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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十七章 考えを切り替えての行動開始
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第88話 田舎生まれの捜査官

「アタシはどうも……お店で食べるのは慣れないんすよ」 


 ラーナは照れたようにそう言うと苦笑いを浮かべた。


「むしろ人の顔は見たくないか……」 


 ラーナの言葉を聞くとカウラは車を駐車場に入れずドライブスルーのゲートに向けてそのまま運転席の窓を開けた。


『いらっしゃいませ!ご注文をどうぞ』 


 明るい店員の女性の声が響く。ラーナはなぜかうつむいたまま自分の端末を呆然と眺めていた。


「全員Aセットでいいな……じゃあAセットを三つ。ドリンクはブレンドコーヒーで」


 カウラは迷うことなくセットを決めて注文した。 


『かしこまりました。Aセット三つ、お飲み物はブレンドですね』 


 明るい声だが、誠もなぜか相変わらず違和感を感じていた。


「見ただけじゃ分からないのに……やはり壁は感じますね」 


 そうつぶやいた誠に情けないと言うような笑顔で答えるラーナ。彼女は遼帝国出身で純血の遼州人だった。誠も名前こそ日本風だが遺伝子検査では地球人との混血はほとんど無いと判定されていた。


「人はそれぞれ違うものだと言うが……あれだけ違うとな」 


 カウラがそう言ったのは最後のアパートの男子大学生との会話を思い出したからだった。


『迷惑なんですよね……法術適正?そんなの受けなきゃいけない化け物に生まれたつもりはありませんよ』 


 無精髭が目立つ小太りの男子大学生はそう言うとラーナが差し出したチラシを受け取らずにドアを閉めた。まるで自分は関係なく、地球人の直系の人種だと言うことを特に証拠もなく信じている若者が増えていることは誠も知っていた。だがそれにしてもその死んだように誠達を見つめる目。自分の差別意識に露ほども疑問を感じていないその鈍感な管制に誠は衝撃を受けていた。


「近くに運動公園があるな。そこで食べるか」 


 そう言いながらカウラは商品の受け取り口のある店の裏手へと車を進めた。誠もラーナもただ何もできずに黙ってカウラの言葉にうなずくだけだった。



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