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アカモートの怒り

闇黒あんこくの海が広がる。

ここは闇黒の世界。

この世界はアカモートのために作られた。

アカモートが(キュリオスの創造をまねて、作ったのだ。

この世界は『オケアノス(Okeanos)』と呼ばれている。

まるで宇宙のようで、闇黒の大陸が浮かんでいた。

その中でひときわ、大きな建物があった。

アカモート・パラーツォ(Akamoth-Palaco)である。

「アルコンテス!」

アカモートは報告を受けて愕然とした。

派遣されたアルコンテスのものが倒されたという。

これで残ったアルコンテスは三人だ。

アカモート……長い銀髪の髪、黒い角。武闘用の服をつけたアカモートはまるで王のようであった。

アカモート――彼こそがウロボロス界を支配する支配者なのだ。

アカモートは怒りで身を振りわせた。

まさか、アルコンテスがセラフィエルに倒されるとは……。

「おまえたち……何か言い訳はあるか?」

アカモートは玉座に座り、傲然と言い放つ。

アカモートの前にはぶるぶると震える三人がいた。

三人ともアルコンテスだ。

もちろん彼らは寒気がするわけではない。

恐れているのだ。

自分たちの主人ドミヌスの怒りを。

アカモートの視線はまるで三人をい殺すかのように注がれた。

それは部下に対するというより、奴隷に対するかのようだった。

まるで底冷えする視線。

アカモートはほお肘をつき、傲然と三人を見おろす。

この三人ももはや犯罪者かのような扱いだ。

いや、この私の、アカモートの使命を遂行できなかっただけで、それだけで罪に値する。

この三人は法廷に突き出されたのだ。

「ゼスもパイモンもセラフィエルにやられたようだな?」

まるで相手を凍死させるかのような声。

三人はビクンと反応する。

「私の命令を遂行できない……それは罪だ。おまえたち……何か弁解の言葉はあるか?」

「今度こど! 今度こそはセラフィエルを抹殺してみせます!」

「機会をお与えください、我がドミヌス、我が君!」

「……」

アカモートは答えなかった。

彼はこれが口約束でしかないことを知っていた。

アカモートには軽蔑の視線がありありと見える。

さて、この三人にふさわしい罰は何だろうか?

Malbenoマルベーノ

アカモートは呪いを発動させた。

「ああああああああああ!?」

「ぎいいやあああああああ!?」

「ぐうおおおおおおおお!?」

三人が床の上でのたうち回る。

アカモートは目を閉じて、思考に入り込む。

三人はそのあいだ、悲鳴を上げて床を転げまわっていたが、そんなものはアカモートの目には入らないし、声も耳に入らない。

残りのコマは三人だ。

おそらくセラフィエルは意図的にこちらから攻撃させてきたのだろう。

一体ずつ、アルコンテスを倒すために。

兵力の逐次投入は愚劣な行動である。

アカモートは今度は本気でセラフィエルを抹殺させに行かせるつもりだった。

今度は三人のアルコンテスを同時に投入する。

この三人がやられた時、セラフィエルはこちらに攻めてくるだろう。

「フン、見苦しい」

アカモートはマルベーノを解いた。

三人は息も絶え絶えになって床をはいつくばる。

「おまえたち、誰の前にいるのかわかっているのだろうな?」

「ア、アカモート様……」

「あ、(アドナイ……」

三人はアカモートの前で姿勢を整える。

三人とも不格好だ。

当然だ。

さきほどまでに体を焼かれるような痛みが襲っていたのだから。

「今度こそはセラフィエルを抹殺してくるのだろうな? おまえたち?」

アカモートにあるのは不審。

アカモートはこの三人を疑っていた。

「は、はい!」

「か、必ずや!」

「我が命に代えて!」

「ふむ……よかろう。おまえたちの言葉を信じるとしよう。だが」

アカモートは三人をそのまま返すつもりはなかった。

アカモートは手をかざして、魔法陣を出現させる。

その色は赤だった。

三人の腕に赤い印が押される。

これは枷だった。

もし、この至高の存在であるアカモートの命令を破ったなら、彼らは死ぬという魔法である。

その意味を知って三人は再び震える。

「感謝するがいい。至高の存在たるこの余が与えたのだから。おまえたちはセラフィエルを倒さない限り、生きては帰れない。わかったな?」

アカモートが三人に命じる。

「それと今回は三人同時に動いてもらうぞ? 今までは一人ずつ行動したがゆえに各個撃破されたが、今回の襲撃では戦力を一度に投入することにした。よもや文句はあるまいな?」

「「「は! 我がきみ!」」」

アカモートは闇黒の世界を眺めた。

世界の主権者はこの余だ。

余こそ(アドナイだ。

それを邪魔する者は何であれ抹殺されねばならない。



[あー、歌った、歌った!」

カズヒコが大きく背を伸ばす。

ユキオはそれを見て楽しそうに笑っていた。

テンマとソフィアもいっしょだ。

四人はカラオケに行って帰ってきたところだった。

白音市は郊外に発展したニュータウンを持っている。

そこには商業施設などがたくさんあった。

そこは電車でも行くことができて、学生はおもに電車で移動する。

カズヒコやユキオはテンマと遊びたかったのだが、ソフィアが来たのは意外だった。

ソフィアは曲のことは知らないので、テンマとデュエットを歌った。

ソフィアは歌声はいいので、知らない曲でもきれいに歌った。

二人はソフィアが来たことが意外だったようだ。

ソフィアは男友達とは距離を置いていたようなイメージがあった。

彼女は別に男を嫌っているわけではない。

彼女はテンマ以外の男には興味がないだけである。

そんな普通の日に事件は起こった。

四人で歩いていた時、時空が急にひずんだ。

「!? あれは!?」

「まさか、アルコンテスの襲撃!?」

テンマとソフィアは空から何かが侵入してくるのを感じた。

それは黄色い体に黒い縞模様がある、大型の虫だった。

キラービーである。

「カズヒコ、ユキオ、おまえたちは逃げろ!」

「逃げろって、テンマはどうするんだよ!?」

「あいつらは俺とソフィアに用がある。だから、俺たちから離れたほうが安全だ」

「テンマ君の言う通りよ。あなたたちでは邪魔にしかならないわ」

相変わらず、ソフィアの言葉は辛らつだったが、正確でもある。

「……カズヒコ君……」

「……」

二人はどこか納得できないでいるようであった。

ユキオはそれを察して、カズヒコに退避を促す。

「ああ、わかったよ。じゃあ、な」

「気をつけてね」

「ああ、わかっている」

「テンマ君、行くわよ?」

「あいつらを逃がしたのは正解だな」

「サキエル?」

「よくここに来たわね」

「はは、戦いが俺を呼んでいるんでね。さあ、あんなザコどもささっと倒そうぜ!」

「わかっている!」

「当然よ!」

三人はキラービーに向かって駆けだした。

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