対決
「フッ、どうやら気づかれていたらしいな」
ゼレドが大剣を持って立っていた。
高い岩からゼレドはテンマたちを見下した。
「ゼレド! マリヤはどこだ!」
テンマがいきり立つ。
今度は怒りに任せて斬りかかるようなことはしない。
テンマはゼレドの力を推し量っていた。
ゼレドは強い。
一人で戦うより、三人で戦う方が安全だ。
「今度は、三人で行くぞ、セラフィエル?」
「ああ、わかっている。今度は怒りに惑わされはしない」
「慎重に戦いましょう」
「フッ、無駄なことだ。おまえたちでは私に勝てん。まあいい。おまえたちの気がすむなら、そうするがいい。マリヤはアカモート・パラーツォにいる」
「アカモート・パラーツォ?」
「あの白亜の宮殿だ。あそこに我らが主君、アカモート様がおられる。だが、おまえたちはそこに行くことはない」
「どういうことだ?」
「簡単なことだ。おまえたちはここで死ぬ。そして輪廻の中で永遠に苦しむがいい」
ゼレドが全身から気を放出した。
ゼレドの圧倒的な力の一端が見せられる。
これでアカモートの部下の力だ。
アカモートはいったいどれだけの力を持っているのだろうか。
「ソフィア、サキエル! 行くぞ! ゼレドを倒すんだ!」
「もちろんよ!」
「あいつは手ごわい、気をつけろよ」
「今度は負けないさ。同じ轍は踏まない」
「フン、かかってくるがいい」
「はああああああああ!」
「でやああああああ!」
テンマとサキエルがゼレドに斬りかかる。
なんとゼレドは二人の攻撃を同時に大剣で受け止めた。
「なっ!?」
「ちいっ!」
「ふははははは! どうした? おまえたちの力はこんなものか! ぬうん!」
ゼレドが大剣を振るう。
それも闘気をまとわせた斬撃だ。
テンマとサキエルはとっさに後退したが、衝撃のあおりを受けてしまった。
ゼレドは強い。
テンマ一人では勝てないだろう。
「どうした? 来ないのか? ならこちらから行くぞ! ぬうううううん!」
ゼレドがテンマに斬りかかってきた。
闘気の刃が叩きつけられた。
テンマはそれをかわす。
ゼレドの一撃は地面に深い切り傷を作った。
「なんて、威力だ!」
テンマは絶句する。
これほどの一撃は人間の肉体では耐えられないだろう。
「行くわよ!」
「行くぜえええ!」
ソフィアとサキエルが連携して、ゼレドに攻撃する。
ソフィアの槍はかわされ、サキエルのサーベルは手でつかまれた。
「なっ!?」
「ウソだろ!?」
「フン、暴風よ!」
セレドは回転する暴風を巻き起こした。
テンマ、ソフィア、サキエルが吹き飛ばされる。
「くっ、くそっ!」
「どうした? おまえたちの力はそんなものか? 私はまだ自分の力の一端を見せていないぞ?」
ゼレドが余裕を見せる。
実際、余裕があるのだろう。
三人は起き上がる。
「はあああああああ! くらえい! ヴェンタ・クリンゴ!」
ゼレドがすさまじい風の刃を飛ばしてくる。
狙いはテンマだ。
ゼレドはテンマを標的に選んだらしい。
疾風のごとき風の刃をテンマは光で受け止める。
「くおおお!?」
ゼレドはスピードはないがパワーはある。
まるで車に衝突されたかのような衝撃をテンマは感じた。
「俺たちを無視するな!」
サキエルがサーベルでゼレドに斬りかかる。
「リヒト・シュヴェーアト!」
サキエルの斬撃はゼレドの鋼鉄の大剣によって阻まれた。
「無駄だ! そんな攻撃が通じると思うな! ヴェンタ・クリンゴ!」
大きな風の刃をサキエルに向かってゼレドが放つ。
サキエルはしゃがんでその攻撃を回避する。
サキエルは反撃をしようとしたが、ゼレドのほうが早かった。
ゼレドは再び風の刃を飛ばしてきた。
今度は縦だ。
サキエルは横に跳んでそれをかわす。
「はっ! オロチ突き!」
ソフィアが水の竜の一撃を放った。
水の竜がアギトを開けて、ゼレドに襲い掛かる。
「ヴェンタ・グラーヴォ!」
ゼレドは風の剣で水の竜を霧散させた。
「そんな!?」
オロチ突きはソフィアの最強の技だ。
それを破られたのなら、ソフィアのほかの攻撃もゼレドには通じないだろう。
だが、ソフィアはあきらめない。
ソフィアは水の力を槍先に集めた。
「ほう? まだ何かあるのか? いいぞ。見せてみろ!」
「流水破!」
流水の衝撃がゼレドを襲う。
ゼレドは平然としていた。
ソフィアがゼレドを追い込んでいく。
ソフィアは槍で舞うかのようにゼレドに攻撃する。
実際それは舞だった。
水の舞だ。
ソフィアの舞は美しく、見る者を魅了した。
ソフィアの攻撃はゼレドを押した。
「ふはははははは! やるではないか! だが!」
ゼレドはバックステップすると、小型の風の短剣を投擲してきた。
「スティレートイ!」
ソフィアはそれを一撃のもとに葬り去る。
ソフィアは接近した。
さらに、連続攻撃をゼレドに叩き込む。
ゼレドは風を大剣にまとわせた。
「ヴェンタ・グラーヴォ!」
風と水がぶつかる。
二つははじけ飛んだ。
「むん! 暴風斬!」
ゼレドは暴風の一撃を繰り出した。
強烈な風がソフィアを吹き飛ばす。
「ああああ!?」
「ソフィア!」
「まだまだああ!」
テンマとサキエルが同時に攻撃する。
二人の連携は完ぺきだった。
二人の光の力がゼレドを押す。
「ぬううう!?」
ここにきてゼレドが苦悶を上げる。
戦いはテンマたちに有利に展開していた。
いける! このまま行けばゼレドを倒せる!
そうテンマは思った。
だが、ゼレドはここにきて暴風をさらに高めた。
ゼレドの全身から風があふれる。
「うおおおおお! ヴェンタ・ディヴィード!」
ゼレドが大きな風の大剣を叩き下ろす。
こんな攻撃をもろに受けたら、一刀両断にされるだろう。
人間の体ではとても耐えられない。
だが、この攻撃には隙もあった。
テンマはそれを逃さない。
テンマはゼレドに光の剣を突き入れた。
「がはっ!? なっ、この私が……」
「勝負あったな」
「ぐ、無念……」
ゼレドは倒れた。
「二人とも、けがはないか?」
「私は大丈夫よ」
「俺も無事だ」
「よし、このままアカモートのもとまで攻め込むぞ!」
テンマたちはアカモート・パラーツォを見上げた。




