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ソフィアとのデート

テンマとソフィアは海に行くための水着を買いに行くことにした。

買い物とはいえ、デートだ。

テンマはそれなりに服装には気を使った。

デートらしくするため、駅前で待ち合わせをすることにした。

テンマは髪をセットすると、駅前にさっそく向かった。

笠井駅前はそれなりに人がいた。

地方都市の駅だ。

それほど人であふれているわけではない。

テンマはこれからのことを考えていた。

あれからアルコンテスは手を出してこない。

こちらの動きを警戒しているのだろうか?

いやいや、今日はこんなことを考えなくてもいいだろう。

今日はソフィアとのデートだ。

地上にいる間はこの世界を楽しめばいい。

ソフィアはどんな服で来るだろうか。

テンマは周囲を眺めた。

ほかの人々はどうしているだろうか。

休日なのに制服を着た学生もいるし、カップルもいた。

「テンマ君、お待たせ」

「ああ、ソフィアか」

テンマがソフィアを見た。

ソフィアは白いブラウスに、青いミニのプリーツスカートだった。

テンマは一瞬、ソフィアに見入った。

ソフィアはそれにうれしそうだ。

「うふふふ、テンマ君が好きな青のスカートにしてみたんだけどどうかしら?」

テンマは言われるがままにスカートを見る。

と同時に健康的な脚も視界に入る。

「ああ、よく似合ってる」

テンマは月並みだがそういうしかなかった。

「ふふ、ありがとう。じゃあ、行きましょうか」

「ああ、そうだな」

白音しらねには大型ショッピングモールがある。

名前はトリーノ(Torino)。

トリーノのシンボルはイルカだった。

二人は笠井駅から白音駅まで電車で移動し、白音駅からトリーノまで徒歩で歩く。

そのあいだテンマは気になることがあった。

それはソフィアが周囲の視線で見られるということだった。

ソフィアは美人だ。

ルックスもいいし、スタイルもいいし、プロポーションもいい。

長い黒髪は漆のように光沢を放って美しい。

肌は雪のように白い。

男どもが注目するわけだ。

テンマにはそれが不快だったが、そうなる理由は理解できた。

「うふふ、どうしたの?」

「いや、視線がね……」

「視線?」

「なんだか落ち着かないな。ソフィアは気にしないのか?」

「私はあなたを見る視線が気になるのだけれど」

「俺を見る視線?」

テンマは気にしていなかったが、テンマの顔立ちはそれなりにいい。

美形でもイケメンでもなかったが、どこか野性を感じさせるのだ。

それが女性の視線を引き寄せる理由だった。

テンマ自身は知らなかったことだが。

「これは私があなたを独占しなければならないわね。えい!」

そう言うと、ソフィアはテンマの腕に手を通した。

二人は密着する。

「……当たっているんだが?」

「ふふ、当ててるんだけど?」

テンマはかあっと照れた。

ソフィアの胸がテンマの腕に当たってるのだ。

ソフィア自身が当ててきているのだが、テンマは恥ずかしかった。

二人はそうしているうちに白音に着く。

「ついたようね」

「よし、降りよう」

テンマとソフィアは、白音駅で降りた。

そして二人はショッピングモールまで歩く。

「ここまで来るとさすがに多くの人がいるわね」

「ここはハブ駅でもあるからな。乗り換えをする人が多いんだ」

「でも、白音自体が発展しているでしょう?」

「まあ、地方都市だからな」

白音は有力な地方都市だった。

したがって、産業が多い。

産業が多いとは仕事も多いということである。

仕事が多いとは、税収が多いということ。

都市としては人口も多くなる。

「それにしても、そろそろ離れてくれないか?」

「えー! そんなのいやよ。私のテンマ君がけがされちゃう」

「誰が汚すんだ?」

「ちゃんと私のものって周囲に示さないといけないわ」

二人は駅からトリーノにまで移動した。

トリーノは大型ショッピングモールだけあってものすごい人がいた。

人であふれていると言っていい。

「いつ来ても、この人ごみは疲れるな。ソフィアは人ごみは平気か?」

「私もあんまり好きじゃないわね。ただ、こういうところは人が多いものよ」

「まあ、そうなんだが、俺はこういうところは苦手だな。どちらかと言えば、静かな方がいい」

「それってセラフィエルらしいわね」

「まあ、セラフィエルだからな」

「ふふ、そうね」

「俺たちは精神的な愛で結ばれているが、心や体の愛も重要だと思うんだ」

(しゅはこの地上世界を消し去るつもりよ。それが人間の救済だと」

「だが、多くの人はこの地上で生きてきたんだ。そんな人たちの生き方まで否定されるのか? 物資的な次元にも価値はあるのではないか?」

「私たちは現にこの世界をエンジョイしているわけだし、価値はあると思うわ」

「ただ、最初からおかしかったものは、やはり消えざるをえないんだろう。ウロボロス界という名は明らかにおかしいし、アルコンテスが支配してきたこともその理由だろう」

「それじゃあ、水着を買いに行きましょう」

「ああ、そうだな」



水着コーナーは男性用と女性用で別れていた。

まずはテンマが買い物をした。

テンマは簡単に決まった。

決めたんだが、ソフィアから却下された。

もっと色々見ようと勧められたのだ。

そのため、テンマはまるでマネキンかと思わせられた。

テンマの水着が決まると、今度はソフィアの水着を選ぶ番だった。

ソフィアはいろいろカラフルな水着をいくつか試着した。

テンマはそれに対して解説を求められた。

ソフィアが試着したのは、色とりどりのビキニだった。

中にはフリルがついているものもあって、かわいらしいデザインだった。

だが、結局はソフィアは青の水着を選んだ。

青はテンマが好きな色だ。

ソフィアもできる限り、テンマからかわいいと思われたいのだろう。

テンマの好みを優先させてくれる。

水着選びはこうして終わった。

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