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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十六章 立場が変わったと言っても
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第80話 飲みと闖入者

「女将さんはそう言うが……西園寺、金の無駄になるぞ。貴様が金に頓着しないのは知っているがそれにしても限度と言うものがある」 


 カウラはかなめが金の心配をする身分では無いのは知っているがそう言ってかなめに忠告した。


「いいんだよ、たまには。こう言うときは思いっきり飲ませろよ」 


 カウラの言葉に顔も上げずにかなめは酒を飲み続けた。


「まるで通夜よね……私も正直騒ぐ気にはなれないわ」 


 そんなアメリアの言葉に誠もただ乾いた笑みを浮かべるだけだった。手がかりは見つけては消え、ただ時間だけが過ぎる。同盟司法局の捜査責任者である茜のコネで手に入れた千要県警の警察官の捜査権限。しかし本来の所属が警察とは所轄の被る司法局と言うことで警戒する県警からつまはじきにされて定時に仕事を終えたらこうして酒を飲むより他にすることが無い。また何か動いて豊川署の捜査官と衝突すれば今度は県警上層部の介入も容易に想像できた。


「焦ってきますね。これだけ県警から目の敵にされて仲間外れにされると。アイツ等たぶんもっと重要な秘密を僕達に隠してるんじゃないかと言う気になってきますよ」 


 誠のその言葉に全員が大きくため息をついた。


「たのもー!」 


 突然の突拍子もない叫び声に店の客達は入り口に目を向けた。


 そこには入り口を開けたところに立っている女性が見て取れた。


「サラ……」 


 かなめが呆れたようにつぶやいた。赤いパーカーを着たピンク色のさらさらヘアーをなびかせたサラ・グリファン中尉の能天気な笑顔にそれまでの自分が浮かべていた仏頂面を思い出して一同に自然と笑顔が浮かんだ。


「サラさん!お散歩ですか?」 


 店の奥から飛び出してきたのはエプロン姿の家村小夏だった。


「おう!お散歩だよ!そしていつもの!」 


 サラの言葉に小夏はそのまま厨房に消えていく。


「しかし暇なのかね?アイツは」 


 呆れたようにかなめはそう言った。


「やっぱりサラは和むわねえ」 


 アメリアは悲劇的な運命を持つ『ラスト・バタリオン』でありながらそんなところをみじんも見せない部下のサラを見て笑顔を浮かべていた。


「和んでる場合かよ」 


 アメリアの言葉に思わずかなめは突っ込みを入れていた。だがサラの闖入でそれまでの重い空気が吹き飛んだのは事実だった。


「アイツ、いつもこんな時間にここに来るのか?暇なのか?アイツは」


 ラム酒を飲みながらかなめは呆れた調子でそんな言葉を口にしていた。



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