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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十六章 立場が変わったと言っても
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第81話 セットで扱われる島田

「そう言えば、中尉。基地からここまで歩いたんですか?」 


 半分呆れ果てた調子で誠はそう言って疲れの様子も見えないサラを見つめていた。


「アホか……そうか!島田はどこだ!サラは島田のバイクの後ろに乗って来たんだ!どこかにアイツが居るはずだ!探せ!」 


 かなめが立ち上がるとパーラも立ち上がった。そしてそのまま二人は二階の座敷に駆け上がっていく。そんな三人を確認すると静かにサラの背後から島田が現れた。


「島田……付き合いが良いのもいい加減にしろよ。だからテメエ等はバカップルって呼ばれるんだ」 


 かなめはバカップルを見てあきれ果てたようにそう吐き捨てた。


「島田……暇なのか?『武悪』の運用データのシミュレーションは終わって無いんだろ?」 


 カウラに言われて頭を掻きながら島田はどっかりと椅子に腰掛けた。


「まあ、うちの連中も『武悪』の扱いにこなれてきて作業が早く終わるようになったんで……それよりどうです、捜査の方は」 


 突然島田から聞かれてアメリア達はため息をついた。


「まあ慣れない捜査活動だからな。成果が出る方がどうかしてる……って言うけど茜のお嬢さんも前回の厚生局の件で味をしめたからなあ……そうそういつもいい結果が出るわけじゃないのに」 


 そう言うと島田はアメリアの頼んでいた新しいビールを手にして飲み始めた。


「分かっているなら動いてくれても……私達は捜査のプロでは無い。それと島田。貴様は今ビールを飲んだな。これで運転すれば飲酒運転だ。バイクは寮まで押して帰れ」 


 捜査開始時はあれほど捜査から外されたことに不満を言っていた島田が一切整備班の人員を割いてくれないことにカウラは不満を述べた。


「へいへい、ベルガー大尉は真面目なことで。まあうちは慣れてきたとはいえ『武悪』の調整に人手ばっか取られて大変でして……隊長の許可がねえとどうにもならねえんですよ。今回も捜査の仲間に入れて欲しいのは山々なんですが俺にも班長と言う責任があるんで」 


 カウラに聞かれて答える島田の顔は少しばかり悪戯をした子供のような雰囲気があった。


「そんな悠長なことを言っている段階ですか?こうしている間にもあの違法法術発動事件の犯人は……」 


 誠は自分達の事情ばかり話して捜査の進展を目指そうとしないかなめ達に呆れてそう口走っていた。


「はいはいはい!ちょっと待てよ。落ち着けよ。俺達も腹が減ってるんだ」 


 そう言うと島田は店内に入ってきてパーラの座っていた席の向かいの席に腰掛けた。


「とりあえず烏龍茶と生中。それに豚串大盛で」 


 島田はカウンターに腰を掛けると春子にそう注文した。


「島田さんは烏龍茶ね……どうせバイクでしょ?さっきのビールは見ないことにしておいてあげるから。不死人の肝臓のアルコール分解能力なら烏龍茶を飲んでるうちに飲酒運転に引っかからない程度にアルコール濃度は下がると思うから」 


 島田の注文を受けた春子が厨房に消える。入り口ではサラと小夏が楽しそうに語らっていた。


「おい!島田!」 


 二階から降りてきたかなめを満面の笑みで島田は迎えた。


「すいませんね。おじゃましてます」 


「まったくよう……忙しいとか言う割にはきっちり定時に帰れてるみたいじゃねえか。良い身分だな」 


 愚痴りながらかなめは席に戻る。付いてきたパーラも仕方がないというように席に戻った。


「お待たせしたわね、はい烏龍茶と生中」


 春子が生ビールを置くとサラはうれしそうに席に戻った。


「正人、何食べるの?豚串だけじゃすまないんでしょ?」


 サラが彼女らしい気遣いで島田にそう言った。 


「そりゃあ俺は焼き鳥盛り合わせだな。お前もそれで良いか?」 


「うん!」 


 闖入者のおかげで誠達は完全にペースを乱されていた。何を話すべきだったか忘れてしまったかのようにカウラは渋々烏龍茶を啜る。アメリアは自分の紺色の長い髪の枝毛を探していた。



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