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アルコンテス

そこはただ白い間だった。

白が空間を支配する。

ここは雪のように白い。

この場所はアルコンテスが支配するだ。

アルコンテスはセラフィエルの覚醒を感じ取っていた。

アルコンテスは『神々』か?

彼らはそういう認識はない。

アルコンテスは世界の支配者である。

アカモートによって選ばれし、世界の管理者である。

その権能はアカモートの代理として世界を治めること。

アルコンテスにさざ波が起こった。

「ゴルギウスがやられたらしいぞ?」

「あの愚か者が。油断などするからだ」

「復活したセラフィエルの敵ではなかったか」

「セラフィエルがゴルギウスを倒したというのですか? では次は誰が行きますか?」

アルコンテスの中から沈黙が起こる。

誰もが己の優位を確信していたが、互いを利用しようと狙っていた。

アルコンテスに団結心などない。

あるのは相互の不信だった。

アルコンテスは互いに視線でおまえが行けと訴える。

だが、誰も自分から行こうとするものはいない。

彼らが臆病だったからか? 

違う。

アルコンテスが最も恐れるのはアカモートの寵愛を失うことだ。

アルコンテスの地位はうまみがある。

それは世界の方向を定めることができるということ。

つまり権力だ。

利権が彼らを慎重にさせる。

ただし、アルコンテスは弱くない。

彼らは強者の集まりだ。

アルコンテスはセラフィエルの強さを恐れている。

ただし、彼らには団結心はないので、全員でセラフィエルを倒すなどという発想はない。

団体行動などまったくできないのが彼らの最大の欠点だった。

二人で協力するという考えもない。

そういう観念はまったく浮かばない。

彼らは基本的にエゴイストの集まりだった。

つまり、自己中心的なのである。

そんな中、アルコンテスの一人が声を出す。

「ふーん、ならぼくが行こうか? 誰も行く気がないんだろウ?」

「メトシェラ(Metschela)……」

「あなたが行くというのですか……」

「セラフィエルの前に返り討ちに合わねばよいが……」

「それが怖いんだろう? ぼくなら問題ないサ」

メトシェラが姿を現す。

メトシェラは天使のような少年だった。

金髪の髪をしている。

「フフフ、セラフィエル……どれほどの力を持っているのか……楽しみだヨ」



「どうやら、万全な状態に回復したようだな」

「ええ、あなたのおかげでね。ねえ、今日は戦闘の訓練をしてみたいんだけど……」

テンマとソフィアはテンマの家で武術の稽古をするつっもりだった。

戦闘の経験も勘と同じでなまると取り戻すのが難しい。

「私もいつか戦う時がやってくるかもしれない。あなた任せにはできないわ」

「まあ、そうだな。よし、外で訓練しよう」

二人は訓練のために外に出た。

「スピリチュアル・フォース! エスペラント!」

テンマの手に白い剣が現れる。

テンマの物質化もなかなかのものだった。

「スピリチュアル・フォース! トリアイナ(Triaina)!」

ソフィアが槍を具現化させる。

実体化した槍は三又だった。

三又の槍『トリアイナ』である。

「久しぶりにそれを見るな。じゃあ、始めるとするか。打ちかかってきていいぞ」

「いくわよ?」

ソフィアが槍を持って踏み込んできた。

ソフィアは猛烈な突きを連続で繰り出した。

テンマはそれを斬り払ったり、かわしたりして対処する。

テンマはソフィアの攻撃に余裕で対処できた。

ソフィアが弱いというより、セラフィエルが強すぎるのだ。

二人はしばらく武器と武器の打ち合わせをした。

その後、二人は休憩した。

二人は水分を補給する。

このマテリアライズした体では食事や水を飲んだりすることが必要だ。

でないと、この体を維持できない。

純粋な気息の殻では物質世界に影響を及ぼすことができないからだ。

「そういえば、ソフィア?」

「何?」

「おまえは今どこに泊っているんだ?」

「私はタナカ ソフィアとして干渉しているわ」

「タナカ?」

「私は自分の存在をタナカ家に刷り込んだの。今の私はタナカ家の娘で、妹がいるという設定よ」

ソフィアは元来この世界の人間ではない。

ソフィアはこの世界で活動するために自分の存在をタナカ家に割り込ませたのだ。

それでタナカ家でソフィアは世話になっているというわけだ。

つまり一種の精神操作である。

ソフィアはそうして寝床と拠点を確保しているわけだ。

「でも、この家も悪くないわね。いっそのことこっちにうつって来ちゃう?」

ソフィアがからかうような声を出す。

「おいおい、それはまずいだろ。俺たちは高校生だぞ? もう同棲する気か?」

「あら、いいじゃない。私たちは付き合っているんでしょ?」

「倫理的に問題があるだろう?」

「この国の倫理なんて、気にしても仕方ないじゃない。私たちは私たちでしょ?」

テンマは頭を痛めた。

そういえばソフィアはこういった存在だった。

やや、規則を無視する傾向があるのだ。

「それにしても、汗をかいたわ。私はおふろに入るけど、いっしょにどう?」

「今はやめておく」

テンマはそっけなく答える。

実際そう言うことをしたいという欲求はある。

この体にはそんな誘惑をされたら、反応してしまう要素がある。

もし、ソフィアの誘いに乗ったら、ソフィアを妊娠させかねない。

ソフィアはそれはそれで喜ぶだろうが。

まったく、人間の体は度し難い。

「そう、じゃあいつでも入ってきていいから?」

そう言ってソフィアはおふろに向かった。



ビルの上で街を眺める存在がいた。

彼は銀髪で、白い服を着ていた。

風が彼の服を揺らす。

「ふーん、ここが地上か。物質文明がずいぶん発達しているな」

彼は一人独白する。

誰も聞く人はいない。

すべては自分自身に言っているようだった。

「ここに、セラフィエルとソフィエルがいるのか。やれやれ、あの二人に任せると脱線するんだよな。(しゅの計画は動き出した。(キュリオスは事態を進めるために俺を派遣した。すべてはかみのみ旨だ。俺たち天使はそのために動く。アルコンテスとの戦いは近い」

彼はアカモートとの戦いに身を投じるつもりだった。

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