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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十六章 立場が変わったと言っても
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第83話 影の薄い巡査

「そう言えばいたわね。そんな名前の影の薄い捜査官が」


 アメリアは法術師のパラダイスとして知られる遼帝国出身のそばかすの捜査官の名をその時初めて思い出した。


「今頃くしゃみでもしてるんじゃないか?何も影が薄いとか言うことは無いんじゃないか?資料の整理とか警察との調整とか嵯峨警部も重宝してるっていつも言ってるぞ」 


 アメリアとカウラが笑顔で顔を見合わせる。誠はようやく明るい兆しが見えてきたのでおいしく見えた鶏の刺身に箸を伸ばした。


「何事も一人で解決するのはなかなか難しいぞ……まあ俺もクバルカ中佐と出会うまでは一人で何でもできる気でいたからな」 


 島田は昔を懐かしむように天井を見つめて笑っていた。


「島田先輩にもそんな時期があったんですか?」 


 口に刺身を入れたまま誠がつぶやいた言葉に仕方がないというようにうなずきながら島田は烏龍茶を飲んだ。


「まあな。グレて族に入ってそのトップになって有頂天になってた俺を立ち直らせてくれた偉大なるクバルカ中佐のおかげで今の俺があるわけだ」 


 確かに島田なら暴走族のヘッドくらいは務まるだろうと、その無限のタフさと喧嘩っ早さを思い出して誠は苦笑した。


「グレてたんですか……予想通りですけど」


 誠はそう言って島田を見つめた。


「そうよ。相談すれば知恵も出てくるものよ。だから皆さん元気出してね」 


 隣で話を聞いていた春子は笑顔でそう言った。


「ガンバレー!」 


 春子と小夏の言葉になんとなく癒されながら誠はビールに手を伸ばした。


「善は急げだ。とりあえずメールくらいはいいだろう」 


 そう言いながらカウラは端末に手を伸ばした。


「なんだか忙しくなりそうね。なんなら私も運行部の非番のメンバーにも招集かけるわよ」 


 事態の対応策が見えてきたことに興奮してサラはそう言って黙り込んでいるパーラの肩を叩いた。


「サラ……それは勘弁してね。あの子達は邪魔になるだけで戦力としてカウントできないし。それにあまり大げさになると県警の面子もあるのよ。今は少数精鋭で行きたいというのがアメリアの意向だし」 


 パーラはそう言うと笑顔で烏龍茶を口にした。誠もようやく捜査の核になる人物が現れると言うことに最後の望みをつなぐことに心を決めた。



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