こす。


「お~い、真夜、朝だぞ~、巡回行くぞ~」


 真夜はよだれを垂らしながら「ふえ?」と目を覚ます。


「あ、守くんおはよー」


 目を擦り、「ふわあ」と欠伸する。こいつはいつも平和そうだな。


 さてと、真夜も起きた事だし、巡回巡回♪


 眠そうな真夜を引きずり、軽快なステップで活動部屋をあとにした。


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