表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

彼女?

テンマは帰りの支度を始めた。

そんな時、カズヒコとユキオが声をかけてきた。

「なあ、テンマ、今日はゲーセンによらないか?」

「カズヒコ……」

テンマは幻滅した。

今のテンマはそんなことをしていられるほど暇ではない。

セラフィエルとして覚醒した今、やるべきことはある。

「悪い、今日はやることがあるんだ」

「なんだよ、付き合いが悪いな。少しぐらいいいだろ?」

カズヒコは譲らない。

テンマにはもはやこのような俗物は友人とは見なしていなかった。

ただの知り合い程度の認識である。

「ちょっと、そこのあなた?」

「ソフィアさーん!」

そこにソフィアがやって来た。

彼女はテンマの腕をつかむ。

「この人を借りるわよ?」

「ええええ!?」

カズヒコが大声を上げる。

「おいおい、二人ともいったいどうしたんだ!? いったい何があった!?」

「あー、それはな」

テンマは説明するのがめんどくさかった。

「私たちの愛の邪魔をしないでもらえるかしら?」

「は?」

カズヒコが呆けた声を出す。

まあ、そうなるよな。

「ま、まさか……おまえら付き合っているのか?」

「ん? それは……」

テンマはお茶を濁そうとしたが、ソフィアははっきりと宣言する。

「ええ、そうよ。私たち付き合っているの。この人は、テンマ君は私の彼氏なの。だから、彼を譲ってもらえない?」

テンマはソフィアの目を見た。

ソフィアは軽くうなずいた。

これは話に合わせろということだ。

「あー、まー、そういうことだ。俺たちは恋人同士なんだ」

「なんだってー!? いつの間にそんな関係になったんだよ!」

「いやね、もともと俺たちは知り合いだったんだよ。悪いな、そういうことで、じゃあな」

テンマが席を発つ。

それをカズヒコが恨みがましく怨嗟の目で見つめていた。

こればかりは譲れない。

「おまえ、楽しんでただろ?」

「あ、わかる? ふふっ」

廊下でテンマとソフィアが会話した。

ソフィアはさきほどわざと注目されることをしたのだ。

あの時はクラス中が注目していた。

ソフィアはわざとクラス中に宣言したのだ。

自分とテンマは恋人同士だと。

「だって、せっかく高校生活を送るんだったら、公認された関係になりたいじゃない? 私たちが伴侶だと言ってもクラスの人間は理解しないでしょ?」

「まあ、そうだが。あそこまではっきり宣言すると、クラスの男子を敵に回しそうだ」

実際、クラスの男子はソフィアを狙っていたのだ。

その願望はあっさりと粉砕されたが。

この二人の関係は学生には理解できまい。

「さて、これからどうする?」

「うーん、そうね。恋人らしいことをしましょう?」

「具体的には?」

「そうね。まずは手をつなぐとか」

「いまさらだな。ははっ」

テンマとソフィアは手をつないだ。

テンマはソフィアの手が柔らかいことに気づく。

テンマはソフィアの顔を見た。

ソフィアの顔はほんのりと赤くなっていた。

こんなことも悪くない。

「じゃあ、このままデートと行くか。ソフィアはどこに行きたい?」

「うーん……じゃあ、スーパーマーケットに行くのはどう?」

「スーパーか? そんなところに行ってどうするんだ?」

「それは買い物をするのよ」

「何を買う?」

「もちろん、私の手料理を御馳走するためよ」

「それはいいアイディアだ。じゃあ、スーパーに行こう。家の近くにスーパー『Angeloアンジェロ』があるんだ」



マリヤは今日は早く仕事を終えることができた。

その帰りにマリヤはスーパー『アンジェロ』によることにしたのだ。

マリヤはカートを使って、食材を入れていく。

マリヤは車通勤だから、このようにたくさん買い物をしても平気だ。

それにしても、あの時は驚いた。

それはテンマは女の子を自宅に連れ込んだことだ。

あのテンマが女の子を……。

テンマには最近まで女の影はなかった。

それにソフィアちゃんはかわいいし美人だった。

スタイルもいい。

ちょっときついところがあるようだが、それも含めてマリヤは好感を持った。

まだ付き合ってはいないようだが、それも時間の問題だろう。

あの二人は両思いだ。

間違いない。

それにしても、息子に彼女……。

それを考えただけで、ほほえましくなる。

かなうなら、そうなりますように。

こうして子供は大人になっていくのだろうか。

このあいだまで子供だったのに……。

ソフィアちゃんにはぜひともうちの嫁になってもらいたいものだ。

マリヤが笑顔になる。

いけないいけない。

これでは不審者になってしまう。

内心うれしくて、顔が笑っていた。

「失礼ですが、あなたはテンマの母親ですかな?」

「? あなたは?」

「わたくしの質問に答えなさい。口答えは許しません」

男は、ゴルギウスは無言の圧力をかけてきた。

マリヤは抵抗できずに、崩れ落ちる。

「あ、あ、ああああ……」

「ふむ……この反応はイエス、ですねえ。セラフィエルの母親ですか。これはいいことを思いつきましたよ。このスーパーを毒の海に沈めましょう。クククク、セラフィエルはどう出るでしょうねえ!」

ゴルギウスの哄笑がスーパー中に広がっていった。



「なんだ、ここは!?」

「これは……まさかゴルギウスのしわざかしら!」

テンマとソフィアはスーパー『アンジェロ』にやって来た。

スーパー『アンジェロ』は毒の粒子で覆われていた。

これは学校で起きたことと同じだ。

なら犯人はゴルギウスしかいない。

「ん? これはマリヤの車じゃないか! まさかマリヤはこの中に!?」

「ゴルギウスはマリヤさんを狙って犯行に及んだのかしらね?」

「ゴルギウス……いいだろう。今度こそ決着をつけてやる!」

テンマとソフィアはゴルギウスとの戦いのため、スーパーの中に足を踏み入れた。

内部は緑の粒子であふれていた。

ゴルギウス……こんどこそケリをつける! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ