アルコンテスの襲撃
キラービーはテンマたちに襲ってきた。
テンマはキラービーを一刀両断にする。
「くらえ!」
テンマの斬撃はキラービーを一撃で殺害する。
キラービーは力なく落ちてそのまま粒子化する。
キラービーはただ群れとして行動しているだけだ。
まとまった団体行動ができるわけではない。
つまりただの烏合の衆というわけだ。
「はっ!」
ソフィアがトリアイナアでキラービーを貫く。
ソフィアの槍の一撃がさえわたった。
「はああああ!」
サキエルは空中に浮いていた。
空中でサキエルは殺戮の円舞を舞う。
サキエルのサーベルがキラービーを斬り伏せた。
「キラービーの残りが少なくなってきたな!」
サキエルが言う。
テンマがキラービーを斬りながら。
「ああ! だが、こいつらは前座だ!」
「アルコンテスが来るってこと?」
「そうだ! 俺たちの本当の相手はアルコンテスだ!」
「今度は一人一体のアルコンテスを相手にしなければならないか」
「フッフッフ、その通りだ」
「!?」
空間が歪んだ。
その先に、人型の姿をしたアルコンテスが現れた。
一人はドクロの顔に黒い衣を着ており、もう一人はオールバックの髪をしたガンマン、最後の一人は髪をセミロングまで伸ばした女だった。
「私はダトス(Datos)」
「俺はファルング(Farung)」
「私はアハマ(Ahama)」
「我らアルコンテスがおまえたちの相手になろう」
「我が主君の名誉にかけて、おまえたちを抹殺する!」
「覚悟するがいい!」
「これはアルコンテスとの決戦だな」
テンマが言った。
アルコンテスは瞬時に相手を定めて移動する。
ドクロ顔のダトスはテンマの前に。アハマはソフィアの前に。ファルングはサキエルの前に移動した。
アルコンテスは黒い宝珠をかかげた。
三人が黒い球体に包まれる。
「これは!?」
「いったい何!?」
「フン!」
「フハハハハハ! これは闇の宝珠。このフィールドが展開されたら、我らを倒すまで外には出られん! さあ、ここで死ぬがいい!」
「フン! 死ぬのはおまえたちだ」
サキエルがはき捨てた。
「ここでアルコンテスとの決着をつける! 行くぞ!」
「ほう……威勢はいいようだな。だが、それだけでは勝てん。さあ、死ぬがいい!」
ダトスは余裕の構えだ。
テンマは光剣エスペラントを構える。
そのままテンマはダトスに斬りかかった。
テンマの剣が不可視の障壁に阻まれる。
「なっ!?」
「フフフ、きさまの剣撃など私には効かん。死ねい! ノクト・ファスコ!」
ダトスの手から極太の闇のビームが出た。
テンマは後退しつつ、それをかわす。
ダトスは余裕の表情を浮かべているように見えた。
「ほう……ノクト・ファスコをかわしたか。だが、無駄だ。ノクト・ファスコはこうして複数放てるのだよ」
ダトスが複数のエネルギーの塊を作り出す。
それ一つずつがビームを発射できるのだ。
「私は圧倒的な力で押すのが好きだ。さあ、セラフィエル! ここで死ね!」
ダトスはノクト・ファスコをいくつも放った。
テンマにはよける以外の選択肢はない。
だが、テンマの回避能力をもってしてもノクト・ファスコの連発は防げなかった。
テンマは闇のビームに呑まれた。
「うああああああああ!?」
「はっはっはっはっは! いい悲鳴を上げおるわ!」
テンマは道路の上に倒れた。
全身の感覚を確かめる。
体は十分に動きそうだ。
おそらく気息があの攻撃の防御力を高めているのであろう。
でなけれは一撃で死んでいたに違いない。
テンマは立ち上がる。
「ほう? まだ立ち上がれるのか」
ダトスがくつくつと笑う。
ダトスは余裕を見せる。
あいつは自分の勝利を疑っていないのだろう。
強者特有の傲慢さがある。
テンマの力は本来の力に及ばない。
本来のセラフィエルの力なら、こんな攻撃など簡単にかわせるし、防げる。
テンマの力は本来の力の五分の一程度であろうか。
「無駄なあがきはよせ。さあ、死ぬがいい! ノクト・ファスコ!」
前面に強大な魔力をダトスが集める。
それはテンマを死へといざなうのだろうか?
テンマは再び闇の奔流に呑み込まれた。
「はーっはっはっはっはっはっはっは! これで終わりか」
「何が終わりだ?」
「何!?」
テンマはノクト・ファスコの奔流を耐えきった。
何のことはない。
テンマは光の斬撃でノクト・ファスコを耐えきったのだ。
「きさまあ! この私の攻撃を無力化するなど、この私への冒涜だ!」
「天光斬!」
テンマは光の斬撃を繰り出した。
ダトスは障壁でそれを防ごうとする。
だが、テンマの斬撃はその障壁を破った。
ダトスに袈裟懸けの傷が入る。
「何だと!?」
ダトスは驚愕する。
ダトスの体からは血が出ていた。
ダトスが手をかざす。
すると、手に黒い斧が現れた。
「モルト・トポーロ!」
ダトスが黒い斧を振るう。
テンマは跳びのいて、その一撃をやり過ごす。
「きさま! よくもこの私に傷を! 許さんぞ!」
「ははっ、ずいぶん、俗物のような反応をするんだな? 傷くらいなんて言うんだ?」
「この私は王なのだ! 権威あるべき王が、夜の王が、傷を受けたなどと、侮辱だ! くらえい! トマホーコ!」
ダトスが黒い斧を振るって、斬撃を飛ばしてくる。
黒い斬撃は強力だった。
「はっ! 天光閃!」
テンマが光の斬撃を撃ち出した。
テンマの斬撃とトマホーコが激突する。
勝利したのは天光閃だった。
天光閃はトマホーコを打ち破り、ダトスに命中した。
「ぐあああああああああ!? 光、光い!?」
「これで最後だ! 天光剣!」
「なっ!? ぐぎゃあああああああああ!?」
ダトスが叫び声をあげる。
ダトスの口にテンマの光の剣が突き刺さった。
「が、が、ががががが……」
ダトスが消滅していく。
「バカな……この私が……」
ダトスは黒い粒子と化して消滅した。
そのとたんに闇のフィールドが解除された。
ほかの二人はまだ戦っているようだ。
テンマが一番乗りだったというわけだ。
このフィールドはいったん展開されたら、外からの干渉は不可能だ。
今のテンマにはただ二人を信じることしかできない。




